HARD BLOW !

韓国ボクシングの現状は? 写真でレポート オール4回戦興行観戦記 

 昨年末は韓国で取材した亀田興毅×ソン・ジョンオ戦の裏話を書くと予告致しましたが、諸事情によりその記事は後回しにしまして、先に韓国で見たボクシング興行のレポートをお送りします。

 前回のソウルレポート、ソン・ジョンオ選手のインタビューはこちらから

HARD BLOW !年末年始スペシャル第一弾 ソン・ジョンオ(孫正五)インタビューinソウル 

  仁川空港からソン・ジョンオ選手とのインタビュー場所に向かう車中でのこと、キム会長から「明日4回戦ばっかりの興行が郊外であるよ。私は行けないけど、折角だからあなた行って来たらいいじゃないの」という情報を教えて頂きました。確かに折角韓国まで来たんだから、観戦もいいなと思いキム会長に「それってどうやって行くんですか?」と尋ねると「確か電車あるよ!」となんともザックリとしたサジェスチョンが一言だけ。これがケンチャナヨ精神か...。

 翌朝安ホテルの部屋で興行についての情報を収集しようとネット上を徘徊し、なんとかかんとか韓国のコミッションKBCのウェブサイトを発見!当然全文ハングルですが、暗号解読の要領で片っ端からGoogle翻訳していくと、体育館らしき施設名を発見。どうやらここらしい。Googleマップにハングルで施設名を入れると偶然にもホテルから地下鉄一本で行けるというロケーションのようで『とにかくそこまで行ってみるか』ということで昼前に地下鉄に乗って出発。電車に揺られる事45分で相当な韓国マニアでも降りた奴はそうそういねえだろというような何の特徴もない郊外の駅に。ここでまたもGoogle様のお力を借りて徒歩で会場を目指すも、こりゃ歩ける距離じゃねえよ!ということで道を間違えようの無い一本道に出たところで路線バスに乗り込み、会場のそばに来たところでバスを降りて無事到着。スマホのおかげで海外のこんな辺鄙な(失礼)場所にも迷わずたどり着けるとはエライ時代になったもんです。

体育館

何の変哲もない体育館 交通不便

ポスター

凄い色彩のポスター

すでに興行が始まっている会場に入ると受付もモギリもどこにもおらず、みんな好き勝手に出入りしている。もしかしてタダ?と見回すと募金箱のような物を発見。ここにお客が好きな金額を入れるというシステムなのか?私も寸志を入れまして観戦させて頂く事に。
募金箱

募金箱
会場 パノラマ


会場内は椅子も少なく、観客もまばら。選手の友人や家族がお目当ての選手の試合だけ声援して帰っていくと言う感じで、この辺はまあ日本の4回戦と似たような雰囲気であります。しかしそんな興行でもラウンドガールがいる!というところは日本との違いか?

ラウンドガール

インタビュー風景

ケーブルテレビの中継かカメラが入っている。この辺も4回戦にしては豪華なんだが

広告をよける

ロープ際に選手が来るとリングサイドのオフィシャルがエプロンの広告を手でよけたり
スマホをいじるカメラマン

ラウンド中にエプロンにカメラを置いてスマホいじってるカメラマンがいたり...なんかこう大雑把といっていいのか?これもケンチャナヨ精神でしょうか。

で肝心の試合内容ですが…。予想はしてたのですがものの見事に

ファイター
ファイター!
ファイター6
ファイター!
ファイター5
またファイター!とにかく頭をつけての打ち合いばかり!
女子の試合
一試合あった女子もやっぱりファイター同士で4回はヘロヘロ
ファイターの練習
トレーナーも当然そういう練習指導!カルチャーの違いと言ってはそれまでですが、ここまで徹底しているとは…。


さすがに同じ展開が続きすぎて胸焼けしそうになっていると、後ろから誰かが私の肩をたたく。振り返るとそこにはなんと昨晩インタビューしたソン・ジョンオ選手が!「おーおーまた会えたね」と言う感じで握手はしたものの、お互い言葉が通じない。身振りで「ファイターばっかりだね。ボクサータイプはいないの?」という質問をぶつけると笑顔で頷くソン選手。

ソン選手は試合終了後にリング上に呼ばれて観客の前で挨拶しておりました。どうもこのセレモニーの為に呼ばれていた模様。セレモニーのソン・ジョンオ
リングロープを上げるソン・ジョンオ

マイクを握って挨拶をしたソン選手は、挨拶が終わるとその日の主役を立てて一番末席に並び、セレモニーが終われば率先して選手や役員の為にリングロープを上げて通り道を作っていました。こうした一つ一つの振る舞いから滲み出る彼の人間性を見るにつけ、こういう人間にもう一回でいいからチャンスがあって欲しい、あるべきだと感じました。リング上のソン選手に写真をお願いすると、はにかみながら小さくファイテイングポーズをとってくれました。
ポーズをとるソン・ジョンオ

 色んな意味でカルチャーギャップを知る事が出来、また思いがけずソン・ジョンオ選手にも会え、大変有意義な試合観戦となりました。実際に目にして、現地で取材した韓国ボクシングの現状は競技レベルや市場規模を比較しても日本とは比べ物にならない沈滞状態と言えると思います。ただそんな状態でも興行が存続していることは、韓国のプロボクシングが社会に深く根付いている事の証明なのでしょう。かつてはライバル関係にあった韓国のボクシング界の再興を願わずにはおれません。韓国ボクシングが盛り上がれば東アジアのボクシング市場にも良いフィードバックがあるはずです。

 そして現在の韓国のボクシング界の姿は明日の日本のボクシング界の姿かも知れない、そう思えばこそ現在の日本のボクシング界の問題は放置出来ないと再認識しました。現在のJBCが抱える公益認定や健保金の問題、ガバナンスの不在や感情的な運営等々は転落の原因となる事ばかりです。転換期であるからこそ透徹したビジョンが居るのではないかという思いを新たにしました。

 ソン・ジョンオのナイスガイぶりをもっと広めたい(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

B.B says... ""
自分も裏話を楽しみにしていた口ですが・・(笑

普段は滅多に見る事もない韓国のローカルな風景リポートは、ボクシングコレクションの一ページになりますね。
この血の通ったアングルは旧徳さんならではとも。
孫選手の人柄も昨年の記事と共に伝わって来ますね。

また仰る通り韓国ボクシング界には頑張って頂きたい。
これまで韓国や比国そして日本が切磋琢磨し合ってアジアのボクシング発展を牽引して来た歴史がありますから。
ファイター!そしてファイター!とありますが僕はコリアンファイターの系譜は好きですねぇ。
もう幾度も世界的強豪相手の番狂わせや、心震える試合がありました。
驚異的な精神力を見た時、日本人には超えられないのではないか?と考える時期もありました。
しかし、韓国ボクシング界は衰退した。
日本も同じ道を通りかけましたが、経済復興と共に変化した価値観やヒーロー不在が主な原因では無く、一極集中した末の利権争いや未来を見据えたビジョンの喪失にあったと思います。
日本もまた記事の最後にある通り転換期であると思います。
華やかな舞台にも危機感を隠さず「日本ボクシング界にとって今年が正念場です!」と言い切る方も。
隣国と同じように日本もまた人財を食い潰して辛うじて生き延びているとも思えます。

2014.01.12 20:35 | URL | #bH1htKmU [edit]
やわらか says... ""
かつての韓国ボクシング隆盛の時代から比べると、やはり寂しすぎますね。
日本に何かにつけて対抗意識剥き出しだけれどボクシングは諦めてしまったのかなぁ…韓国のノンタイトルボクシングレポートって初めてみました。募金箱なんですね入場料 びっくりしました。

しかし一寸先は闇、日本もJBCがグダグダだし競技人口も減りつつあります(少子化だから仕方ない面もありますが)お隣を失礼な表現ですが反面教師にして、直すべきとこは直していかないと日本ボクシングも危ないと思います。
2014.01.13 07:41 | URL | #- [edit]
いやまじで says... ""
スマホ片手に韓国の秘境(?)を踏破、様々な出会いと旅の醍醐味楽しく読ませていただきました。サンクスです。

ポスターの色目は日本のワンパターンに比べるとオリジナリティもしくは韓国味ありと好感を持ちました。

韓国ボクシングの凋落とともにポテンシャルも感じた次第。
是非復活してほしいですね。

なぜ韓国がこうなり、なぜ日本が今こうなのか。また日本はこれからどうなるか。そのあたりを考えてしまいますね。
2014.01.13 08:55 | URL | #Twj7/TDM [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
ポスターはほんと高校生が美術の課題で作ったようなクオリティですが、そこがまた手作り感があってほっこりするというか。なんかこの興行も手作り感があって居心地はいいんですよね。まあビジネスとしてはヤバイわけですが。

昨年見た台湾プロ野球も八百長問題の激震後で本当に好きな人だけ来てる感じが出てて居心地は良かったんですよね。

しかしこのファイター文化は凄いんだけど選手は消耗するよなあと思いました。
2014.01.14 00:15 | URL | #- [edit]
やわらか says... ""
改めて、旧徳さんのフットワークの軽さに敬意を。私なら外国の予定外の土地にはチキンなのでとても行けませんよ すごいです!
2014.01.14 00:21 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
いやほんとネットとデジタルギアのおかげです。車の無人運転もそうですが、Googleのやっていることはバリアフリーに凄く貢献してると思うんですよね。昔は最新の技術はまず軍事技術に使われてそれから民需に転用されてましたが、今はいきなりエンドユーザーに最新技術が来るような時代になっていると思います。

コミニュケーションを至上とするするような考えもありますが、私は個人個人が自由に行動できるようなテクノロジーも重要だと思います。
2014.01.14 20:23 | URL | #- [edit]
says... ""
興味深い記事です。ありがとうございました。
また聞き取材とは大違い。こういうのが読み応えのある記事というものだと思います。
個人ブログの枠を越えてます!
2014.01.14 21:06 | URL | #- [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
いやいやそんな大したもんじゃないですが

昨年から色々なボクシングファンの方にお会いしていますが、結構地方に遠征してる人がいるんですよね。サッカーのJ2のファンなんかは日本中駆け回ってる人も多いようです。

スポーツツーリズムといいますか、旅先でスポーツを見る習慣がもっと定着したらいいですね
2014.01.14 23:35 | URL | #- [edit]
ななし。 says... ""
現地へ行って、見てみないと、聞いてみないと、得られないものって
あると思います。旧徳さんの記事は、まさにその典型で、これが日本に居て
書けるわけないです。ジャーナリズムって本来、そうだと思うのですけどね。
昨年、公開されたアメリカ映画のレッドフォード監督作品にも、実際に目で見、
考え、行動し、現地で相手に会う、というジャーナリストが特ダネを得る時の
基本が開示されていましたが、旧徳さんの姿勢はまさにそれです。
今、ボクシングジャーナリズムで大手を振っている、人々とは姿勢が違いますよね。
「拳の漂流」を書いたころの城島充氏なども、そういう方だったと
思うのですが、最近はどうなんでしょうか?不思議な噂しか聞かなくなりました。

骨のあるジャーナリストがボクシング界には
いなくなりましたね。沢木耕太郎さんや佐伯泰英さん、佐瀬稔さんらは遠くに
なりにけり。山際淳司さんが、ジョー・メデルを元世界王者と「スローカーブをもう一球」
に含まれているボクサーのルポに書いていて、まさに椅子から転げ落ちそうに
なったことがありますが、いまはその「程度」の間違いは、やってない
人の方が少ないかも。すごい時代です。
2014.01.15 12:18 | URL | #/OUezYRM [edit]

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