HARD BLOW !

高山×小野、アムナット×井岡 アムナットに徳山の影を見た!

IMG_3318.jpg
『そう!そう!ナイス!』のホメ上手ケビンさんからのお花に思わず反応して撮影してしまった筆者

 なぜか連休明け初日と言う設定で行き難いったらありゃしないダブル世界戦ですが、昼飯抜きで仕事してなんとか夕方会場に辿りつきました。会場入り口に今回もズラリとランボルギーニが並んでおりましたがあれってなんか意味あるんでしょうかね?成金趣味でちと辟易。まあいいんですけどね。貧乏人の僻みです。

 一翔くんがテレビ番組で運転してたランボルもきっとこちらのスポンサーが提供しているものなんでしょうね。その番組中一翔君は、従来のボクサーのイメージを変えたいという思いからスーパーカーを転がしてファッションにも気を配っているという旨発言していましたが、タニマチから頂いた車やジュエリーという記号は失礼ながら昔ながらのボクサーのイメージそのものと言う気がいたします。本来なら国内トップ選手である彼あたりが記者会見で契約書を掲げて「今回のファイトマネーは○○万ドルです!」とカミングアウトし、自分の稼ぎで買った車や家を堂々と見せびらかして欲しいのですが...。野球のメジャーリーガーやサッカーの海外組選手のように腕一本で稼いだ大金を自由に使ってこそ若者の憧れとなれると思うので、是非頑張って頂きたい。

 酸欠上等の井岡ジム興行とあって過密状態は覚悟の上で場内に入りましたが、あにはからんやいつもよりは少しマシなくらいの混雑具合で何とか空席を探して着席。ですがTBSの中継カメラの前後の席がかなり潰されておりとても不可解。ある程度スペースはいるかとは思いますがあんなカメラの後ろまで何列も潰す必要はねーだろと思いました。

 リング上はOPBFライト級タイトルマッチが始まるところ。中谷正義チャンピオンは井岡・宮崎に続く井岡ジムのホープで、現日本チャンピオンの加藤にも際どく勝利している若き実力者。前から見たかった選手なので急いでかけつけたわけなんですが、リング上で相対した両者を見て少し驚いてしまいました。この日の対戦相手の輸入ボクサー原田門戸選手が大袈裟でなく頭一つくらいサイズが小さいのです。こりゃーちょっと体格差ありすぎだろと思いましたが、中谷もライト級にしては長身(公称182センチ)なのでまあ原田が跳びぬけて小柄と言うわけでもないのでしょう。中谷は序盤から軽快なフットワークに多彩なパンチを見せてペースを支配。評判どおりの豊かな才能を感じさせる戦いぶり。一方の原田は小細工せず、あくまで中谷の正面に対峙しながらインサイドからストレートをバンバン叩き込んで応戦。対格差を物ともせず打ち合いに挑みます。最初はテクニックでいなしていた中谷も中盤以降は徐々に原田の圧力に押されるシーンが目立ち始め、ついに9R原田のラッシュに飲み込まれて防戦一方に。この場面はストップ一歩手前でありました。このピンチをしのいだ中谷は、その後は慎重に距離をとって原田を封じこめてなんとか逃げ切り勝ちしたものの顔はボコボコ。私には原田選手の気風のいい戦いぶりが大変印象に残りました。

 そのあと井岡ジム名物の長い休憩を挟んで、『彷徨う拳』から『戦う高校生』になった高山チャンプの二度目の防衛戦。青コーナーから入場した小野選手はフードを深く被って表情は見えませんが雰囲気充分の佇まい。落ち着きを感じさせます。一方の高山チャンプはいつもどおりの軽快な足取り。中出トレーナーをして『フィジカルの調整は失敗したことがない』と言わしめる磐石のコンデイショニングを感じさせます。戦前予想は圧倒的に高山有利と言う見立てが大半ですが果たしてどうなるか?
DSCN3923.jpg
『蜂のように差せ!』のメッセージ入りガウン

 高山チャンプはいつもどおり軽快なテンポで小野に迫り、この試合でも1Rから強い右パンチをヒット。昨年末のシルバノ戦のように序盤からペースを掌握するかに見えましたが、そこから小野心ワールド炸裂。目立たないながらも的確なフットワークと上体の動きで巧みにスペースを作って高山のパンチを殺し、独特のタイミングで遅れて出す左ストレートを伸ばして高山の顔を何度も跳ね上げる。パワーは感じさせないが見栄えのいいヒットを重ねて確実にポイントをピックアップしていく小野。高山は噛み合わない相手に根気よくパンチをぶつけて、チャンスを待つ我慢の展開。

DSCN5493.jpg
この日特に目立った小野の左

 やはり念願の世界戦ということで小野選手のモチベーションは相当高そうで、不完全な体勢からでも切れる左が途切れない。一方高山は6Rからスピードのあるジャブを織り交ぜて先手を取りペースを奪還しにかかる。

DSCN5905.jpg

高山もジャブで応戦

 しかし小野の左の切れは健在。7、8Rと立て続けに高山の瞼をカットして、大きくチャンスを引き寄せる。これに対して高山陣営はプレスを強めてペースアップ。右のタイミングも徐々に合いだしてジリジリと小野を削っていく。

DSCN6128.jpg
パワーアップした右フック
DSCN5450.jpg

右ストレート リングサイドに小野のジムメイト河野と内山の姿も...

 9Rの後半見せ場を作った高山は10Rロープの間に体が入った小野を滅多打ちにしてついにダウンを奪取。

DSCN6613.jpg

 このシーン自分の席からは小野の背中越しで何が起こったか分からなかったのですが『小野が抗議してないから多分ボディが当たったんだよなあ』と思いましたがあとで確認したら全然違いましたね。小野もスタミナが苦しく動きたくても動けなかったのでしょう。ダウンを取った高山は一気に攻勢、終了間際に大きな右フックを決めて小野を吹き飛ばす。11Rは一気に決めたい高山を小野が必死で押し返し激しい打ち合い。

DSCN6889.jpg
小野が死力を尽くして意地の反撃
DSCN7104.jpg
高山の強烈な左ボディ

 しかし高山のフィジカルが上回ったか?12Rには無尽蔵のスタミナで最後のラッシュ。スタミナが切れた小野を追い込んで的確に右をヒット。接近戦で小野は崩れるように膝をついて二度目のダウン。体が意思を裏切るような印象的なダウンでありました。小野は意地でストップを拒否したもののダメージは明らか。3-0で高山という判定結果は異議の無いものであったと思います。

 どちらかというと噛み合わない展開だった前半戦から一転、後半は白熱の打撃戦となりましたが、そうなったのは高山陣営が小野のスタイルにアジャストして攻略した結果であると思います。展開自体は、世評と違い中出トレーナーの予想通りでしたが、後半3ラウンドで高山がフィジカルと経験からくる巧みな試合運びで明確な差をつけてクロスゲームの帰趨を決しました。負けた小野選手の評価も上がるようなニクイ試合でありました。両選手お疲れ様でした。

 ここでまたも井岡ジム名物長い休憩と予備カードとなりましたが、アリーナで観戦していた知人が急用で帰るということで『良かったら私の席で見てください』と言う嬉しい申し出があり、そりゃスイマセンということで仕事帰りで汚い作業着姿のままアリーナに下りると山口賢一選手に遭遇。翌日早朝の飛行機でマニラに発つという山口選手に「調子はいかがですか?」と聞くと「(試合直前で)メシ食ってないのに(応援で)体力使いすぎました。負けたら高山のせいですわ」と疲れているでしょうにサーヴィス精神溢れる回答を頂きました。

 さていよいよメイン。スピード三階級制覇を狙う井岡ジムの作戦は果たしてうまく行くのか?まあ実際私にも井岡が負ける姿があんまり浮かんでいなかったのでありますが...。

 序盤は井岡は様子見に徹してガードを固めますがこれはいつものこと。一方のチャンピオンアムナットは長い手を生かしたジャブで先制し、井岡のジャブは確実にブロック、前進してくればアッパーで迎撃。中間距離では絶妙のクリンチワークに阻まれて、井岡は思ったように得意のボディが打てない。井岡のパンチの距離やストレートの軌道を見切ったアムナットは3Rあたりからガードを下げてL字ガードに移行。下げた左手を色々な軌道で繰り出して井岡を翻弄。井岡の注意が左手に行けばいきなりの右フック、ストレートで井岡をのけぞらせる。徳山大好きな自分はアムナットのボクシングをみて『こりゃ上手いわ』と大興奮。特に井岡が打ってこないタイミングを予見したかのような手数のまとめ方はまさに徳山を彷彿とさせます。

 井岡にとってはアムナットのパンチは予想以上に強く感じたのではないでしょうか?この辺は階級の壁と言いますか、調整試合も無しにいきなりトップ選手と対戦したことの誤算があったのではないでしょうか?後半はアムナットがロープを背負う場面が増えましたが、井岡はプレッシャーをかけるもののまともにパンチが当たらい。結果イライラしクリンチ状態で肩をアゴに入れたり、ラビットパンチをしたり冷静さを欠く場面が目立ってきます。一方のアムナットはボディワークでストレートを外し、フック系は井岡の腕を払って省エネ防御。この辺はムエタイ経験者らしい駆け引きの上手さを見せます。
DSCN9311.jpg
井岡のフックを外に払うアムナット 強くて上手いタイ人!

 結局後半動きが落ちたアムナットを井岡は捕らえきれずそのままゴング。まともなクリーンヒットは試合を通じて殆ど無いと言う井岡にとっては悪夢なような展開となりました。2-1という判定結果については、自分には井岡勝利につけたジャッジがいたことが信じられないくらいアムナットが支配した試合と見えました。あの上手い速い井岡をここまで完封したアムナットに感動しました。会場を後にする井岡応援団の皆さんは判定に不服そうでしたが、個人的には大変面白い試合でありました。

 サッカーの三浦知良が「失敗してトップ記事になるのが一流選手」と言う名言を残してますが、一翔君も若くしてその境地にあるということでしょう。月並みな言い方ですが敗戦を糧にして更に強くなってほしいと思います。

 というわけで大変満足した興行でありました。

 あの展開でリードしているという自己分析はちと問題があるのではないかと感じた(旧徳山と長谷川が好きです)




   

Comment

ウチ猫 says... ""
2試合とも、非常に見応えのある主導権争いが面白かったですね。
しかし、前の記事で私もBBさんも言ってますが、とにかく不可解で惜しいのは10回以降の井岡選手の戦いぶりです。

ふた昔くらい前の、テクニシャン外国人王者にいいように翻弄されてた日本人挑戦者の姿を見るような展開でしたが、明らかに残りの燃料に差があった最終盤に、あれだけ見合ってるのが腑に落ちない。

傍目にも、最後の方の王者のパンチには力が感じられなかったですから、井岡選手らしくはないでしょうが、相打ち上等の乱打戦に行っても良かったのではないか。というより、あそこまで戦略で上回られた以上、それしかなかったと思います。

陣営の「2ポイント勝ってる」というのも危うい読みで、概ねその通りに進んでいたとしても、その中の1ラウンドが逆に振られたらもうドローですからね。
ドローが許されない挑戦者の立場で、こちらは元気で相手はヘロヘロ…うーむ、ここで行かないでどうする、と思っちゃいますが。

井岡選手も人間ですから、いいのを食らってしまえば効いてしまうわけで、負けること自体は仕方ないですが、こういう負け方は想像できなかったですね。
2014.05.11 01:30 | URL | #ZA9zVw0U [edit]
等々力酸素魚雷 says... ""
井岡は序盤にもっと攻めて欲しかった。
アムナットのアッパーで踏み込めなくなってしまったのかもしれないけど、なんだか硬直してしまったような展開に感じましたね。
それでジャッジがおかしいとかいう前にもっと攻めるべきだった。
挑戦者なんだから。
2014.05.11 01:40 | URL | #ncVW9ZjY [edit]
やわらか says... ""
うちに帰って録画みました。アムナットうまいですね。あのアッパーで井岡踏み込めなくなりましたね。

二階席でみるのとまるで違いました。

あと 初めてみた小野心選手がいい選手でした。 的を絞らせないんですね。

第1試合に出てた金山テスという選手 デビュー戦とは思えない試合ぶりだったけどアマ出身なのかな?パンチの緩急の使い分けが上手かったです。

井岡興業は結構行くのでいよいよあの糞長い休憩時間も当たり前に感じてきました(笑)

開場もっと遅らせればいいのになと開場15時ですからね。
2014.05.11 08:42 | URL | #- [edit]
いやまじで says... ""
井岡には期待しています。

現在のフライ級は
八重樫、エストラーダ、ロマゴン、ビロリア、エルナン・マルケス、ムタラネなどなど、
錚々たる強豪が集い、
そこに今回アムナットが加わることになった。
井岡がどんなプランを用意していたかは分かりませんが、
今回の敗戦は良いステップになると信じます。

高山はジョイに勝てなかったがそれを糧にした。
エストラーダもロマゴン戦を糧にしているはず。

井岡がフライ級スターウォーズに参戦することをボクシングファンの一人として期待しています。

それにしても今回の興行、現地観戦の方には異論があるかもしれませんが、
関西ボクシングシーンの豊饒さ、
(アムナットに徳山をオーバーラップさせた旧徳さんの記事のユニークさとともに)
すなわち大きな可能性を感じさせるものでした。
2014.05.11 14:56 | URL | #Twj7/TDM [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
うーむしかし名城、長谷川、石田などのヴェテランが節目を向かえ、井岡・宮崎が一敗地にまみれた現状はあんまり良くはないですよ。高山選手は孤塁を守っておりますが...。

五十嵐や帝里も含めて国内のフライ級近辺には面白い選手が多いし、ハロやフェンテスもまだまだやれる。アムナットなども含めてアジア圏の世界ランカーで興行を盛り上げて欲しいです。

2014.05.11 18:01 | URL | #- [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://boxing2012.blog.fc2.com/tb.php/303-037f2785