HARD BLOW !

斉藤司、日本王座初挑戦は無念のTKO負け!

本ブログ(というか私の)一押しのボクサー・斉藤司が、念願の日本タイトルに初挑戦!
この晴れ舞台をぜひ見ようと、大阪から旧徳氏も上京し、HardBlow!の全メンバーが集まった後楽園ホール。

試合前に一言激励をしに行くと、ここにもテレビカメラが。今回はG+での中継があるのだ。

控え室

アンダーカードもKO続出でバタバタと進み、いよいよタイトルマッチの選手入場。
私たちのいた西側から南へ目を転じると、南側スタンドの青コーナー寄りの大半を「必勝ハチマキ(斉藤司応援アイテム)」が埋めている。
前ふりのアナウンスによると約400人の大応援団が駆けつけたそうで、彼の人気ぶりが伺える。

リングイン

試合が始まり、まず一番の懸念は初回の立ち上がり。
元々スロースターター気味であるので、体の硬いうちに一発効かされてしまうとアッという間に終わりかねない。
チャンピオン加藤に対し、スピードは確実に斉藤が上回っているので、出だしは足と左を使い慎重に…と思っていたら、いきなり頭をつけてのドツキ合いに出た斉藤。

加藤は硬いガードをベースにしたディフェンシヴなスタイルで不用意な被弾が少なく、たまにいいのを食ってもそこからの立て直しが非常に上手い、まさに王者向きの戦い方をする選手。さすがにいきなりの特攻でも慌てるようなことはなかったが、まずは王者を守勢に回らせ先手を取ることには成功したか。
左ボディから右フックのコンビネーションを軸に強気の攻めをした斉藤が、序盤はペースを握ったかに思えた。

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しかし、この斉藤の攻めは王者加藤にとっては嬉しい誤算ではなかったか。
自分が見た中で斉藤司のベストパフォーマンスは石川昇吾戦だと思っているのだが、あのようにキビキビとした忙しい出入りから、リラックスしたスピードのあるコンビネーションを繰り出せば、加藤もかなり苦労するのではないか。そうしてポイントを「五分~微差」くらいで終盤に入れば、倒すチャンスも来るのでは…というのが、自分なりに描いた斉藤勝利の絵図であった。

加藤陣営も、そうしたパターンを想定してスピード対策を練ってきたんじゃないかと思うのだが、蓋を開けてみたら自分の得意の土俵で挑戦者が仕掛けてきた。このままこれを続けてくれるのなら…というところで、3回から王者の反撃が始まったのではないだろうか。

斉藤は変わらずゴリゴリ前進して威勢はいいのだが、時折当たる左ボディの後が続かない。
加藤の顔面のガードが固いことはわかっているはずで、叩きつけるような右フックオンリーでは状況の打開は難しそうに見える。
彼のパンチで私が一番好きな、綺麗に伸びる右ストレートがこの試合では結局ほとんど見られなかった。
シンプルなワン・ツー・スリーをもっと織り混ぜて組み立ててみれば…というのは見てるだけの外野の意見なのだが。

いずれにしても、加藤は3回までに斉藤の攻撃はおおよそ見切った感があり、ここから細かく速いワンツーを主体に斉藤の顔面を跳ねあげていく。

この3回途中あたりから潮目が変わったと思うが、そうなると容易に主導権を譲らないのが王者加藤の上手さであり、挑戦者斉藤は逆に若さを露呈してしまった。

少しムキになったか、真正面でデンと構える斉藤の顔面に面白いようにパンチが入る。斉藤も右強打の致命傷だけは食らうまいと、左手を終始顔の横に置き、ガードの意識を保っていたのだが、その内側から何度となく左右のショートをねじ込まれてしまう。

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ジワジワとダメージが溜まりつつあった4回、カウンターの右でグラつき、さらにその後追撃の右ストレートを再度もらい、ついに斉藤ダウン!

ダメージ自体も深刻で、展開もあまりに悪い。このダウンにより、早くも4回にして、勝つにはKOしかないような状況になってしまった。

しかし彼には、そういう一発逆転を起こす為の武器は備わっている。試合を諦めない強靭な精神力であり、豊富なスタミナであり、右に秘めた破壊力である。本来ならそこにスピードが加わっているはずなのだが、ダウン以降、顔面のガードを固めるとそこで今度は左右の強烈なボディが飛んできて腹も効かされてしまった為、足はもう使えない。

どこかで一発、岩下幸右を吹っ飛ばした時のような右が決まれば…しかし、そこはさすがに長期政権を築いている王者。万に一つの間違いも許さない磐石の試合運びでリードを広げ、迎えた8回、カウンター気味のジャブで斉藤がフラッときたところでレフェリーが割って入った。タイミングとしてはいいストップだと思う。

試合終了

負けてしまったことだけでなく、せめて最後まで抵抗しようとすることすらも叶わず、思わず泣き崩れる斉藤。

これでプロでは3敗目であるが、内容としては一番厳しい敗戦だろう。心身のコンディション不良やラッキーパンチといった言い訳の効かない完敗といえる。

ただ、この試合は完敗でも、選手としての能力は別の話。帰り際にロビーで会った三谷会長は「すいません、真っ向から行かせた僕のミスです」と言っていたが、王者を倒すポテンシャルは十分秘めていると信じたい。

有力な選手が集うライト級、そう簡単にチャンスは訪れないかもしれないが、来るべき日に備え、まずはゆっくり休んで、また走りだして欲しいと思う。

試合後ロビー

◆◆◆

かなり前の拙文でもご紹介したとおり、斉藤選手は「プレッシャーが大きければ大きいほどそれが力になる」という強心臓の持ち主。しかしその期待に応えられなかった時、悔しさはその分大きくなるのも当然ですが、その悔しさをまずはグッと堪え、ホールの観客がすべて退場するまでロビーでお礼の挨拶をしたり、写真撮影に応じておりました。
いつかこの日のことを、「いいキャリアを積ませてもらった」と肯定的に語れるように、また這い上がって来ることを期待してます!

(ウチ猫)

Comment

等々力酸素魚雷 says... ""
斉藤選手残念な結果でした。
足を使ってもう少し出入りを激しくしたり、もう少し策はなかったのか。正面に立ってあれだけまともに受けてたら選手生命にも影響しかねない。
加藤選手は堅実な試合運びでしたね。残念ながら一枚も二枚も上手でした。

斉藤選手はまだ24歳。パワーもスタミナも申し分ない。まずはディフェンスの向上を。
再起に期待してます。
2014.07.29 01:07 | URL | #ncVW9ZjY [edit]
B.B says... ""
斉藤選手はフットワークと左で試合を作れる選手ですからねぇ。
というかそれが持ち味と思ってました。
タイトルを取るボクシングをすると言っていたので、序盤の意外な展開には驚きました。
実力差は確かにあったとは思いますが、自分のボクシングを取り戻す事が出来たら載冠のチャンスは必ずあると信じています。

キャリアを経て強くなる選手は自分の頭で考える事が出来る選手。
何故なら自分の手足は自分にしか自由に動かす事は出来ないのですから。
2014.07.30 16:21 | URL | #bH1htKmU [edit]
いやまじで says... ""
ちょいとおそくなりましたが感想を。

私にとってのこの試合の位置づけは、世界ユース路線でタフな戦いから遠ざかっていた斎藤選手がリハビリ途上でつかんだチャンスというものです。

もちろん勝利のチャンスはあると思いましたが、勝つにしても負けるにしろ、次につながる試合になればよいと思っていました。

それと注目したのが序盤の戦い方。

これまで斎藤選手の定番の戦いというものがどんなものなのかつかめずにいた私なので、課題をもって戦ってきたこれまでの数試合とちがって、これまで身につけた技術=引き出しを増やした上で、ナチュナルな彼の戦いが見られるのではないかと考えていた。

実際はどうだったか。前に出て頭をつけて密着し左ボディと右の打ちおろしで攻め続けるというもの。初回から主導権を握る、不用意な被弾をしない、などを主眼とした戦い方。たしかにスロースターター気味の斎藤選手、これまで序盤にいいパンチをもらってピンチを招くことはたしかにあった。この日のように左のガードをぴっちり顎につけての戦いは、ディフェンス面でもリスクを減らせる。ある程度初回から飛ばして行くところまで行く。ポイントをとる。つまり、「勝つ」ために最善と考えた策を練り実践したのだとうかがえる。

これで相手にダメージを与えることができれば言うことはないのだが、そうはならなかった。斎藤選手のスピードはたしかに加藤選手に勝るが、相手に頭をつけながらパンチを繰り出す斎藤選手の腰は、パンチが当たるたびに浮いていた。つまり、ウェイトがパンチに乗ってはいなかった。ダメージングブローは少なかった。そしてその割には力を入れて打っているのでスタミナは必要以上にロスしている。

2Rあたりまで様子見していた加藤選手、4Rに斎藤選手の左のガードを下から破ってダウンを奪う。死角のため左右どちらかわからなかったが顎への一撃。狙い澄ました一発であろう。

斎藤選手としては1Rからの戦い方に特に問題がないかぎりこれを続けるしかなかった。同じ戦い方を単調に繰り返せば相手に読まれる、ゆえに変化をつける。これはこれで一つの考え方だが、通用している戦い方、相手がいやがっている戦い方を変える必要もない。だから斎藤選手の戦い方がまちがっていたとは思わない。ただ、考えるべきは、加藤選手が「いやがっていた」かどうかの判断である。これは経験問題、どれぐらいの相手ならどれぐらいのことをしても大丈夫で、これぐらのことをしたらまずい、と判断がつくかどうかの問題である。この試合では結果論ではあるが、斎藤選手に加藤選手がじっと斎藤選手の動きを見極め、次の一手を考えていたことを察知することはできなかった。

ダウン後、なんとか窮地をしのいだ斎藤選手。私は苦戦は予想していたので、このような場合の斉藤選手の次の一手に注目していた。それこそ斎藤選手の真価が問われるところだと。しかしそれはあったのか。それなりにダメージを負っていたので、余裕はなかったであろうが、それはセコンドも含めて仕事のできるところ。しかし戦い方に大きな変化はなかったように思われる。

ダメージ回復に努めつつ反撃の機会を狙う。割り切って足を使い、徹底して相手の射程外で1Rを過ごすなんてことはたしかになかなか日本では見られないが、そういう戦い方があってよかったと思う。

有効な反撃のできないままダメージを重ね、特に相手の正面で相手の右をまともにもらってしまう癖?は、ダメージによる反応力の劣化もあるのだろうが、とにかくジリ貧のままレフェリーのストップの声を聞いた。

結果として惨敗、完敗といっていい。ただ、まちがって勝つ、あるいは、変に勘違いして負けるということはなく、正面から戦って、現在の実力差通りに敗れたというのが率直な印象である。

試合後、チャンピオン加藤選手は荒川選手と並んで将来の対決についてコメントしていたが、そういう相手と戦い、これまで知らない世界を知ることができたのではないか。世界との距離は以前よりは身をもって知ることができたのではないか。その意味では将来の糧になる戦いではなかったのか。

かなり思いこみが多いとは思うので、陣営にいろいろ話を聞いてみたいとも思っているのですが、

とにかく私は今そんなふうに思っているのです。
2014.08.14 00:25 | URL | #Twj7/TDM [edit]
B.B says... ""
いやまじでさんが言われるようにダメージの蓄積は心配ですねぇ。
2014.08.14 08:31 | URL | #bH1htKmU [edit]

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