HARD BLOW !

高山勝成選手の凱旋試合に思う。

 IBFミニマム級タイトルマッチ12回戦  12月3日 於 大阪府立体育館
王者 カツナリ・タカヤマ(日本)対 挑戦者ベルヒリョ・シルバノ(比国)
結果:判定3-0  120-108 118-110 118-110 王者初防衛

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高山選手の凱旋試合は、ほぼ完ぺきな内容での勝利だった。
直前まで仕事に追われ、挙句それを放り投げて新大阪へ向かう列車に飛び乗った。
これまでの高山選手のボクサーとしての想いと苦難の道程を知って、何がなんでも、どうしてもこの試合だけはこの目に焼き付けておきたかったのだ。

正直に言えば相手のシルバノは若く有望な選手だが、王者の技巧の前では相手にならないはずと思っていた。
しかし、王者は一切手を抜く事無く全力でこの若者を潰しに行った。
高山選手は王者でありながら、いまだ大いなる挑戦者だからだ。
比国人挑戦者は王者にパンチが無いと思っていたはずだ。
それを初回中盤には、威力が増した右をいきなりオーバーハンドで決めて挑戦者を驚かせた。

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スパーリング相手に「視界から消える」と言わせた自由自在なフットワークを右に左にと操り、サウスポーの右からの攻撃を尽くジャブで潰し、さらに上下の連打で圧倒する。
攻撃時のポジショニング、特に前足の位置と方向は常に機先を制し、相手の反撃を無にするものだった。
くわえてパリングやストッピングでバランスを崩された挑戦者はもはや打つ手が無くなり、意を決して左強打の相打ちを狙うしか策が無くなった。
攻撃が更に単調になればますます王者の思うつぼ。
そうさせたのがまさに王者の技巧で、ここに刮目すべきだ。
闘志を失わない挑戦者も時折りは、意地でその左を決めて見せたが大勢に影響しなかった。

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しかし、この試合に限って欲を言えば、冒頭に書いた「ほぼ完ぺき」でなく完璧を期待した。
それは派手なKOだけでない。一切触れさせない、一方的に打つ完全試合だ。
試合前に王者は「蝶のように舞い、蜂のように刺す」有名なモハメド・アリの言葉を引用した。
そしてそれを体現して観客に見せ、そして魅せた。
実際にフルマークを付け完全試合を認めた審判もいた。
だが、どうであれ他は2ポイントも取られてしまった。

ボクシングのフルラウンドにおいて、それは奇跡的であるという事も解っている。
自分は無責任で貪欲なファンだ。
しかし王者である高山選手のスキルと更に目指す頂点が前人未到なものだけにそう期待してしまうのだ。

試合を見届け、また直ぐに今度は東京行きの列車に飛び乗った。
車中でひとり祝杯を挙げながらふと思った。

高山選手のこれまでの偉業とさらに目指すべきものへの想いをファンはどう評価するのだろう。
いや、それは関係ない。
自分はといえば、今や意味を成さなくなった世界王者の権威と価値、そしてプライドを取り戻す為に戦う一人の闘士が厳然といた!その事を一人のボクシングファンとして子供らに伝え残す。
真の王者を目指す若者と同じ空気を吸う・・一瞬の、ただその為に来たのだから。
そう自分に言い聞かせる。

しかし、どうしても・・止むに止まれずだ。

王者は強者の系譜でなければならない。
強者とは強敵を恐れず、目の前の戦いに全力を傾ける者の事だ。
ボクシングの勝敗は残酷で、だからこそ鮮烈だ。
たとえ負けたとしても、それを踏み台にしてより強いものが上に行く。
正々堂々ボクサーのプライドを賭けた戦いの軌跡は引き継がれる。

そうして頂点に立った者だけが真の強者といえるのだ。
それがボクシングであり王者の称号なのだと信じる。


B.B

Comment

どぶ猫 says... ""
高山選手、今まで全タイトルで初防衛したことがなく初防衛に成功してほっとしています
観客を魅了していたしTBSさんの方でも今後も放送してくれればと思っています
2013.12.06 11:56 | URL | #- [edit]
いやまじで says... ""
高山選手の堂々の防衛おめでとうございます。

シルバノ選手は指名挑戦者としては微妙でしたが、
主戦場がライトフライということで、
パワーアップした高山選手にとって試金石でしたね。
転級(ロマゴンとの再戦)を視野に入れるといろいろ面白い試合でした。

倒そうと力んだところもあるように感じましたが、
彼の持ち味が十分に出た試合だったと思います。
2013.12.06 16:40 | URL | #Twj7/TDM [edit]
B.B says... ""
近所のおかしなフィリピン人から「シルバノの名前間違ってるやろ!」と指摘あり。
Vergilio Silvano は「べるひりよ・しるばの」が音に直すと近いらしい。
自分も違和感はあったんですけど。

Vergilio はスパニッシュから来る名前で比国では昔からある伝統的なものだそうです。
「そやけど、昔の名前やからねぇ。若い子でもおるんやねぇ・・たぶん爺さんがつけたんやろね」とおかしなフィリピン人。

というわけで高山選手に果敢に挑んだシルバノに敬意を表して・・
ベルギリオ→ベルヒリョと記事の表記変えました。
というか昔は日本でもこう表記したでしょうね。
2013.12.08 21:54 | URL | #bH1htKmU [edit]

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