HARD BLOW !

「ウルボ 泣き虫ボクシング部」を見た



ウルボ〜泣き虫ボクシング部〜(A Crybaby Boxing Club) 日本公式ホームページ

 この映画はボクシングの強豪校として知られる、東京朝鮮高級学校のボクシング部を舞台にしたドキュメンタリー映画です。東京朝高と言えば日本プロボクシング史上最高のテクニシャンである徳山昌守を育んだ場所であります。徳山選手もOBとして出演しています。

 この映画が生まれた背景には、今日本で大きな社会問題となっている在日韓国朝鮮人に向けられたヘイトスピーチがあります。

 いわゆるネット上での差別言動をやってたバカが、実際に路上や実社会に出て、憂さ晴らしにしか見えない差別言動をデモと自称して大々的に始めたのは2010年前後でしょうか?

 今年の5月にヘイトスピーチ対策法が成立、ようやくああいう低脳の類の振る舞いを規制する法的根拠が出来ました。余りにも遅かったとはいえ、ようやく日本も先進国並みの倫理基準を目指そうかという道についたところであります。

 高校生達のインターハイを目指した闘いは勿論、朝鮮高校出身者同士の日本タイトルマッチなどプロボクシングの試合も取り上げられています。

 モハメド・アリの死に際して、スポーツと政治や社会との関わりが大きく取り上げられていましたが、日本にだって似たような問題はあるのです。マイノリテイが自己実現の手段としてスポーツを選ぶということは、どこの社会でもある現象です。

 本作に登場する東京朝校出身の日本ランカー尹文鉉選手(ドリームジム)は「どこにも属さない、属せない」という寄る辺ない自分の心情を率直に語ります。

 監督は韓国出身で滞日十年というイ・イルハ氏。実は在日ではない韓国人は朝鮮高校に入るのは違法らしく、最初は迷いもあったそうですが、韓国人の目から見た朝鮮学校の状況や在日の歴史など大変興味深いものでありました。

 単純に今まであまり紹介されてこなかった朝鮮高校の内部が見れると言う面だけとっても、貴重なドキュメントであると思います。

 ここ数年ボクシング映画は力作が続いておりますが、本作も良い映画であったと思います。

 劇場公開の予定がないということが大変残念な(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

B.B says... ""
旧徳さん、このフィルムファンドに参加されたのでしたね。
大阪に先駆けて東京の練馬文化会館でも上映されましたが、ご手配頂きましてボクシング関係者と観て来ました。
この施設はなかなか立派な建物で、大ホールで上映された会場は二階席まで人で埋め尽くされてました。
何と言うか、僕の知るアジアとは空気も熱も違うものでしたが、大スクリーンに映る選手の一挙手一投足には我が子、兄弟のように観客の笑いと涙が。
はじめは僕らも完全アウェイに飲み込まれた感じでしたが、次第に手を叩き笑い泣きと一体感が。
様々な垣根や壁を打ち破るものはやはり、「知る」という単純な作業から始まるという事を改めて感じました。
とても良い機会を与えて頂きました。
2016.06.28 16:55 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>旧徳さん、このフィルムファンドに参加されたのでしたね。

上映会費用のクラウドファウンデイングに一口協力しただけでございます。

ボクシングと言うスポーツは鋭く社会を反映するものであるはずなのに、日本のジャーナリズムじゃなかなかそういう語られ方はしないですね。

最近は衒学的なボクシング薀蓄ばっかりで、書き手の教養が頽落し視野狭窄になっていると感じます。

ボクシングに閉じこもるのでなく、ボクシングと色々なものを結びつけて考える必要があると思います。

まあ最高裁の判決すら無視してる現在の状況じゃあ無理かなあ~。
2016.06.28 20:58 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
習志野高校の先生の「まず実態を知ること」という話が印象的でしたね
2016.06.28 22:36 | URL | #- [edit]
B・B says... ""
鋭く社会を反映する・・

確かにねぇ。
最近、自分も解ったかのように選手に余分なもの背負わせちゃイカンなんて言うようになってしまったけど、僕がボクシングに嵌まっていったのはボクサーが背負っている物に気づいたからなんですよね。
大場政夫さんのハングリーさだとかに自分を投影させたし、子供心にも沖縄の少年というキーワードが具志堅さんにあったし、バズソー山辺さんには異端の格好良さと磯上修一さんには日本人の持つ悲愴感だとか。
アリの徴兵拒否は衝撃的で、世の中に反発してもいいんだという、自分の中の原形を作ったと言っても過言ではなかった。
全ては自分の思い込みなんだろうけど、勝ち負けや強い弱いという単純な価値観だけでない物に心が動かされた。
強く美しい物を見て素晴らしいとは思うけど、それ以上にはならなかった事が多いですね。
非の打ち所のないサクセスストーリーよりも、泥々とした人間臭さの方に魅せられてしまう。
日本のボクシングって本来そういうものだったと振り返って思います。
時代は急激に変化しても、その国の文化や精神性って百年くらいじゃそう変わらないのかも知れないとも。
2016.07.01 02:07 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
スポーツの語られ方も変わってきました。

ボクシングに限らず今の選手は明るいし家庭的ですね。
2016.07.01 20:21 | URL | #- [edit]

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