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良くぞ言ってくれましたの土屋修平インタビュー+ ネリドーピング問題

 若い皆さんは御存知ないかも分かりませんが、サッカーが企業スポーツの日本リーグから、プロのJリーグになる時は「日本では野球があるから、プロサッカーは定着しない」「人口の少ない地方都市にスタジアムやプロチームを作っても財政的に破綻する」てな否定的意見が散々言われておりました。Jリーグが地域社会に定着した今では、考えられないような『妄言』であります。そうした否定的意見に対してJリーグの初代チェアマン川淵三郎氏は「時期尚早と言う人間は、 100年経っても時期尚早と言う。前例がないと言う人間は、 200年経っても前例がないと言う」と反論したそうです。

 そもそも企業名を冠しないプロスポーツチームというのが想像の埒外と言う時代。日本テレビ系のニュース番組はJリーグ発足後も「今日はトヨタがパナソニックに2-1で勝ちました」なんてやってて、企業名の表記を巡ってJリーグとモメまくり。東京ドームに無理やりコマ切れの天然芝を敷き詰めて試合して、芝がボコボコでわやくちゃになったと言う珍事件もありました。結局読売のドン・ナベツネは、プロ野球のように私物化できないサッカーに興味を失って、ヴェルディに金をかけるのをやめてしまいました。

 Jリーグは、今年から10年間の試合放映権を、ネット配信のDAZNに2100億円で売却して、巨額の手元資金を得ました。これは放映権をリーグが一括管理するという優れた制度設計があってこそ可能になったことです。さらにTOTOの売り上げから、様々な競技団体に分配される強化目的の助成金も莫大な金額にのぼります。Jリーグが他の競技団体も支えているわけです。NHKでやってただけだったワールドカップは、オリンピックのような巨大コンテンツになり、日本社会に莫大な経済効果をもたらしています。サッカーの競技人口はプロ化で劇的に増加しました。
 
 もし 「プロサッカーは日本に定着しない!」と言う人が議論の主導権を握って、Jリーグ構想を潰していたらこのような世界は存在していませんでした。

 Jリーグ発足から10年チョイ経過した2004年に、今度はプロ野球の一リーグ化騒動と言うのが起こります。近鉄バファローズの球団売却に絡んで、球団を10チームに再編し一リーグにするという構想を、一部球団オーナーが画策していることが突如発覚。選手会やファンの反発を受けた黒幕ナベツネは交渉を求める選手会に対して「たかが選手が」と放言して総スカンになります。

 当時はまだ「強い巨人を、その他のチームが倒そうと努力するのがプロ野球の醍醐味で...」的なオヤジ目線の人がマスコミやファンにも多くいて、オーナー連中とて「巨人と試合が出来れば儲かる」と信じていた時代。地上波での巨人戦中継がなくなった現在では想像すら出来ないですな。

 しかし選手会とファンの反対で2リーグ制は堅持され、その後パ・リーグの動員は営業努力で飛躍的に伸び、セリーグと伍するまでになりました。ソフトバンクや楽天やDeNAと言ったIT系の新興企業の参入によって、球団経営やファンサーヴィスとマネタイズの手法も洗練され、さらに地方都市への進出によって重厚な観戦文化が育っています。巨人中心のイビツな運営モデルも改善され、チームの実力も伯仲し、ファンも応援しがいがあろうというものです。これもまた、選手会とファンの運動の成果であり、一リーグ化が無理押しされていれば存在してない世界のお話であります。

 バスケットボールは協会の内紛でガタガタになったことを奇貨として、逆に思い切ったプロ化に成功し、着々と人気を積み上げています。バスケットボールは実は競技人口が多く、潜在需要は計り知れません。野球とサッカーがオフの冬季に、暖かい環境で観戦できるインドアスポーツの強みを生かせばまだまだ集客は伸びると思われます。

 ラグビーは2018年のワールドカップ自国開催を睨んでスーパーラグビーに参入し、さらに選手会を発足させました。その背景には、東芝の巨額赤字問題などの影響で企業スポーツからの脱却を志向せざるを得ないという、強い危機感があります。

 どの競技も生き残りをかけて組織や運営手法を刷新し、外部の人材を求め、ファンの嗜好を掴もうと躍起になっています。また選手が業界の将来を考えて、意見発信をしたり選手会を作ったしています。
 
 一方ボクシングはどうでしょうか?ビジネスモデルは昭和のまま停滞し、ファンサーヴィスの観念は微塵も無く、女性や若年層を新規獲得しようというようなキャンペーンも無い。

 そもそもプロもアマもおかしな人脈支配と運営組織の腐敗が明らかでありながら、内部からの自浄作用がまるで働いていません。メデイアは大手ジムの提灯記事と「麗しい師弟愛」や「勝った・負けた」の情報だけ。現状打開策も「人気選手が出てきたら変わる」というスター待望論のみ。サッカーや野球で見られるような業界に対する厳しい批判や提言もありません。大手ジムの縦割りになっている地上波テレビ中継が『上がり』でそこから先の、ビジネスが全く構想されておらず、日本チャンピオンや世界チャンピオンでもチケットは手売りだったりバイトしてたり。少子化とスポーツの多様化で、競技人口は頭打ちになり、どう見ても将来は暗い。にもかかわらず何の対策も論じられていなかったボクシング界。

 そこに突然現れたのが元日本ライト級チャンピオンの土屋修平氏のアジテーションでありました。土屋氏は以前からツイッター上で、積極的に業界への提言を行っていました。その発信力に注目した格闘技ポータルサイトのQueelさんがインタビューを慣行し、ロッキング・オンのようなド長尺インタビューが掲載されました。こういう自由度はネットメデイアならではのフットワークですねえ。プラスボクシング情報だけやってるサイトでは出来ない感覚です。

インタビューは以下のリンクからお読みください。

 ボクシングはなぜ稼げないのか?"ボクシング界の異端者"土屋修平が語るその真意とは。【土屋修平ロングインタビュー前編】

練習で強くなるより営業の方が稼げる?ボクサーの手売りの実態とは。 "ボクシング界の異端者"土屋修平インタビュー後編

 ここで土屋氏の言われてることは至極まっとうな事ばかり。娯楽が多様化した中で、いかに観戦の動機付けをしていくか?というのは、ボクシング以外のあらゆるプロスポーツがやっていることです。チケット価格で比較した時に、プロ野球やJリーグ、はたまた映画やコンサート、演劇なんかと同等の満足が得られているか?ということは送り手なら真剣に考慮するのが当たり前のことです。

 私も、井岡ジムの食い物も飲み物も無い環境なのに出入り禁止という監禁興行スタイルを過去批判して来ましたが、なんだかんだ言って試合が良ければ、なんか有耶無耶にしちゃうんですよね。だからボクシングを偏愛してる人の意見は参考にならんわけです。興味がない人、見たことがない人をいかに動員するか?話のタネに来た人、つれてこられた人をいかにリピーターにするか?を、業界の人は真剣に考えないといかんわけです。

 あとは選手が客席をウロウロしてる、逆に客が控え室に入れるというゾーニングの適当さや、「指定席にヤカラが座ってる問題」「試合中に挨拶に来た選手が邪魔で試合が見えない問題」などは、まさに『生観戦あるある』。IMPホールなどは客の振る舞いが問題で借りられなくなったと聞いておりますし、観戦マナーや会場の仕切りの正常化は、一見さんや女性客が安心して観戦する為には不可欠な要素であります。

 選手の待遇、チケットの手売りについても体験をもとに言及されており非常に具体的。選手のSNSなどを見れば分かりますが、こまめに後援者の元に顔を出し、ポスターを持参し、一緒に写真をとってSNSで感謝の意を表明してはじめて、チケットが売れて、ガウンやトランクスに広告のロゴが入る。その現実を公にしたことは大変大きいと思います。

 日本ではよく「初防衛が難しい」と言われますが、実はチャンピオンになったら挨拶回りが大変で、色んなところに顔出してたら練習時間が無くなった、又は疲れて練習できなかったというのが原因と思えるケースが結構あるんですよね。後援者にすれば激励のつもりで、選手だって応援されて食事も食べさせてもらえば嬉しい。でもそれがファイターの仕事なのでしょうか?

 ポスターを貼ったり、チケットを売ったりというのは本来プロモーターの職分です。ある選手はツイッターで「チケットの精算でミスをして自腹になるとことだった」というような体験談を書いていましたが、なんで命がけで戦った選手が会計まで責任追わなきゃいけないの?ちゅう話であります。そもそもこういう形式はアマチュアバンドや小劇場の演劇と同じで、これでプロスポーツと言えるんでしょうかね?「チケット渡しの方が結果的に選手の身入りも増える」と言う向きもありますが、額面以下で流通することを前提でシステムを組んでるならチケット価格を下げるべきです。そしてプロモーターが自分で宣伝してチケットを売って選手に現金で渡すべきです。

 土屋氏がこのように俯瞰的な視野を持てるのは、もともとキックボクシングの選手だったからでありましょう。そしてボクシング業界で生きる必要がないから自由に発言できる。OBでも業界にしがらみがある人や、業界にとどまろうと言う人はなかなか批判的なことは言えないものであります。

 インタビューで一つ気になったのは、Knockoutとボクシングの興行を比較しているところ。Knockoutはキックの中では特別な興行であり、ジムがやってる普通の興行と単純比較するのはちょっとかわいそうじゃない?とは思いました。とはいえチケットの価格水準は一緒なんだから観客目線で見れば仕方の無いことではありますが。

 私が思うのは「ラウンド制限を撤廃して、やる気の無いタイ人が出ないいい試合を三試合くらいやって二時間以内に終わる興行を夜からやってくれたらいいのに」ということ。逆に4回戦の選手はお客がいるところに出かけていく。4回戦の試合を地方都市のお祭りやイベントに組み込んでもらったりしてやるとか。そこにはチャンピオンクラスの選手や元チャンピオンを帯同させて、サイン会やミット打ちをやったり。あとは福祉大相撲みたいなイベントを地方でやったり。色々と工夫の余地はあると思うな~。

 土屋氏のインタビューは、ボクシング関連記事では異例の注目を集めたようです。村田選手の世界戦や亀田興毅氏の一千万企画でも分かったことですが、一般層にもボクシングへの関心はあるわけです。だからこそ偏屈なマニアの意見ばかり聞かずに、一般の人を動員できるような柔軟な施策をとって、生き残りをはかって欲しいと思います。いやほんま。

 もう一つはルイス・ネリのドーピング問題。

 ネリのドーピングが発覚したしことで、大和心トレーナーの冷静な判断の正しさと、本田会長の大人気ないキレっぷりの理不尽さが、より一段と鮮明になった格好です。不正をしたインチキ野郎から山中選手の命を守った大和トレーナーを叱り飛ばし、エンダム×村田の一戦目でジャッジの判定に怒り狂って抗議しまくるなど、最近怒りの沸点が低くなっている本田会長ですから、この試合に関してもプンプンかと思いきや、スポニチの記事によりますと

「山中にタイトルが戻るということはない。WBOのルールだと(薬物疑惑の対戦相手が) クロならタイトルは戻るけど、WBCがそういう判定をしてもウチ(帝拳ジム)は拒否する。 負けたんだから」
 
となぜかドーピング違反に怒るどころか、全力でスルー。「負けたんだから」ってアンタ...。さらに返す刀で
 
ネリとの再戦でなければやらない。(ネリが)3カ月や6カ月なら まだいいが、1年のサスペンド(出場停止処分)なら終わり」との方針を示した。

と、ドーピングの前科モノであるネリとの早期再戦をアピール!なんでだよ!

 インチキ野郎に自分の選手を潰されかけたのに、怒ったのは立場の弱いトレーナーだけ。インチキの当事者には「では再戦しましょう」とすりよる卑屈ぶり。一体どうしたのセニョール?!

 どーもこの煮え切らない&筋も通らない対応の裏には、政治的な駆け引きの匂いがプンプンしているのであります。

 性格の悪い私が邪推するに...

・ネリ陣営の政治力が強すぎて勝負にならない。
・山中は全国中継でノックアウトされた印象が残ってるので、商品価値を見限った。
・山中はあと何年も稼げないので次世代の選手で政治的な配慮をしてもらった方が得だと考えている。
・村田の試合でWBAの試合を国内でやったのでWBCとの関係がギクシャクしている
・「大和がタオル投げなきゃ勝てたのに!」と未だに思っている。

 などの理由が浮かびますが、所詮シロウトの戯言であります。とはいえ山中選手のキャリアがこんな妙な形で終わるのは余りに勿体無い。納得の行く裁定を望みます。

 それとWBCのフニャフニャ姿勢は確かに大いに問題なのですが、逆に言うと

「ドーピング検査をやってるだけマシ」


 とも言えるわけです。他の団体は検査自体ないわけですから。オープンスコアリングの導入や、ビッグマッチがあれば勝手にベルトを作って人気選手に贈呈しようとしたりするなど、WBCは結構ボクシングが世間からどう見られてるか?に敏感なところがあり目端が利く。ドーピング検査自体はいいことすから、芽を摘まずむしろ奨励するべきであり、本田会長みたいに「半年以内にネリと再戦を」とか言っちゃうのはまずいんだけどな~。

 とはいえこの度のトラブルは、磐石と思えた帝拳とWBCの関係に綻びが生じてるとも取れるわけで、4団体時代がもたらした変化なのかも知れません。

 しかし再戦はいかんよな~。

 土屋さんには今後も発信を続けて欲しいなと感じる(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

B.B says... ""
先ずはQueelさんですねぇ。
解り易く良い記事が他にもたくさんある。
悪戦苦闘されてるようですが、生き残って欲しいと思います。

土屋修平さんのこれはもう提言ですが、ボクシングOBとしては平成初の発信では無いでしょうか。
時代が変わって選手の意識もだいぶ変わりました。
インタビューでも述べられていますが、これをどういう方向に一つにして行くのか。
今後も注視して行きたいと思います。

ネリのドーピング問題。
結局は政治的というか、商売上の思惑でせっかく導入したVADAの結果も有耶無耶に。
ファンの一部ではJBCはWBCを脱退せよ!などの声もあるようですが、ついこの間までWBA脱退!とかの声も多数あった。
これには猛烈に違和感を感じる。
言うのは勝手だけど、WBOやIBFだってこの問題を抱えてる訳だし、いつこうしたケースが発覚するか判らない現状で、少し冷静になろうよとか思っちゃう。
メキシコ独特の食肉牛へのジルパテロール投与は実際に普通に使われているようで、食肉処理の1,2週間前に体重増量の為に投与するんだそうです。これを否定するとメキシコ産牛はアスリートは食べられない訳でメキシコ経済にも影響するとか。
まぁWBC会長の言い訳ですけどね。
これを実際に食して効用を調査する事は容易いと思うんですが。
思い出すのはリチャード・ガルシアが南アフリカで試合をした時、相手がドーピング検査で神経系に作用する薬品の陽性反応が出たにも関わらず有耶無耶にされたと嘆いてましたが、メキシコだけでなく様々な形で広く蔓延していると。
で、この選手は現在のWBO王者ですけど。

新たな黒船襲来。日本の試合では平成になって初めてのケースだから仕方ないにしても、ローカルコミッションであるJBCの今後の取り組みは急務になりました。
四つのタイトル認定団体は差異はあれ、ほぼ同じと考えた方が良い。
ならば、国内においてそれをコントロール出来るのはJBCですから。
2017.10.27 04:53 | URL | #bH1htKmU [edit]

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