HARD BLOW !

スポーツ団体のガバナンスを考える 1

 スポーツの世界でも社会事件となるようなスキャンダルがまま起こります。古くはプロ野球の黒い霧事件から江川問題、オリックスのスカウト自殺事件、ボクシングで言えば毒オレンジ事件や渡辺二郎の転落、亀田一家の疑惑の判定や家族ぐるみ反則騒動。最近記憶に新しいのは大相撲の新弟子暴行や八百長スキャンダルでしょうか。

 今年話題になったものではサッカーJリーグ、浦和レッズの差別横断幕問題がありました。折りしもスットコドッコイな排外主義団体が行っていた路上でのヘイトスピーチや差別街宣が非常にタイムリーなトピックだったこともあり、一気に世間の耳目を集める事態となりました。分けてもソーシャルメデイア上の反応は迅速であり、浦和レッズやJリーグ機構がどのような判断・裁定を下すのかをファンが固唾を呑んで見守る状態となりました。

 注目の中で下された決断は、浦和レッズ側は横断幕を掲出したサポーターのグループを活動停止にするとともに出禁にし、併せてあらゆる横断幕の掲出を自粛するという厳しいもの。一方のJリーグ機構側は浦和レッズのホームゲーム一試合を無観客試合にするというこれまた前代未聞の厳しい裁定を下しました。日本初の無観客試合という話題性も手伝って轟々たる議論を巻き起こしたこの事件ですが、一方でJリーグ機構の速い意思決定と毅然とした対応は賞賛されるべきものでした。事件発生からわずか五日で処分を発表して事態を収拾し、加えて差別を許さないというメッセージを発したJリーグ・サッカー協会は日本のスポーツ界でもトップの統治力を見せたといってよいと思います。

この事件について論評したスポーツライター玉木正之さんの文章が大変納得のいくものであったので引用させて頂こうと思います。

元記事へのリンク
  ↓
日本のスポーツ・ジャーナリズムは「スポーツ界の差別」を批判できるのか?!(玉木正之)

 (以下引用)
 アメリカのプロバスケットボールチームのオーナーが黒人差別を口にしたり、サッカーのスペインリーグでブラジル人選手に向かってバナナが投げ込まれ、オマエは猿だという人種差別行為が行われたり、日本でも浦和レッズのスタジアムにJapanese onlyと書かれた国籍差別の横断幕が掲げられたり……。

そこで「何故スポーツ界では差別的行為が多いのか?」と多くのメディアから訊かれた。が、この質問は間違っている。スポーツ界に「差別」が多いのではなく、一般社会に存在しながら隠されている差別意識や差別行為を、スポーツがあぶり出したのだ。これはスポーツに備わっている素晴らしい特性と優れた機能であり、文化としてのスポーツの存在価値を示すものとも言える。
(引用以上)

 スポーツが差別あぶりだすという意見は大変納得のいくものだと思います。

 さてこの浦和レッズ横断幕事件をテーマとしたシンポジウムが8月30日に大阪で行われました。

 パネリストは『オシムの言葉 フィールドの向こうに人生が見える』でミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞した、作話スポーツライターや妄想ゴシップライターとは一線を画する本物のスポーツジャーナリスト木村元彦さん。さらに日韓ワールドカップでの日本代表のキャプテンにしてJリーグ特認理事であり、FIFAマスター受講生でもあり、なんとあの素晴らしいボクシングマガジンを出しているベースボールマガジン社が発行する『サッカーマガジンZONE』特別編集長までかねているという、サッカー界の貴公子ツネ様こと宮本恒請氏。そしてなんとJリーグ機構のトップ、横断幕事件で無観客試合を決断した村井満チェアマン。J1J2J3を束ねるトップ自らが、言うたらアレですがこんなマニアックでマイナーなシンポジウムに降臨し生でファンに語りかけるとは!

 この豪華パネリスト陣がいかにサッカーと差別を語ったか?それは次回詳細に書きたいと思います。

 シンポジウムが物凄く刺激的で勉強になった(旧徳山と長谷川が好きです)


Comment

B.B says... ""
玉木正之さんのこの記事は以前に旧徳さんに紹介して頂いたので読ませて頂きましたが、これまで僕が抱えていた何処から来ているのか分からない得体の知れない不安の正体、即ち選手とその権利に対する無理解、偏見の一端を明らかにしてくれたと思いました。

改めて読んで「スポーツが差別あぶりだす」以下の文言のひとつひとつが心に深く突き刺さって来る。
これは競技の目的とその純粋性を多くの競技者がそれを体現し、それを死守するという機運と環境が整って初めて出来るもの。
その環境の中には協会など統括機構のほか、勿論我々スポーツファンもその中に居なければならない。
つまりはファンにも純粋性が求められるという事です。

僕らの愛するボクシングにもかつては、そうしたトラディショナルなファンは多かった。
今、専門誌などのベテラン記者もコミッションの理事に名を連ねる人達も、そうしたかつてのファンの一人だったのです。
昔の話しで恐縮ですが、僕が学生の頃の話し。
水道橋の労音会館で8ミリ映写会が開かれました。
トニー・ゼール、ジェイク・ラモッタ、グラジアーノ、カルネラ・・
当時はyoutubeなど勿論ありませんでしたから海外の映像は非常に貴重であります。
僕は当時流行っていたバックパックとウェスタンブーツ、アポロキャップを被り参戦しました。
この映写会を主催されたのは上に挙げた方々だったと後に知りました。
あの人もこの人も皆若かった。
参戦と書いたのは全国から集うであろうファンと如何にボクシングが好きかを披露する事になるだろうと想像していたからです。
結局僕は一言も発する事が出来ず「こうした人たちがやがてボクシングファンをリードして行くのだろう」と感激して帰って来たのを想い出します。
想像した通りこの中のある人はやがて評議委員から理事入り。ある人はボクシング記者にと。
しかし残念ながら、いつしかファンではなくなってしまったのか?と感じています。
プロボクシングは特に私心を無くし純粋に向き合わなければならないスポーツだと思います。
今、羨ましくもボクシングが好きでそれを生業とした事は努力の末と理解しますが、それは情熱の丈の対価に過ぎない事を証明して頂きたい。
どうかあの頃の情熱を思いだして頂きたいと切に思います。

さて、このファンによるブログの出発には榎洋之さんの反則に対する訴えが大きく関わった事は以前にも書きましたが、彼のボクシングに対する純粋な思いが僕らを突き動かせたのは事実であります。
その後ボクシングとボクサーの為に「ファンは何が出来るのか?」をテーマにやって来ましたが、今、あらためて世論も含めた環境を作らねばならない時に来たと感じます。

正直、ボクシングを語れるメディアは少なく、ミスリードされた一部のファン、マスメディアの荒廃ぶりには目を覆いたくもなります。
しかし、サッカー界は羨ましいなどと言っていられない。
何が発信出来るか、具体的に何が出来るか?これからも模索して行きたいと思いました。
2014.08.31 09:46 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
サッカー協会、Jリーグは社会からどう見られているか?をきちんと意識してるわけです。まあ当たり前なんですけど。ゴール裏で威圧的に振舞う『常連客』にばかり迎合していたらビジネスが広がらないことが分かってるわけです。


2014.09.02 14:37 | URL | #- [edit]

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