HARD BLOW !

本当のところはどうなんだ? 高山勝成ジムワークレポートin仲里ジム

 陣営のご協力で恒例となっております、高山勝成選手の世界戦直前レポートでございます。

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 IBFタイトル防衛戦となるこの試合の対戦相手は、大橋ボクシングジム所属の元日本・東洋王者、原隆二選手となり、井岡一翔選手の防衛戦と同じ興行で、9月27日にエディオン・アリーナ=大阪府立体育館において行われます。

 この試合の公式なアナウンスがあったのは試合まで一ヶ月をきった8月28日。世界戦では異例のかなりギリギリでの発表と成りました。

 前回の防衛戦、タイのファーラン・サックリンjr戦での負傷判定の原因となった瞼のカットに対して、タイ側から「パンチによるカットでファーランのTKO勝ちではないのか?」とクレームが付き、IBF総会で再戦命令が出たことで、高山サイドは対応を迫られ、その結果正式発表に時間がかかったようであります。

 中出トレーナーによると、あの試合でレフェリーを務めたJBCの中村レフェリーはバッテイング直後にIBFのインスペクターに、カットの原因はバッテイングであることを伝えていたそうなのですが、IBF総会では当のインスペクターの記憶が曖昧であった(おいおい)ということで一旦は再戦命令が宣されてしまったということ。

 そもそも件の試合自体、筆者から見てもファーランは待機戦術一辺倒・防戦一方であり、再戦には興行的にも競技的にもさしたる意義やメリットがあるとは思えないものでした。

 「再戦すること自体にはなんも問題ないけど、こちらとしてはもっとやりたいことがあるから」(中出トレーナー)ということで、テレビの中継映像を検証してバッテイングによるカットであるとの証拠映像を探し出し、IBFに提出することで再戦命令を撤回されましたが、高山陣営この交渉でかなりの時間とエネルギーをとられてしまったとのこと。昨年末の統一選に続いて、タフな交渉となったようであります。

 これは個人的見解ですが、レフェリーが日本人であったことが、タイサイドに付け入る隙を与えたしまったのでは?と思えます。ルール上は認められているし、中村氏のレフェリング自体に問題はなかったということは踏まえた上で、やはり外国人とのタイトルマッチの際にはレフェリーは中立国から招請するべきではないのかと思います。

 勿論、中立国のジャッジ・レフェリーにもプロモーターに阿った裁定をするものは多々いるわけで、試合の公正の担保については、「これでよい」と言う結論は無く、常に検証が必要であると思います。

 というわけで本題。今回の対戦相手の原選手はオーソドックスで体格的にも高山選手より小さい選手。ここ2年ほど変則・サウスポー・体格差のある相手とばかり試合してきた高山選手にすれば比較的やりやすい相手ではないのかと思えたのですが...。

 正式発表を受けて中出博啓トレーナーに電話してみると、試合三週前の時点で、どうも調子が上がってこないと言うじゃないですか。

 いつもと違ってウエイトも思ったように落ちないし、動きも重い、と。中出氏の話を裏付けるように、恒例の近畿大学のスパーリングでも、精彩を欠いたという報道も出ており、どうも本調子には遠いと言う風であります。
 
 ケビン山崎氏とのフィジカルトレーニングで筋肉が付いたことでウエイトが落ちにくくなっているのではないか?年齢的なものが原因なのか?

 「調整方法を工夫して上げて行きます」(中出氏)ということでしたが、果たしてどうなったのか?ということで去る9月12日に、仲里ジムを訪ねてジムワークを見学させて頂きました。

 ジムについてみると高山選手はすでに到着していて着替え中。 

 現場にいらしたチーム高山のスタッフの方によると、この日は午前中は近畿大学でスパーリングして午後はジムワークと二本立ての構成とのこと。疲労のピークは超えて、調子はかなり回復しているとのことでしたが、実際午前・午後練習が出来るということは体調は持ち直していると見てよいでしょう。

 そうこうしているうちに中出トレーナーが現れて練習がスタート。シャドー中心にバッグ打ちもたっぷりと、というメニューです。

 9月上旬はかなり重かったという動きも、実際見てみるとかなり軽快で、本調子にかなり近いと言う印象。体はかなりシルエットが細くなり、ギュッとつまったという印象。この筋肉が今回の減量において不確定要素になったようですが、ウエイトもいつものペースと変わらない水準になっており、練習後はしゃぶしゃぶやステーキを食べているとのこと。肉体改造や年齢といった要素が今後どのように作用してくるのかは不透明ですが、今回は巧く乗り切れたと言う印象です。

 原選手とは体格差がなく、構えもオーソドックスということでジャブとワンツーという基本の動きをみっちりと確認していましたが、右ストレートはモーションが小さくシャープで、有効な武器になると見えました。

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 ミット打ちでも、従来の対角線のコンビに加えてコンパクトなワンツーを織り交ぜて多彩なパンチを披露。ファーランやロドリゲスjrとやったときのように、アングルをつけなくても頭が狙える相手ということで、パンチのつなぎもかなりスムースに見えました。このあと、珍しくパンチングボールも。ボールをスピードのある原選手のヘッドに見立てて軽くワンツーを当てていく高山選手。原選手とすればいかに高山選手のプレッシャーをいなして、スピードで上回るかが鍵になるかと思います。

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 シャドーのあとは中出氏がボディを撃って、ストレッチをして終了。動きは自分が見せてもらった過去の練習と大差なく、好調と見えました。

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カメラにサーヴィスしてくれる高山選手

 少しだけ高山選手にお話を伺いました。

 HB「今回はかなり減量がきつく、調子がよくなかったと聞いていたのですが」
 高山「そうですね。先週は疲労もピークで我慢の時でした」
 HB「ピークを超えたら調子も上がってきたと」
 高山「そうですね。でも悪い状態の中でどう対処するかということが経験が出来たので、良かったです」
 HB「調子が上がってこない中でも、あせりは無かったというか、調子が上がってくるだろうと思っていましたか?」
 高山「それは分かってました」
 HB「経験上ということですか」
 高山「そうです」
 HB「今回の原選手は自分より小さい相手ということですが」
 高山「自分より小さい選手とやったのは5戦くらいですね。特に苦手とか得意とかいうことは無いです」
 HB「原選手とはスパーリングしたことはないんですか?」
 高山「ないんです」
 HB「田中恒成選手と原選手の試合にはどういう感想をもたれましたか?」
 高山「紙一重ですね。どっちが勝ってもおかしくない試合だったと思います。原選手のモチベーションやコンデイションも良かったと思います」

 まずは指名試合をクリアする必要があるようですが、来年は田中恒成選手との対戦を期待したいと思います。

 と、ここから余談ですが、たまたま練習に来られていた仲里ジムの会員の方が、以前関東におられて三谷大和ジムの会員だったということが発覚!「いや自分の友人がスパーリング大会とか手伝ってるんですよ」などと挨拶をさせていただいたのですが、「原選手はJRAの競馬学校時代、ボクシングがやりたくなったときは三谷ジムに来ていたんですよ」と聞いてビックリ。

 全寮制で休日もほとんどない競馬学校でも、ボクシングジムに顔を出していたのだという原選手の様子について「多分ボクシングが忘れられなかったんでしょうね~」と感慨深げにおっしゃっていました。とてもイイ話ですね。

 原選手のプロ入り以前のエピソードも伺ってますます試合が楽しみになって来ました。

 スピード溢れる好試合を期待します。

 山中×モレノの採点に少し疑問がある(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

says... ""
この試合は実に楽しみにしております。
直前の情報やこの記事のレポートを見てもベテラン選手がどのように仕上げて来るのか本当に興味深い。
先日、辰吉のその後を取り上げたキミハブレークの映像をyoutubeで見ましたがボクサーがどういうものかの一端が見えます。
過酷なキャリアとオーバーワークによる肉体の破綻は突然にやって来て。
高山チャンプがどう乗り越えたのか、そうではなかったのか?
原選手にも充分にチャンスあり。
旧徳様、貴重な情報を誠にありがとうございます。
2015.09.24 19:26 | URL | #- [edit]
やわらか says... ""
そうなんですか。初めて原選手のJRA時代のエピソード聞きました。ボクシング忘れられなかったんですね。予想は高山 あの無尽蔵のスタミナ、12R通して続けられたら原が嫌気さしてしまうんではないかと。田中恒成との試合でもお互いですが才能あるゆえのムラッ気でてましたからね
。この試合は本当楽しみです。
2015.09.24 20:35 | URL | #- [edit]
東日本の善良な市民 says... ""
高山チャンピオンの長期政権に期待します!
スパーリングの不調が伝えられてからというもの、不安で不安で・・・(泣)。やっと少し安心しました。
肌の艶もよさそうだし、肩から上腕、前腕にかけてデカくなってるように見えます。
もうこの体に慣れたかな? 体の変動期で不安定な面もあったと思いますが(日によって当たり外れがあったりしたかもしれない)、当日のコンディションでは大当たりが出ますように!

でも、高山チャンピオンといい、田中チャンピオンといい、最近の原選手といい、対戦相手が充実してますねえ。石田順裕さんは9敗してますが、ブログでこう言ってます。
「9負けが 結構…自慢ですw
いつでも、どこでも、誰とでも…逃げずに闘った、そんな9負けだと思ってます。」
http://ameblo.jp/nobishida/entry-11502899770.html
カッコいいでしょう(泣)? 私には高山チャンピオンも同じなんです。
さらに、高山チャンピオンが不遇な日々も悲壮感なく応援できたのは中出氏の存在が傍目にも安心感をもたらしてくれたから。山口選手はじめ皆さん関西人らしくしたたかで、いいチームです! 私も次に生まれてくるときは関西で治安のいいところ、と神様に時々ねだっています(笑)。

田中選手の戴冠試合は、奇跡のような幸運に恵まれて観ることができました。
様々な方のご厚意にただただ感謝しつつ、高山チャンピオンとの対戦を夢に描きました。
この対戦が実現するまで、負けないで高山チャンピオン!

あと、バンタム級に話がそれますが。
山中チャンプの試合は毎回、一発に至るまでの試合運びにどうしても不満が残ってしまっていたのですが、今回は初回から気迫がみなぎっていて試合としては楽しませていただきました。「試されていない」状態からは脱却したと思います。

和毅選手は残念でしたけど、マクドネル戦での連敗を必ず明日への糧にしてほしいと思います。彼の動機は中途半端なものではないでしょうからきっと飛躍してくれると信じています!
2015.09.24 22:23 | URL | #7SPhLgiM [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
高山選手のボクシングスタイルはフィジカルの占める比重が高いと思うので、これからは年齢との戦いが重要なテーマになると思います。

そういう意味でここからのキャリアもまた日本のボクシング界におけるフロンテイァであると思います。
2015.09.24 23:10 | URL | #- [edit]
ホシイモ says... ""
内容の濃い記事毎回ありがとうございます

(。・ω・。)

事情通になれますた
2015.09.25 09:26 | URL | #bGf9qjkw [edit]
名も無いボクサーに両手いっぱいの報酬を says... ""
本レポートを読むと、高山選手に対する認識を改めざるをえないというか、襟を正してみるしかないと思います。
にもかかわらず一抹の不安を感じざるのは、序盤の丹念且つ運動量の多いボクシングが中盤以降めっきりペースダウンし、序盤、面くらっていた対戦相手に、いいように打たれ、いいように逃げられてしまう姿をまっ先に想起してしまうからなのです。
人間は年を取ってからいかに新しいものにチャレンジできるか、いや、新しくなくともマイナーチェンジをし続けられるか・・・・本試合は原選手の人生上の賭けであるとともに、また、高山選手の人生の賭けであると考えたいと思います。
勝負の女神はどちらに微笑むかわかりませんが、高山選手に新生面を見せてもらいたいと思ってやみません。
2015.09.27 02:24 | URL | #- [edit]
たぬきち says... ""
高山選手に頑張って欲しいのは言うまでもないのですが、原選手にも頑張って
欲しいですね。

チャンピオンはどちらかになるのは残念ですが、好試合を期待します。
2015.09.27 10:58 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>名も無いボクサーに両手いっぱいの報酬を 様

コメントありがとうございます。今後ともお付き合いのほどよろしくお願いします。

年齢との戦いというのは30過ぎればあらゆる選手について回るとは思いますが、高山選手のスタイルはフィジカルの占める比重が高いので、より厳しいと思います。この試合で良いパフォーマンスを見せられれば、中間の不調は肉体的に一皮剥けるための産みの苦しみだったということになるかと思います。逆に、ご指摘の如く後半息が上がるようなことがあれば...。

注目して試合を見たいと思います。

しかし関東のファンは原選手の評価高いですね。



2015.09.27 13:39 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>たぬきち様

この試合どこかの時点でかならず打ち合いになると思います。そしてそうなれば高山選手が有利ではないかと。

体調万全なら高山選手のプレスを12ラウンドいなし続けるのは厳しいと思うので。

原選手はスピードを生かしていかに距離を保って戦えるかがポイントだと思います。
2015.09.27 13:52 | URL | #- [edit]
名も無いボクサーに両手いっぱいの報酬を says... ""
こちらこそよろしくお願いいたします。

>しかし関東のファンは原選手の評価高いですね。
すみません。やっぱ自分は根性が小さいのかな(笑)

巷間、ミニマムは決め手がないといわれますが、
決してそのようなことはないと思います。
高山選手も序盤の変幻自在な動きで相手の力を削り落として
中盤から終盤入り口でストップ勝ちにするという形が作れれば、
長期政権もおかしくないと思うのですが・・・
おそらく、フィジカルを支える強靭な精神力が、実は高山ボクシングの
本質なのではないかと思います。短距離型のボクシングを
長距離走者型の気力が支えるという構造ですが、入れ込み過ぎる気合を
少し抜いて中盤辺りに持ってこれないでしょうか。
まあ、この辺りは素人考えですが。

4~5R付近で動きを見切られて、空転する時間が多くなるのが、
高山選手の評価を必要以上に下げているのではないかと思います。
これだけ練習熱心なチャンピオンがもったいないですよ。
2015.09.27 14:12 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
いや中出さんも、東京のファンが原有利予想が多いと言うのを気にしましたよ。

やはり不気味なのだと思います。

高山選手は努力の天才だと思います。

彼の凄いところさ相手を選ばないことと、コンディションにブレがないことだと思います。安定して力を出せることは一流の基本だと思います。
2015.09.27 14:41 | URL | #- [edit]
たぬきち says... ""
旧徳様
コメントありがとうございます。

何で私が緊張するのでしょう?(笑い)
試合が終わるといつも疲れるのです。
2015.09.27 18:56 | URL | #- [edit]
says... ""
高山チャンプ素晴らしかった!
原も序盤良かったけど、結局飲み込まれた。
いや王者がすごかった。
田中との統一戦決まって欲しい。
2015.09.27 20:07 | URL | #- [edit]
幻 says... ""
高山選手、全体的にレベルアップしてましたね。
今回の試合は高山選手のベストバウトじゃないんでしょうか。
2015.09.27 20:20 | URL | #- [edit]
名も無いボクサーに両手いっぱいの報酬を says... ""
旧徳さん

この戦前レポートの価値の高さを思い知りました。
高山選手、面目一新ですね。
2015.09.27 20:56 | URL | #- [edit]
says... ""
色んな意味でスリル溢れる試合でした。
高山選手のカットは心配されましたが早い回は想定外。
原選手も思い切った右を当てて好調をアピールしてましたから5回辺りの負傷判定なら王座移動もあり得た?
中盤から明確に主導権を握るあたりは流石に修羅場を乗り越えてきた王者のキャリア強さですね。
高山ボクシングに魅了されました。
2015.09.27 23:39 | URL | #- [edit]
says... ""
井岡選手は完璧に近い試合運び。
ソーサー相手にほぼフルマークは素晴らしい。
仕留め切れなかった事で物足りない印象もありますが、攻防技術の高さを見せつけました。
本来パンチャーではないですから、これで良い。
ボクサーには色んなタイプの強さがありますから、このまま井岡ボクシングを極めて欲しい。
2015.09.27 23:54 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
高山選手、戦前の不安説を吹き飛ばす快勝でした。

日本のミニマムではやはり格が違いましたね。

肉体改造もはまって、動けてパワーもある体になっていたと思います。

タイミングを見逃さず手数を集められる、戦術眼とそれを実践出来るスタミナ

中盤の右のビッグパンチだけを4発続けたシーンの大胆さも印象的でした

2015.09.28 10:57 | URL | #- [edit]

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