HARD BLOW !

斉藤司インタビュー3 ~再起

sai1146.jpg


「司の復帰戦が決まりましたよ!」という三谷会長からの知らせを聞いた時、それはもう嬉しいに違いないのだが、対戦相手を聞いて驚いた。

日本ライト級9位(当時)、丸山伸雄選手(八王子中屋)

19戦13勝(4KO)5敗1分という数字自体は凡庸にも見えるが、2010年3月に宮田ジムの熊野選手をTKOで降しランクを獲得してからの戦績は注目に値する。
ランカーとしての初戦がいきなり最強後楽園で、同トーナメントの常連となっている中森選手(平仲)と対戦し、これは1-2で惜敗。その後2試合をいずれも2ラウンドKOで勝利すると、次戦で現ライト級チャンピオンの加藤善孝選手(角海老)に1,2,3ポイント差の僅差で敗れている。
つまりここ最近は、勝つ時はすべてKOで勝ち、負けた試合も、チャンピオン級の選手と互角に近い試合をしているということ。
全4KOのうち3KOをこの5戦で挙げており、年齢も28歳。今が最もノッている時期と思われ、これはさすがに1年のブランク明けに選ぶ相手じゃないだろう、と。

M「みんなに勝てるわけないと言われましたが、僕としては勝つ自信があって組んだ試合です。それは過信ではなく、パターン的にハマるだろうという計算がありました」

━しかし、1年のブランク、敗戦明け、初のランカー相手。相当なプレッシャーだと思うが

S「確かに、負けた後の復帰戦ってこんなに緊張するものか…と思いましたが、前回負けたことやジムのゴタゴタとか、自分はそういう逆境を力にすることが出来るんです。新人王の時も父が亡くなりましたが、そういうものを全部背負い込んで力に変えるんです」

この「力にすることが出来るんです」には、オジサン、正直シビれてしまった。
ハッタリかまして気負うでもなく、妙に大人びて控え目でもなく、当たり前のことを当たり前に説明するような、自然な口調で「力にする」と言いきってしまえる。これが三谷会長の言う「ハートの強さ」であろう。

S「試合では、練習したことが出せたというのもありますが、会長がリングで丸山選手を見た瞬間に、4ラウンド以内で終わらせるから、そのつもりで行け!と言ったのには驚きましたね。実際終わったんですが(笑)」

S「テンプルが有効だというのもその時の指示でした」

アゴが弱い、ボディが効きそう、というようなことは、世界戦前のファンの予想等でも出てくることがあるが「テンプルが効く」というのは素人には出ない発想だろう。

M「今まで、アマプロ通じてもの凄い数の選手を見ていて、それがデータとして蓄積されてますから。歩いてるところを見てその日の体調がわかることもありますよ」

この試合前に、激励を兼ねて久々に斉藤選手の顔を見に行った時のことを思い出す。
負けた試合の出来の悪さや、この復帰戦の対戦相手のことを考えると、どうしてもネガティブな方向に考えが行きがちになるが、彼が出て来た瞬間、そんな鬱な気分が吹っ飛んだ。

「ご心配おかけしました。これからまたよろしくお願いします!」

深々と頭を下げ放った、たったこれだけの言葉であったが、憑き物が落ちたとでもいうような、非常に生き生きとした表情が印象に残り、帰りの車中でも嬉しくてニヤニヤしたことを覚えている。
それでもなお「たとえ負けても収穫があれば…」なんて予想をするとは、まったくもって不届きなファンだと反省する次第(笑)。

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://boxing2012.blog.fc2.com/tb.php/49-f49535e3