HARD BLOW !

奇妙な論理 

 ちょっとおかしな記事だと思われるものがあったので触れておきます。

 亀田大毅のベルトを巡る一連の騒動で、一貫してJBCの秋山氏のコメントを伝えて来たことでお馴染みの、YAHOOのニュースサイトTHE PAGEの本郷陽一記者。その本郷記者が書いた記事が、私からすると『ちょっとこれはないんじゃないの?』と思える内容なのであります。

 <ボクシング>異色のリーゼント王者が事実上の引退危機(←記事へのリンク)というこのヘンテコな記事、センセーショナルなタイトルとは裏腹に論旨は思いっきり不明瞭であります。活字媒体では本格スポーツ評論を志向されていた本郷記者も、すっかりネットメデイアの作法に染まり、「記事の内容よりもクリックさせるような派手な見出しが何より大事だ」という境地に達せられたのかも知れません。確かに『掴みはオッケー』と言う感じの見出しでございます。

 で記事を読み進んで行きますと、なんとも論旨が分かりにくい。要は何が言いたいのかサッパリ分からないのです。

 当初TBSが中継する大晦日興行でドネアに勝ったリゴンドー選手と戦うことを了承していたという和気選手ですが、すでに試合予定があった東洋戦のプロモーターと従来の中継局フジテレビから横槍が入り(というか『こっちが先約やろ』という話ですね)、結局和気選手は世界戦を辞退したと。その部分を引用させて頂きます(以下赤字で引用)

 だが、この動きに東洋太平洋戦をプロモートしていた関係者が意義を唱え、翌9日には古口会長の頭越しに、和気を呼び出し同伴させた上で、TBS側に「東洋戦を先に契約しているので、今回のリゴンドー戦は無効であり、やらない」と伝えた。そのボクシング関係者は、「和気は、フジテレビがここまで育てた選手。それを試合契約した後にTBSに鞍替えするのは、業界のルールに反するし、リゴンドーとやっても勝てないし意味がない。来年はフジテレビが世界戦を組むと言っている。JBCも、すでに認定した試合契約を破棄したらとんでもないことになる」と言って、和気を説得したようだが、和気のマネジメント権を持つ古口会長を通さずに、このような話を独断で進めたため、事態は最悪の展開となった。(引用以上)

 この部分だけ読んでも軽い眩暈を覚える箇所が何箇所かございます。

フジテレビが育てた?テレビ局はスポーツの試合を中継する立場じゃないの?ビジネスとしてやってるのに選手を育てたって思い上がりじゃないの?

勝てないから意味がない?勝てる相手を選んでやるのが世界戦なの?

来年は世界戦を組む?海外のチャンピオンの興行事情やスケジュールがあるのにそんなこと確約できるの?和気本人や相手が怪我したらどうなるの?

JBCも、すでに認定した試合契約を破棄したらとんでもないことになる?いや興行のキャンセルくらいあるでしょ。というか目の前にドネアを倒したスター選手と世界戦するチャンスがあるのに東洋戦しないとダメなの?

 この匿名の人物の発言内容がナゼの嵐であります。というか問題の元凶は、マネージャーでもないのに古口会長の頭越しに選手のスケジュールを切ってるこの人なんじゃないの?と思うのですが記事の論旨はドンドンあらぬ方向に行ってしまいます。

 ここで本郷記者は、このプロモーター氏の動きには批判は加えず、何故か和気の行動を批判し、選手個人に問題点を集約するするかのような論理を展開していきます。

 テレビの中継局を替えれば軋轢が生じるであろうことは充分想像できますし、東洋戦をキャンセルしなければならないことは自明の事。手当てが必要なのは最初から明らかであります。古口会長は頭越しで動かれてお気の毒ではありますが「今のままでは試合を組めない。今後どうするかは自分で考えなさい!」と突き放した。と言う対応はなんとも解せません。こういったトラブルは当然想定されているべきことです。未然に防ぐことは出来たはずです。

 とここで想像されるのは、古口ジムと和気選手をプロモートするチームがそもそも別々に動いてるんじゃないの?と言う疑念であります。古口会長にすれば和気選手本人が「TBSの中継でリゴンドーとやります」と了承したのだから、「自分のチームにはお前から説明しとけよ」と言う感じでいたら、行った先で和気選手が「テレビ局の壁ってそんな簡単なもんじゃないんだ」と説得されて翻意させられたと。これってファイター個人が責を負うような話でしょうか?

 選手本人は純粋に強くなって世界戦がしたいと思って練習しているのでしょうに、テレビ局の縛りやプロモーターとクラブオーナーの軋轢といった旧弊な商習慣に巻き込まれて「トップ選手との世界戦のチャンスがあるけど、東洋戦をやらなければならない」と言う奇天烈な運命を辿っている彼を、なんでここまで批判できるのでしょうか?明らかに問題があると思しきプロモーター氏は匿名扱いなのに…。

 ジョー小泉氏がファイトニュースに書いた真道選手の記事もそうですが、安易に選手を批判するような記事を書くジャーナリストが多すぎると思います。そうやっておけば波風が立たないと言う業界のあり方もおかしいです。ボクシング界の商習慣やテレビ中継を巡る縄張り争いの不毛さこそが批判されるべきなのに…。

 もう一つ言いたいことは大晦日中心の興行サイクルの危険性です。年末の世界戦は八試合。これは一見活況と映ります。しかし大晦日に総合格闘技のイベントが乱立していたのはほんの数年前の話です。そんな活況があっという間に破綻し、日本の総合格闘技は大幅に市場規模を縮小しました。

 大晦日興行にまつわる選手集めで、外人選手のファイトマネーも高騰していると言います。これは総合のイベントが破綻した主原因でもあります。ボクシングがテレビ局の要請にこたえることで疲弊してしまわないか心配だったのですが、今回の和気選手の事件がその予兆ではないかと考えるのはうがち過ぎでありましょうか?


 以前のように年始にやってもいいんじゃないの?と感じる(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

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このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014.12.10 01:31 | | # [edit]
やわらか says... ""
年末興業の歪みが出たという感じですよね。しょうがないんですけど毎年大晦日興業のせいで各世界戦の記事が小さいんですよね。元旦に。それも毎年寂しくなるんですよね 毎年大晦日は大阪で井岡興業を欠かさずに見に行ってるし楽しみなんですけどそろそろこの年末集中ヤバイのではないかと思ってます。一番の不安は旧徳さんも書かれてますがファイトマネーの高騰です。K-1の二の舞は御免です
2014.12.10 05:52 | URL | #- [edit]
東日本の善良な市民 says... ""
本郷氏は、さも会長との関係が冷えきってるかのように書いてますが、和気選手のブログには会長のお誕生日をお祝いするいい感じの写真がアップされていて、時系列も合いませんね。

真っ当な一審判決に控訴して経営負担を無駄に増やし、信頼もさらに損なおうとするコミッションの周辺にいると、狂気が感染していくのでしょうかね。(件の東京地判、LEXデータベースにアップされたら全文読もうと思っていましたが、今のところ機会にめぐまれません。)
2014.12.10 08:34 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>やわらか様

個人的には大晦日は心静かにボンヤリ過ごしたいなあと。

テレビ局の都合でボクシング界が大晦日中心の興行サイクルを作るのは危険だと思います。

>東日本の善良な市民様

利害対立を交通整理して解説するのがジャーナリストの仕事だと思うのですが、あの記事読んだら余計混乱しますよね。で誰を批判しても角が立つから選手を落とすと。ああいう書き方はちょっとダメでしょと思います。



2014.12.10 21:10 | URL | #- [edit]
いやまじで says... "疑問"
この記事にはたしかにさまざまな疑問を感じます。

その一つは、なぜこれまでジム会長と問題なくやってきたであろう和気選手が突然裏切り行為とも言える行動に出たのかについて掘り下げがない点です。

記事の最後の2段落にある和気選手のコメントは記者が直接取材したものなのでしょうか、それとも会長から聞き出した間接的取材によるものなのでしょうか。記者を信用するなら直接取材と解釈できますが、だとすれば和気選手自身が多くを語らなかったように見えます。多くを語らなかったとしたらその理由は何なのでしょう。

「東洋太平洋戦をプロモートしていた関係者」の言葉を鵜呑みにして前後も考えずに(とりわけ古口会長との関係)突っ走ったということなのでしょうか。だとしたら、和気選手は本当に子どもじみた、人間的に未熟な選手ということになりましょう。

しかし、本当に和気選手はそのような子どもじみた人間であるのでしょうか。少なくともこの記事からはその点が明らかになっていません。ということは、何らかの事情が彼に裏切り行為に走らせたとも考えられるということになります。音信不通になったこと自体なんらかの事情を示すものと考えられるのではないでしょうか。

もう一つの疑問は、

>世界初挑戦で、最強王者リゴンドーへ挑むことは、無謀との賛否はあるかもしれないが、それは、ジム内で解決すべきことで外部の人間と決めることではないだろう。ローマン・ゴンザレスのチャレンジを受けた前WBC世界フライ級王者、八重樫東(大橋)のように逃げない姿勢を示すことは、プロボクサーとして本来、あるべき姿でもある。

の部分です。

 「世界初挑戦」で「最強王者」に挑むことが「無謀」というのは業界内的もしくはそれを知ってしまったマニア的な意見としてはあるというのはいいとして、その後に八重樫選手を例にとって「逃げない姿勢」といっています。記者が書いているように「外部の人間と決めることではないだろう」問題について、なぜそうなってしまったのかを、結局は「逃げ」たからだと結論づけていないでしょうか。果たしてそうなのでしょうか。和気選手自身、リゴンドーとの対戦を承諾していたのが、急に怖くなって対戦を回避したのでしょうか。そういう問題なのでしょうか。

この記事はたしかに和気選手の現状、ボクシング界で生じた問題を伝える点で一定以上の意味をもつものだと思います。その点は評価すべきだと思います。実際、和気選手の行動が結果的に問題あるものになっていることはたしかでしょう。ただしこのケースでは何らかの込み入った事情が背後にあるように感じられます。少なくともその点について示さずに、和気選手が「逃げ」たかのように印象づける書き方には私は誠実さを感じません。
2014.12.11 09:25 | URL | #Twj7/TDM [edit]
いやまじで says... "補足"
記事中の「意義」は「異議」の誤りです。
2014.12.11 09:40 | URL | #Twj7/TDM [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
村田選手も名義貸し状態だったように、もはやテレビ局の縄張りやクラブ制度自体が矛盾だらけの入れ子構造になっているのが問題だと思うのですが。

はっきり言ってこんな複雑な構造に選手自身が配慮しながらやらないと批判されると言うのはどうなんでしょうねえ?

2014.12.13 00:27 | URL | #- [edit]
幻 says... ""
今週号のFLASHに、年末興行について、旧徳さんの意見と同じ様なことが書かれてました。

チケット苦戦しているらしいですね。
2014.12.18 00:21 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
フラッシュの記事高山選手の部分悪意が凄かったですねえ。都内ジム関係者って誰やねんと
2014.12.18 09:38 | URL | #- [edit]

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