HARD BLOW !

B.Bの気まぐれ日記  裁判傍聴編

裁判所の建物に入ると直ぐにセキュリティチェックが待っている。
飛行機を利用する時と同じ要領だが国際線のそれよりは金属探知機の反応は鈍い。
いつもはこれに引っ掛かるズボンのベルトを外すことも無く通過すると、受付に本日行われるの裁判予定が全て書かれたフラットファイルが置いてある。
それを片っ端からめくって探すわけだが、原告被告の名前や名称が分かっていれば見つける事にそれ程の苦労も無い。
自分はこの日以前に4月11日に636号法廷で開かれた原告側の最終証人尋問の傍聴をしていて要領は解っていたので気も楽だ。11日の内容についてはいやまじでさんが以下の記事で冷静詳細に記しているのでこの日の詳細も後記に託し譲るとして。
JBC裁判傍聴記 20140411
JBC問題概観(年表付) 20140420

何ゆえ当事者でもジャーナリストでも無い自分がこの民事裁判を傍聴しなければならなかったのか、そして何故書かなければならないと思ったのか、もう一度記しておかなければならない。

簡単に言えば理由はふたつ。
ひとつにはあれだけの大騒ぎのわりには、いまだに誰もちゃんと書かないから。
その間にも事実に基づかない事も含めて、一方的な世論の形成が行われようとしている気配がある。
いくらボクシング界が村社会とはいえ、実際に傍聴席には大手新聞社の記者がちらっと見掛けられたようだが専門誌記者の顔は見えなかった。
これには正直驚いた。
報道は結果を見なければ書けない事も理解している。
しかし、この裁判はもう大詰めを迎えていて、あとは5月28日の被告側最終尋問を残すのみである。
予定では4月30日この日の被告側証人尋問が最後と思われたが、原告側の要請があったのか意外な展開になっている。
裁判官は判決文を書くにあたって、さらに被告側証人の話しを聞きこの組織の実情を知っておきたかったのではないか?そこに興味を示したのではないか?とさえ思えた。
それにしても、この事件の一部分を既に法的根拠を待つ事無く断罪した専門誌は謂わば当事者ではないのか。
法廷を超越したところで確信があるのか知らないが、経過を見ずに結果だけをひたすら待つのだろうか。
これは重大な事だと思う。
いや、自分が気付かなかっただけで本当はいたのかな?
もしそこに居たなら是非とも今日のこの裁判の事を専門誌は当事者として書いて欲しい。
裁判の結果が出てからでもいい。
人権や法律を無視してでも書かなければならなかった本当の理由を。

ふたつめは、これは大した問題では無い。自問自答である。
つまり自己満足に過ぎない。
だから、特別に他の同調を求めるものでも無い。
しかし、今やっておかなければ絶対に自分が後悔をする。
残念な事に自分はふたつの事が同時には力を注げないのだ。
だから、自分自身にけじめを付ける。

ボクシング業界を揺るがせた安河内 剛 前事務局長への疑惑は、全国のボクシングジムやボクシング関係者に送付されたという怪文書を発端としたもので、当初は愛人問題と称する下劣極まりないスキャンダル報道に繋がったものや、不正経理疑惑という刑事事件までを匂わすもの、そして部下に対するパワーハラスメントのほぼ三本柱だった。
事の経緯はすでにこのブログでも何度も書かれているので端折るが、自分は一部メディア報道を大本営発表のように信じ鵜呑みにし、やがて声を上げた。
馬鹿だ。まさに衆愚と言っても良い。自分自身で確かめようともせずに。
はたして自分が馬鹿者なのか、大馬鹿者なのか?少なくとも賢くない事は解っている。
だから正直に感じた事を書きます。

約2年も続く裁判が進むに従い事の全容が明らかになって来た。
既に怪文書による疑惑は一部を残して霧散した印象だった。

午前10時、裁判は定刻通りに証人の宣誓から始まった。
先ず不正経理については、やはり今回もそれを裏付けるものは何も出なかった。
愛人スキャンダルについてはどうやら裁判所の事実認定にも、もちろん解雇理由にもなりそうにない雰囲気だった。
断っておくがこれはあくまでも自分の感想だ。
初めに証言台に立ったのはコアなファンの間では有名な元レフェリーで当時は試合役員。
今は職員となって事務局の重要な役職についている人だった。
かつてはこの人のレフェリングが好きだったが、今はもうそれが見られないのは個人的には残念に思う。
だが、この日はあの流れるようなレフェリングとはいかなかったようだ。
原告側弁護士の厳しい尋問に戸惑う場面が度々見えたが、これは慣れない法廷での事で仕方ないか。
被告側弁護士より盛んにJACなる別団体を画策した証拠として内部メールの内容が列挙され、これを元に懲戒解雇理由に当たると言うわけで、これまでも延々と述べられた。
だが、果たしてこれがその理由に当たるかは正直無理があるように思えた。
何故なら言われる所の別団体の確立に向けての具体的あるいは現実的にそれが行われた事実の証拠とはそのメールが成り得るのか?自分には判断が出来なかったからだ。
そもそもだ。怪文書と共に不正経理とスキャンダルとパワーハラスメント、これが当時第2コミッションを作ると言って業界に揺さぶりをかけた人達の事務局長降ろしの根拠だったはず。
さらに言えば発端となった怪文書を盾に辞任を求めた経緯からは、そもそもだが、その怪文書を作って出したのは誰なんでしょう?という疑惑も湧いてくる。
以前あるボクシング関係者からは「あのやり方は間違っている」という話しを聞いていたので尚更そう思った。
これも明らかにして欲しいと思う。
一々怪文書が出たら辞めなくちゃならない業界って何なの?と思うからだ。
もう怪文書だらけだ。

最終局面のこの裁判の争点は後から被告側から出て来た別団体画策疑惑。
これの有無。もはや被告側の言い分はこれしかないように思えた。
しかし、これが後出しの理由なのは上の年表を見ても明らかに思える。
どういう結末が待っているのだろうか。

もう一つ、盛んに元事務局長の人望の無さが取り沙汰された事があったが、被告側証人として立った元レフェリーへの最後の尋問は特に印象的に見えた。

「貴方は原告に対して恨みを持っていたんじゃないですか?」にはキッパリと
「十年来の友人ですから、それはありません」
「貴方はコミッションから3年以上毎月十万円の金額を受け取っていましたね?」
「そして安河内事務局長の時にそれを打ち切られましたね?」にはこれまた勢い潔くキッパリと答えた。
「その通りです」

傍聴席がざわついて、まるで法廷ドラマを観ているような錯覚に陥った。
そのお金がどういう性格のものかまでは解らなかったが、何れ明らかになるのだろう。
実に印象的だった。
4月11日の尋問で原告である安河内元事務局長は「コミッション組織改革の一環として経理の透明化一本化を目指した」という主旨の回答をしていたからだ。

次にもう一つの争点となるパワーハラスメントがあった事を証言する職員が証言台に立った。
このパワーハラスメントについては、これはどうやら事実としてあったという印象を持った。
何故ならこの職員の訴えに鬼気迫るものがあった、というより憎悪や恨みの念までを感じたからだ。
執拗な部下への叱責は尽く理由あってのものだとも思うが、部下がそれをどう取るかは受け手だけの問題ではないはずだと思う。
裁判には証拠あるいは陳述書として挙がったかは判らないが、自分(B・B)の実際の聞き取りでは、叱責を受けたとする他のある職員はパワーハラスメントとは感じずに、むしろそれをバネにしようとしたし、部下への愛情と受け取った者もいた。
あるいは退職した者の中には当時は上司の厳しい叱責を嫌ったようだが、退職後に「あれはボクシングに対する愛情だったと今は思う」と告白した者もいた。
しかし、反面「絶対に許せません」と本当にこの上司を憎んだのであろう証人が出廷した。
マンパワーコントロールとでも言ってしまえば余りに情の無い話しだが、傷つきやすい人間もいる事は確かだ。
体育会系上司はどこにでもいそうだが、もうその時代では無い気がする。
打たれ弱いと言ってはこの証人に気の毒だが、互いに膝を詰めて話し合う機会は本当になかったのだろうか。
余談だが、この安河内氏は一滴も酒を飲まない。
体質なのか体が受け付けないらしい。
ユーモアもウイットもとびきりのものを持っているのだが、呑べぇの自分としては実に残念だ。
上司たるものコミュニケーションの引き出しは幾つも持っていた方が得だと思う。
真っ正直にワンツーしか打たなければ、この海千山千のリングを渡っていけない。
自分に愚直なボクサーは僕は大好きだが。
いやこれは余分だった。

しかしだ。この職員に対して裁判官の最後の尋問は厳しいものだったと思う。
もしかしたら、裁判官は僕とはまったく違う印象を持ったのかも知れない。
それはこれまでのパワハラの訴えを金槌で打ち砕くような冷徹な尋問だったと感じた。

「スキャンダルや不正経理が無いとされた今でも懲戒解雇は妥当だと思うか?」という主旨の尋問を裁判官から受けた被告側証人は「一般論で言うとそうだと思う」と答えた。
さらに裁判官は「貴方の一般論ではなく、法的根拠は何か?」と尋ねた。
「そうした怪文書が出た事自体がトップとして失格で自ら辞めるべきだと思う、一般的には」という主旨の回答だった。
まるで追及のようだった。
「一般的にとは一体誰の事か?」
「友達です・・」
簡単に言えば仲間がそう言っていると述べているだけで、具体的には何も示す事が出来なかったのだ。

傍聴席からは、ため息が洩れた。

そう言えばある日、原告側証人の一人に聞いた事があった。
「担当裁判官はとても聡明な方と思う。この裁判官の裁定ならどの様な結果をも受け入れられると思う」
感じ方はそれぞれだ。
しかし、この民事事件に関わる事について、あれこれ書いたり言ったりする人は、少なくとも自分の目で感じて確かめるべきだ。
ここで繰り広げられている事は単純に裁判の勝ち負けだけでは無い事が手に取るようにわかるだろう。
ボクシングが好きなら特に解るはずだ。

僕は長い尋問と証言や陳述のやり取りの中この女性裁判官の表情を見てこの裁判の行く末が見えたと感じ、最後まで傍聴せずに法廷を後にした。



続く

Comment

懲戒 says... "第二コミッション設立"
第二コミッションの設立を記者会見を開き堂々と主張した人物がいますね。
この行為は懲戒解雇に当たらないのでしょうか。


JBC分裂…内部問題収束せず、新団体設立へ
 日本プロボクシング協会は23日、東京都文京区で臨時理事会を行い、日本ボクシングコミッション(JBC)の内部問題が収束する見通しが立たないことから、JBCとは別の暫定的試合管理団体(新団体)が近日中に設立されると発表した。

 新団体代表に就任する森田健JBC事務局長代行は24日、林有厚コミッショナーにJBC職員6人とともに辞表を提出する。森田氏は「問題の早期収束を求める協会から頼まれたため」と新団体設立を決めた経緯を説明。騒動はJBCの分裂という事態に発展した。なお、不正経理疑惑の内部告発を受け、解任を求められているJBCの安河内剛前事務局長は同日、同氏を糾弾する怪文書により名誉を傷つけられたとして警視庁練馬署へ被害届を提出し、受理された。
[ 2011年6月24日 06:00 ]
2014.05.08 23:06 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
何!そりゃ大変だ!きっと行動を起こした皆さんは、ボクシングを愛すればこそ許せないことがあるということなんでしょうね。

こうしちゃおられん、さっそく市民団体を組織して連帯の意思を表明せないかん!

ってこれ三年前の記事じゃないすか!誰ですかこんなイタズラしたのは全くもう!
2014.05.08 23:44 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
懲戒 さん、どうもです。

いや、そうなんですよねぇ。
第2コミッションはそもそも誰がやったの話しなんですよ。
内部メールを根拠に安河内さんらを糾弾してますが、これだって懲戒解雇理由にはかなり無理があると思いました。
裁判所がこれを認定するか注目してますが。

それよりも何故、安河内さんが裁判に訴えたのか?について次回は掘り下げて行きます。
ボクシング関係者の話しで納得できるものが出て来ました。
ただ、僕らはボクシング界の内幕を暴くのが目的じゃないんです。
そんな事したって誰も得をしません。
しかし、あまりに筋道通らない事には黙っていられません。
いい加減ボクシング界も一般社会の倫理や道義など取り入れなアカンと思います。
いくらリングの中が言ってみれば特殊な世界でも、その周りが筋道通らないなら世間から見放されます。
こうした事がボクシングに対する偏見をやがて生むのではないかと心配します。
2014.05.09 08:29 | URL | #bH1htKmU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
ソフトボール協会の内紛がらみで怪文書で逮捕者が出てますね
http://www.sanspo.com/geino/news/20140226/tro14022605000003-n1.html

怪文書や事実無根の印象操作で人を陥れるのは立派な犯罪なんですけど、やってる側は自分
が正義だと思ってるんですよね。

『地獄への道は善意という敷石で舗装されている』なんて警句がございますが、JBCにも
この手の歪んだ正義感が蔓延してるようでございます
2014.05.10 13:56 | URL | #- [edit]
B.B says... ""
ソフトボール協会の記事読みましたが、改革に反発して逆恨み・・

安河内さんもこれまで暴対やって経理の透明化やって職員定年制やって、つまりは組織改革を行って来たんですよね。
ここで誰かの恨みを買う可能性はあったかも知れませんね。
裁判で出て来た試合役員(当時)への10万円支給も、そもそもどういう性格のもので、なぜ安河内さんが事務局長になってから打ち切られたのかが裁判ではまだ判りませんが、経理の透明化を行った過程で発覚したのだろうか。
例えば試合が長引いて残業手当?のようなものだったりと、もしかしたらそうした慣例のようなものがあったにしても、支出には明確な科目が必要ですからねぇ。
不明確だったならば、これを整理するのは当然とも。
2014.05.10 17:37 | URL | #bH1htKmU [edit]
B.B says... ""
あれ?そういえば逆に安河内疑惑のひとつに不正経理疑惑というのがありましたねぇ。
結局なんにも出なかったんですけど。
あとSという一企業から毎月ん十万円を安河内さん受け取っていたはず、というのもありましたが、その会社の帳簿見ても通帳調べてもなんにも無かったと。
これ調べ上げた調査委員会には、この裁判のコミッション側の弁護士さんらがいたんですよね。
仕事とはいえ大変だよなぁ。
破綻した論理をいかように組み合わせても、初めから無いピースではパズルは完成しないし。
2014.05.10 17:42 | URL | #bH1htKmU [edit]
ななし。 says... ""
私怨や私欲が絡まって起こったことだったんだろうと推測します。
結果として残ったのは元職員(元かどうかも怪しい)らの主にネットにおける名誉毀損と思われる記述です。民事裁判の成り行き次第ですが、奪った名誉は完全に回復できないまでも返す必要があるのではないでしょうか。いまのところ、元職員のだれひとりとして刑事事件で訴えられた、とは聞きません。本来は事件などなかったということだと思います。懲戒解雇というものがそんなに簡単になされているか、世間の常識をボクシング界も知るべきです。
2014.05.13 13:05 | URL | #/OUezYRM [edit]
B.B says... ""
>懲戒解雇というものがそんなに簡単に~

近々にもう少し詳しい傍聴記が上がる予定ですが、被告側からもそれが初動として「まずかった」と言う事が伺える証言が一部あったように思います。
繰り返しになりますが、スキャンダルだけでは難しいと被告側も考えたのではないでしょうか?
別記事の年表を見れば解る通りに、懲戒解雇の理由を後付けで必死に探していたのではないか?

それでもなお、風評と伝聞と憶測に基づいた主張がこの後も延々と繰り広げられた事が明らかになると思います。
2014.05.13 20:33 | URL | #bH1htKmU [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://boxing2012.blog.fc2.com/tb.php/300-41ac7bae