HARD BLOW !

リゴンドウー ― ボクシングの普遍的価値の継承者

 かつてボクシングの世界タイトルマッチはその国の国民的行事であった。世界チャンピオンは8つの階級に一人ずつ。世界チャンピオンはそれだけで世界最強の称号であり得た。
 現代において世界チャンピオンは17階級に四人ずつ、計68人いる。それゆえ世界チャンピオンはそれだけでは世界最強の称号ではない。世界最強であるためにはそれ以上の何かが求められる。
 また現代において、世界チャンピオンであることは、世界最強であることを必ずしも要求されない。より正確に言えば、「世界チャンピオン」は世界最強であることを必ずしも追求しない。それはボクシングを職業とするものとしてお金を稼ぐために、より効率的な、より安全確実な道を選ぶことができるからである。
 ボクシングの世界チャンピオンの存在価値というものが現代においては多元化している。
 世界チャンピオンであるだけでは十分ではない。もっと言えば、強いだけでは十分ではない。観客を喜ばせる試合をしなければプロとして食っていけない。そういう価値観がある。
 一方で世界チャンピオンであるだけで、そのボクサーの試合が国民的行事となり得る、そういう価値観の世界もある。そこでは「強い」というだけで、勝利するだけで、ボクサーは賞賛と敬意と富を享けることができる。
 後者は伝統的もしくは古典的(クラシカル)な価値観と言えるかもしれない。
 リゴンドーはそういう価値観を継承するボクサーである。人気を得るために観客に媚びる試合はしない。ただ相手に勝利することのみに徹する。そういう姿勢を彼には感じる。
 リゴンドーが相手を選ばず最強のボクサーと闘い続けたノニト・ドネアを破って世界の頂点に君臨していることは象徴的だ。―ドネアの燃え尽きぶりは、この世界で最強と人気の双方を手にするリスクがいかに大きいかを物語る―。稀代のカリスマであるドネアに圧勝したことで、彼は最強の称号を手にした。しかし興行価値の点ではドネアには及ぶべくもない。
 しかし彼が継承する価値観は普遍的な、本質的なものであると私は思う。
 そのリゴンドーが日本で試合をする。世界最高の選手、世界最高のボクシングを見られることを、ボクシングファンとして幸せに思う。彼にはこれまで通りの試合を見せてほしい。

※ その姿勢の点においてリゴンドーと同じものを感じさせるナルバエスの試合も楽しみである。挑戦する井上選手にとって―彼もまた実力相応の評価を得ているとは言い難い―勝っても負けても貴重なキャリアとなるだろう。

by いやまじで

Comment

B.B says... ""
そのリゴンドーにコンタクトを試みたようですよ、旧徳さん。
結果はどうなったのかな?
2014.12.30 21:38 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
スポーツライクな試合をすると強くても稼げない ジレンマですね
2014.12.30 22:16 | URL | #- [edit]
ボクシングセンセーション says... "井上選手がナルバエスに勝ちましたよ"
記事を書かなくて良いのですか?是非見解をお聞きしたいです。
2014.12.31 04:16 | URL | #IhoyXn2o [edit]
いやまじで says... "ボクシングセンセーション 様"
執筆陣、現在アルコール漬けで執筆不能かと思います。私を含め…(笑
2014.12.31 07:02 | URL | #Twj7/TDM [edit]
ボクシングセンセーション says... ""
そうですか。まあお正月なんで仕方無いですね(笑)アルコール抜けた時に是非お願いします。大変な快挙なので是非見解をお聞きしたいです。
2015.01.01 17:54 | URL | #IhoyXn2o [edit]

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