HARD BLOW !

荒川仁人が円熟の技巧で日本王者帰り咲き!日本ライト級タイトルマッチat島津アリーナ

 私にとっては今年初の生観戦となりました、徳永幸大VS荒川仁人の日本ライト級タイトルマッチの観戦レポートでございます。

 会場は、昨年末大森将平選手がマーロン・タパレス相手に壮絶に散ったあの島津アリーナ再び、であります。でやっぱりこの会場、私のように大阪から行く人間は勿論、京都の方にとっても微妙な位置。ぶっちゃけ不便なんですよね。6時半頃会場に入ると、試合はすでにセミセミの8回戦。ですがその時点で集客がなんとも寂しいといいますか、なんか広いからガランとして感じるんですよね…。
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 徳永×荒川と言えば今年のチャンピオンカーニバルでも屈指の好カードでありまして、大阪で開催なら見たいな~と言うファンもいたと思います。というかこの試合の翌日は関西でなんと4興行が平行開催。昨年末もそうでしたが、こうなんちゅうかもうちょっと見る人に配慮した日程は組めないもんなんでしょうかね?少ない市場を食い合ってるような気がしてなりません。まあこれでもなりたってるというのが、ある面ボクシング興行の根強さの証明でもあるのでしょうが…。

 セミファイナルは大森将平の再起戦。前戦を戦う前までは、ベテラン王者の益田健太郎を一蹴して日本タイトルを獲得し、WBOランキングを1位まで上げて、もはや世界戦も目の前と言われていた大森。ところが昨年末、本人も陣営もイケイケ状態で迎えたフィリピンの強豪マーロン・タパレスとの一戦を、一方的な展開で4度転がされて序盤KO負けと言うまさかの完敗で落としてしまい…。対戦前の大森の勢いが凄かった分だけに、ぶつかって吹き飛ばされたショックも大きかったと言えるでしょう。ボクシングにおける一敗の重さ・怖さを凝縮したような敗戦でありました。

 あのショッキングな敗戦からの再起戦ということでおっそろしく慎重に入った大森は、丁寧にといいますか用心の上にも用心を重ねて戦って、4Rにインドネシア人をレバーブロー一発で戦意喪失に追い込んで無事KO勝ち。とはいえ試合振りは硬いといいますか、ぎこちないと言って良いレヴェルで、やっぱりあの負け方はいろんな意味で尾を引いてるんだろうなあ~と感じました。

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そこから照明が落ちることもなく、メリハリも特に無い状態でメインの選手入場へ。なんかこうもうちょっと演出らしきものがあってもいいんじゃないでしょうか?俺細かいですか?なんか全体にさびしい感じがしたんですよね…。

荒川選手は淡々と入場。一方の徳永選手はミドレンジャー状態。
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 私荒川選手の試合を観戦するのは二度目でして、斉藤司選手が加藤善孝選手と日本タイトルマッチを戦った時のメインの荒川選手×近藤明広選手の試合を生観戦しております。試合前は「タイトルマッチがセミってどうなの?」と思っていたのですが、いざ試合を見たら荒川選手の大人のボクシングにすっかり魅了されたのでありました。今思い出しても渋い、いい試合でしたね。試合が終わった瞬間、破顔一笑近藤選手に抱きついた荒川選手の姿に、彼の人間性が現れていたように思います。近藤選手も淡々としてて渋かったな~。

 一方の徳永選手は長身と長い手を生かしたスタイリッシュなパンチャーで、メキメキと上昇中。打たれもろいタイプながらも、安定感が増してきています。

 荒川選手はここ数年は負けが込んでおり、年齢も含めて徳永選手有利の声も多かったのですが、いざ蓋を開けてみると荒川選手の巧さのみが際立つ展開となりました。

 序盤一ラウンドは両者カウンターが得意と言うことで比較的静かな立ち上がりながら、ラウンド後半、一瞬の隙を突いて荒川の飛び込むようないきなりの左が顔面にヒットして、徳永がダウン。1Rから弱点の打たれ弱さが露呈してしまいます。一方荒川は思い切りのよさが目立つ。これで徳永はゲームプランが狂ったか?ダウンのダメージは特に感じさせず、ジャブも右もヒットしていながら、荒川の巧みな距離のコントロールにはめられて思うように連打が打てない。荒川は常に能動的に展開を作る積極性を見せ、ラウンド毎に距離やパンチの種類を変えて徳永を揺さぶって徳永のきれいなボクシングを潰し、強打を食ってもポーカーフェースを通して反撃することでペースを渡さない。

迎えた5R、荒川は今度はワンツーできれいに徳永の顔面を捉えて、徳永は吹っ飛ぶようにダウン。これはダメージがありました。

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 中間採点は当然3-0。徳永は展開を変えるビッグパンチが必要ですが、荒川はポイント差も織り込んでるかのようなニクい戦いぶりでペースを掌握。
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徳永はアッパーやボディ(全体にちょっと低かったように思います)を再三ヒットして荒川を苦しめますが、荒川は終盤そのアッパーに合わせた左カウンターを放つなど一枚上手。
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要所要所で徳永のビッグパンチは当たるのですが、荒川は手も足も止まらず、攻撃的に戦いぬいてそのまま試合終了。後半3ラウンドは白熱の打撃戦で、なおかつ技術的にも見所が多く素晴らしい展開でありました。

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 採点は3-0荒川ながら、ジャッジ二者が2ポイント差ちゅうのは、う~んという感じでありました。宮崎ジャッジの4ポイント差が一番しっくり来ましたね。自分の採点も96-92で荒川でした。

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 ベテランらしい巧さの中にも、チャレンジャーらしく気風のいい攻撃精神を見せてくれた荒川の試合振りは見事でありました。一方の徳永は、1Rのダウンがいかにも勿体無いという印象で、自分の距離でジャブや右も普通に当たっていたのに必要以上に接近戦に応じたりと、やや燃費の悪い戦いぶりだったなと感じました。もっともそれも荒川選手の巧さが引き寄せた展開であります。

 35歳の新チャンピオンですがまだまだ出来るんじゃないでしょうかね?徳永選手との再戦もまた見たいですね。

 というわけでメインは素晴らしい試合でございました。

 島津アリーナの近くに住んでたことのある(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

says... ""
5Rの荒川のワンと同時に徳永の左を外しざま、ツーを叩きこんで吹っ飛ばしている連続画像、荒川のムダのない安定感のある綺麗なフォームが見事に収められていますね。

中谷が対戦を望んでいるらしいですが、荒川にしてもメリットの大きい試合なので実現するのではと期待しています。
中谷がスピーディーな左と打ち終わりのカウンターで寄せ付けないのか、荒川がベテランの巧さで対処してポジションどりに成功するのか、どちらの視点で観ても攻防の瞬間瞬間を楽しめそうです。
2016.04.18 22:22 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
コメントありがとうございます。

連続写真はスマホの力ですね(笑)。機械がうまいこと撮ってくれました。

中谷×荒川実現すればいい試合になるでしょうね。復帰した佐々木基樹選手も絡んでくるし、中谷をKO寸前に追い詰めた原田門戸もいます。

世界戦はなかなか難しい階級ですが、国内の試合でも十分熱く面白いですね。
2016.04.18 23:08 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
本当に最上級の左ですね!
二手でなく、三手先を読むような攻撃です。
先の仕掛けはフェイントですね!
左の牽制を出させておいて、そしてそれを外しながら前足を外側にしてのポジショニングから、左を正面からズドン!!
凄い技術だと思います。
移籍させて貰って最低限の恩返しが出来たと言うコメントにも大人を感じさせてくれて、旧徳さん仰るように心身共に円熟のボクサーですね。
僕は結果がどうであれ、そしてタイトル以前に、自らのボクシングを完成させた選手に最大限の敬意を持ちます。
プロとは、そうした者の事だと思ってます。
2016.04.19 21:06 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
徳永選手引退も示唆してるようですが、言葉悪いですがけっこう誤魔化されてた部分もあったと思うので、個人的には再起して頂きたいと思います。彼は強いですよ。
2016.04.19 22:17 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
徳永選手も体格に恵まれてるし右は相当に強いと思います。
ですが荒川選手との決定的な違いは体の柔軟さとスピード。
どんなスポーツにも言える事ですけど、体の固い人は大成しないという根本的な問題。
これを解決するのは例えば脚力を鍛えるとかあると思うんですが、それさえも資質と努力次第。
だからボクサーは走るんですね。
器用で小手先に走る選手は沢山いるけどボクシング=命のやり取りに気付いてる人はそれほど多くない。

2016.04.21 06:28 | URL | #bH1htKmU [edit]
B.B says... ""
命のやり取りは僕ら素人感覚には大袈裟にしても、格闘技は本来そう言うものなんです。
だからこそ職業戦士の環境を守らねばならないんですね。
榎さんが言ってたよね。
「命のやり取りがスポーツになったんだ」って。
ボクシングを娯楽にしてる人はたくさんいるけどこの言葉の意味は深いです。
すんません、朝から酔っぱらっていて感傷的になりました。
2016.04.21 06:35 | URL | #bH1htKmU [edit]
谷川しゅんき says... ""
僕も現場で見ました。京都3区の選挙の渦中でしたが、某政党の先生と一緒に。

ボクシングファンになってから40年以上になりますが、一貫してスタイリッシュなボクサーが僕は好みです。簡単にいうとジャブからストレートがきちんと打てるか。これだけです。徳永君は、僕の好みにジャストフィットの選手で。だから、悔しかった。

昨年暮れの、大山崎での堀川君の試合、その前の大森君の試合、この徳永君の試合。いい試合だったり、衝撃的だったりした試合のほぼ全部で、僕が心の中で、頑張ってくれ、と思っていた選手は敗れてます。いつだったか、佐瀬稔さんの書いた文章で「私は日本人選手が負ける場面を見過ぎた」という趣旨のことを書かれていた文章を読んだ記憶がありますが、まあ、それに近いですね。

負けを見過ぎている。
そう思います。
2016.04.21 12:55 | URL | #/OUezYRM [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
京都のボクシング界、活況だったのがほんの一年でがらりと状況が変わりましたね。

京都が盛り上がれば関西の層がさらに厚くなるので、京阪神一丸でひとつのシーンとして盛り上がって欲しいです。
2016.04.21 23:48 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
谷川さん、お久しぶりです。
深い所では谷川さんにはとても適わないけど、僕も基本の綺麗な選手が好きです。
サウスポーの具志堅さんや亀田昭雄さんなど、軽やかなフットワークからワンツー、そしてスパッと切り返して顎を打ち抜くパンチにもう痺れちゃって(笑
半面では悲壮感漂うかつての玉砕型ファイターにも感情移入して。
バズソー山辺さんとかライオン古山さんとか、あと磯上秀一さんとか。
みな世界には到達しなかったけど、自分のボクシングを貫いた人たちとして尊敬の念を忘れません。
磯上さんがルハンに挑戦した時はあの日の丸鉢巻見ただけで泣けてしまって。
共同通信の津江章二さんがボクマガの記事で、このマッチメークを厳しく批判してまして当時は凄い記事だなと驚きましたが、その記事のおかげで少しファンとして見る目も成長出来たかなぁと今でも思ってます。
2016.04.22 07:13 | URL | #bH1htKmU [edit]

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