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五輪挑戦からプロ復帰、ソト戦、そしてこれから 高山勝成選手インタビューPART1

 コロナ禍でインタビューや現場取材もなかなかままならない日々が続きましたが、先日本当に久々に元WBOアジアパシフィックチャンピオン山口賢一さんに会いに大阪天神ジムを訪問。約三年ぶりに会った山口さんは以前と変わらず快活な様子で、ジムも会員や練習生で活気に溢れています。あれこれと近況報告をしていると、偶然ジムに遊びに来ていた高山勝成選手も登場。その場で許可を頂いてインタビューし、オリンピック挑戦からプロ復帰戦、そしてストップが議論になったアメリカでのエルウィン・ソト戦、頻発する体重超過に対する見解、今後の方向性などについて率直に答えて頂きました。

高山勝成選手の過去記事はこちらから
2013年11月
2014年4月
2014年8月
2014年12月
2015年4月
2015年9月
2019年7月 全日本選手権愛知県予選のレポート
2019年9月 全日本選手権東海予選のレポート

高山選手近影


オリンピック予選について

―3分3ラウンドの試合に挑んでみて、プロとの違いとか適応する難しさというのはどう感じられましたか?

高山「勿論違いが分かった上で覚悟して調整はしてたんですけど、改めて短期勝負の試合では集中力と一瞬の状況判断が試   されるなというのは凄く感じましたね」

―プロの4回戦もダウンを取られたら挽回が難しいですけど、それとも違いますか?

高山「その一ラウンドがあるかないかだけで、全然違いますね」

―3ラウンドの方がより厳しい?

高山「そう思いますね。本当に一瞬の判断ミスで展開がどんどん変わって行くので。。アマ登録がなかなか認められなくて愛知県予選はほぼぶっつけ本番で2勝しましたが、戦いの中で改めて注意点やルールなど見直さなければと感じました」

―試合馴れの面で、経験の差があったかなとは思いますけど、もう一つ勝てたら坪井智也選手(2021年世界選手権優勝)だったじゃないですか。プロとアマのチャンピオン同士の対戦は見たかったですね

高山「東海予選ではさらに大変な戦いになることは覚悟はしていたんですが、試合以前の問題として運営をしているアマ関係者の姿勢に問題があると感じました。一言で言うと正々堂々と試合しようと言う姿勢でなく、『高山潰し』と感じられるような不公平な運営がいくつかあったんです」

―当時SNSにも投稿されてましたが、抽選の過程やルール運用で明らかに不可思議で腑に落ちないことが色々とあったと。(詳しくはこちらのリンクを→高山勝成選手による2019年9月30日のFacebook投稿

高山「自分としては、オリンピック予選の舞台に飛びこんで、アマの選手達とも交流しながら切磋琢磨したかったのですが、周りの大人達が排他的というか敵対心が明らかでスポーツマンシップが無かったと思います。ただ、自分がやってきたことは胸を張って誇れることだと思っています」

―結局あれが日本で初めてじゃないですか、日本のプロもアマも変わりましたからね

高山「だからパリ五輪では、実業団選手権みたいな感じで、プロボクサーやそれだけじゃなくて他のジャンル、総合格闘技の選手なんかも参加出来るプロ向けの予選が行われる可能性ももしかしたらあるかも分からないし、自分がそういうきっかけを作ることが出来たのなら嬉しいですし」

―結局WBO、IBFの国内承認もですけど、高山さんが動いたことでルールが変わって行っている

高山「僕は当時新大阪にあった日連の事務所に一人で言って、直訴と言うか『自分はプロのライセンスも返して一選手としてオリンピックを目指したい』と言ったんですよ。そしたら『ダメだ』と。『いや、でもリオのプロ参加には山根さんも賛成票投じてるんでしょ?』と言ったら『日本は日本の事情がある』みたいに言われたんで、ああもうこれは埒があかないなと」

―山根体制が崩壊したのも、高山さんのオリンピック挑戦が少し影響してると思うんですけどね

  残念ながらオリンピック出場は成りませんでしたが、トッププロが自ら越境して実際に制度を変えさせて異ジャンルに挑戦したのは非常に意義があったことだと思います。高山選手が体験談として話しているアマの試合運営の問題は、決して思い込みや負け惜しみではなく、事実に基づいています。当ブログもいわゆる『山根問題』の渦中では、アマ関係者と連携して試合運営での不正行為なども記事で告発して来ました。高山選手が戦った試合はまだその余波が残っている段階でした。高山選手はプロジムの練習生からの叩き上げで、アマチュアボクシング界から見れば数少ないオリンピック出場枠を巡る戦いにいきなり割り込んできた異分子と映っていたのかも知れません。しかしプロボクサーへの協議参加の開放はIOCの方針であり、オリンピック精神そのものでもあります。今後続く選手達の為にも、公明正大な試合運営が望まれると思います。

小西伶弥戦について

 続いてはプロ復帰戦となった試合について。二度の世界挑戦経験もある小西選手(アルバラード戦は凄い打撃戦で好試合でした)を終始圧倒した内容が非常に衝撃的でした。

― プロ復帰戦になった小西戦ですが、かなりブランクがあった後の試合でしたが

高山「プロの試合は(加納)陸くん以来ですかね」

― スタイルも、反応の良さも、コンデイションも全く以前のままで、こちらとしては非常に驚いたのですが…

高山「プロのリングではブランクはありましたが、その間もオリンピック挑戦の為にトレーニングして、ダラダラと体を動かすような過ごし方はしてなかったので、その辺がプロ復帰戦のパフォーマンスに繋がったのかなと思います」

―余りにも変わってないというか、むしろ若返ったようにも見えてビックリしたんですけどね

高山「引退した後、ブランク開けて復帰しても、以前のようなパフォーマンスが出来ずに負けていく選手もいるので、見てる方もそういうイメージはあったんだろうなとは思います」

―年齢を重ねて、「反応が悪くなったな」とか「疲れがとれにくくなったな」感じることはありますか

高山「それは感じますよ。だからそこで、いかに自分の身体と対話するかなんですよ。年齢とともに、疲労からの回復力とか反応とか、身体の一瞬の爆発力とか失われていくし、首が痛い、腰が痛いとかあるじゃないですか。ボクシングって無茶するスポーツでもあるんですけど。その中でいかに自分の身体と向き合って、トレーニングの内容を変えたり、休む時は休むとか、そうしないとリングの上でベストなパフォーマンスは出来ないですよね」

―逆にブランクの良い面というか、試合間隔が開いたことで、身体がフレッシュになった面もあったんじゃないですか?

高山「それはありましたね。南アフリカやメキシコで試合して、タイトルとった後防衛戦重ねてる間は、目のカットにも悩まされてスパーリング積んで試合に臨めるということがなかなか無かったので。プロのの試合をしていないブランクのうちに、目の傷も手術して完治させる時間が出来たし連戦の負担はリフレッシュ出来たので、結果的に良い準備期間になったかなと思います」

―闇雲に試合をこなすよりも、試合間隔を開けた方が良い場合もある、と

高山「そうでうね、自分の場合はそれがプロ復帰戦のパフォーマンスに繋がったと思います」

―ライトフライに上げたのは良かったですか?

高山「体重面では凄く楽になりましたね」

 今回はここまで、次回はアメリカで大観衆を前に行われたソト戦と体重超過問題、今後の目標などについて伺います。

 久々にインタビューなどして緊張した(旧徳山と長谷川が好きです)

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