fc2ブログ

HARD BLOW !

JBC亀田裁判控訴審 証人尋問傍聴記 PART3

 引き続き、証人尋問の様子をレポートいたします。

 PART1はこちらから→JBC亀田裁判控訴審 証人尋問傍聴記 PART1
 
PART2はこちらから→JBC亀田裁判控訴審 証人尋問傍聴記 PART2

 二人目の証人は、元亀田ジムマネージャーの嶋聡氏。当ブログはかつて亀田ジムにお邪魔して記事にしたことがあり、嶋氏とは面識がございます。
 
 今は無き三権茶屋の亀田ジムを訪問した際の記事
  ↓
K3 BOX&FIT GYM 訪問記 亀田興毅選手インタビュー PART1
K3 BOX&FIT GYM 訪問記 亀田興毅選手インタビュー PART2
K3 BOX&FIT GYM 訪問記 亀田興毅選手インタビュー PART3

 数年ぶりに再会した嶋氏は体型が少しガッチリしていて、法廷内に呼び込まれるまで氏が傍聴席で待機していたことに気付きませんでした。まずは亀田側の弁護士が、通訳のH氏の時と同じようにルールミーティングでの時系列を質問していきます。

 尋問の冒頭、過去の裁判で作成された陳述書をを訂正する形で、「JBCには過去には英語力のあるスタッフがいたが、大毅×ソリス戦のルールミーティングではいなかった」という旨を申し述べ、英語力があった人物として、当時は解雇されていた安河内氏と退職していた石塚氏の名前を挙げました。また嶋氏自身も、マネージャーとして亀田兄弟の練習や試合で海外に帯同しているので、日常会話に不自由しない程度の英語力はあるとのこと。

 そこから嶋氏は弁護人の質問に答えて、ルールミーティング中の事実関係として

・大毅×ソリス戦でリングアナウンサーを勤めたコントレラス氏も同席していた。

・IBF立会人のリンゼイ・タッカーが印刷されたBFルールを配布し、英語で「このルールに則って試合をする」と明言した。

・配布されたIBFルールを書いたペーパーに、双方の選手がバンデージを巻く時間をメモしたので、ペーパーが配られたことは間違いない。

・タッカーが「何か質問があるか?」と尋ねると、大毅の外国人トレーナーが「大毅が負けた場合どうなるのか?」と英語で質問し、タッカーは「大毅がタイトルを保持する(Daiki retains IBF title.)」と明言した。

・TBSの通訳H氏は(IBFタイトルの扱いついて)質問していない。

・当時の事務局長森田健氏や関西事務局のS氏は質問や議事進行をしていない。

ということを証言しました。

 リングアナウンサーのコントレラス氏の参加に言及しているのは、氏が採点発表後にリング上で『IBFのタイトルは移動しない』旨を、タッカー氏より早く英語でアナウンスしていたからであろうと思われます。

 コントレラス氏の英語アナウンスに言及した記事→負けて防衛!大毅救済ルールで前代未聞の大逆転/BOX

 更に嶋氏は、ルールミーティング以外の試合当日の出来事として

・試合二時間前にJBCのS氏から「グローブハンデをどうしますか?」と聞かれて「必要ない」と答えた。

・試合後に森田氏に電話で「JBCに英語ができる人がいないのは問題ではないか?」と伝えると「そうですね、ジョーさん(筆者注:ジョー小泉氏のことか?)にでもお願いしようかな」と言われた。「JBCがIBFルールを把握していないのも問題じゃないですか?」と聞くと「IBFに従う。IBFの決定が全て」と返答された。

・関西事務局のS氏にも同じこと電話で伝えた。「東京の本部に伝えます」「IBFタイトルの扱いについては東京の本部がIBFに確認します」と言われた。



という内容を淀みなく証言しました。悉くJBC側の主張と対立しています。

 森田氏の「IBFの決定に従う」という発言はマスコミに向けたコメントと同じ内容です。また英語についての森田氏とのやり取りも、2015年に亀田ジムを訪問した際に嶋氏から同様の内容を聞いていたので、記憶にブレは感じませんでした。

 S氏は、2013年9月高松で、亀田大毅×ロドリゴ・ゲレロ戦の使用グローブを巡って亀田ジムとJBCが対立した事件の際にも、撮影されたビデオ映像の中で「我々は下っ端で決定する権限がないから、東京の本部が判断する」と言う旨の発言を行っており、こういう発言をよくする人なのかな?と感じました。

 この事件の際、JBC職員のTがフリーライター片岡亮と結託して『亀田兄弟に監禁・恫喝・暴行された』という狂言を拡散するという違法行為をして、名誉棄損で亀田に敗訴したのはご存知の通りです。実はS氏もこの事件に関与しているのですが、それは次回の記事で詳しく触れます。

 嶋氏が改めて
 「JBCに英語が出来る人が居ないのと、事前にIBFルールを把握していないことがトラブルの原因である」ということを強調して弁護側の尋問は終わりました。

 続いてJBC側の弁護士が反対尋問に立ち、「ルールミーテイングの席をどうやって決めたのか?」「ルールミーティングでのタッカーの発言がH氏に聞こえていたと思うか?」と言うようなことを聞いていくのですが、正直焦点が分からず何が聞きたいのか判然としませんでした。

 反対尋問で重要だと思われたのは

「タッカーが囲み取材で『大毅が負けたらIBFタイトルは空位になる』と言った時に、疑問を感じなかったのか?」


という質問。確かに、タッカーがマスコミに対してルールミーティングの決定と違う説明をしたのを、否定せず放置するのは不自然に感じられます。ここは亀田サイドにとっては、大きな矛盾点だと個人的に感じました。

 更にJBCの弁護人は「ルールミーティングの決定を森田氏に確認しなかったのか?」と尋ねますが、嶋氏は「ルールミーテイングを聞いているはずだから必要ないと思った」答えます。

 どうも尋問全体を通じて、亀田ジムとJBCはお互いに、ビジネスパートナーだという意識が希薄だったと感じられます。こうした相互不信の背景には、高松でのいわゆる『監禁・恫喝・暴行』の狂言事件で、JBCが亀田側に言いがかりをつけたことの影響があったことは想像に難くありません。

 更にJBCの弁護士はコントレラスリングアナの招請費用の出所を尋ね、嶋氏が「亀田側が負担している」と答えると大袈裟に驚いてみせるのですが、海外からリングアナを呼べばプロモーターが費用を負担するのは業界の常識であり、興行事情をよく知るJBCが知らないはずがありません。

 おそらく、リング上でいち早く「IBFのタイトルは移動しない」と発表したコントレラス氏について『亀田から雇われてるから中立じゃないですよ』的な印象を与えたいのだと思いますが、7年前にタッカーがミスを認めているのに今更なんの意味があるのでしょうか?

 その他にも
 「海外のニュースサイトの記者の招請費用を負担したのではないか?」(嶋氏は費用負担を否定)
 「そのニュースサイトに亀田ジムとして広告を出したか?」
 ということも尋ねていましたが、いったい何を狙った質問なのか良く分かりませんでした。『記者を雇って海外で都合のいい記事を書かせているだろう』と言いたかったのでしょうかね?

 その後も、交代した弁護士が前の弁護士が既に聞いたことを再質問して「それはもう聞いたのでは?」と裁判官に制止されたりと今一つ狙いがはっきりしないJBCは、一連の質問の最後として、ルールミーティングの後に両陣営とJBC、WBA、IBFが回覧、確認した上で署名した契約書について、かなり細かく質問していきます。

 傍聴席から想像するに、どうやら亀田側は「JBCの職員はIBFのルールを見た上では試合の契約書に署名した」と主張しているのに対して、JBC側は「IBFのルールは付いていない紙一枚の契約書に署名しただけだ」と主張している様子。

 JBCの弁護士は嶋氏に対して「契約書の原本はどこにあるのか?」と尋ねますが、嶋氏は「JBCにあるんじゃないですか?」としか答えらえません。どうもJBCは亀田側が証拠として提出しているこの契約書の書式や体裁について、疑問を呈している様子。

 「JBCはサインしたけれど、IBFのルールには同意していない」と言う方向で責任を回避しようとしているのでしょうかね?

 すると、この契約書のコピーを巡るやり取りを受けて、亀田側の弁護士である北村晴夫氏が挙手をして再び質問に立ち

「この契約書はファックスで送信されたもののようで、さらに送信記録を見るとJBCから亀田ジムに当てて送信されたものに見えますが」

と指摘すると、法廷には何とも言えぬ空気が......。傍聴席にいる私も、えっ?自分たちが送った書類について亀田側にあれやこれやと尋ねてたの?何それ?と一気に脱力したのでした。尚、この契約書については、この後の森田健氏の尋問でもう一度話題に上ります。

 嶋氏の尋問でも亀田サイドとJBCサイドの主張は真っ向から対立。どちらか一方が嘘をついていると状況に変化はありませんでした。JBCの実務能力やトラブル対応に問題があるとはいえ、亀田サイドが囲み取材でのタッカーの発言やTBSを始めとするマスコミの誤発表を否定しなかったのも不自然であり、そもそも亀田三兄弟自身が公式ブログを通じて「負けたら空位になる」という誤情報を拡散していたわけで、亀田サイドに全く落ち度がないとも言えないと思います。

『今のところ、大毅が勝った場合のみ統一チャンピオンで、リボリオが勝った場合は王座は空位』という文章がある亀田興毅氏のブログ波乱の計量!

 次回はJBC関西事務局のS氏の尋問の様子をお伝えします。先述した通り、S氏はJBC職員が亀田兄弟をデマで中傷して敗訴した事件にも関与しており、浅からぬ因縁があります。JBC職員と片岡亮が亀田に敗訴したことが、JBCと亀田の裁判にも大きな影響を与えていることが、S氏の尋問で明らかになります。

 速くワクチンが打ちたい(旧徳山と長谷川が好きです)
 


 







 
 




 


 


 

Comment

says... ""
亀田側が誤報を流した件ですが、
確か以前の記事で、嶋氏は空位と報道されてることを知らなかったし
亀田興毅氏はマスコミ報道を見てブログを書いたとかでしたよね?
あと、嶋氏は試合後すぐに王座保持はルールミーティングで決まってると主張してた記憶があります。
しかし、最初にマスコミにルールを伝えたのはIBFでありJBCであり、
亀田側がルールに関して責任を取るのはちょっと違うんじゃないかと思いますね。
2021.06.12 23:00 | URL | #- [edit]
says... ""
仮に実は空位になることが一旦は決まってたが亀田側が工作して覆したという仮説も考えてみましたが、
証言や状況や書面の有無を見るかぎりだと
やっぱりそれはかなり厳しいかなと思いました。
2021.06.12 23:14 | URL | #- [edit]
says... ""
亀田側がJBCに確認や訂正を使えなかった理由として
JBCとはできるだけ、必要最低限しか関わりなくなかったということも普通にあり得そうですね。
2021.06.12 23:25 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
ネットやテレビ新聞で情報はあふれていたし、中継局は盛んに『負けたら空位』と繰り返してたし、亀田サイド自身もそういう情報発信をしてるし、知らなかったというのはちょっと無理があるんじゃないかと、個人的には思います。本当に知らなかったとしても一抹の責任はあると思います。

ただ亀田サイドは体重超過の被害者であり、JBCは試合管理やルール確認について責任があるので亀田だけを処罰して損害を与えるのは余りにもバランスを失していると思います。

2021.06.12 23:58 | URL | #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://boxing2012.blog.fc2.com/tb.php/649-abc49c42