HARD BLOW !

清水、銅! 村田、銀以上!!  -ロンドン五輪ボクシング-

観戦記20120810 by いやまじで

今夜は五輪ボクシング競技をテレビ観戦。日本に44年ぶりのメダルをもたらした二人のボクサーの準決勝2試合を観ました。このステージまで来ないとテレビに映らないのが悲しいですが、このステージで見られるのが嬉しくもありますね。

バンタム級(-56kg)の清水聡選手は、地元英国のルーク・キャンベル選手と対戦。

1R立ち上がり、清水が機先を制すように右でペースをつかみにかかりますが、キャンベルが要所でスピードのあるコンビネーションを繰り出しポイントをとります(5-2でキャンベルリード)。

2R、清水はボディを中心に反撃に出ますが、キャンベルはひるまず応戦。このラウンドも6-4、キャンベルがトータル11-6でリード。

3Rに入ってキャンベルややガス欠気味で、清水が攻勢かけますが、清水も体にキレを欠き、逆にキャンベルが持ち直してポイントを奪います。結局3Rは9-5、トータル20-11でキャンベルが清水を降しました。

いやあ、清水選手残念!! この日は体のキレがなかったように見えましたが、やはりコンディションがきつかったでしょうか。清水選手の試合は、例の疑惑判定の試合(ダイジェスト)と北京五輪の試合を見ましたが、どちらも伸びのある左ストレートが武器になっていたように思うんですが、この日はそれが見られませんでした。相手がサウスポーということもあったのでしょうか。まあキャンベル選手、良い選手でした。

それにしても日本ボクシング界44年ぶりのメダル、というより彼自身オリンピック・メダリストに輝いたことをお祝いしたいと思います。とりわけ北京での敗戦(この試合の判定も?に見えましたが)を糧に這い上がってきた点は賞賛に値すると思います。

§  §  §  §

さて次はミドル級の村田諒太選手の準決勝。準々決勝では同タイプの相手を攻めきって勝ちあがってきた村田選手。対戦相手は2007年世界選手権ライト・ヘビー級優勝、その後階級を落としスイス世界選手権ミドル級優勝のアボス・アトエフ選手(ウズベキスタン)。実は村田選手、この選手を昨年の世界選手権1回戦レフェリーストップで破っています。しかしそれだけに相手も対策を立ててくるでしょうから、手強そうです。

1R、村田はガードを固め、相手の出方をうかがいます。アトエフは村田の顔面にパンチを集めますが村田がブロック、村田が徐々にボディから顔面にパンチを繰り出すという展開。このRは4-1でアトエフがリード。村田のボディへのパンチは軽打と見られたか、あまりポイントになっていませんでした。

2Rになると村田は前へ圧力を強めます。アトエフの強打にガードを高く保ちつつ、ボディから顔面への攻撃を繰り返します。アトエフはボディが効き始めて後退orクリンチorホールドが目立ちますが、前年スタミナ切れで敗れた反省から大振りせずにコンパクトにパンチを出し続けます。村田が優勢かと思いましたがポイントは4-4、トータル8-5でアトエフが3ポイントのリードを保ちます。

3R、2R終盤から明らかにボディが効き始めたアトエフを村田が追撃。中盤以降は顔面ヘのパンチも決まり完全にアトエフは苦しそう。ホールディングの減点(2点)もあり、村田が圧倒してこのRを終えます。

そして判定はトータル13-12で、…村田、勝利!!!!

いやあ、最後はまたおかしな判定が出ないかとヒヤヒヤしましたが、見事に村田選手がミドル級という階級で五輪決勝進出を果たしました。おめでとうございます。というか、またもう1試合見られるのがうれしいですね。

村田選手はこの試合、しっかりガードしながら相手の弱点のボディを狙ってスタミナを奪う作戦。慎重かつ冷静にプランを遂行したところが見事でした。それとフィジカルが強いですね。

決勝の相手はブラジルのエスキバ・ファルカン・フロレンティーナ選手。準決で地元英国のオゴゴ選手を破っての決勝進出ですが、間合いの取り方が上手く、ハンドスピードがあり、カウンターが上手です。ハードパンチャーではないかもしれませんが、オゴゴ選手から2度ダウンを奪っており、パンチにキレがあります。正直、準決を見る限り、スピードはあるが動きが直線的で単調なオゴゴの方がやりやすかったのではないかと感じました。まあ村田選手がどういう戦略を練ってくるか、これも楽しみではあります。まずはどう距離をつぶすのかが鍵になるでしょうね。

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実はアマチュアボクシングをこんなに長時間(8試合)見るのはウン十年ぶりでして、昔見た時のイメージは、選手がちょっとでもクラッとすると即RSCというものだったんで、こんなにダメージあるのに試合続行かよと、ちょっと驚きました。

また採点ルールについて初めて聞くものも多かったのですが、ポイントになるパンチの基準は見ていてけっこう曖昧かなと思いました。ただ、かなり力感のあるパンチでないとポイントにならないのはたしかなようで、旧徳さんが「総じて防御型の選手は今のアマルールは不利では?」と言ってましたが、たしかにこのポイントのつけ方だとそれはあるかもしれないと思いました。

また、実況や解説を聞いていると、最終Rに消極的な姿勢をとるとポイントとられやすいいという意味のことを言っていましたので、Rごとにポイントの基準がちがうのかいなと?なところはありました。また、地元判定は半ば公認みたいなことも言ってましたから(苦笑。アマチュアもけっこう判定に関して問題ありだなと思った次第です。

清水選手の誤審騒動なんかを見ますと、日本はレフェリーから「どうせ何をしても騒がれないだろう」と見くびられているように思います。その一方で、清水選手や村田選手の戦いぶりが、そういう流れを変えたところがあるとも思いますが。(プロにおける西岡選手の活躍なども好影響があるかもしれないと言う人もいます。)

この五輪はボクシングに限らず判定が覆る例が出ていて、審判の判定が覆ることはありえないという前例がそれこそ覆りまくりなのですが、おそらくこれは、所謂不当判定がもはや看過できないほど度を越したものなりつつあることの結果なのだと思います。この奥には審判技術の問題だけでなく、それ以外の問題、例えばイタリアサッカー界に実在する八百長問題などが、スポーツ界に対して対策を講ぜざるを得なくさせている面があるのかと思います。(清水選手の試合についてはAIBA買収疑惑も報じられていました。→http://london.yahoo.co.jp/news/detail/20120803-00000038-jij_olympic)

アマチュア・ボクシングを見てその他に気づいた点は、やたらヘッドギア直す、やたらバッティング姿勢で突っ込む、でしょうか。日本人選手は体幹が弱い印象もあります。また私自身が採点基準について理解が十分でないこともあるのですが、実況・解説がどこまで客観的でどこから日本贔屓なのかが、今ひとつ分からないところがありましたね。日本を応援する放送はいいのですが、競技の内容についてはできるだけ客観的に説明してほしいです。

日本ボクシング陣の五輪における活躍については、8月7日の朝日新聞に記事が出てまして、2010年夏に山根明氏の日本アマボク連盟副会長就任パーティで大橋秀行が「アマとプロが協力して五輪の金メダリストを育てませんか」ともちかけたことがきっかけとなってプロ・アマ交流が盛んになり、これが躍進を支えたとあります。

プロの実績を見ても日本に五輪でメダルをとるポテンシャルは十分あると私は思っていましたので、プロ・アマの壁が取り払われつつあるのはとても良いことだと思います。といいますか、五輪で存在をアピールすることは、ボクシングというスポーツの日本における存続にとって非常に重要なことだと思います。

ということで、久々の五輪ボクシング観戦は、妙に判定にハラハラさせられました。

村田選手のミドル級ゴールドメダルマッチは8月11日(日本時間12日、午前5時45分)、楽しみです。

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