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安河内判決を読む 司法判断で何が語られたのか?PART4


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安河内判決を読む 司法判断で何が語られたのか?PART1
安河内判決を読む 司法判断で何が語られたのか?PART2
安河内判決を読む 司法判断で何が語られたのか?PART3 新コミッション画策編

入り方はどうであれ、一人でも多くの方にJBC裁判の実態を知っていただきたいと願っております。

さて検証の続きです。判決文中の原告とは安河内剛氏のこと、被告とはJBCのことです。

81ページの下段部分に戻って、安河内氏の労務管理の問題点についてまたも厳しいツッコミが...。以下に引用します。
地裁判決_12_R

森田及び羽生が権限を有しないにもかかわらず正当な理由なく谷川に対し解雇を通知した行為については,被告は森田及び羽生に対し口頭で注意するのみで終わらせているのであるから,森田及び羽生に対する被告のこのような態度に照らせば,上記の労務管理に関する2点を主たる理由として本件降格処分をすることは,著しく不均衡であり,重きに失するというほかない。

ここは少し補足がいるところですが、谷川とはJBC関西事務局長に雇用され、後懲戒解雇され、裁判闘争を通じて懲戒解雇撤回・円満退職で和解した谷川俊規氏のことです。(詳しくはこちらから→もう一つのJBC裁判 谷川俊規氏の場合)。谷川氏はJBC関西事務局と雇用関係にあったにも関わらず、JBCの東京事務局が彼に解雇を通知し、後に解雇権限が無い命令であることが発覚し謝罪するという世にもマヌケな事件がありまして、裁判長がここで言及しているのはそのことです。「お前はクビだ!」→「いや間違いでしたスンマセン」という事件の当事者である森田氏と羽生氏が口頭注意だけで、安河内氏はいきなり降格ってそりゃおかしいでしょというこれまた至極当然の指摘であります。

 裁判長は一連の降格処分とそれに続く配置転換は違法であるので慰謝料30万円を支払えとの判断を下します。判決文85ページより引用します。
安河内さん判決文 85


本件降格処分,本件減給処分及び本件配転命令は,いずれも人事権の濫用であり無効であるから不法行為に該当するというべきであるところ,本件降格処分や本件配転命令に至る経緯が前記2(4)ウ及び4のとおりであること,松戸公産の新宿事務所(筆者注:安河内氏配転先)における執務環境や本件降格処分後の本部事務局における原告の待遇が前記1(4)のとおりであるところ,これらに対して被告が何らかの対処をしたといった事情は全くうかがわれないこと,本件配転命令後の平成23年7月6日から原告が精神科に継続的に通院して投薬治療を受け(甲43の1及び2),平成24年5月9日にはうつ病と診断されていること(甲16)並びに原告及び  の各陳述(甲44・16,17頁,甲45・16頁)などを総合考慮すれば,本件降格処分に引き続く本件配転命令等により原告が精神的損害を被ったものと認めることができ,これに対する慰謝料は30万円とするのが相当である。

安河内氏はパワハラが目に余る!と言ってた側が逆に、不法行為で慰謝料を30万円も取られてしまうとは...。そして安河内氏にパワハラされたと主張していた人が「選手の命に関わる試合管理業務に対する意識の低さもうかがわれるところであり」「叱責などの意味を理解しないまま,又は理解しようとせず、原告に対する不満等を募らせていたものと推認することができる。」と裁判長に言われちゃうような、割とかわいそうな感じの人だということは覚えておいて頂きたいと思います。

 降格や配置転換が違法なわけですから、その後に起こる解雇が適法ってことは普通はありえないわけですが、一応解雇の理由についても検討していきましょう。

 先述の通り「新コミッション」については、他ならぬ森田氏と浦谷氏が新コミッション設立を盾に安河内氏を排除してJBCの実権を握ったと裁判で認定されてるわけですから、その時点で論理として説得力を失っています。自分達は新団体設立を記者会見まで開いてぶち上げてお咎めなしで安河内氏や谷川氏は解雇というのはありえない話です。

 もう一つの解雇理由として余り知られていませんが、情報漏えいというものがあります。

 判決文の91ページより以下に引用いたします。

安河内さん判決文 91



被告は,原告が  らと共謀して,ボクサーの個人情報や戦績など,被告の内部情報を第三者に開示したとして,これが就業規則55条6号の懲戒解雇事由に該当する旨主張する。
 前記1(9)アによれば,  が  のボクサーの健康状態に関する情報を  に提供したのは,  が同ジムの東京地区におけるマネジメントの代理人であったためと認められるから,無関係な第三者に対する内部情報の漏洩であったとは認められないというべきである。また,前記1(9)イ及びウによれば, が  に対してボクサー数人の戦績を開示したことが認められるが,  が開示した情報と同様の情報が,一般公開されている「Japan Boxing YearBook Professional Edition」にも記載されていること(甲31)や証人 の証言(証人P6・43頁)に照らせば,  が開示した情報が就業規則55- 91 -条6号の「業務上の重大な秘密」に該当するとは考えにくい。


 一般公開されている情報を開示したら『秘密の漏洩』と言う論理は明らかにどうかしていると私も思います。そもそもボクサーの戦績なんてネットでも簡単に照会できるものであり、むしろ選手の側からすればマッチメイクの為に積極的に開示されるべきもので「業務上の重大な秘密」などでないことは明らかな筈です。

 情報漏えいを言うなら、世界戦のバックステージで起こったトラブルを胡散臭いゴッシプライターに何でもかんでも伝えてしまうおしゃべりなリングアナウンサーのほうがもっと問題だと自分は思います。まあ彼も裁判で事の重大さを知ることになるとは思いますが...。

 それともう一つの解雇事由として、「当時の森田事務局長に報告せず独断で仕事をしたという」と言う小ネタ(笑)もあるのですが、これにからんで驚くべき当時のJBCの実態が分かります。判決文の92ページより

安河内さん判決文 92


森田が本部事務所に出勤するのは週に3日で,かつ,滞在時間は,数十分から長くて2,3時間程度であった

本部事務局長とは名誉職ではありません。高い給料や賞与をもらっている立場です。いや名誉職や一般企業の顧問の人でももう少し熱心に仕事してるんじゃないでしょうか?これで職員に「独断で仕事をするな」と言っても土台無理な話ではないでしょうか?

さて解雇にまつわる部分の裁判長の結論を見てみましょう。判決文の93ページから94ページ

地裁判決_24_R
地裁判決_25_R

平成24年6月12日に実施された聞き取り調査において,原告は,LLCやJAC(筆者注:安河内氏が設立を画策したとされる新コミッションの名称)の設立等,被告が懲戒解雇事由に当たると評価する重要な事項に関し,被告の認識が間違っている旨を具体的に理由を述べて反論していることが認められる一方,被告においては基本的にこれを聞き流す態度であったことがうかがわれるのであり,

本件に現れた事情を総合考慮すれば,被告は,当初から懲戒解雇相当という結論ありきで原告に対する聞き取り調査を行っていたものと考えられるのであり,懲戒解雇事由について十分かつ慎重な調査を欠いていたといわざるを得ない。

裁判長は、JBCは安河内氏の話を「聞き流す態度」で「当初から懲戒解雇相当という結論ありきで原告に対する聞き取り調査を行っていたものと考えられる」と結論付けます。要は解雇の為にあれこれと理由を後付で作ってるようなもんだと認定してるわけです。

気に入らない人間を排除するためなら手段を選ばない、そんな印象が否応無く浮かびます。

裁判長はこの後さらにふみこんでJBCのガバナンスの問題点を指摘していきます。(この項続く)

ついに一般紙もJBC裁判を取り上げたことに状況の変化を感じる(旧徳山と長谷川が好きです)

 

Comment

says... ""
先ほど確認したら現時点で2誌がとりあげてましたね。ハードブローさんにも取材の依頼が来るのは時間の問題じゃないでしょうか スブド襲撃事件が紙面に載るのが楽しみです。ゴシップライターさんも自分が追い続けていた事件をマスコミが紙面に乗せてくれたら本望でしょう
2015.04.04 18:32 | URL | #- [edit]
ホシイモ says... ""
亀田興毅しゃんのブログでも記事にされてますたよ

(´∀`)

この裁判も早くて5月でつね
2015.04.04 19:38 | URL | #bGf9qjkw [edit]
渡辺パンチ says... ""
渡辺パンチです。

結局裁判はどうなるんでしょうか

亀田が息吹き返すのでしょうか

拳論はどうなるんでしょうか
2015.04.04 21:43 | URL | #- [edit]
幻 says... ""
話題は変わりますが、今週号の週刊新潮の記事が一定の真実だとすると、
史郎氏が批判されまくっても出しゃばるのが理解できるんですよね。

私もちょっと史郎氏は出しゃばりすぎなんじゃないかと顔をしかめることはありましたけど、
あの人は言動に問題はあるのは事実ですが、基本的に正論言ってますから。


2015.04.04 22:11 | URL | #- [edit]
たぬきち says... ""
旧徳さん はじめまして。

たぬきち と申します。

この話は何処でもあり得る話なのだと思いますが、村社会のように規模の小さい
所では起こりやすいのかもしれませんね。

違法で権力を握ったのであれば、単なる内輪もめではないので、広く世間に知らしめる
事が必要と思いますが、ここまで客観的に経過をまとめ上げた努力には敬意を表します。

メディアが取り上げたとは言え、これだけの中身を読んで理解する人は少ないと思います。
但し、関心は大きいようですのでメディアも中身の説明をするはずです。

私もこのようなことを書きたくないのはここの皆様と同じ思いです。ボクシングが好きで
選手を応援したいだけです。

PS.陰ながら応援しています。  ファイト
2015.04.05 09:30 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
匿名さん、
僕らホントただのファンだけなので(汗

ホシイモさん、
見て来ました。あとでコメント入れさせてもらいます。

渡辺パンチさん、
わかりません。
ただ、息を吹き返すも何も、彼らは現役選手ですからそれは認めてあげないと。
ひたすらリングに上がることのみではないでしょうか?
それと3人兄弟ですが、それぞれが個性の違う一選手ですから、「亀田」とひとくくりに論じるのは如何なものかと。
もしかして史郎氏の事ならご自分の道を歩まれているようですよ。
子離れされたんでしょう。
2015.04.05 12:44 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>先ほど確認したら現時点で2誌がとりあげてましたね。

スポニチ、サンスポ、デイリーがほぼ同じ内容の記事を上げてますね。でも安河内氏とJBCの間にトラブルがありましてみたいな文脈で取り上げるのはおかしいですね。一審でJBCが完全に敗訴しているということに言及しないのはミスリードだと思います。

「安河内剛氏勝訴の判決文中の、JBCの違法行為を詳細に解説したブログ」と書いて欲しいところであります。実際そうだし。いまだもって「なんか安河内とJBCがもめてるらしいよ~」と言うレベルの意識だとしたら報道機関として怠慢だと思います。

>この裁判も早くて5月でつね

早く確定して欲しい。時間の無駄です。

>結局裁判はどうなるんでしょうか

JBCが負けます

>話題は変わりますが、今週号の週刊新潮の記事が一定の真実だとすると、 史郎氏が批判されまくっても出しゃばるのが理解できるんですよね。

金平さんも亀田を批判したらとたんに「立派な人、正しい人」になるんですよね。ネットで詐欺まがいのことやってる人をスポンサーに担ごうとしたり、未成年者のボクサーを無理やり宗教団体に入れて親に抗議されたりしてる人がねえと。

>メディアが取り上げたとは言え、これだけの中身を読んで理解する人は少ないと思います。
但し、関心は大きいようですのでメディアも中身の説明をするはずです。

もう『亀田が嫌いだからJBCを応援する』式の方には何を言っても無駄と言う感じもしますので(笑)、これからは社会常識のある世間知のあるまともなスポーツファンを対象に地道に情報発信していこうと思っとります。



2015.04.05 12:53 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
「選手の命に関わる試合管理業務に対する意識の低さもうかがわれるところであり」

さて、判決文の被告側のモラルについて触れるこの部分ですが、裁判では陳述書や被告証人尋問その他によって具体的な事例が幾つか挙げられました。
この部分を引用して当該被告側証人を批判するつもりはありませんがあえて書きます。

この証人尋問は僕も傍聴してまして、この時は他の傍聴者も被告側のあまりのモラルの低さに唖然としていたのです。

しかし、判決文にこのような文言で書かれるとは予想もしませんでした。
裁判官の見識の高さと申しましょうか・・
普通のファンなら普通に感じる事というか、安河内氏の持つボクシング哲学が法廷でも認められたのだなと感じました。
彼は裁判でも一貫してボクシングとは何か?を問うていました。
果たして地位確認裁判においてそれが必要なのか?法廷戦略においては蛇足に過ぎないのではないか?という疑問も僕の中に僅かながらありました。
何故ならこれが法廷戦略というものだと言わんばかりに、被告側は裁判資料提出期日を守らず、また次から次へと新たなる証拠なるものを出して判決の引き延ばしに執着しているように見えたからです。
原告の精神的あるいは経済的疲弊を待つものだったかも知れません。
それでも原告は小手先を使う事も無く真正面から正論で戦いました。

しかし沈着冷静な原告も、ボクシングとは何か?を問う場面では時に熱がこもり被告弁護人からタオルが入るような(制止される)場面も。
まるで試合を観ているような錯覚にとらわれました。

何と清々しい、微塵の保身も無い見事な法廷闘争でした。
自らの地位確認を求める裁判にも関わらず、彼には他にどうしても負けられない動機があったのです。
「ボクシングの正当性と存続を懸けた戦い」との位置付け。
僕が安河内氏に感銘を受けた瞬間でした。

そしてこの判決は「大義はどちらにあったか?」の一つの答えであったわけです。
2015.04.05 14:03 | URL | #bH1htKmU [edit]
まつば says... ""
今さら言うことではありませんが、ボクシングメディアには、当事者の一方に肩入れして対立を煽ることよりも、問題の中身を精査して、広く一般に知らしめて議論を呼び起こすことが重要なはずです。

図らずも、今回またボクシングメディア、いやボクシング界の欠点が露になってしまいましたが、興毅選手のコメントには「お前が言うな!」で済まされない、そうした意義を感じました。
2015.04.06 13:14 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>問題の中身を精査して、広く一般に知らしめて議論を呼び起こすことが重要なはずです。

民事裁判で完全敗訴したJBCの皆さんや未成年の練習生をむりやり宗教に入れちゃうクラブオーナーが他人様のガバナンスを云々するのこそ「お前が言うな!」と言う世界であります。

メデイアの側もウケるネタを探してるだけ。どうせ判決が確定しても「双方歩み寄って早く正常化しろ」みたいなことしか言わないですよきっと。
2015.04.06 13:46 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
まつばさん、どうもです。

ブログ最新記事読ませて頂きました。
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/show-ha/article/68
コメントさせて頂こうと毎度思うのですが、やり方がわからなくてこちらで失礼します(汗

さて、極めて冷静な分析であられると思います。
また、こうした数々のファンの考察はやがて必ず意義あるものとなる事と信じます。
主義主張を超えて事実を元にした意見発信や議論の積み重ねこそが、今のボクシングを取り巻く環境には絶対に必要と思います。
今後とも宜しくお願い致します。
2015.04.07 09:10 | URL | #bH1htKmU [edit]
B.B says... ""
なお、判り易いようにこちらでも安河内裁判、安河内判決という言い方をしてますが、裁判事例名称と別に、一般財団法人日本ボクシングコミッション事件、略称JBC事件と呼称されているようです。
2015.04.07 09:26 | URL | #bH1htKmU [edit]
まつば says... ""
B.Bさん、こちらこそ毎度ありがとうございます。

まぁ、コメントしにくいのは恐らく荒らしコメントをしにくくする為と思いますが、コメントしようとされる方には、いつも不便を強いてしまっております。

ともかく、こちらこそ此れからもよろしくお願いいたします。
2015.04.08 19:29 | URL | #- [edit]
B.B says... "Re: タイトルなし"
> まつばさん、
こちらこそ更新楽しみにしております。

ファンには様々な疑問などが出てきますね。
そうした時に明快に答えてくれる場所や人が少ない、というかほとんど無いですね。
今の時代、プロボクシングほど一般の人に解りにくい、一面垣根の高い競技は無いでしょう。
業界挙げてのヒーロー願望は間違いでは無いにしても、時々ボクシングの本質とかけ離れた矛盾を生んでしまいました。
これが一般の人に中々受け入れられない一つの大きな要因ではないかと。
ヒーローは永遠ではありませんから、不在の時には世間の耳目も無くなります。
ボクシングそのものに対する理解を勧める努力を怠ればいつまでもこの繰返しであります。
だからこそ、多少の苦痛をともなっても、透明性を図り誰にでも判る明快な指標とでも言いますか、そうした努力が必要と思うんです。
かつてはその責任を少なからず果たしていた人らがいたのです。
本来は専門誌などのメディアがその役目を果たすべきが、業界の親睦月刊誌と言われたり、御用メディアに成り下がって以来、そしてまた今回の騒動でその信を完璧に失墜させてしまった。

指標を失った今こそ、ボクシング業界とファンと世間一般を結ぶ公式のプラットホーム建設が必要と強く思います。
2015.04.09 03:52 | URL | #- [edit]

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