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高山勝成が決定戦を制し、五度・六冠目の世界奪取!8/20WBOミニマム級タイトルマッチin三田

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 再再再再再再起!気がつけばキャリアもすでに40戦となった、ヴェテラン高山勝成選手と、最年少世界奪取を目指した俊英、加納陸選手との間で闘われた、WBOミニマム級王者決定戦のレポートでございます。

 今回の舞台は、加納陸選手の所属する大成ジムの地元、兵庫県三田市。関西在住の人間にとっても、三田というというと和牛のステーキくらいのイメージしかございませんが、その他の地域の方にとっては更にチンプンカンプンでございましょう。実際、関西以外在住の観戦仲間からも「三田ってどこ?どうやって行くの?」という問い合わせが何件かありました。試合会場は、大阪からJRと私鉄をのりついで一時間半ほどの距離。決してアクセスのいい会場ではありませんが、7分の入りと言った感じで、なかなかの盛況でありました。丸元大成会長がジムを開業することで、三田に蒔いたプロボクシングの種が着実に育っているなという印象であります。

 現役時代はテクニシャンだった丸元会長の愛弟子である加納選手は、U15の競技会で経験をつんだ後、15歳で海外プロデビューした異色の経歴の持ち主。同い年のジムメイト服部海斗選手とともにテレビ局の密着がつくなど、デビュー直後から活躍が期待されていましたが、服部選手が若くして白血病により亡くなられるという不幸な事件があり、そのキャリアは短いながらも起伏に富んだ軌跡を描いています。

 一方の高山選手は言わずと知れた日本のミニマム級の第一人者。加納選手との年齢差は実に15歳。国内外における世界戦の経験は勿論、平仲明信以来の海外世界挑戦成功、4団体制覇など輝かしい実績を誇るボクサーです。

 私、実は三年前に、大成ジムにおいて、この二人のスパーリングを見学させて頂いたことがございます。その時高山選手は、加納陸選手、服部海斗選手、松岡新選手の三人と4ラウンドづつのスパーを行いましたが、内容的には高山選手とはかなり差があるなと言う印象でした。

 その時の記事
   ↓
高山勝成選手インタビュー&スパーリングレポート  インターバル40秒で12R!

 あのころはかなり実力差があった両者ですが、『男子三日会わざれば刮目して見よ』なんて申します。果たして加納選手は三年間でどれだけの成長しているのか?と期待して会場に駆けつけたのでありますが、今年の関西は観測史上最高とも言われる猛暑でございまして、三田に着いたころにはヘロヘロ。ああやっとたどり着いたと思って中に入るとエアコン入ってねーじゃん!。ただでさえ暑い上に、人いきれで室内はサウナのようで、椅子に座っているとじっとりと汗が浮かんでまいります。会場で、タイで試合した経験のある某格闘家の方に偶然お会いしたので「タイもこんな感じですか?」と聞いてみると「タイより暑いですよ」とのこと...。「ここまで暑いと試合の展開にも影響があるんじゃないですか?」という見解でした。

 しかしまあ、カマボコ屋根の体育館で団扇や扇子がひるがえる様子は、見ようによっては昭和のボクシング会場のようで、味わいがあるっちゃあある、という気がしてくるから不思議。菊華高校の学生さんも駆けつけて高山選手のノボリを持ってスタンバイしいよいよメインであります。

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 1Rは意外にもサウスポーの加納選手が、シャープな左ストレートを3発明確にヒットして攻勢をアピール。フットワークもよく、距離感もつかめている印象です。三年ぶりに生で見た加納選手は世界ランカーとして充分な実力を備えていることが伝わってきます。バッテイングを避けたい高山選手は慌てず様子を見ているのかも知れませんが「リーチ差もあるし、乗せると厄介かも」という懸念も。2Rになると高山選手がややプレッシャーを強めてボディ中心の攻めを見せ、加納選手をロープに詰めて見せ場を作りますが、加納選手もカウンターの左ストレートや右フックで対抗。ここまでの展開は互角かやや加納選手か?ただ高山選手がこのままプレッシャーかけ続ければ、会場の暑さもあって加納選手の足が止まるのでは?と思わせます。3R序盤に心配されていたバッテイングがあり、高山選手がレフェリーにアピールして瞼のカットが確認されます。試合間隔があいても、やはり切れ癖は治っていなかったか...。高山選手が3Rの後半大きな右フックを当てると加納選手は目に見えて失速、フットワークが鈍って来ます。
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4Rに入ると傷によるストップの可能性も織り込んで、高山選手がさらにプレッシャー強めてポイントをとるべく攻勢。加納選手は早くも足が止まった印象で、高山選手の連打を何度も食らう。高山選手は接近時のアッパーや、力強いフックが印象的。5Rに入ると高山選手はしつこい出入りと打ち分けで明白にペースをとって、一方的展開に。インターバルにコーナーに戻る加納選手は明らかに疲れており、呼吸も荒くスタミナが切れている印象。6R序盤も高山選手が加納選手にプレスをかけて下がらせる展開で、このままいけばKOも思わせたところでレフェリーが傷のチェックを要請し、あっさりとストップ。6Rまでの負傷判定となりました。会場で見る限り傷の深さは分かりませんでしたが、報道写真で傷を見て「これは深いな」とストップにも納得いたしました。

 判定結果は3-0(59-56 58-56 59-55)で高山選手。序盤の印象から、もう少し加納選手に振ってるジャッジもいるかな?と思いましたが結構一方的なスコアでありました。「新チャンピオン」というアナウンスで一瞬加納応援団が沸き立ちましたが、この試合は決定戦なのでどっちが勝っても新チャンピオン。ただ加納陣営は高山チャンピオンに挑むと言う姿勢であったのでありましょう。

 個人的には加納選手のスタミナ切れには会場の暑さがかなり影響していたのでは?と感じました。

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 高山選手若い時に比べて瞬時の反応などはやや落ちているのかも知れませんが、その分はフィジカルの強化とサイコロジーで埋めておりトータルとしての強さはそんなに変わっていないんじゃないのと感じました。

 ただ瞼だけは本当に毎回毎回切れるので、ここだけがなんとも悩ましいといいますか。脅威のスタミナやハードワーキングなスタイルなどを見ても肉体自体の衰えは感じられないので、返す返す勿体無い。ご本人としても消化不良で忸怩たるものがおありだと思います。

 年齢的にも終わりが見えてきた貴重なキャリアを、少しでも長く継続する為にも瞼のケアが最優先になるかと思うのですが、果たして打開策があるのか...?

 しかし陣営のしつこさと言いますか、世界戦のチャンスを求めて実現し続ける姿勢が凄いなと、そこはただただ感服いたします。日本のボクシングに欠けているものは、このスピード感と執念だと思うのです。配慮や遠慮は脇において貪欲にチャンスを求める高山陣営の姿勢が、関西のボクシング界に与えている影響は非常に大きいと感じた次第。

 個人的にはまた高山選手の試合が見れるということを喜びたいと思います。

 会場の暑さに負けた(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

間桐桜 says... ""
 加納選手、まだまだ若いですし、この試合を絶対に糧にできると思います。
スタミナの強化に努めて、再び世界戦のリングに立って欲しいですね。


 そして高山選手、おめでとうございます!
個人的には戦前、「衰えているのかな……」と思っていたのですが、全くの杞憂に終わりましたね。

 ただ旧徳さんもおっしゃったように、瞼のカットが本当に心配です……。

 内山高志や井上尚弥が、1年休んで、拳の回復を図ったように、
高山選手もそれ位休んで、傷の回復に努めてもいいんじゃないかと。
 その為にはWBOミニマム級、暫定王座を設けても良いと思います。
2016.08.28 14:51 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>間桐桜様

コメントありがとうございます。

今回は試合間隔が8ヶ月開いていたにも関わらず切れてしまいました。もはや切れるものとして、スタイルチェンジをしなければ、キャリア自体が終焉してしまうと言う段階だと思います。

加納選手は失礼ながら思ったよりもずっと良い選手でした。パワーアップしてパンチ力をつければさらに上にいける選手だと思います。
2016.08.28 15:31 | URL | #- [edit]
いやまじで says... ""
高山選手、WBO王者返り咲きおめでとうございます。

序盤、様子見ながらも中に入り、加納選手の伸びのある左を食いましたが、
全体としては高山ペースではなかったかと思います。
特に3Rカット後のプレスは見事。

加納選手は可能性は見せましたが、
高山選手の厚み奥行きのあるボクシングに対応できなかった印象です。

左リードからの踏込、いきなり右からの踏込、と先手先手で攻めたかと思えば、相手が出てくれば打ち終わりを狙う。クリンチをほとんどせず接近戦で連打、離れ際の連打、後退すれば追い足鋭く。

世界初挑戦の緊張、会場の高温もあったでしょうが、
高山選手の攻め手の多さが彼の体力と神経を一気に削ったと思います。
加納選手はスパー経験があるそうですが、実戦の高山選手の力を体感できたことを今後のキャリアの糧にしてほしいですね。

高山選手の瞼の問題ですが、
おそらく彼のボクシングには戦法的にカットのリスクを避ける要素が入っているのではないかと思います。特に序盤ですね。
かつて長谷川穂積選手が切れやすくなった目の周りを整形手術して切れにくくしたということがあったと思います。
何らかの有効が処置があればと思いますね。

なお、三田は「さんだ」と読むことを関東の人はあまり知らないのではないでしょうか。
かくいう私も10年ほど前まで「みた」と読んでました。
関東には「三田」と書いて「みた」と読む土地が複数あるんですよね。
2016.08.29 22:06 | URL | #Twj7/TDM [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
三田は緑が多くていいところですよ。

今回ゲームプランとしては4ラウンド以降の動きの練習を徹底してやってきたそうですが、1ラウンド加納選手のいい左もらってちょっとムキになってしまった、ということのようです。

医学的な処置でなんとかなるものなら、是非やって欲しいですが、なかなか切れ癖と言うのは対策が難しいのだと思います。勿論打たれないのが一番ですが...。

2016.08.30 11:32 | URL | #- [edit]
B・B says... ""
求道者の歩く道は、ただ見守るしかないですね。
勝てば道が広がる。
若い人に勇気を与えますね。
2016.08.30 15:22 | URL | #bH1htKmU [edit]
東日本の善良な市民 says... ""
高山選手は、これだけ長くやっていても、ボクシングをひたすら好きな気持ちが伝わってる。好きなボクシングに対してあまりに一途。そこがすごいと思うし、ファンとして好きなところです。
何かに納得いかないなら納得して前に進んでいける環境を自ら選ぶ、つくる逞しさがあると思います。そういう意味で、私に欠けたものを思い知らせてくれるボクサーです。

ベルト失った試合は実家のテレビで両親と見てたのですが、茶の間が凍りつきました。思い出すのも苦しいです。傷も彼の個性でも勲章でもあるけど、どうしたものでしょうね。中出トレーナーもどこかのスポーツ紙で困惑気味のコメントをされていたと思います。
2016.08.30 21:15 | URL | #7SPhLgiM [edit]
B.B says... ""
昨日は河野選手の応援に息子と大田区体育館へ。
中出トレーナーと高山選手にバッタリ遭遇。
高山選手「ベルトが戻って来て良かったです」との事。

統一戦や階級アップ示唆も報道されましたが、勝ったからこそ続く道、ですね。
応援しています。

と、河野選手は残念だった。
クアドラスがやったように序盤にリードを使って足を使って中盤からキレのある右で、というイメージでいましたが・・。
やはり歴戦の強者コンセプション。
対峙しないと解らない強さがあるのでしょうね。
田口選手は落ち着いた試合運びで、宮崎選手に完勝と言って良い内容。
2016.09.01 07:38 | URL | #bH1htKmU [edit]
幻 says... ""
試合見てて思ったのですが、河野選手はある程度疲れやダメージを受けないと肩や体の力が抜けないのかなと思いました。
前半から中盤は本当にガチガチでした。手が出なかったのもそこに原因があるのかなと。
2016.09.01 21:11 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
>ある程度疲れやダメージを受けないと肩や体の力が抜けない

河野選手はスロースターターでしたよね。
ただ、これは意識する事でチェンジは可能と思うんですね。
メインを務めた田口選手もその傾向はあって、しかし初回から積極的にゲームプランを示せた。
河野選手の初回がもったいなかったと思いました。
正直、攻略出来ない相手では無かったとも。
試合後「サバサバとした表情」との報道がありまして、満足されているならそれも幸せな事。
しかし、僕はまだ出来る選手と思いますし、ゆっくり休んでまたモチベーションが上がっらもう一度!という期待はあります。
2016.09.01 23:41 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
河野選手凄くタフでしたが、各ラウンド入り方が勿体なかった。

ヒットは多かったのに印象がイマイチでしたね。

田口選手は一段と成長を見せてくれました。技術やフィジカルもですが戦略もお見事でした。

一方宮崎選手は後半明らかにポイント差がついているのに思ったほど工夫が無く疑問に感じました。
2016.09.02 00:13 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
今、映像で見直したのですが気迫のこもった凄い打撃戦でしたね!
河野選手の頑張りで盛り上がりましたが、コンセプションのハートとパンチは強い。
この選手とフルラウンド渡り合ったんですから、やはり褒めてあげたい。
新王者にとっても、とても苦しい試合だったと思います。

田口選手は完成に近いですね。
距離感が抜群で驚きました。
能力の高い宮崎選手には苦戦すると思われましたが、ほとんど何もさせなかった。
宮崎選手はこの後厳しい状況になりましたね。
このクラスでも減量がきついのでしょうか?
思い切ってフライに上げても良いかと。
2016.09.02 01:39 | URL | #bH1htKmU [edit]
いやまじで says... ""
河野選手、残念でしたね。
コンセプシンは身体能力系の選手で粗も多いので十分勝てる、勝たなければいけない相手と思っていましたが、想像以上のパワーだったようです。
打たれ強いといってもデフェンスがザルなのでダメージ蓄積して、ある一線を超えるとパタンといくタイプかと思いましたが、最後までそうはいかなかった。(エルナン・タイソン・マルケス戦のイメージが強かった。)
その要因として、河野選手がコンセプシオンのパワー、プレスに押されて思い切ってパンチを打てなかった、あるいは当てられなかった。そんな印象を受けます。
ヒット数では引けを取らなかったのにポイントで差を付けられたのは、序盤3Rまでを明確にとられたこと(作戦の範疇内だったろうが)が大きいでしょうが、コンセプシオンに前に出られてパンチのパワー自体も殺がれたところがあると思います。
コンセプシオン、階級上げてからはクアドラス以外には負けがないのは階級にアジャストできていたということですね。
河野選手は「判定なら負けだと思った」とコメントしてしましたから、負けを認めたということでしょうが、ちょっとハッタリ負けしたような気もするので、リベンジしてほしいという思いはありますね。

田口選手は初めてのメインということで、難しいところもあるかと思いましたが、見事でした。
もともと能力的には高いものをここ数戦で見せていましたが、この日のテクニカルな戦いで、またちがった角度から強さを見せましたね。
体格的に恵まれて、懐深く、足も使え、パンチも多彩。何よりも眼がいい。今日はそれが印象的でした。これからより強いレベルでの戦いが待っていると思いますが、その試合を見るのが今から楽しみです。
宮崎選手はテレビ解説で井岡選手が「とにかく結果」とコメントしていたので、とにかくどういう形でもいいから勝つことに徹していたのだと思いますが…、どこかで一発当てて一気に、との狙いがあったとは思いますが、それにしても積極性がなかった。最終ラウンドの戦い方を少なくとも中盤に一度は挑んでほしかった。田口選手は全くスタミナロスもなくペースを握り続けていましたから。宮崎選手もスタミナ温存していたと思いますが、最終ラウンドの3分間だけで全てをひっくり返すのは、あの試合展開では無理。逆に言えば、そこまで宮崎選手を追い詰め、逆転を許さなかった強さが田口選手にはあったということ。
宮崎選手の戦い方には残念なところがありましたが、技術レベルの高い攻防の好試合だったと個人的には思いました。
2016.09.02 09:50 | URL | #Twj7/TDM [edit]

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