HARD BLOW !

ランキングと地域タイトル

 わがHard Blow!の執筆陣と個人的に縁があるということで注目させて頂いていた斉藤司選手の日本タイトルアタックですが、安定王者加藤善孝選手の巧さと強さの前に完敗と言ってよい内容で、応援に駆けつけた身としては大変残念な結果に終わりました。加藤選手の落ち着いた戦いぶりと高い防御の技術、そして正確な連打は明らかにチャレンジャーとは差がありました。
 
 斉藤選手からは試合後すぐに再起への意気込みを伺いましたが、あれだけ正面から目を打たれては眼疾と言うことにもなりかねません。現役生活を長く続ける為にもスピードを生かした本来のスタイルで戦って欲しいと願わずには居られません。勿論初めてのチャレンジということで正面から打ち合う力比べと言う選択をしたことは一個の見識ではあると思います。

 メインの荒川仁人×近藤明広戦はセミとはうって変わった落ち着いた大人のボクシングで、駆け引きの妙を堪能。試合終了のゴングが鳴った瞬間、破顔一笑微笑んで近藤選手に抱きついた荒川選手の姿勢にスポーツマンシップが凝縮されておりました。一方の近藤選手は入場テーマが流れればすぐにリングに上がり、試合が終わればすぐにリングから去っていくそのクールネスが印象的。個人的な印象としてはわずかに荒川選手が上回った試合かとは思いますが、近藤選手の強打でいつ終わってもおかしくないなと感じたスリリングな試合でありました。

 さてここからが本題。そんな斉藤司選手がかつて保持していたのがWBCのユースタイトル、何かと不要論を言われる地域タイトル、下部タイトルの一つであります。斉藤選手はかつてフェザー級で全日本新人王となり日本ランキングの末尾(当時12位)にランクされましたが、たった一ヶ月で不可解なランク落ちをし、なかなかランキングボクサーに返り咲くことが出来ませんでした。実際小さいジムの選手がランキングを上げていくのは大変な苦労があります。斉藤選手も当時二階級上にあたるライト級の賞金トーナメントに出て優勝したりと名前とランキングを上げるべく努力はしていたと思いますがなかなかランキングに反映されることはありませんでした。

 ランキングに戦績が反映されない小さいジムの選手はずっとタイトルマッチもできず、ワンパターンの興行を繰り返すことになります。中京圏や関西ではなおのこと対戦相手のバリエーションは限られて来ます。受け手の事情に目を転じても、首都圏であればまだボクシングをカード優先で見に行く層が分厚く存在しますが、地方ではその人口は限られています。そこで地域タイトル・下部タイトルのタイトルマッチが組めれば後援者や地元のファンにとっても顔が立つ、統括団体の幹部にも名前が売れます。海外のランカーから声がかかるかも知れません。これに手を出すなと言うほうが無理な話ではないのかと思うのです。

 地域タイトル、下部タイトルについては出場選手の質も含めて厳しい視線があることは理解していますし、タイトルが乱立すれば「で一体誰が強いわけ?」という価値基準の混乱が起こるのは確かでありましょう。しかし日本ランキング・OPBFランキングへの戦績の反映が明らかに不平等がある状態は、そもそも競争条件が公正ではないのです。現実として生きていくための判断を誰が否定できるのでしょうか?

 ボクシング界はとかくハングリースポーツと言う美名のもとで、この手の不平等や理不尽が正当化されがちであり、ファンも過酷なサバイバルを賞揚します。しかしそのサバイバルに敗れた選手は裸一貫路上に放り出されることになります。

 私もかつて地域タイトル・下部タイトルの乱立には否定的でありました。そんなある時、知己の業界関係者との地域タイトルを巡る議論の中で、意外な反論を受けたのでした。

 曰く「引退したボクサーが、就職の面接に行ったときに履歴書に『ユース王者』『地域王者』という肩書きを書けることでその後のキャリアの一助になるならいいんじゃないですか?効果は無いかも分かりませんが、面接官によっては『この人は一つのことを頑張ってきたんだな』と評価する人も中にはいるかも分からないでしょう?プロと言っても日本のプロボクサーは野球やサッカーの選手とは違うんです。今ボクシング界は世界王者でもバイトをしているような状態です。ファンは引退したボクサーのその後の人生に何か責任を持つわけじゃないでしょ?」と。このようなものの見方をしたことが無かった自分は、なるほどそういう見方もあるよなあと蒙を開かれた思いがしました。

 今年の年頭あるボクシングOBの皆さんとの酒席でのこと、やはり小さなジムでランク入り直前まで行ったボクサーの方がしみじみと言ったことも私には忘れられません。

 曰く「一回でいいから日本ランキングに入りたかったんです。そうしたら『日本何位でした』って言えるでしょ。今は普通の会社勤めしてますけど『ボクシングやってました』って言っても『へー』って言う感じなんですけど、『日本何位でした』って言えば『おお~』ってなるかも分からないでしょ?いや分からないんですけどね。でもやってきた証というかそういうものがあったらな~って今でも思うんですよ」と。

 命を懸けて、犠牲を払って戦ったボクサーも大半は一般の社会に帰って行きます。そんな選手達が地域タイトルという肩書きやランカーであったという誇りで少しでも生き易くなるなら、それはファンにとっても喜ばしいことではないのかと思うのですが…。

 そして競技人生のみならず引退後にも関わってくるからこそ、ランキングの選定は厳格な基準の下公正に行われて欲しいと思えてなりません。

 
 早く秋が来て欲しい(旧徳山と長谷川が好きです)


 

 
 

 

Comment

B.B says... ""
いや、仰る通りと思います。
自分もタイトル乱造に闇雲に反対している時期がありました。
もちろんファンの色々な視点はあるべきで、またそれぞれの持つ理想、あるいは現実に合致しないケースはあります。
しかし、選手の話しを聞くと、ファンにもまた違った視界が開けて来る。
見識を広げるとはこういう事なんだなぁ・・と改めて思いました。
昨晩もボクシング談義に明け暮れていた訳ですが、ひたすらそんな話しでした。
2014.07.30 15:58 | URL | #bH1htKmU [edit]
とっくめい says... ""
加藤との力の差は歴然だったし、通ってきた路が違いすぎるでしょうよ。ユースの王座の防衛戦の相手と日本ランカーを比較すれば対戦相手の質量は歴然なわけだし、ユースなんか業界の倫理で認めても国内を混乱させるだけだし、ユースの王者なんて自己満足だけの肩書きでいいんですか?
王者なんて誰でも彼でもなれるわけでないし、タイトルに挑めるわけでもない、だからこそ日本王座は価値があるのでしょう。だからこそ「日本王者だった」「日本ランカーだった」ということに価値が出てくるわけでしょう。
HBの方の論理は正直言ってファン寄りと言うよりは関係者側に日和ってる様にしか見えません。一部関係者と近しくなりすぎて木戸銭払って観戦するファン目線から遠くなってるとしか思えませんわ。選手の話を聞いても「自分に都合のいい話」をするケースでは意味無いと思いますがね。
2014.07.30 23:35 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>とっくめい様

ご精読を頂きありがとうございます。


加藤王者と斉藤選手の間に実力差があったことは記事中にて当方も触れております。

その上で。日本王者への挑戦者の序列の公平性が担保されていないことへの疑問を踏まえて、地域タイトルや下部タイトルの必要性があるのではないかというのが趣旨であります。

ましてOPBFのタイトルは戴冠、防衛したところでIBFやWBOのランキングへの反映があるのかといえばはなはだ怪しい。4団体時代に応じて下部タイトルのあり方にも変化が生じているのではと言う問題提起でもあります。

>一部関係者と近しくなりすぎて木戸銭払って観戦するファン目線から遠くなってるとしか思えませんわ。

木戸銭払ってるファンにも様々な意識があるということであり、ファンにも時代の変化に対応した意識の変化が必要であると思います。日本王者・東洋王者を長期防衛していても「では次は世界へ」というような業界事情ではもはやないですし、世界をとった所でそれが重荷になるような時代であります。

>選手の話を聞いても「自分に都合のいい話」をするケースでは意味無いと思いますがね。

そうではなく選手の話を聞いてファンとしての見解が変化したということです。チャンスが平等でないことが前提として共有されているようなスポーツはおかしいということです。
2014.07.31 06:45 | URL | #- [edit]
L.S says... ""
世界の情勢は常に変化しています。特にここ数年で各団体の地域タイトルが増加したため、地域タイトルの獲得なしに世界ランカーになることが年々難しくなってきています。

日本タイトルといいますが興業的には後楽園タイトルです。過去に比べて興業価値が落ちているため、挑戦者側からも集客が必要となります。そこで、集客が見込める関東圏の選手が挑戦者として選ばれます。関西のチャンピオンが誕生した場合も、やはり同じ傾向はあります。ある地方の関係者が「関西が持ってくれれば選手が関東より少ないので、そのおこぼれでチャンスが回ってくる可能性がある」と言うのを聞いたことがあります。

OPBFもそのほとんどが日本で開催される準日本タイトルもしくは日比対抗戦です。フィリピン選手が欲しいのはファイトマネーであってタイトルではありません。本当に実力のあるエース級のフィリピン選手がOPBFタイトルマッチに出場することはまずありません。

現在この2つのタイトルのいずれかを取らなければ、国内で世界挑戦をすることができないのは周知の事実です。しかし実力の前に運か政治力がなければタイトル挑戦の機会など回ってこず、ずっと待たされることとなります。またこれらのタイトルを獲得したところで、OPBFなどはWBCの下部タイトルであるため、その他の団体には何の影響力もありません。

特に現在タイトルを持っている選手にケチをつけるわけではありません。運と政治力の他にきっちりと実力も備えていたのでタイトルを獲得していることも、一方の側面だと感じます。

現在のシステムでは実力以外の要素がなければ、上に行くことがなかなかかないません。斉藤選手の場合は、ユースタイトルの獲得履歴が挑戦者選考に影響したのであれば、ユースタイトルは彼にとって非常に有用だったのではないでしょうか。

世界は変化し続けています。にもかかわらず旧来の指標にしがみついているのであれば、世界で闘っていく力はえられないのではないでしょうか。近年では日本人海外世界戦40連敗というのもありましたし、解禁後すぐに亀田兄弟が獲得したためありがたみが薄れましたが、今年に入り大場、井岡、長谷川、石本、帝里と国内トップ選手が軒並みIBF世界戦、指名挑戦者決定戦で敗退しています。(5選手の共通点は、対戦相手が選択できないこと)。

タイトルは指標になりはすれども、既に絶対的な権威ではありません。自己の評価はタイトルの有無ではなく、戦歴と自身の試合で証明し続けるしかないのではないでしょうか。ただ、そこに辿り着くまでのルートに多様さがなければ、政治力の犠牲になる選手はなくならないのではないでしょうか。
2014.07.31 12:39 | URL | #- [edit]
やわらか says... ""
古くは中日本王者なんてのがあったらしいですからね。古いポスターみてこんなんあったんだなと。
2014.07.31 22:38 | URL | #- [edit]
とっくめい says... ""
だからユース獲得が日本王座を狙わないスケープゴートになってるのが嫌なんだけどね。
防衛戦とか獲得した相手とか戦意十分な相手を上げるのが難しいでしょうに。倒れ屋さんが大半の相手なんだから知り合い以外は金払って観に行く気もないって。
後楽園限定タイトルと言うのは勝手だけど日本王座を軽視し過ぎだね。日本王座を後楽園で争って来た先人の戦いが日本のボクシングの土台を支えてること考えるとこんな軽薄なこと言えやしない。IBFやWBOを認可したのだって世界的な趨勢に合わせて統一戦などのビッグマッチ実現に近付ければという期待があったけど、今や穴王者狙いの意図が見え見えだし、業界寄りに意見したって展望なんか見えやしない。
タイトルは関係なく戦歴を見て選手を評価するのは正しいけど、泡沫王座の認定がキャリアの大半がわけわからないインドネシアとかタイのカマセばっかりと戦っている歪な戦歴の選手を量産する手助けになってるようにしか思えないんだけどね。
ファンにも時代に変化した意識の変化が必要かも知れないけど、ある意味「大きなお世話」だね。自分だけ変化してればいいんじゃない?
2014.08.01 08:10 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
>ファンにも時代に変化した意識の変化が必要かも知れないけど、ある意味「大きなお世話」だね。
>自分だけ変化してればいいんじゃない?

本音を言えばその部分は自分にも今でもあります。
何故,、日本はこれまで頑なに堅持して来たポリシーとした処の「タイトルの価値」に執着せず、簡単に容認してしまったのか?
他団体加盟の後に見えてくる物は仰る通りで容易に想像できたからです。

以前にも書きましたが、そもそもというか、IBF、WBOも世界の趨勢だからという建前の理由でだけで認可するのは如何なものかと。
何故しっかり議論してファンにも理解を求めなかったのか?と。
世界タイトルの価値が安くなれば順繰りにローカルタイトルも安くなるのは目に見えています。
卵が先か?どちらが先か?の話しにしても、いずれにしてもこれは市場原理でもあります。
かつての日本タイトル戦がいかに熱かったかを知る世代にいる自分は残念で仕方ない。

しかし、動きだしたからには変化し行く現実の前に立ち止まっている事はもう出来ない、対抗して行かなければ、とL.Sさん実際を挙げて言ってる訳です。
頑なに日本だけは違うともはや言っていられない現実がそこにあると。
展望は今いる足元の位置を四方から確認しなければ見えて来ないでしょう。
その意味でもこの議論はボクシング論壇に成り得る重要なテーマだと思います。

変化について、また違った側面でも考察しなければならない事がありますが、それは今度。
2014.08.01 09:55 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>だからユース獲得が日本王座を狙わないスケープゴートになってるのが嫌なんだけどね。

スケープゴートって言うのは生贄の羊のことで、転じて冤罪や捏造された批判対象の事です。というわけであなたの用法は語の使い方として間違えております。

>泡沫王座の認定がキャリアの大半がわけわからないインドネシアとかタイのカマセばっかりと戦っている歪な戦歴の選手を量産する手助けになってるようにしか思えないんだけどね。

例えば誰でしょう?

>ファンにも時代に変化した意識の変化が必要かも知れないけど、ある意味「大きなお世話」だね。自分だけ変化してればいいんじゃない?

いや変化しているのは世界・環境の方です。私は現実に追いついてすらいません。

野球やサッカーで当たり前に起こっているグロバリゼーションの影響を日本のボクシング界も受けているという現実認識の話です。対応しなければ日本人ボクサーの地位は低下するだけです
2014.08.01 22:56 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
旧徳さん、エスケープの間違いでしょ、たぶん。
ざっくばらんにいきましょ、堅苦しくなる。
それ以下は旧徳さんのおっしゃるとおりと思います。
2014.08.02 05:08 | URL | #bH1htKmU [edit]
ビートル says... "全選手に最低限公平な機会を"
 ボクサーのランキングは本来ならば、実際に試合を行って決めるのが筋です。ただ、ボクシングの試合は年間にそう何試合もできるものではないので、どうしても作成者の裁量で決定せざるを得ない面があるのは否定できません。しかし、現状のランキングの作成には大きな問題があります。まず、作成基準や過程が不透明で作成者の恣意を排除できないこと、不当なランキングがなされてもそれを是正する手段に乏しいことが挙げられます。次に、そもそも地方の弱小ジムの選手はランキング入りしてランクを上げる機会をまともに得られないという悲惨な事実があります。仮に第一の問題が解決されても、第二の問題がそのままでは根本的な解決にはなりません。

 しばしば弱小ジムの選手に対して「実力でランキングを上げて、指名挑戦権を手に入れ、タイトルに挑めばよい」と言われます。しかし、ランキングを上げる機会が十分に与えられず、かつ、その戦績が公正に取り扱われないとすれば、もはやどうにもならないというべきです。大手ジムの選手が多少有利なくらいで、それ以外にもっとまともなチャンスがあるというのならまだよいのですが、今のボクシング界の状況はそんな生易しいものではありません。これでは弱小ジムの選手が「少々胡散臭い」地域タイトルや下部タイトルに挑んででも名を上げたいと思うのも無理からぬことです。彼らの行いを批判する前に、まず最低限公平な機会を与える方が先でしょう。
 私は全選手がオープンに参加でき優勝者に無条件で王者への挑戦権を与える大会を毎年開催すべきだと思っています。そのうえで大会の結果をランキングの作成に反映させれば、ずいぶんと状況が改善されるでしょう。東洋太平洋レベルや世界レベルでこのようにするのはなかなか難しいでしょうが、日本国内だけならば十分実現可能のはずです。国内の全選手が目標をもって試合をするようになりますから、競技全体が活性化されると思います。
2014.08.03 21:24 | URL | #dJddGAtI [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>ビートル様

日本タイトル、東洋タイトルを取ることが世界挑戦の条件というなら、そこにアクセスする機会は担保されていなければならないと思います。ランキング選定の根拠を明文化するとか、あるいはランキング会議の議事録を公表するなどの情報公開があってしかるべきだと思います。

最強後楽園が本来は日本タイトルへのアクセス経路となるはずだったのですがなかなか機能していませんね。きちんと見返り(はっきり言えば賞金)があればもう少し参加意識も増すのではと思えますが。

日本・東洋王者を防衛していてもなかなか世界戦を出来ない現状では「日本タイトルより下部タイトル・地域タイトルとって直接統括団体と顔をつないだ方がチャンスが増える」と考えるのは極めて合理的・論理的な判断だと思います。

だからこそ日本タイトルやOPBFがタイトルとしての魅力を増すような根拠が必要だと思います。


2014.08.04 00:03 | URL | #- [edit]
ウチ猫 says... ""
なんだか最強後楽園はこのままフェードアウトしそうですね。
このイベントが出来たとき、私は「こりゃあ地方ジムの有力選手が殺到して、そのうち8人トーナメントになるんじゃないか」等と夢想しておりましたが、何のことはない、最近では4人すら集まらない状態です。
これで「地方にはチャンスはない」と言うのはどうなの?と思っちゃう面もありますから、その意味ではとっくめいさんなんかのお怒りも理解できる部分はあります。

他の多くのスポーツであれば、自然に(また厳然と)「国内<アジア<世界」のようなヒエラルキーが出来るもので、ボクシングに関しても、ファンの意識としては「そうあって欲しい」と思っているでしょう。

しかし、そこで商売をしてる方々にとっては、やはりボクシングは「スポーツ」という以上に「興行」であり、そこに無理矢理「世界に行く前に日本・東洋」といったスポーツ的建前をはめ込んでも抵抗があると思います。

他のスポーツでいえば、日本選手権で優勝すれば五輪代表になれるのと同じように、日本・東洋を一定回数防衛すれば世界挑戦の機会が与えられる…というなら頑張りようもありますが、いくら強くたって(例えば飯田橋方面にお金を積んだりしないと)いつまでも世界には挑戦できないよ、というのが現状だとしたら、そんなルールはクソ食らえ!となっちゃうでしょうね。

かつてのボクシング黄金期においては、世界を頂点とするタイトルの序列が、そのまま興行的な価値とも比例していたんだと思いますが、そういう健全な状態を目指す為にまずはルールの枠組みから、というのであれば、上記したような「日本代表ともいうような強い選手には優先的に世界挑戦の機会を」というところまで面倒みて欲しいですけどね。

「いやぁ、世界王者を呼ぶのには金もかかるし、それはビジネスの話なんで…」というのなら、下部タイトルや地域タイトルを利用して統括団体との関係を作るのもビジネス上の正当なチャンスメイクなので、誰も否定する権利はないでしょう。
その権利があるとしたらそれはお客だけですから、「タイ人呼んでの名前だけのタイトルなんで価値がない」とそっぽを向けばいいだけの話。
しかし現状として、日本人同士のランカー対決や、ランカー×元ランカーなようなサバイバルより、謎タイトルマッチの方が集客出来るんだとしたら、それがボクシングの現実だということだと思います。

すでに長くなってるのでまた別途書きますが、個人的には「ボクシング」はあくまで「ボクシング」であり、「スポーツ」ではない、と思ってます(まあ厳密にいえばプロボクシングに限定してもいいかと思いますが)。
これは何も日本だけのことではなく、世界的にもそうだと思いますよ。
あの10点法の採点方法ひとつ取っても、「これ、いつの時代の化石ルールですか?」と思ってますし。
2014.08.04 03:22 | URL | #nZcYMxmY [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
アマチュアの地元判定が問題になったのも要はオリンピック競技だからだと思います。

FIFAのアンチレイシズムもそうですが、グローバル市場を狙うスポーツは平等・公平という建前を徹底せざるを得ないわけです。

2014.08.04 21:05 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
僕はプロボクシングの未来の為にも“スポーツ”であるべきと訴えて行きたいですね。

選手はもうプロ(プロである以上ある意味のエンターテイナー)として輝けないと引退を決意した後もボクシングへの執着を見せますし、そこからはやはりスポーツと言うカテゴリーにある事を無意識のうちにも望んでいると感じます。
ボクシングこそシンプルにして最高のスポーツと、体験的に知る事になるからです。
これはその他の競技と比較するものでもありません。
その意味ではウチ猫さんの言う「ボクシングはボクシング」という言い方には賛成です。

また選手の面倒を見るジムの人たちもボクサーの社会的ステータスに思いを馳せる。
何故これほどまでに過酷な競技に身を置いた選手の「社会的地位は低いのか」と嘆かれる。
そこでセカンドキャリアを後押しするシステムの構築やボクサー達の受け皿を模索する人達、また自らがその道のパイオニアとなって頑張っている人達がいます。
その共通するところは「元ボクサーだからこそ」という意識。
言い換えればボクシングと言う競技、プライドそのものでしょう。
スポーツとしてのち昇華したからこその意識だと思います。

しかし一方で、スポーツとしての環境が現在のプロボクシングには成り立っているのか?という疑義、あるいは議論は大いに進めなければならない現実です。
これまでも貴重なご意見が寄せられておりますが、決められた階段、プロセスを経てもチャンスが中々訪れないケースがあります。
確かに、これがスポーツと言えるのか?と言われれば、興行と言う側面とか運だとかの思考停止の言い訳をして逃げるか、黙るかしかありませんね。

長くなりましたが、一例としてですが今一番気になるのは岩佐選手です。
山中選手とのホープ対決に敗れた後、直ぐに日本タイトルを奪取。
その後二度防衛して返上は世界戦サークルが視界に入ったからでしょう。
モレノに惨敗したものの辛うじて世界ランキングを持っていたデラモラを踏み台にして、これは亀田と絡むWBAとの両睨みだったでしょう。
対戦を訴えてもこれは亀田は受けてくれない、実現の可能性は低い。
その後OPBFタイトルを椎野選手と争い現在国内トップの実力を更に示し、レーティングでも現在世界5位。
山中選手がそうであったように岩佐選手にも直ぐにでも世界戦チャンスが訪れてもおかしくは無かった。
この三年間、水面下で何らかのオファーがあったかも知れないが、実現しなければモチベーションは保てないでしょう。
岩佐選手の前戦OPBF防衛戦を観ましたが停滞感がありありと伺えた。
日本王者時代には防御にも一抹の不安があった山中選手が世界獲った後の進化。
これには誰もが目を見張るものがありますが、それとは非常に対照的。
ボクシングはそれほどにメンタルが(精神力が強い弱いだけでは無く)重要だという事。

今は表向きロビー活動自粛となってますが、これも透明化して堂々とそして公平正当に交渉できるシステムが出来ないものかと思います。
これはビートルさんと旧徳さんが触れたランキング作成委員会にも言える事ですね。
何より残念なのは未来が見えない者に幾つもの才能が潰されて行く事です。

ならば、L.Sさんの言われる多様性をも認めなければならないと自分は考え始めています。
要は世界の趨勢としてFもOも認めたのだから下部タイトルもすべて認めるのが筋だろうと。
そこから新たな価値観を作るしかない状況だと考えます。
なるほど高山選手の4団体制覇への挑戦の意味が益々光りを帯びる。
2014.08.05 07:26 | URL | #bH1htKmU [edit]

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