HARD BLOW !

第三回 日比対抗戦

以前こちらでお知らせした通り、読者の方へのプレゼントとしてチケットをご提供いただいた「日比対抗戦」。おかげさまで多くの読者のみなさんに楽しんでいただくことができました。
あらためて勝又会長にお礼申し上げます。

後楽園で「フィリピン人」または「タイ人」というキーワードで連想ゲームをしたら、パッキャオやカオサイといった名選手の名前と同じくらい、いやヘタしたらもっと多くの人が「か○せ犬」と答えるかもしれません。
また、その日の対戦カードを眺めてみると、どう考えても「日タイ対抗戦」にしか見えないような興行もあり、そのほとんどが、予想通りのトホホな内容になったりします。
そんな中この日比対抗戦の企画は、フィリピン人選手の方も日本のジム所属であるケースも多く、真剣勝負が楽しめる興行になっています(それが普通なんですけどね)。

◆◆◆

最初の二試合は、ともにその日デビューの選手の方がKO負けし、いきなり苦難のプロキャリアとなってしまったが、伝染したかのようにやたらとKOが続く興行というのもあるもので、この日もそうした白熱の内容を期待。

3試合目は、4勝2敗ながら勝ちはすべてKOというハニー・カツマタと、デビュー以来無敗のランカー山田沙暉の一戦。
リングインの際、トップロープを飛び越えて入ろうとしたら、足がひっかかってズッコケ入場となってしまったハニーだが(笑)、スピードでは完全に山田を上回り、的確にヒットを重ねる。

03 ハニーvs山田

セコンドからも「その距離じゃ(パンチを)もらうぞ!詰めろ!」と声が飛んでいた通り、山田のプランは接近戦だったようだが、いざ潜り込むと今度はハニーのアッパーが炸裂。
離れてもくっついてもハニーのペースで進んだ4回、またも強烈なアッパーが入り、山田の動きが止まったところでレフェリーが割って入った。
これで5勝が全てKOとなったハニー。豪腕というよりも倒すまでのプロセスがお見事。
思わず「真道ゴーあたりとやったら面白そう」などと夢想してしまうほど。

続いては比国人対決のジョビー・カツマタvsモニコ・ラウレンテ。
初回から19歳のサウスポー、ジョビーはエンジン全開。踏み込んで左をボディ、顔面に放ち、その後スッとステップバックする動きもスピーディで、モニコはやや面食らったか。が、29歳のナショナルチャンプは徐々に距離をつかみ始め、2回からはジョビーの動きに長い右を合わせ、この回にダウンを奪う。
ここでモニコにペースが傾くかと思いきや、ダメージの浅いジョビーは3回以降さらに運動量を増し試合を支配。モニコはボディが効いたのかスタミナ切れか、中盤からは右、右の一本やりで手詰まりの感あり。
このまま押し切って、ジョビーが3-0の判定をものにした。

04 ジョビーvsラウレンテ


セミの知念勇樹vsライアン・ビトは初回KO決着。
いきなり右の打ち下ろしでダウンを奪った知念だが、ここで勝負を急がない。
確かに大きなダメージのあるダウンではなかったが、まだ少し足先にしびれが残っていそうなビトの動きを見ると勿体ない感じ。隣のいやまじで氏と「この回で決めろというわけではないが、このまま回復させて2回から仕切り直しになってしまうより、明確にペースを握るべく、もう少し攻めに行ってもいいのでは…」というところで意見が一致したと思った瞬間、再度の右が、これはまともにアゴ先を捉えた。
前のめりに倒れたと同時にノーカウントでストップ。
初見だったが、個人的に今日の最大の収穫はこの知念勇樹だった。

05 ビトvs知念

そしてメインの前にスペシャルカードとして高野人母美が登場。この日ホールの玄関に到着した時に、駐車場からテレビカメラを引き連れて会場入りした高野と一緒になったが、本人の意図とは別に注目度が高くなってしまうのは仕方ないだろう。リングへの入場も南スタンドの後方からという形で、まあそれはそれでよし。しかし肝心の試合は、相手がちょっと酷過ぎた。
2戦2勝の相手が今日デビュー戦、というのはまだいいが、果たしてきちんとボクシングを習って出てきたのかが疑問というレベルでは試合にならない。
20センチ以上背が低く、普通の運動靴でパタパタと走り回るような相手では高野もやりづらかったろう。
前戦を見たいやまじで氏も「これでは彼女の方が可哀そう」とのこと。

07 高野vsデリーマ

そしていよいよメインのユースタイトルマッチ。
斉藤司がかつて保持していたタイトルであるが、世界タイトルといっても、頭に「ユース」がついているのといないのとでは天地の差がある。ランキングアップやマッチメイク上の戦略として活用するのはアリだと思うが、やはりこのタイトルそのものに価値があるかといえば、現状ではあるとはいえないだろう。
しかし前保持者の斉藤司も言っていたように、このタイトルを経験した選手がその後活躍して行けば、若手の登竜門として、新人王や日本・東洋のベルトのように、一定の評価は得られると思う。

この王座決定戦、ナチュラルなライト級のアリエンザに対し、急遽参戦の伊藤はフェザー級のボクサー。パンフによると身長・リーチは伊藤の方が優るらしいが、体格は明らかにアリエンザが大きく見え、手も長く見えるが果たして。

試合は終始、スピードを生かした伊藤のペースで進み、8回まではリプレイを見てるかのように同じ展開。4回終了後の採点発表で三者とも伊藤のフルマークであったが、多分8回終了時点のスコアもフルマークだと思う。
アリエンザは左の一発には威力を秘めているようにも見えるが、いかんせん手足ともスピードが遅すぎ。中間距離よりもインサイドでの打ち合いが好きなのか、接近戦になるといいアッパーなども見せるが、伊藤の出入りにはついていけない。

08 伊藤vsアリエンザ

試合として楽しみたいという無責任な観戦者としては「ここらで一発、(アリエンザが)けっこう効いたダウンでも取れば面白いのになぁ」とつぶやいていたら、9回にまさかの伊藤ダウン!
しかしこれは、リングアナが思わず「スリップ」とコールしてしまったくらいの、プッシングに近いダウンでダメージはなし。逆に発奮した伊藤が最終10回も攻め手を緩めず、ロープにアリエンザを釘づけにしてラッシュをしかけた時点でストップ。
伊藤のガッツポーズは、タイトル獲得というよりも、あの展開でやっと仕留めきったということに対する喜びではなかったかと思う。
フェザー級ランカーでライト級ユース王者ということになり、今後どのような道を行くのかわからないが、まだ22歳。これからに期待したい。

この日比対抗戦は、試合の合間に様々なアトラクションがあることも特徴の一つであるが、今回は注目のサプライズイベントがあった。それが長井祐太(勝又)と斉藤司(三谷大和)のスペシャルスパーである。

06スパー 司vs長井 

ともに所属ジムを代表する選手であるが、この両者はどちらも、ひと月後の興行に出場するとのこと(この二人が対戦するわけではない)。よってこれがいい宣伝にもなるわけだが、これは非常にいい試みだろう。一定のレベル以上の選手であれば、スパーといえども非常に見応えがあり、金を取れるような内容のものさえある。
今後もこうした企画は大歓迎。是非色々とアイディアを出していって欲しいと思う。

(ウチ猫)

Comment

B.B says... ""
この日のMVPは期待通りの見事な再起戦を飾った知念勇樹選手でしょうか?

ライト・フライ級で172cmの長身!
いやぁ、しかしスピードとキレのあるパンチに魅了されました!

メイン出場のアリエンザ。
先天性だそうですが左足にハンデキャップを抱えてのボクサーロード。
ちと泣きそうになりました。

エキジビジョンも見応えありましたね。
「長井選手も斉藤選手も好青年ですねぇ」「二人の試合是非見てみたい!」とはチケットプレゼント企画に参加してくれた女性ファンお二人。
同じく「楽しみました。次回も応募しますので宜しく!」と言って下さったのは40代の男性。聞けば「フィリピンのエフレン・レイズとやった事もあるんですよ」というビリヤードの元プロ選手!
ありがとうございました。

という訳でまた近々にも企画の予定で~す。
2013.10.03 18:52 | URL | #bH1htKmU [edit]

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