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安河内判決を読む 司法判断で何が語られたのか?PART2

 引き続き判決文の検証を続けていきます。

 獨協大学ボクシング部の先輩である森田健氏の後釜としてJBC事務局長に上り詰めるというサクセスストーリーを体現する浦谷信彰氏は、安河内氏の退職を求めていた当時は試合役員のトップという立場でした。彼が、誰が書いたとも知れない怪しからん怪文書を試合役員に回覧し「安河内は(事務局長を)辞めるべきだ」と扇動するかのようなやり方をとったことについて、裁判長がその手法を批判したというところまでは前項でふれました。

 さらに試合役員有志が提出したという通告書についての判決文での説明がちょっと驚くようなものでありました。以下に引用します。判決文78ページより

『その作成名義である「JBC東京試合役員・事務局員合同調査委員会」が架空のものであること(原告本人・4頁),通告書の作成経緯について,浦谷が「中身に異論を挟むことはないので了承した。」旨述べ(証人浦谷・7頁),羽生が「林コミッショナーに会わせてもらえなかったので,文書にしてわかってもらおうと思い,本部事務局職員5名で作成した。」旨述べていること(証人羽生・10頁)からすれば,その作成名義にかかわらず,主として羽生ら本部事務局職員5名で作成し,浦谷が上記名称の使用を認めたに過ぎないものであり,必ずしも東京試合役員会の大半の認識を反映したものとは認められないというべきである。』
地裁判決_09_R

 なんと通告書の主体となる組織が「架空」で、のみならず試合役員が作成した文書ですらないと言うじゃないですか。怪文書を利用する手法といい、なんという謀略体質でありましょう。安河内氏を排斥出来るなら手段は選ばないと言うところでしょうか?

 さらに試合役員が提出した連判状について

この連判状は,「告発文で指摘された疑惑について徹底した真相究明を行うこと」,「全ての疑いが晴らされない限り,安河内事務局長を解任すること」として,真相の究明と疑いが晴れない場合の原告の解任を求める内容であるから,この連判状に署名したことをもって,直ちに,従前の原告の行状から原告が本部事務局長としてふさわしくないと署名の時点で判断していたと認めることはできない。


と総括しています。「疑惑が事実であった場合には解任」と言う表現になってるだけで、解任を求める署名ではないですよと、これも極めて論理的で冷静な結論です。

 さらに一部プロモーターから安河内氏の試合会場への立ち入りを禁止するという書面が提出されたことについても

原告の試合会場への立入りを禁ずる旨の書面を提出しているものの,同書面に「協会より要望書に返答あるまで」と手書きで追記していることから,原告を拒否する態度が確定的なものであったとは必ずしもいえないというべきである。

ここでも、あくまで出入り禁止は怪文書で指摘された疑惑についての事実関係の調査が前提となるという結論です。

「安河内解任はJBC職員、試合役員、ボクシング協会の総意である」というJBCサイドの主張・立証の根拠は裁判長によって悉く否定されていきます。

 出所不明の怪文書が根拠なのですから調査をして事実関係を確かめるのはむしろ当然の話であります。ところがあくまで安河内排斥を目指す勢力はその調査の結果などどうでもいいというような態度をとります

 判決文79ページ後半より80ページにかけて引用します
地裁判決_10_R
地裁判決_11_R

このように通告書や連判状でも求められていた「真相究明」のための調査が被告において実施されることになったにもかかわらず,浦谷や羽生らは,被告による調査を踏まえた判断には必ずしも従わない態度を示し,試合役員のライセンス返上の可能性を示唆しつつ原告に対して辞任を自ら決めるよう迫り(前記1(3)オ),続いて,被告の対応が中立性を欠くとする書面や原告の従来の言動を批判する書面等を各方面に提出するなどし(前記1(3)キ(ア),(イ),(オ)ないし(ク))さらに,平成23年5月31日には,本件調査委員会による調査や原告の不正経理問題についての意見表明をマスコミ等に対して行い(前記1(3)キ(ウ)(エ)),加えて,平成23年6月10日には,休職期間が明けた原告に対して事務局長代行補佐を命ずる旨の示達が林代表から出されたにもかかわらず,これに羽生らが強く反発し,結局,休職期間が明けても原告が出勤できない状態を継続させている(前記1(3)ク)。以上の事実経過によれば,当時の被告においては,通告書や連判状の要望を受けて手続を踏んで問題の解決を図ろうとしたものの,手続を無視した,浦谷や羽生らの原告排除へ向けた強硬な態度を適切に制することが全くできていない状況に陥っていたものと認められる。

真相究明をするべきという名目で試合役員名義の通告書や連判状を作成しておきながら、いざ調査による事実解明が始まるとライセンス返上をにおわせながらあくまで安河内氏の解任を求める彼ら...。

『本件調査委員会による調査や原告の不正経理問題についての意見表明をマスコミ等に対して行い』というのはあの「フグの領収書」についての記者会見のことであります。あれだけ大騒ぎしたのに結局あれはなんのことはない適正な支出でした。あの時「自分が追っているのはたかだか一万幾らのレシートじゃない」とばかり大見得切ってたあの人は一体何をしているのでしょうか?まあぶち上げるだけなのはいつものことで特段驚きも無いわけですが...。

 結局、調査を経ても安河内氏による不正経理や組織の私物化の証拠は何も見つからず、退職の根拠は何ら無くなってしまいます。そこで反安河内派の考えた手法が「新コミッション」の設立でありました。この話は次項で詳しく分析していきます。(この項続く)

 週末の雨で花見が出来そうも無い(旧徳山と長谷川が好きです)

 

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