HARD BLOW !

日本ボクシング連盟激震の内幕 澤谷廣典氏インタビューPART2

前回に続き澤谷氏のインタビューをお送りします。

澤谷2_R


近畿大学ボクシング部前総監督 澤谷廣典氏

その前にアマチュアボクシングの判定の『政治性』について簡単におさらいを。

ソウル五輪のロイ・ジョーンズjrは言うに及ばず、2012年のロンドンオリンピックでは、清水聡選手とアゼルバイジャン人選手との対戦で、何度ダウンをとってもダウンカウントがとられず、一旦清水選手が判定負けしたのち日本側の抗議を受けて裁定が覆った、というややこしい事件ありました。このときは「AIBAがアゼルバイジャン政府(の息のかかった富豪)からの多額の貸付の見返りに、金メダル二個の約束をしている」という疑惑をBBCが報じましたが、これは真偽は怪しいようです。

ただ、そのような疑惑がでる背景には、AIBAの属人的な組織運営についての不信感が根強くあるのです。

2006年に白夜書房から出たムック本「あしたのボクシング No.2」(←クリックするとアマゾンに飛びます)には、トップアマ出身プロ代表として内山高志選手と佐藤幸治選手の対談が掲載されています。その中で佐藤幸治選手はパキスタンの地元判定の酷さに言及し、内山選手は不当判定で暴動が起きた経験を生々しく語っています。

前回の記事で触れた岩手国体の成年の試合も、アマの関係者の間では試合直後からすでに大きな話題となっており、昨年10月の時点で村田諒太選手も言及していたということを、記事をアップした後ある方から後教えていただきました。

20170829185814812.png


村田諒太選手のFACEBOOK記事へのリンク

この画像は私が前回の記事でアップしたのと同じ2016年10月7日の岩手日報の切り抜きで、昨年秋の時点でアマボクシング関係者の間で話題となり、SNSを通じて回覧されていたことが分かります。やはり関心は高かったようです。

正直、採点競技が逃れられない宿命なのかも知れませんが、ボクシングはプロ・アマ問わずそういうことが起き易い風土・素地があるということではないでしょうか?プロボクシングにも政治的な判定やおかしな裁定はありますが、プロは少なくとも世間の目に晒されており、露骨な不当判定は容赦なく批判されます。一方アマチュアボクシングは採点基準も不透明で、注目して見ているファンもプロに比べたらずっと少ない。それがオリンピックや国体で『部外者』の目に晒されると、アラがより目立って見えてしまうということではないでしょうか?

というわけでインタビューの続きです。後半はプロアマの関係についての話を中心に、まずは日本ボクシング連盟(以下日連)の山根明会長と大手ジムの関係ついて…。(澤谷氏の発言は全て赤文字)

澤谷「帝拳ジムは日連に1000万円を二回支払ってることを認めてますけど、その他にも、色んなジムから貰う試合のチケットがあるんです。村田諒太や井上尚哉の世界タイトルマッチの中継見てたら、リングサイドに山根会長が白いスーツ着て映ってますやろ。あれは全部、プロのジム側がチケットを提供してます。テレビの画面に映る位置で、白いスーツ着て観戦することで『俺はこういう場所でタイトルマッチが見れる人間やぞ』とやってるわけです。笑い話とちゃいますけど、私が山根会長と観戦する時にたまたま白い服着てたら、翌日、連盟の副事務局長を介して『山根会長が目立たないから今度はもっと地味な色を着るようにしてくれ』と言われたこともあります(笑)。
帝拳ジムは20~30枚チケットをくれるので、山根会長は貰ったチケットで色んな人を招待しては恩を売ったり、時にはチケットを転売して自分の小遣いにしたりしてます。井岡ジムも毎回、スーパーVIP席チケットを複数枚提供してくれてたんですが、席が帝拳ジムに比べて2列目なのでへそを曲げて最近は行かなくなりました。井岡ジムの好意に背く本当に罰当たりな話です。」


澤谷1_R
服装が問題となった日の写真だそうです…

言うまでもないことですが、チケットは有価証券であります。どのように会計処理されているのか分かりませんが、税金も投入されている団体のトップが、こういう不透明な利益供与を受けていても良いのでしょうか?

そしてこのチケットが、実は近大ボクシング部の名城信男ヘッドコーチ(元WBAスーパーフライ級チャンピオン)の冷遇や不可解な処分と関係があるというのです。

澤谷「プロの時、名城コーチのおった六島ジムが、試合のチケットなどを持って挨拶に来んのが山根会長には不服なんですわ。でも、そんなもん名城とは何の関係もないことでしょ?」

HB「そもそもタダでチケット持ってくる必要なんかないですよね。」

澤谷「そうですよ。処分理由の『去年の国体で、会場横のウォーミングアップルームに他人のIDつけて入って教え子のミット受けしたから』というのも無茶苦茶ですわ。試合前にミット受けできる人間がおらんから、困って電話してきた教え子に対応しただけやのに、それだけで大会の会場へ出入り禁止になるなんておかしいでしょ?しかも、その時同じ場所に、他人のID下げて中に入ってる現役プロボクサーもおったらしい。そっちはカード貸したほうも、入ったほうも、何のお咎めもなしです。
山根会長は『名城の処分は理事会の全会一致や』と言うてたんですけど、あとからいろんな理事が『名城君処分されたんですか?何があったんですか?』と聞いてくる。『おかしいやないか、お前らホンマに知らんのか?』となって、理由を説明したら『そんなくらいのことで、そんな処分出されたんですか?』と驚きを通り越して呆れてました。名城は他にも、かいわいそうなくらい苛められとったんです。鈴木監督の伝手で自衛隊に出稽古に行こうとしたら『あいつは入れるな』と手を回されたり。」


統括団体のトップが、処分やライセンスの発給を盾に権力的に振舞うというのは、我々が過去取り上げて来たプロの問題でも沢山ありました、アマも同じようであります。

澤谷「山根会長は『アマの選手は日連が金かけて育てて来た』とことあるごとに言いますけど、別に自分の金じゃないでしょ?もっと言えば税金(JOCやTOTOの助成金)ですよ。プロに行くなら返せというなら、国に返すべきです。」

HB「山根会長の代になってから、国際大会で判定でやられてたのがポイントが入るようになった、勝てるようになった、という声もあるようですが...。関係あると思いますか?」

澤谷「関係ないでしょ。たまたまやと思います。メダルも選手の力ですよ。」

今後オリンピックへの参加問題は一体どうなるのでしょうか?

澤谷「IOCが認めてる以上は、法に基づいてせな仕方がないと思う。ただ実力主義で、アマもプロも入れて、有名なプロボクサーがリングに上がることで、人気も出ますよね。ただまあ今のアマの状況では、今すぐというのは難しいのも事実ですよね。」

今回の告発の動機については、様々な憶測が出ていますが、この問題は今後どのように進展行くのでしょうか…。最後に胸中を伺いました。

HB「全国の関係者の中に今の状況に不満を持っている人はいないんですか?」

澤谷「それは一杯いますよ。ただ、やっと今回、山根会長なって6年なりますけど、初めて私が反逆と言うか告発の狼煙あげたわけです。そうしたら『澤谷さんの告発を見て、今まで分かっていながら声を上げられなかった自分がはずかしい』と連絡をくれた先生もおるし、ぽつぽつとは動きは出てきてます。みんな元をただせばスポーツマンで、教育者ですもん。

ただ、逆らったら自分の立場も悪くなるというのもある。洗脳されてるようなもんじゃないですか。それを、どこかで気付いて力を合わせてくれたら、そこだけなんですよ。

私の今回の動きを、所詮権力争いや、次の会長のなろうとしてるんちゃうか?と言うてる人がいるのも知ってます。でも本当にそうじゃないんですよ。山根会長がおらんようなっても同じ穴のムジナが後とったら同じなので、最後まで見届けますけど、そういう邪念じゃないけど、気持ちがあったらダメです。爆弾巻いて山根会長に抱きついてあの世に一緒に行ったるぞ!というくらいの気持ちじゃないと、とても戦えない。」


最後は少し物騒な例えが出ましたが(笑)、病み上がりとは思えぬ意気軒昂ぶりでありました。

確かについ先日まで「オヤジと息子」と呼び合って、蜜月関係と見られていた同士に諍いが起これば、何かあったと勘繰るのが当たり前であります。告発の動機については、私も推し量るしかありません。

ただ澤谷氏の提示した告発内容は極めて具体的であり、日本ボクシング連盟についての多くの重要な問題を含んでいます。

今回当方が記事にしたことも、あくまでお聞きした情報の一部分に過ぎません。今後も取材を進めつつ事の成り行きを見て行きたいと思います。

AIBAの世界選手兼やってることがほとんど知られていないことに危機感を持ったほうがいいと思っている(旧徳山と長谷川が好きです)







Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://boxing2012.blog.fc2.com/tb.php/581-6edaba86