HARD BLOW !

2015年に見たボクシング関連映像 CHAMPS 20160103

最初に言っておきますと、本日午前8時25分よりWOWOWで再々放送される番組ですので、録画セットされる方はお早目にどうぞです。(オンデマンドで見られるかどうかは未確認→2017年7月4日まで配信中〔当日追記〕。〔オリジナル版は動画サイトにあるかもしれません。(1月4日追記)〕)

邦題「マイク・タイソン チャンピオンたちの生き様」
ボクシングの伝説と真実(WOWOW 2015年7月、10月放映、2016年1月3日08:25放映予定)

(原題:CHAMPS, WRITTEN AND DIRECTED BY BERT MARCUS, BERT MARCUS PRODUCTION 〔オリジナル版は動画サイトにあるかもしれません。(1月4日追記)〕)

※プロデューサーに5名がクレジットされているがその中にマイク・タイソンの名もある。


 タイトルを見て、過去の世界チャンピオンの栄光と挫折をセンチメンタルにつづった番組なのであろうと高をくくっていたが、そうではなかった。
 ボクシングの社会との関わり、社会における位置づけ、役割といったものをよく分析し、問題点を洗い出し、それへの対応策を提示しようとしている番組であった。
 とりわけこれからのボクシングを選手の生活、すなわち健康や人生設計やそのための人間教育といった面から再考しようとする声や活動を拾っている点が、まだ業界内部からのものは少ないにしても強く印象に残った。
 野球ではマイナーリーグですら最低年俸が保障され、NFLは脳障害に悩む元選手に毎年数億ドルのお金を支払っている。
 ボクシングでは利益が選手に十分還元されていないのではないか、健康面でのサポートがあまりに薄いのではないか。

 番組中のコメントを少し拾ってみよう。

タイソン
「どんな裕福な連中も
貧困の存在を忘れないでほしい
貧しさは人に
一生消えない傷を与える」

ジョージ・ウィルス(スポーツ・ライター/コラムニスト)
「食い物にされる業界だ
私生活で自分自身や
お金を守る方法を―
ほとんどのボクサーが教わらない」

ホリフィールド
「金を奪われたことでなく
無知に付け込まれたことが悔しい」

ルー・ディベラ(ディベラ・エンターテイメント代表/プロモーター)
「安全や健康に関して
国としての統一基準がない
不条理だ」

フランシスコ・アギラー(ネバダ州アスレチック委員会 委員長)
「国家レベルの規制が統一が必要です」
「他のスポーツでは
専門家が時間をかけて
丁寧に選手をサポートします」

ホプキンス
「ボクサーは会計士を雇い―
弁護士を雇うべきだ」


 邦題はタイソンオンリーの印象を与えるが原題CHAMPS の通り、3人のスラム育ちのチャンピオン達の足跡を追う形で番組は進む。タイソンとホリフィールドは数億ドルの稼ぎから一文無しになった点が共通し、そして3人いずれも立場は異なるが自らの経験を生かして活動している。




 ダグラス戦以降タイソンを見ていなかった私としては彼の変貌ぶりに驚きと安堵を覚えざるを得ない。
 WOWOWで1月3日(本日)朝8:25より再々放送される(オンデマンドでPCやモバイルでの視聴については未確認→確認したところメンバーズオンデマンドで2017年7月4日まで配信中 〔当日追記〕)。ボクシングの未来を考える上で貴重なプログラムと思う。是非ご覧になることをお薦めする。

BY いやまじで

※ 登場するその他コメンテーターを挙げておく。

・アル・バースタイン(スポーツキャスター)
・50セント/カーティス・ジャクソン(ミュージシャン/ボクシングプロモーター)
・ジョン・パフ(フォーダム大学ロールスクール法学教授)
・スパイク・リー(映画監督)
・ダルトン・コンリー(ニューヨーク大学社会学教授)
・デビッド・J・レナード(ワシントン州立大学 批判的人種学)
・ナジーム・リチャードソン(ホプキンスのトレーナー)
・ラリー・スローマン(タイソンの伝記の著者)
・マーク・ウォルバーグ(映画俳優)
・ミッキー・ウォード(元WBUウェルター級王者)
・メアリー・J・ブライジ(R&Bシンガー)

Comment

says... ""
見逃しましたが、記事読んで考えさせられました。

「金を奪われたことでなく無知に付け込まれたことが悔しい」

これは日本でも聞く話です。
ただ、日本のジムは寺子屋みたいな気風もあって、ボクシングは社会貢献であり社会正義とする熱い会長もたくさんいますから。
半面、選手から不当に搾取する人も過去には。

2016.01.03 12:01 | URL | #- [edit]
いやまじで says... ""
環境が異なるのでアメリカの話をそのまま日本に当てはめることはできませんが、
搾取の問題、健康管理問題など、課題は共通するものが多いと感じました。

選手サイド(引退後ですが)から動きが出てきていることは日本のボクシング界にも参考になるのではないかと思います。

なお、原題で某動画サイトに出ているかもしれません。
2016.01.04 04:14 | URL | #Twj7/TDM [edit]
says... ""
>日本のボクシング界にも参考になるのではないかと

たしかにです。
スポーツにおいて日本は選手や元選手がハッキリ物を言えるほど成熟してはいないと感じます。
特にボクシングは一見興隆しているようにも見えますが、こうした記事にあるような議論が出て来ないことは、みんなで守らないと成らないという意識が見え隠れしてると思います。
つまり一般的なスポーツ論に耐えられるほど強い物ではまだまだ無いと言う事。
それを業界の人もコアなファンも気づいているのにも関わらず出せないという所に一般のスポーツファンに不透明さと息苦しさを感じさせるのだと思います。
遠慮しときますと門戸に着いてもそれ以上は入って来ないみたいな。
一般的でない特別と言う事は言い方変えれば特異なという事ですから安心はしません。
今やスポーツファンはその環境にまで意識を持ってますから、中の人の意識が変わらないと、意識改革が行われつつある他の競技にマーケットを奪われるのも仕方ない。
選手層についてもファイトマネーを公表しないと底辺の広がりなど今の時代見込めません。
実際に選手の間ではファイトマネーの不平等な話しは当然に交換されてますし。
厳しい状況は他のスポーツも同じですが、厳しいなら開き直ってしまった方が却って他の業種や企業からのサポートなど受けられるかも知れない。
実際そうしたスポーツ団体もありましたよね?
不透明感を出来るだけ一掃する事。
この辺りも世間に認知されるかの要因と思いますので業界の方々には一考願いたい。
ボクシングほど本来は一般に解り易いスポーツは無いと思いますので。
2016.01.04 09:22 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
ホリフィールドは絶頂時代にインタビューで「タイソンはドン・キングに搾取されて貧乏だけど、俺は自分でビジネスをコントロールしてるから金持ちなんだぞ」みたいな感じに言ってましたが、結局タイソンと同じになりましたね。一時ホリフィールドはWBFの広告塔のような仕事もしてたみたいで、山口賢一選手が中国に行った時にメインがWBFのタイトルマッチだったのでホリイがリングサイドに座っててビックリしたと言っておられました。

タイソンは現在はマイク・タイソン業としか言いようが無い仕事をしてますね。生き神様みたいなもの。アリなんかと同じですね。日本だと新圧とか。人気者稼業・ポップアイコンですな。


2016.01.04 20:20 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
ジェイ・Zや50セントといったラップで一山当てた新興ブルジョアジーがボクシングビジネスへの参入を目指してますが、彼らはミュージックビジネスでクリエテイビティのコントロールや収益の配分を巡って戦って来た実績があるので、巧くすればボクサーの地位向上に繋がる側面もあろうかと思います。でもみんなアクが強くてワガママだもんな~。アル・ヘイモンもミュージックビジネス出身で業界革命に意欲的ですね。音楽産業ではかつてのような搾取的な契約はいまや昔の話となってますね。

アリが所属していたネイション・オブ・イスラムは60年代にはブラックブルジョアジーの育成を目指して「バイブラック」(黒人から買え)と言うスローガンで運動を展開していました。そういうこともあってアリは、当時業界では珍しかった黒人プロモーターのドン・キングと契約したのですがそれが仇になった。

ボクサーが引退後するビジネスと言うと日本では飲食やジムといったところが代表的ですが、これからは違うジャンルの企業も増えてくると思います。

ちなみに東南アジアのボクサーとマネージャーの関係は日本よりもっとあからさまに奴隷と主人のようだと、さる業界関係者が言っておりました。ただファイターは試合をするのが仕事という職分はハッキリしてるようですね。
2016.01.04 22:56 | URL | #- [edit]
いやまじで says... ""
ホリフィールドもタイソンもNPO活動しながら仕事も立ち上げてるようですね。

上の二つめの写真はラリーキングショーでアリが病気でできなくなった親善大使の声がかかったホリフィールドが、タイソンにも声をかけ、頼まれたタイソンが「喜んでとは言わなかったがとにかく引き受けた」と語る場面です。Yank Barryという人が主催する Global Village Champion Goodwill の親善大使らしいです。

http://bhcourier.com/yank-barry-global-village-champion-goodwill-ambassador-evander-holyfield-feed-uk-homeless/
2016.01.04 23:58 | URL | #Twj7/TDM [edit]
いやまじで says... ""
>実際に選手の間ではファイトマネーの不平等な話しは当然に交換されてますし。

ホプキンスの上掲コメントはこの後に「このビジネスを知るために」と続くんですが、
選手たちは内心金銭面の不満を鬱積という形で抱えて、
結果的にジムサイドと感情的な対立に立ち至ることもあるのではないかと思います。
しかしビジネスとして理解することができればおっしゃる通りいろいろなアイディア、道が開けるかもしれません。
そういう意味でも教育やサポートが必要だと思いますね。

2016.01.05 00:17 | URL | #Twj7/TDM [edit]
says... ""
日本のスポーツファンはとりわけボクシングファンはボクサーに対して厳しいんですよ。
リスペクトしながらもこうあるべきという、美徳とでも言いましょうかそうした考え方が定着してそれに縛られてる面がありますから。
もちろんそれは競技に対する真摯な姿勢を見せる選手に限るわけですけど、半面ビジネスという認識があまり無い。
ビジネスを否定する事はプロである以上出来ませんから、色んな戦略や方向があって良いわけですしね。
しかし、少しでもその美徳?に反する選手が出てくると極度のアレルギー反応を起こす今の状況にはやはり未成熟を感じるんです。
かく言う自分も村田選手プロ入りの時、金メダルを売るのかと思ってるところに、どこかで旧徳さんがそれは当然でしょと反論されていて冷静になったことがありました。
夢を与えるのがボクサーと言えども、それぞれの人生設計があるわけでね。
それで思い出したんです。
大場政夫さんが世界を獲ったときに言った言葉が忘れられなくてね。
これからどうしたいですか?という問いに「一杯稼ぎたいです」と。
当時のスポーツファンの一般的な美意識を打ち壊すような本音に質問者も一瞬戸惑ってましたが、今思えばプロとしてあるべきひとつの姿なのかなと。
大場さんに憧れてプロを目指した人も沢山いたでしょうし、何より国民に夢を与えたと思います。
以降何となくですが、そうした本音は長年封印されてきたようにも感じてますが。
何となく感じる閉塞感を打ち破るカギはここにあるのではないかと思いました。
2016.01.05 10:26 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
近代五輪になる前のアマチュアイズムには、いわゆる「生活のためにスポーツをするのは不純なことだ」という観念があったわけです。金銭を介在させることはスポーツをゆがめるからと言う理由でプロは排除された。IOCの委員ですら無報酬で、むしろ財産を切り崩しながら活動していたわけです。(近代五輪の産みの親のクーベルタン男爵は破産し、IOCの委員達が「あんまりかわいそうだから」と言う感じで募金で救済している)

高校野球の甲子園大会や箱根駅伝も未だに、建て前は『興行』でなく『教育・部活』です。でもどちらもテレビ向けのコンテンツビジネスで、私学の広告塔でもある彼らは実質的にはプロみたいなもんです。

青学のランナーは全員アディダスでしたが、メイカーとシューズの共同開発までしてて(http://runnet.jp/project/adidas201409/)、まあこれも立派なビジネスですね。

命を懸けてリングに上がるボクサーが『もっと金が欲しい』と思うのは当然の事で、稼げるマッチメイクを否定するのはおかしなことです。もともとハングリースポーツというのも、金銭的な成功を含んでいたいたわけですから。

最近のファンは選手の健康や生活を無視して選手の自己犠牲を望む声が強すぎると思います。稼げる状況が無ければ選手もプロモーターもギャンブルは出来ないですよ。
2016.01.05 11:22 | URL | #- [edit]

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