HARD BLOW !

再びメキシコへ!高山勝成統一戦最終調整レポート

小野戦前の近畿大学ボクシング部でのスパーリングの様子はこちらから

シルバノ戦前のスパーリングの様子はこちらから

IMG_2418_R.jpg
 『彷徨う拳』から『戦う高校生』へ、今年も激動のボクサー生活を送る高山勝成選手がまたも大きな勝負に出ます。
 今度はなんと敵地での統一戦、そしてミニマム級でのメジャー4団体制覇をかけた大一番であります。昨年のJBC認可直前の敵地での戴冠の次は、敵地での統一戦と今年もイケイケドンドンで世界に打って出る高山勝成選手とそのチーム。このスピード感は日本のボクシング界の常識からは余りに異質であります。

 試合の舞台は8月9日(日本時間10日)メキシコの北東部モンテレイ。8月4日にはメキシコに向けて出立するこというで、今回は調整もハイペースで、8月1日に行われたジムワークが練習の打ち上げとなります。今回も昨年末のシルバノ戦、五月の小野戦に続いて、陣営のご好意によって最終のジムワークを見学させていただくことが出来ましたので、その模様をレポートしたいと思います。

 今回は大橋ジムでの井上尚哉選手との出稽古スパーリング中に古傷を痛めるというアクシデントがあり、予定のスパーリングがこなせなかったというトラブルがあったようですが、果たしてその影響はあるのでしょうか?

 実は私、高山選手の現在の所属ジムである仲里ジムにお邪魔するのは初めて。ジムは大阪の『リトル沖縄』大正区にあり、ジムの入り口ではシーサーがお出迎え。

IMG_4005_R.jpg

IMG_2415_R.jpg

 取材記者の皆さんでごった返す仲里ジムで待つこと数分、高山選手がひょっこりと登場。チャンプ自ら椅子とポスターが貼られたコルクボードをセッテイングすると

IMG_2400_R.jpg


「中出トレーナーはあと30分くらいで来るので先やっといてくれと言われたんで、(囲み取材から)始めましょうか」

と記者に自ら声をかけて、記者団からも笑いが漏れる。

IMG_2405.jpg


 チャンピオンが取材で話されたことは皆様メデイア情報を適宜チェックしていただくとして、私が印象に残ったのは「ボクシングはただのド突き合いじゃないということを見せたい」という発言でありました。

 その後チャンプの通う菊華高校の校友から送られたという千羽鶴の前でポーズをとって写真撮影。

IMG_2410_R.jpg

 「ああ新聞記事って、こうやって出来ていくんだなあ」と感心していると、なんと山口賢一選手が登場。

IMG_2421_R.jpg

山口賢一選手のインタビューはこちらから
 「今日のパートナーですか?」と聞くと「そう。仮想ロドリゲスですわ」とのこと。「メキシコに行くんですか?」と尋ねると「行きますよ。俺が行かな始まらんでしょ!」というらしいお返事。ヤマケンと高山チャンプが揃うというHard Blow!的には大変豪華な練習となりました。山口選手にも今複数の対戦オファーがあるようで、前戦の敗戦後お話を伺った時に「負けたほうがオファーは来るんですよ」と仰っていた通りでありました。この辺が外部にいる人間にはなかなか分からないリアリズムであります。

 とふとジムの外に目を転じると、中出博啓トレーナーがジムの前の歩道で囲み取材の真っ最中。
そこを通りがかったヤマケンが取材中の中出氏に得意のカンチョー決める等といった和やかな一幕もございました。こういうチームだからこそ海外でも力が出るんでしょうねえ

IMG_2417_R.jpg


 高山チャンプにも少しだけお話を伺いました。

HB「目はどうですか?」
高山「大丈夫です」
HB「井上はパンチありましたか?」
高山「あの日は体重差が10キロあったのでまあ仕方ないです。ロドリゲスはフライとかライトフライでやってるような選手なので、プレッシャーの強い選手とやるのは良い練習になりました」
HB「試合会場はメキシコシティじゃないんですね」
高山「そうなんですよ。なんかまず台北に行って、それからロスに行って、陸路でテイファナから国境越えて、そこから国内線で現地に行くみたいで…。まあ一回やってるから(昨年三月のマリオ・ロドリゲス戦が同じコースでの現地入りだったそうです)心の準備は出来てますけど」
(この後中出氏より旅程が変更になって空路での現地入りとなったと伺いましたが、出発直前の変更はなんにせよアウェイの洗礼と思えます)
HB「フランシスコ・ロドリゲスは攻撃的でスイッチを多用する選手なので見ていて、面白い試合になると思うのですが」
高山「自分もそう思います」

 怪我については「仕方ない」とサバサバ総括して、「プレッシャー対策になった」と言えるところはさすがにベテランであります。今まで世界戦前のスパーを二度ほど見学させて貰っていますが、その時も高山選手は意外とクロスレンジでパンチを貰っていました。スパーリングは勝ち負けを競うものではないし、減量過程では被弾するのも当たり前、その中でいかにテーマを持った調整が出来るか?を冷静に判断出来ているという感想を持ちました。

 高山チャンプの準備も整っていよいよ練習開始であります。まずはリングでのシャドーから、ミット打ち。現時点ですでにリミットまで400グラムということでしたが、動きも軽快で玉の汗がほとばしりフィジカルのコンデイショニングのよさが伺えます。ミット打ちでは相手のスイッチ際に合わせるパンチや、捨てパンチからのボディ撃ちを入念に確認していました。

IMG_2454_R.jpg
IMG_2491_R.jpg

 続いて山口選手がリングに呼び込まれてマススパー。逃げる山口選手を徹底的に追いかけるというシチュエーションから、ロープ際やコーナーでの打ち合いを想定したシチュエーションも。4Rのスパーを終えてリング降りた山口選手に感想を聞くと「動きも切れてるし、手数もよう出てるし調子はええと思います」という感想が出ました。

 今回の調整で特徴的に感じるのは高山選手の肉体の仕上がりぶり。細くしなやかな体ながら、薄い皮膚を通して見える背筋や胸筋の浮き上がりぶりが以前と違うのです。この辺はケビン山崎氏との合作の成果なのでありましょう。

 その威力がまざまざと伝わってきたのがその後のバッグ打ちでありました。移動しながら休み無く4っつのバッグを打ち込んでいく様はまさにド迫力で、ミニマムとは思えない力感。特に右ストレートと左のボディフックは印象的で、試合の帰趨を決めるパンチになると感じました。
IMG_2562.jpg
IMG_2559.jpg
IMG_2518.jpg
 右ストレートはオーバーハンドもさることながら、コンパクトなショートストレートのスピードと予備動作の無さ、ナックルにドスンとパワーが伝わる無駄の無いフォームが印象的で間近で見るプロの技術というのは凄いものだなあとただただ感動。自分はたまたまジムの奥で見学していたので目の前でバッグ打ちを見学できてまっこと眼福でありました。

 その後再びリングに戻ってフットワークの確認とシャドー。体力的には限界と見える高山選手に中出トレーナーが「これが4団体目の12Rや!相手はヒヨッ子や!」とハッパをかける。最後のラウンドが終わり、高山選手が汗取りのウエアを着たまま精根尽き果てたようにリングに横たわると、仲里義竜会長自らがマッサージ。一時間ほどの練習ですが、物凄い密度で、高山チャンピオンも最後は相当キツそうでしたが、体が流れたり、足元が乱れることもなくまさに絶好の仕上げと見えました。

IMG_2567.jpg


 7月4日に脳の動脈瘤の手術を受けた直後ながら、熱血指導の合間にリングで軽快なシャドーも見せていた中出トレーナーにも少しお話を伺いました。「中出さん手術して少し元気になったんじゃないですか?」と冗談を言ったら「アホか!死にかけたんやからな」と怒られましたが…。

 フィジカルの充実振りといいますか、肉体改造とも言えるような体の変化について尋ねると「今までから更に上を目指してやったから」とかなり手応えを感じている風でありました。

IMG_2412_R.jpg
ジム内に飾られていたエディ賞の賞状 横書き、エディさんの写真入り、ガッツさんの名入りといろんな意味でかっこいい
 アクシデントを受けて調整法を工夫したことでコンデイショニング的にはさして問題はないのではないかと感じました。この辺はチームとしての経験の厚みからくるものでありましょう。個人的には小野戦で両方が切れた瞼がやはり不安要素で、敵地だけに不完全燃焼のストップだけが心配であります。

 対戦相手のフランシスコ・ロドリゲスjrは長身ながら攻撃的で、スイッチを多用するような器用さも併せ持つ侮れない選手。年齢も若く、ラッシュも得意でローマン・ゴンザレス相手にも一歩も引かずに打ち合った気の強さもあります。高山選手は経験とフィジカル、ヘッドワークを生かして、いかにこの若者と戦い勝つのか?練習を見る限りはインファイトを中心にした攻撃的な試合が予想されますが、その戦略も含めて期待して試合を待ちたいと思います。

 FACEBOOKを使ってボクサー本人に直接統一戦を呼びかけたこともあるという高山チャンピオン。何かと政治が幅を利かす昨今のボクシング界でありますが、相手も場所も選ばず試合に臨むその姿勢は、日本のボクサーの皆さんも大いに学ぶものがあるのではないでしょうか?実際4団体時代となり海外に活躍の場を求めるボクサーは更に増えてくると思います。後に続く選手達の指標となるような素晴らしい試合を見せて欲しいと思います。

高山選手のバッグ打ちを間近で見て縮み上がった(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

B.B says... ""
しっかしチーム高山は熱い。
中出トレーナー大一番の直前に大手術!直ちに現場復帰!!
一時はどうなるのかと心底やきもきしました。
ヤマケンさんの「俺が行かな始まらんでしょ」も高山選手の背筋から上腕の盛り上がりにも、この試合に懸ける静かな闘志が感じられます。
一丸と言いますが皆がただ一点を見つめている。
様々な障壁もすべてプラスに転じて行けるのは覚悟とやはりこのチームのキャリアだと思いました。
四団体制覇が成ればこれは大偉業、しかしそれよりも、この清々しいまでの心境に触れられたようで、感動すら覚えます。

素晴らしいリポートありがとうございました。
2014.08.04 21:07 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
いやほんとこういう風に生きられる人が一番幸福だと思いますよ
2014.08.04 22:15 | URL | #- [edit]
GSに一生を捧げる男 says... "ヒョ―ショ―ジョー"
エディ・タウンゼント賞の「ヒョ―ショ―ジョー」(大相撲の千秋楽の表彰式の名物男だったパンアメリカン航空のジョーンズ氏口調で!古すぎて恐縮です・笑)って初めて目のあたりにしたのですが温もりがあっていい感じですよね!
表彰状ってある意味トロフィーや金一封よりも「価値」があるアイテムではないか?とワタクシは思うのであります!
高山チャンピオンは8月16日にTBSのドキュメンタリー番組「バースディ」に登場されるとのことですが「勝利」で花を添えて貰いたい!と切に願っております!
PS・ところでHARD BLOW!の皆さんは「ヒョ―ショ―ジョー」を貰われた事はありますか?(笑)
2014.08.05 09:01 | URL | #- [edit]
やわらか says... ""
是非統一してもらいたいですね!チーム高山の記事大好きです。元気が湧いてきますよ、ヤマケンさんの浣腸に爆笑してしまいました(笑) 朗報まちたいです
2014.08.05 09:25 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>GSに一生を捧げる男様

おお懐かしい名前!どうもご無沙汰してます。今後ともガンガンコメント入れてください!

パンナム友好杯ですね。そのあと農協から干ししいたけ一年分が送られるんですよね。

エディ賞の賞状余りにイカしてるんで思わず写真に撮ってアップしてしまいました。

高山チャンプのバースデイは一時間半の拡大版だそうです。TBSもややこしい亀田より好青年高山にシフトしていくのではないかと。その為には勝利が欲しいですが…。

しかし世界チャンピオンの練習と言うのは凄いもんです。相手も当然やってるんでしょうけど。正座して見なあきません!

 ヒョーショージョーは学生のときにあるコンテストに入賞した時に貰ったことがあります。その時、賞状ではなく先に賞金の目録を取りに行くというたけしさんが日本アカデミー賞とかブルーリボン賞の授賞式で当時よくやっていたギャグをやって、審査員から「マジメにやらんと、受賞を取り消すぞ」と怒られました(笑)。賞罰はそれだけです
2014.08.05 23:27 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>やわらかさん

今頃もうメキシコについている頃でしょうかね。

本当にああやって誰もやったことが無い目標に向かって生きていける人が幸福なんだと思います
2014.08.05 23:30 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
チャンピオン一行無事メキシコに到着したようです
2014.08.06 13:51 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
審査員から「マジメにやらんと、受賞を取り消すぞ」
旧徳さんにもそんな時があったんですね(笑

自分はだいぶ前ですけど警察から「110」をモチーフにしたメダルと賞状貰いました。
確か路上の喧嘩の仲裁に入ろうとして「こらあかんわ」と通報しただけなんですけど、一人がたまたまナイフを持ってたからなんですね。
その後、近所の酒屋の自動販売機荒らしをバール持って撃退したんですけど、結局逃げられて何もありませんでした。
3人組の外国人でこっちの方が危なかったんですけど、体張ったからまたメダルかな?とかすかな期待は正直あったんですけど・・(笑
事件解決にならなかったからですね、たぶん。
2014.08.06 20:28 | URL | #bH1htKmU [edit]
GSに一生を捧げる男 says... ""
>旧徳様
お久しぶりです!名前を覚えていて頂いて嬉しかったですよ!
前々からコメントしたくてウズウズしていたのですが
こう見えてもシャイなので(大笑)
学生時代の表彰のエピソード最高です!
表彰されようとするが人が怒られるというのは
極めてレアですよね!
たけしさんといえば、「いいとも」の前身番組「笑ってる場合ですよ!」で表彰状を
読むシーンがあったのですが最後に自分の名前ではなく「バスカル・ペレス」(笑)と言った時は
思わずにやりとしましたよ!
たけしさんのボクシング好きを物語るエピソードとして今だに脳裏に焼きついております!
>B・B様
「見て見ぬふりをする」ご時世のなか警察から表彰されるなんて凄いですよ!
だいぶ前になりますがフランケンシュタインをモチーフにした(笑)死神というインディ-ズシーンで活躍するプロレスラ―が
もう一人のプロレスラーとともに、女性を暴行しようとした人を取り押さえ
警察から表彰されたという記事が東スポに掲載されたことがありました!
題して「死神が人命救助」(笑)
死神さんが相方の覆面レスラーが「感謝状」を手にしている写真も掲載されました!
ワタクシが目をひいたのが「感謝状}に書かれてある本名のところにモザイクが
かかっていいたことですね!
ヒ―ルレスラーとして活躍している本人たちの希望だったようですがを「プロ魂」をみる思いがしましたね!


ボクサ―が職務質問を受けたことはありましたが(笑)「人命救助」をしたという
ケースってあまりないですよね?





2014.08.06 23:13 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
GSに一生を捧げる男さん、どうもです。

いや、しかしほんとに大したことじゃ無かったんですよ。
中高生の頃、さんざんお巡りさんにお世話になったのでその巡り合わせでしょうか、おそらくたぶん(苦笑
その後、教育的指導?もあって消防署に3日間通わされて上級救命士の資格を取りましたが、プールで溺れそうな子供を掬い上げたってのが1回だけありました。
プールサイドから思わぬ拍手が起こってちょっと誇らしかったですけど、目の前でしたからねぇ、それは咄嗟に誰でも。
ボクサーの人命救助はたしかにあまり聞きませんね。
もっともそうした機会に遭遇する事も特殊な職業や環境に無い限り一般人でもあまり無いですもんね。
ジムでは危険な場所に近づかないとかトラブルに巻き込まれないようにとか指導されますから、なお更かなぁとも。
最近では昨年でしたか勝又ジムの若松竜太選手が強盗を取り押さえて地元警察から感謝状を貰ったというニュースがありましたが。
川崎新田ジムはまだ自警団ロードワークやってるのかな?
これも一部で批判があったりしてねぇ。
2014.08.07 09:06 | URL | #bH1htKmU [edit]
B.B says... ""
WBO王者フランシスコ・ロドリゲスJrの試合映像です。

フィジカルもメンタルもかなりタフ。
一発は無いですけど旺盛な手数と闘志には目を見張るものがあります。
WBO王者メルリト・サビーリョからタイトルを奪った試合。
押したり退いたりも出来る比国人が体調不良か?と思われるほど何も出来ずに飲み込まれました。
これは楽観視できませんね。
Francisco Rodriguez Jr vs Merlito Sabillo 2014.3.22
https://www.youtube.com/watch?v=6xxKuKolufE

昨年、ローマンには流石に敗れましたが、果敢に正面からの打ち合いを挑みました。
時々サウスポーにスイッチしたり、いざとなったら頭をぶつけて来たりと変化も持っています。
体は柔軟には見えませんが、防御はしっかりしていてテンプル狙いや顎を打ち抜くのはなかなか難しそう。
5R辺りからレバーも相当に効かされてますが、高山選手の左ボディからアッパーなどは有効に思えます。
Roman Gonzalez vs Francisco Rodriguez Jr 2013.9.21
https://www.youtube.com/watch?v=Aa19fcIJGKA

さてキャリア豊富な高山選手はタフなメキシコ人相手にどのような駆け引きを見せてくれるか?
本当に楽しみです!

2014.08.07 23:01 | URL | #bH1htKmU [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://boxing2012.blog.fc2.com/tb.php/329-537ca5eb