HARD BLOW !

トップ主導の不当判定は存在するのか?!『日本ボクシング連盟問題』再び 澤谷廣典インタビュー

(本記事中はプロボクシングと峻別する為に、日本ボクシング連盟(以下日連)が統括するオリンピックボクシングを『アマチュアボクシング』または『アマ』と表記しています)

元近畿大学ボクシング部総監督、澤谷廣典氏のインタビューの続きです。

20180517001103cc0.jpeg


前回は日連会長山根明氏による、個人支配の弊害と特定コーチ(元WBAスーパーフライ級チャンピオン名城信男氏)へのパワハラ問題について生々しい体験談を伺いましたが、今回はアマチュアボクシング界で長らくくすぶる、採点・判定の問題についてです。

この問題は、プロアマを問わずボクシングに常についてまわる永遠のテーマであり、昨年の澤谷氏インタビューでも触れましたが、今回はより詳細な体験談をお届けします。以下に語られるのはあくまで澤谷氏の主観的な体験談であり、事実かどうかの判断は読者に委ねますが、山根氏の側近だった人物による実名での告白は大変に重いものであることをご承知おき頂きたいと思います。様々なご意見はあるかと思いますが、命がけで戦う選手のためにも、競技の運営には一点の曇りもあってはならないと考えあえて公開いたします。もとより個々の選手個人を貶めたり批判したりする目的の記事ではありません。

記事本文中の人物名は一部を除いて匿名表記とし、以下に登場人物を整理して置きます。文中の敬称は澤谷氏の実際の発言に準拠し、あったりなかったりしますが他意はございません。(澤谷氏の発言は全て赤文字です)

山根明氏…日連会長
山根昌守氏…山根明氏の実子で日連理事
A君…2015年インターハイ奈良県代表選手
B君…2015年インターハイ東京都代表選手
C氏…ボクシング名門校H高校とN大学の監督
D氏…兵庫県のT高校の監督
E君…2015年インターハイ宮崎代表選手で後に近畿大学に進学
F氏…奈良O高校の監督
G氏…宮崎N高校の監督
I君…近畿大学の選手から後に大学中退してプロ転向
J君…近畿大学の選手
K氏…元オリンピック選手の役員
L氏…芦屋大学の監督
佐々木君…2016年岩手国体岩手県代表佐々木康太選手


2015年の兵庫のインターハイで、準決勝で当ったのが山根明の息子の昌守が連盟の会長をやってる奈良県のA君、もう一人が東京のB君でした。B君が所属するH高校のC監督はボクシングの名門N大学の監督と兼任です。その試合の時期のC監督は、山根の付き人的なポジションだった自分の後輩を自分の学校のコーチにしようとして山根の逆鱗に触れて、冷や飯を食わされてる状態でした。

この試合は誰が見ても、H高校のB君の勝ちと言う内容でしたが、判定は2-1で奈良のA君の勝ちになりました。判定が出た瞬間B君の母親は会場で「どこ見てんだよ!」と叫んで激怒して、山根の腰巾着連中に場外に連れ出されて会場は異様な雰囲気になりました。その採点結果を聞いた瞬間、C監督が「ああ」とうめいて仰け反ったのを見た山根は「C監督が負けの判定聞いて不貞腐れた」と理由をつけて、のちに処分してます。

こんときの2-1判定の、B君の勝ちにつけたのが、兵庫のT高校のDという先生です。その日の晩ですわ。私と山根がホテルの部屋で一緒におるときにDが山根に呼び出されました。部屋におったのは私と山根とDの3人だけです。Dが部屋に入ってくると山根は「オイコラDよ!」と言う感じで「おれがC監督を干しとるのに、何をアイツの生徒に点を入れとるねん!今度やったらオドレ処分やぞ!わかっとるんか!」と恫喝しよった。

確かにD先生はC監督の弟分みたいな関係ではあるんですけど、その時はまともな採点しとるのに「俺が干しとるCの選手に入れるとはどういうつもりや!今度やったら処分やぞ!」と激怒して、脅し上げたわけです。

で次の決勝は準決勝ったA君と宮崎のN高校のE君。このEは決勝の時点で近畿大学に来ることは決まってました。すでに選抜も取ってるし、高校チャンピオンクラスです。そのEが試合前に挨拶に来よったから、前日のこともあるし「ええかEよ、KOせいよ。ダウンとらな勝たれへんぞ」と言うて「分かってます」と話して送り出した。そしたら、3Rたいがいドツキまわしたのに判定は2-1でまたA。ちなみにEに入れた審判は栃木の近大のOBですわ。とはいえ試合内容はEが圧倒してたと思います。

試合が終わったらAを教えてる奈良の高校の監督のF先生が私のとこ来て、Eが近大来るの知ってるから「先生すいません、完敗です」言うて頭下げはった。F先生は潔く負けを認めたわけです。それ見たら「ああF先生もつらいねんな、大変やな」と思って。でも一番かわいそうなのは負けてるのに手が上がってるA本人ですよ。負けたN高校のG監督も私のところに来て「Eをインターハイチャンピオンにして近畿大学さんにお預けしようと思ってたのにすいません。でもいくらなんでもアレはないでしょ」と言わはったわけです。それでこっちも「いや今F監督が来て『うちの完敗です』と言うて頭下げてくれたで」というて溜飲さげてもらうかしかなかったわけ。

それで時が流れてEが大学に入って、一年からレギュラーになって最初のリーグ戦。このときは錚々たるメンバーがそろっとった。そのなかにIと言うのがおった。このIが芦屋大学との対戦で一試合でダウンを二回取ってるわけです。このときのレフェリーがインターハイの時ホテルで山根に恫喝されたD先生ですわ。この時DはIがニュートラルコーナーに戻ってへんいうて「コーナーに戻れ!戻れ!」とやって時間稼ぎしてなかなかカウントせんかった。それを見て、恫喝されたDの辛さもよお分かりました。で、その挙句二回ダウンとってるのに2-1で判定負けにされた。

結果としてIはその試合のあと「先生、俺もうアマはいいですわ。今までお世話になりましたがプロになります」と言うて来た。結局プロ転向ですわ。「言いたいことは分かっとるがな。俺らの力がないから、大人がしっかりしてへんからこうなったんや。堪忍してくれよ」というて引き止めたけど、授業料も免除して生活費も渡して手塩にかけてきた選手が、中退という形で大学を辞めてしまった…。

その日はもう一つおかしなレフェリングがあったんです。Iのあとに試合をした近大のJが芦屋大学の選手を1Rから一方的に攻めまくって相手はフラフラやったんですが、レフェリーやってた元オリンピック選手のKさんが一向にダウンをとらへん。そんときはたまたま、山根昌守が娘婿の鈴木監督のリーグ戦の初陣やったから近畿大学側の私の横に座っておったわけです。昌守にしたら近大が一方的やのにダウンとらへんから、苛立ってたんでしょうね。突然立ち上がって大声で「おい!」と審判にアピールした。そしたら本部席におった親父の山根もさすがにまずいと思ったかワーワー言い出しよった。そしたら芦屋大学のL監督がすぐにタオル投げて、そこで即ストップですわ。そのあと山根はみんなが見てる前で、レフェリーのKのことを「なんでダウンとらんねや」とボロカスに叱責してました。でも私らにしたらKたち関東の審判は、芦屋大を勝たせるために呼ばれてて、山根の意向でダウンとらへんかっただけやねんから、なんであんな怒られなアカンねやと思いました。

それからしばらくして九州の仲のいい役員と会場で会った時に、冗談めかして「魂売って芦屋大学勝たせにきてる審判とは話せんぞ」言うてかましたったら「勘弁して下さいよ~」いうて困ってるから「お前らも会長の為に芦屋勝たせなイカンから大変やな」っていうたら「さすが良く分かってますね」って言いよりましたわ。「Kさんはどないしてるの?」って聞いたら「あの人がレフェリーで呼ばれることはもうないでしょう」と。

それから、Iが中退してリーグ戦が終わったあと大阪学生選手権というのがありまして、そこでは1年生のEがリーグ戦の鬱憤晴らすような圧倒的な内容で優勝しました。ところが優勝したEに「良くやったな」と声かけたら、Eは「先生これでボクシング辞めさせてください」と言ってきたんです。こっちにしたら「お前優勝して何を言うとるねん」という話じゃないないですか。「何があったか言うてみろ」と聞いたら「正直ずっと尾を引いてたんですが、去年のインターハイの決勝での判定負けからボクシングが嫌になってました。とってもらえたので大学には来ましたけど、どうしても熱が入らないんです」と。だから私は「それやったら、気持ちが充実するまで休んでええから」というて休部扱いにして「試合出て来い」「練習出て来い」ということをせんと休ませたんです。そうやってゆっくり時間かけてEの気力が充実をするのを何ヶ月も待たなイカンようになりました。

今いうた子らはみんな、一回の不当判定で人生が変わってしもとるわけです。岩手国体での判定が新聞記事になった佐々木君なんかボクシングそのものをやめてしまったと言う風に聞いてます。今後もう二度とこういうことがあったらイカンのです。


記事

2016年10月7日 岩手日報紙の紙面より

こういうことが続くと、選手らだけやのうて役員同士、大人同士の関係もおかしなってくる。昨年のインタビューでも触れましたけど、今おもに三人の理事が審判を決めてますけど、この三人に逆らったら山根に告げ口されて処分されるというてビクビクしとるから、他の理事や審判との関係もギクシャクしてますよ。

そもそも、この三人も大半の理事も高校の教員なんですよ。教育者がそういうことをしとって平気なわけです。彼らも最初連盟に入ってきたときはそんなんではなかったはずですけど、長い年月でもう考え方が毒されてしまってる。

実際アマの大会見てるなかで、判定がおかしいと言ってる人は沢山いるでしょ?そこにメスをいれないと絶対に良くならないです。


いかかがでしょうか?私には迫真性に満ちた、当事者ならではの告白だと思います。澤谷氏が言及している岩手国体の試合は、動画サイトでも見れますが確かに不可解な判定です。



「アマではパンチ一発もダウンも採点上は一緒だから」という正当化の理屈も良く聞かれますが、そういう小理屈でおかしな判定を正当化している競技はIOCによって五輪から排除され、その結果国体から排除され、さらに一層マイナースポーツ化していくだけではないでしょうか?

外部の人間から見て明らかにおかしな運営がなされていることに危機感がないなら、アマチュアボクシングに未来はありません。憂いなく東京五輪を迎える為にも、組織の刷新は必須だと考えますが、関係者の皆様はいかがでしょうか?

澤谷氏の発言中にあるように、個々の選手にとって試合での勝敗は、競技生活にとどまらず進学や進路に大きく関わる問題です。幹部や役員のパワーゲームによってそれらが歪められているとしたら大変な問題です。公平な競争条件はスポーツの根幹ではないでしょうか?

外部にいる私に出来るのはここまでです。日々研鑽を積む選手のためにも、アマチュアボクシング界内部から正常化に向けて声を上げていただきたいと切に願います。

アマチュアボクシング界の自浄作用に期待したい(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

says... ""
以前に澤谷氏の記事はリスキーと投稿した者です。
今は少し考えを改めました。
アマチュアスポーツか未来に向けてどうあるべきか。
それは青少年の健全な育成にとどまらず、生涯スポーツ(観戦含む)を通して結果、国力の維持向上にあるものと思います。
とすれば、出番はスポーツ庁にあると思われますが、出帆間もない事を考えれば、やはり内部からのアクションは不可欠。
その意味で澤谷氏の告発を整理された貴重な記事であると改めて思いました。
ハ―ドブロウさんはプロボクシング問題も切り込んで結果を出されていますね。
出来ることはこれまでと仰ってますが、これからも一定の信頼を持って注目させて頂きます。
2018.05.18 11:53 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
身に余るお言葉を頂き恐縮です。

ここまで書くからには、当然周辺取材もしております。

巷間話題のアメフトやレスリングの問題を見ても明らかなように、業界内の相互批判や自浄作用なくして問題の解決はあり得ません。ボクシング関係者の勇気に期待します。
2018.05.18 12:35 | URL | #- [edit]
says... ""
澤谷氏の発言が事実か否か?を検証する事は競技の目的と存続に関わる重要事項と思います。
山根氏体制の最大の功績はオリンピックメダリスト輩出にありますが、これは競技自体の目的では無く謂わばマネジメント。
澤谷氏の教育者という言葉にはより重さを感じます。
2018.05.18 17:23 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
まず「金メダリスト輩出は本当に山根氏の功績なのか?」ということは検証がいると思います。

アマは教育と言ってるのは他ならぬ山根氏です。言行一致が求められてると思います。
2018.05.19 00:51 | URL | #- [edit]
フィールズ翔 says... "山根氏の行動論理及びアマチュアボクシングの将来について"
この記事を読むと山根氏のエキセントリックな行動や言動が目立ちますが、私は計算していると思います。なぜなら、私は静岡の田舎出身なんですが、日本ボクシング連盟はアマチュアを統括していて、各都道府県の学校関係者の協力のもとに成り立っているので、わざと幼稚でエキセントリックな行動をして、少々前に流行した「忖度」を各都道府県の学校関係者の方がして、山根氏が各都道府県の学校関係者をコントロールしていたと思います。そもそも、かつては日本大学が幅を利かせていたアマチュアボクシング界で実績や後ろ盾もない山根氏が政治闘争で勝利し、会長になったように、山根氏は有能ではあると思います。エキセントリックで無能な方がみなさんが所属したことがある組織にいらっしゃったことがあったと思いますが、そのような方はアレな人として、周囲から距離を置かれ、組織内での地位は低いはずです。

ただ、歴史上、有能だった方も、晩年は能力が衰え、今までのようにいかなることが多いですね。

私がこの記事で特に注目すべきと思ったのは、最後の方の【外部にいる私に出来るのはここまでです】という部分です。

各都道府県の学校関係者が保身のために見て見ぬふりをするからこそ、不当判定があり、国体の隔年開催になっていて、生徒が被害者になっています。各都道府県の関係者は声をあげるべきでありますが、地方の学校関係者の少数が声を上げてもあまり意味がないだろうから、日本ボクシング連盟の現在の幹部の方がおかしいことはおかしいと公式に声明を出すべきだと思います。このままだと、現在の幹部の方々は日本のアマチュアボクシング界を貶めた人間として歴史に残ってしまいますよ。

急に山根氏が以前のように有能に戻ればいいのですが、その可能性は低いですし、外部の人間はこれ以上はもう何もできないので、放課後、及び休日に練習している生徒たちのために、アマチュアボクシング界内部から正常化に向けて声を上げていただきたいと私も切に願います。
2018.05.21 23:35 | URL | #U4QAN.3M [edit]
チーズタッカルビ says... ""
アマの不当判定は昔から言われてましたがここまで露骨とは
でも山根が居なくならないと変わらないでしょうね。アマレスやアメフトみたいに何かあって誰かが告発しないですかね
本当面白記事でした
拳◯の片◯に記事の書き方教えてあげたら?(笑)
2018.05.22 19:56 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
これはあくまで澤谷氏の言い分ですので違うなら反論してほしいです。
2018.05.23 21:10 | URL | #- [edit]
恒夫「不正バンテージだあ」(笑) says... ""
井上尚弥が田口戦で不正なバンテージを使用したと事実無根のデマを垂れ流した小倉恒夫さん昨日の試合について一言どうぞ。
2018.05.26 17:37 | URL | #- [edit]
says... ""
チ―ズタッカルビさん
言うまでもないですが、拳論にはこのような記事は無理です。
と言うか片岡の名前を出すと変な輩が湧いて来るのが気持ち悪いのであえて。
2018.05.27 18:30 | URL | #- [edit]
says... ""
大学アメフトは自浄作用が働きましたね。
2018.05.29 18:02 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
関学側が頑張ったのと、加害選手のご家族がまともな人だったということではないでしょうかね?アマボク関係者は教員の方が多いのですからしっかりして欲しいです。
2018.05.30 00:21 | URL | #- [edit]
says... ""
読めば読むほど異常な体質を澤谷氏は告発してますね。
プロボクシングの秋山JBC理事長もそうですが、山根さんの異常さも同じです。
どちらも自浄作用が働かない限り、いずれは日大アメフトを牛耳った人達と同じ道をたどるでしょうね。
そうした時代になりましたね。
2018.06.01 21:02 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
結局中の人が頑張らないとダメなんですよね
2018.06.01 23:27 | URL | #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://boxing2012.blog.fc2.com/tb.php/606-6727df80