HARD BLOW !

今年も休憩は長かった…大晦日 井岡、高山ダブル世界戦観戦記

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やっぱり今回も休憩は長かった!ただし試合は面白かった!というわけで大晦日の生観戦記であります。

前回は世界戦二試合と井岡のノンタイトル戦がテレビ中継のタイムスケジュールにあわせてとびとびで挙行された為か進行が見事にグダグダになり、不可解な休憩の連発に会場の空気もダレまくりなうえ、途中退場禁止なのに食べ物も飲みものも売り切れてまさに監禁状態といったストレスフルな観戦体験となりました。まあメインのリゴンドー×天笠が良かったのが救いですが。

今年は大雑把なタイムスケジュールは事前に入手していたので、昨年ほど酷くないことはわかっちゃおりましたが、食料と飲み物は確保した上で(持ち込み禁止らしいですが確実に売り切れるので。禁止するならちゃんと量を確保した上で禁止してほしいものです)一応の覚悟はして会場に突入したのでありました。

入場した時は丁度橋詰将義×タイ人の試合中。今回のアンダーは日本・東洋タイトルマッチ以外全て井岡ジム×無名タイ人という潔い構成。橋詰の相手のタイ人は早々に『お仕事』を終えてリングを降りましたが、その次の宮崎亮選手と試合したタイ人はなかなかやる気があり、レスリングで宮崎を転ばして挑発したりとふてぶてしいところも見せてお仕事では終わらぬ健闘ぶりでありました。とはいえ最後は宮崎のビッグパンチを浴びてKO負け。ここで早くも一つ目の予備カードが投入されますがこれも序盤KO。この時点で、午後五時過ぎですが早くも一回目の休憩であります。

休憩明けは山本隆寛選手×ストロング小林祐樹選手の東洋バンタム級タイトルマッチ。8月に川口裕選手とのダイレクトリマッチを制して戴冠した山本選手の初防衛戦ですが、これも小林選手の固さが取れない序盤で山本選手がのびのびと強打を打ち込んで圧倒し、4度のダウンを奪って2回TKO勝ち。

井岡ジムが公開している山本×小林の試合動画
タイトルマッチも序盤KOとなって、ここで二試合目の予備カード投入。ですがこれも1RKOでここで二度目の休憩。

休憩明けは石田匠選手×大塚隆太選手の日本スーパーフライ級タイトルマッチ。無敗のテクニシャン石田は、ここ二試合はちょっと精彩を欠くといいますかもどかしい試合が続いていましたが、この日は目の覚めるようなデキでありました。生命線のジャブは切れているし、スピード差も明らか。1R二分過ぎにリングの中央で右ストレートを当てると早くも大塚の腰が落ち、ロープ際に追い込んで右を追加すると大塚はダウン。2Rも序盤にジャブでコーナーに詰めると大きな右ストレートを当てて二度目のダウンを奪取。石田はジャブで試合を支配し展開は一方的になります。4Rに入って石田選手が一方的にパンチを浴びせ大塚選手の手が出なくなるとレフェリーが試合をストップ。同時にセコンドからもタオルが投入されて石田選手のTKO勝ちとなりました。

この日は石田選手の良いところだけが出た完勝でありました。私個人的にテクニカルなジャバーが大好きでして、石田選手のボクシングは超好み。サーシャのようだと言ったら褒め過ぎでしょうかね?スーパーフライは激戦区ですがこのまま強くなって頂きたいと思います。

それにしても、アンダーカードの動画をこうしてジムサイドがアップしてくださるの素晴らしいファンサーヴィスだと思います。

これで予備カードも含めてアンダーカードが全て序盤KOで終わって、時刻は6時20分くらい。世界戦の開始は8時前で一時間半の空き時間がございます。ここから井岡ジム興行恒例のなが~い休憩のスタート。観戦仲間とダラダラ雑談すること90分。心の準備もあって昨年より苦痛は少なめでしたが、なんかこうほんとどうなかならんすかこれ?大晦日に無為な90分は心理的にも時間をドブに捨てた感大であります。エントランスに外車をずらっと並べるような意味不明なサーヴィスはいいんで、入退場できるようにしてくれないですかね?マジで。

まあなんだかんだ久々再会した観戦仲間とウダウダと話しているうちに、会場の明かりが落ちてセミの高山勝成選手×ホセ・アルグメド戦となりました。ちなみにこの日はアンダーの東洋タイトルマッチも日本タイトルマッチも『君が代』は無し。世界戦で初めて国歌が流れました。

今回の試合前は恒例になっている練習の見学も当方の都合で出来ず、ノースパー調整であると言う情報をマスコミ経由で知りました。切れやすくなっている瞼を調整過程で切るリスクを排除することが一番の目的なのでしょうが、ヴェテランの域に入った高山選手の選手生命を考えても、不要なリスクを排除することは、私には合理的な選択と思えましまた。前戦の原隆二戦では調整過程でウエイトが思ったように落ちなかったということを考えても、調整方針は毎回ある程度手探りの試行錯誤にならざるを得ないのであろうと思えます。

対戦相手のアルグメドは昨年末指名試合の対戦相手として名前が出ていましたが(当時最上位の3位)契約トラブルで交渉ができなかった選手であります。その後試合枯れでランキングは落ちましたが、実績はある選手です。事前情報は乏しかったですが、ラフなファイターでかなり荒っぽい選手だということ。

とはいえメキシカンとの対戦経験も豊富な高山選手が捌ききるだろうと楽観していたのですが…。

1R序盤は高山選手のフットワークも良く、軽快な出入りでテンポ良くパンチを当てて順調に見えました。ただアルグメドはパンチの伸びや、反応の良さといったいわゆる天性の部分に強さを感じさせる好選手で、攻撃姿勢も良く、手数を出して応戦します。2R心配されていたバッテイングで高山選手の瞼が切れると、高山選手の戦略が狂ったのか、打ち合う場面が増え、アグレシッブなアルグメドがペース握り高山選手の顔面に再三好打を打ち込みます。高山選手もボディ打ちで応戦しますが、アルグメドは高山選手のプレスと手数攻めにひるまず変則的なフォームで荒々しく攻め続けポイントをピックアップ。フィジカルが自慢の高山選手に見劣りしないくらいスタミナも旺盛で、なかなかペースが落ちません。高山選手は距離が中途半端で戦略が定まっていない印象ですが、それ以上にアルグメドの気迫と攻撃力が良く目立ちます。また個人的には印象的だったのは避け勘で、高山選手の連打をまともに喰らわない巧さがあり、ただの攻撃型の選手ではないなという印象でした。

私がいた二階席からは出血具合は良く分からなかったのですが、9Rのドクターチェックを受けてレフェリーが試合を止めて負傷判定2-1でアルグメド。レフェリーが日本人だったので「高山選手の勝ちになればもめるかな?」と思いましたが、その心配はなくなりました。アルグメドは人口百人ほどの村の出身ということで、そういうところも含めてラバナレスに似てるなと思いました。スタミナや手数で高山選手に拮抗して打ち勝ったというところは驚きでした。また気迫やフィジカルの強さも見事であったと思います。

高山選手は後半型なので惜しいところで試合が止まって残念でしたが、とにかくこう毎回瞼が切れていては不確定的な要素が強すぎるよなと感じました。厳しい試合をしてきた結果であり仕方が無いのですが、まだまだ体は動くのに瞼が仇になってベストなパフォーマンスがなかなか出来ないと言うのは悩ましい、勿体無いなと思います。

とはいえ海外行脚から国内復帰までずっと走り続けて来た高山選手とチームの皆さんにはまずはゆっくりと休んでいただいて、今後の方針はジックリと考えていただきたいと思います。大変お疲れ様でした。アルグメド選手はおめでとうございます。

ここからまたもお馴染み休憩タイム。今度は30分ほどなので、感覚が麻痺してる身には短く感じます。

メインは井岡×レベコの再戦ですが、自分としては再戦が見たかったので願っても無いカードでありました。

亀田引退後のバッシング対象をさがしたい、というさもしい動機を持った偏狭・低脳ボクシングマニアに、何やってもケチつけられる井岡一翔ですが、日本の歴代ボクサーの中でも有数のテクニシャンであることはまともな見識があるスポーツファンには明らか。分かりやすいKOでないと面白さが分からない感性が鈍磨したファンにはその真価は分からんのやも知れませんが、私は彼の惚れ惚れするようなテクニックが大好きであります。あの技術は生半可な努力で身に付くものでないことは明らかでありましょう。しょうもない揚げ足取りは無視して、今後とも我が道を行ってほしいものであります。

前回の対戦ではレベコのプレッシャーにひるむような場面も多々見られ、また勝ちに徹した結果か、ややパンチに力が感じられなかった井岡。一方のレベコは勇気のある踏み込みや、パワフルで切れのあるパンチで井岡のテクニックに対抗し拮抗した試合を演出しました。今回はその決着戦であります。井岡がレベコに引導を渡すか?レベコが井岡を粉砕するか?

試合の趨勢は1Rで明らかになりました。井岡のシャープなジャブが三度、四度とレベコの頭を跳ね上げ成長を印象付けます。一度対戦したことで上積みがあったことは明らか。またジャブが当たることで、得意のボディ打ちも生きてきます。3Rにはボディでレベコの体を曲げて、ダメージを印象付けます。この日の井岡はとにかくパンチが的確で手を出せば当たるという感じ。前回はレベコのプレッシャーに押されて体重が乗っていないと感じられたパンチも、今回はしっかりと打ち抜かれていると言う印象です。レベコもアグレッシブさを印象付けるものの有効打の差は歴然。井岡はいつもの『打たせず打つ』スタイルながら、明らかにパワーアップしており「本当のフライ級になったな」という印象。多彩なパンチでレベコの出口を塞ぐかのように追い詰めていく姿は詰め将棋のようであります。迎えた11R、かなりダメージが蓄積したと思しきレベコにまたもボディアッパーが突き刺さり(しっかり左フックも返しておりました)、ついにレベコがダウン。積み重なるダメージをプライドだけでこらえていたかのようなレベコの気持ちが切れたのが伝わる、印象的なダウンでありました。レベコが倒れたままレフェリーが試合を止めてTKO。井岡の完勝でありました。レベコ優勢につけていたジャッジがいたことが信じられません。

井岡はジリジリと確実に成長している印象で、本当に努力型の選手なんだなと再認識しました。

一方のレベコは前回の試合後は控え室に篭城したり、今回は試合前にグローブにクレームしたり、という感じだったので「ローブローだ」とかなんとか負け惜しみでも言うかと思いきや、潔く負けを認めて井岡を称え一流選手らしい振る舞いを見せてくれました。試合後ずっとコーナーにへたり込んでいる姿が気の毒だったなあ。KO負けは初めてでかなりショックだったようです。

というわけで休憩は長かったですが試合は面白く満足した観戦となりました。今年も出来る範囲で会場に通おうかと思っております。

記事にしてないけど結構試合も見に行ってる(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

いやまじで says... ""
高山選手の試合ではどうしても高山選手本位で見てしまうため相手選手を見ないでしまいましたが、粗削りながら技術・体力面で良い選手だったようですね。高山選手はこれまでもノースパー調整のケースはあったようですが、瞼の怪我がかなり酷いようなので本当にしっかり治してほしいですね。

>それにしても、アンダーカードの動画をこうしてジムサイドがアップしてくださるの素晴らしいファンサーヴィスだと思います。

ありがたいですよね。リングサイドよりさらに近い、テレビとはまた違った角度からの映像も新鮮で迫力がありとてもいい。

>まさに監禁状態といったストレスフルな観戦体験
>感覚が麻痺してる身には短く感じます

苦笑)。それにしても興行サイドには大晦日の夜をボクシング会場で過ごそうというファンの気持ちをもう少し考えてもらいたいですね。休憩が長くなるのは仕方がないとして売店の飲食物を充実させるか、再入場可能にするとか(Jリーグの会場などでは実施されているところもあったと思いますが)検討してほしいところです。経費的にはそれほどかからないと思うんですけどね。

井岡選手の試合は私の見た中では彼のベストファイト。それと髪型のせいか大人になったような気がします(笑。

世界戦2試合に日本、OPBF1試合ずつと、豪華興行で内容的にも良かったようですね。高山選手の復活とフライ級にフィットしてきた井岡選手の今年の活躍が楽しみです。
2016.01.07 18:33 | URL | #Twj7/TDM [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
アルグメド、ただ豪快なだけでなくパンチを当てるのも避けるのもうまい侮れない選手であったと思います。

監禁プレイについては、まあ別に他のお客さんが納得してるならいいんですけどね。でもああいう長尺のバラエティ番組に真剣勝負を入れ込むような作りはボクシングにとってもよくないし、現場の観客にも良くないし、と思います。というかもう大晦日にボクシングちゅうのもやめて欲しいです。大晦日出た選手の試合サイクルも限定されますし。

しかし井岡ジムの選手は勝負強い。勝利への執念が強いといいますか。
2016.01.07 18:53 | URL | #- [edit]
says... ""
高山選手、個人的には復活して欲しいです。
アルグメドはラバナレスを彷彿させますね。
僕はこの試合に関してはどうしても具志堅さんが負けた試合と被ってしまうんです。
試合の前から何故か嫌な予感がしてました。
だから再戦しても、と思ってしまいます。
この哀しみは名選手だからこそと思えてなりません。
いやだからこそ!とも思うんです。
とにかく今はゆっくりと休んで頂きたい
。井岡選手の髪型は昭和浪漫を感じさせますね。
2016.01.07 22:34 | URL | #- [edit]
ハマ says... ""
井岡は殻を破り本来の実力を発揮しだしたし井上はブランクを物ともせず軽量級とは思えないパンチ力にスピード、テクニックどれをみても怪物。いまロマゴンを倒せる可能性があるのは井上だけでしょう。
今年の日本ボクシング界は楽しみですね
2016.01.11 22:09 | URL | #- [edit]
やわらか says... ""
井岡はいいボクシングでしたね。痺れました。ボクマスさんの投稿にレベコ途中のroundで嘔吐してるのが掲載されててやっぱりボディ効いてたんだなと改めて思いました。 しかしスマホでコメントするとスポンサーリンクがやたら被せてくるんでコメントしづらいです。同盟で、感銘を…(笑)
2016.01.12 13:15 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
レベコゲロ吐いてましたね。いやほんとプライドが高い人ですね。完敗を認めたところにプロ意識を感じました。
2016.01.12 20:46 | URL | #- [edit]
says... ""
鍛えられて厚みのあるボディでもダメージは貫通するんですよねぇ。
レベコは減量もきつそうで、その影響も多少あるかとは思いますが、呼吸を読むとでもいいましょうかタイミングがとにかく素晴らしい。
手も出さずサークリングを1分以上に解説の内藤さんも「何考えてるのかな?う~ん」となった11ラウンド。
それ以上に、苦しいはずのレベコもこの回は倒しにこないな・・と思ったのでは?
そして充分に引き付けてズドンと。
日本人選手であのような流れはこれまで見たことがありません。
井岡選手初タイトルの時のレバー打ちも天才的と思いました。
2016.01.12 22:01 | URL | #- [edit]

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