HARD BLOW !

健保金問題について元選手、関係者に聞いてみた。

皆さん、これまで試合報酬から医療費目的で3%が差し引かれ、それがコミッションの健保金として納められていた訳ですが、先ずそれは知っていらっしゃいましたか?
また、それを受け取った事はありますか?
例:
(4回戦の選手なら6万円の内、3%の1,800円を健保金として積立て)

先日の朝日新聞の記事によると、これが累積して現在1億円以上の金額になっているようです。
またそれがJBC法人移行にともなって見舞金制度というものに変更され、徴収額は2%に引き下げられました。しかし、これまで治療費として全額支払われていたものが支払い上限10万円以下となって選手の実質自己負担が大幅に増えました。これについてどう思われますか?

大手ジム所属元世界ランカー(世界挑戦経験アリ)
「積立金とかで引かれているのは知らなかったですね。というかみんな怪我をするの覚悟でリングに上がってるんですから、そんなもんに興味は無いですよ」
「ああ、そういえば今思い出したけど、保険みたいなのがおりたなぁ・・」
「説明聞いて判ったけど、やっぱり保険みたいなもんは大事ですねぇ」

中堅ジム元日本ランカー(日本タイトル挑戦経験アリ)
「試合であばらを折った時、治療費名目で後で受け取った記憶がありますね。そのお金が協会からかコミッションからだったかは覚えてませんけど試合中の事だったんで多分ジムを通して申請したんだと思います。」
「ジムからそういった名目で徴収されているとかの説明があったかも覚えてないです。」
「ウチは4回戦からファイトマネー現金で貰いましたけど、そういえばいつも中途半端な端数があるなとは思ってました。だって33%引かれて4万のはずが3万8千何百円とかでしょ(笑)」
「まぁいまさらなんで、興味ないですけど。現役だったとしてもですよ、言えないですよね。ジム制度の中じゃ」
「いや、OBとしてどうなんだって言われてもねぇ・・。もうグチャグチャじゃないですか、協会もコミッションも」

中堅ジム元日本ランカー(全日本新人王獲得)
「朝日に出てましたね、ハードブロウ見てますよ。自分も問題だと思います。」
「自分の場合は試合で眉間をカットした時、日大病院で抜糸したんですけど支払いしてませんので(協会、コミッションの)どちらかが立て替えたんだと思います」
「ジムとの契約書に健保金なんて書いてませんし、コミッションとの取り決めで自動的に引かれてるんでしょうけど、理解してる選手なんてほとんどいないんじゃないですか?」
「自分はもう関係ないですけど、興味は大いにありですね。現役選手にしたらこれは大問題でしょう?自分だったら声を上げてますよ!」

元マネージャー(日本王者、日本ランカー多数輩出)
「僕が預かっていた選手が試合後に網膜剥離が発覚して緊急手術になった事があります」
手術代、入院費等で約70万円かかりましたが、後日に全額コミッションから出ました」
見舞金に変わって上限額も10万円になったのは知ってますが、今だったら差額の60万のうち国保負担を引いた18万円が実質選手負担でしょう?体張って命懸けで試合して引退に追い込まれて。最後はマイナスって、これはおかしいですよね。
しかもそれを職員の人件費に充てるって、協会員が怒るのは当たり前ですよ。本来は選手が怒るべきですけど、今のジム制度ではそれは無理でしょうけどね。

その他にも色々考えなければならない問題はあります。選手が外国籍の場合とかね。彼らだって同じように必死なんですから。
過去の事例ですけどもっと恐い話し教えてあげましょうか。
世界挑戦まで果たしたある韓国籍の選手が日本を主戦場に移して、やがて日本王者になった。当然ファイトマネーから健保金を払ってる訳ですよ。
その後日本の大手ジムに移籍した初戦の日本タイトルマッチで事故が起きた。
4日後にその選手は亡くなるんですが、日本の各種保険に入っていないという事でコミッションからは当初1円も出なかったと聞きました。協会からは出ましたよ。だけど選手にそんな説明もなしにリングにあげて健保金を自動的に徴収してるんですから、これは詐欺でしょう。僕もこれには憤慨して自分とこの選手じゃあないけど、流石に抗議しましたよ。結局保証金とかの名目で数十万出たみたいですけどね。安河内さんの前の話しですけどね。
それと、協会長がコミッション入りしたでしょう?これだってどう考えたっておかしいじゃないですか。立場でいえば利益が相反するんですから。
何でこんなおかしい事が起こってるのに誰も声をあげないのか不思議でしょうがない」

いや、あのう・・一応僕らそれは書いてるんですが・・(汗
「あ、そう、今度見てみます」

僅かなサンプルなので「健保金問題についての意識はこうだ」とは一概には言えませんが、選手は最低限のところで守られていた事に気付いていない事が判った。いや、それで良いんだと思います。
それこそが本当の環境の整備なんだから。
親が子を守るのと一緒です。
また、ジム関係者の中には問題意識を持って「最後は誰が選手を守るのか」と言って下さる方もいます。
そうした現状を少しはお伝え出来たかと思います。

さて、選手はほぼ口を揃えて「本当に命懸けでやって来ました」と言います。
彼らはボクシングという非日常の戦場に赴くという覚悟でリングに上がる訳です。
一番最初にあげた元選手は「みんな怪我を覚悟でリングに上がる」と言ってますが、これはおそらく全てのボクサーの言葉だと思います。
考えても見て下さい。普通の職場でも仕事中に怪我をしたら休業手当を含む労災保険というものがある。
ところがボクサーという特別な職業には普通の保証すらない。一般の傷害保険はついて来てくれない。勿論高いお金を払えば死亡保険まであり得るでしょうけど、現実的には報酬の少ないほとんどの選手はこれに当てはまらない。
選手を最低限の所で守っていかなければならない、というところからの健保金な訳じゃないですか。この発想は社会正義だと僕は思います。

また国の指摘があって保険業務は出来ないというのは屁理屈だと指摘する人もいます。
この痛烈な意見を紹介して記事の最後にしたいと思います。

B.B

選手を守ろうという意識があるなら、共済金など形を変えてでも出来る道は必ずあるはずなんです。
実際に健保金制度を維持している団体は今でもあるんですから。
そもそも共済金についての金融庁の指摘には背景にオレンジ共済事件というものがあって、国としては一応の網を掛けなければならない。法治国家ですから。しかし全てが悪であるという認識ではないんです。解り易く言うと、国は必要として世の中にあえてのグレーゾーンを残すんです。一切合切ダメにしてしまったら救済が出来ない事はちゃんと解ってる。ちょっと勉強すれば分かる事です。それを国の命令だからやらない、こんな大事なことを簡単に放り投げるなんて、選手の事なんか何も考えていないという事です。
また、これまで何故ボクシングが死亡事故が起きても刑事事件にならないか判りますか?
実際にリング禍が立て続けに起こって検察が動いた時期があったんです。
しかし、ルールやリングの環境をしっかり整備して当時のコミッションはボクシングを守った。
今これが壊れてるんです。
終わりますよ、本当にボクシングは。

Comment

ウチ猫 says... ""
多くのボクサーは、元世界ランカー氏がおっしゃる通りに、怪我の心配どころか命がけでリングに上がっており、それゆえに私たちファンはそういう彼らの戦いを見て興奮・感動するわけです。
しかし、限界ギリギリ、あるいはそれを越えてまで頑張ろうとする選手に、最後の一線だけは越えさせないように、試合中のレフェリーやセコンドには選手を守る高い意識が必要とされ、それでも何か怪我や事故等が起きてしまった場合に…というセーフティネットが従来の健保金であったはずです。
一生残る障害を負ってしまったような選手の場合、その体を元に戻すことはできませんが、せめて金銭的な部分でフォローするのは当たり前の話。だって彼らが傷つけあうのを見て、僕らは歓声を送り、業界は金を稼いでるんですから(赤字の興行も多い、なんてのは屁理屈)。

BBさんが労災についてふれてますが、労災の保険料は100%事業者負担です。しかしこの健保金の原資は、ボクサーが払った金ですからね。
仮に今まで積み立てた金が、すべてJBCが承認料等の収入の中から拠出したものであるというのであればまだ話はわかりますが(それでも、そういう金はやっぱりボクサーが稼いだ金というべき性質のものですが)、選手たちから預かった金を勝手に他のことに使うとなったら、これはどこからどう見ても「泥棒」です。
しかも大部分の選手は、そういうお金を徴収されていることすら知らない可能性が高いですから「詐欺」とすらいえるかもしれませんね。

網膜はく離のこともそうです。
命までかける覚悟のある選手に「もしもの時、失明のリスクを負うのはお前だぞ。それでもやるか?」と言えば、そりゃ「やります!」って言いますよ。それが大きなタイトルであったりすれば勿論のこと、真剣にボクシングに打ち込んできた選手ほどそう思うでしょう。今まで必死に積み上げてきたものを簡単に諦めるなんて出来ないでしょうから。

ですから「医療技術が格段に進歩し、健常者とはく離経験者と比べた時に失明のリスクはほぼ同じ。もし事故が起きてしまったら俺の目玉をかわりにくれてやる!」というくらいの確信を持って許可するならいいでしょう。チャンスが広がることは歓迎です。
しかし、これからは怪我をした時のJBCからの給付がガキの小遣い並になるのと同じく、失明した場合でも「何かあったら自己責任で」というんだからお話しになりません。いくら本人が「僕、ちゃんと使えるし、怪我したって平気だよ!」と言ったって、5~6歳の子どもに電ノコやドリルを使わせる親がいますか?ってことですよ。そんな親がいたら頭がおかしいと思われるでしょう。

辰吉選手のケースなどでも「自分の人生は自分で決める権利がある」なんて言う人がいますが、冷たい言い方をすれば、かりに本人が「目がつぶれても、死んでもいい」と思っていても、そんな選手が続出したら「スポーツとしてのボクシングの存続が危なくなる」=「はっきり言って迷惑」なんですよね。
死ぬ気で戦う!という闘志は見たいですが、本当にバンバン人が死んだり、障害が残ったりするような様を見て「おお、すげー迫力!」なんて喜ぶ趣味は、少なくとも私はありません。

タイトルの権威だとか色々なことに私たちファンは文句を言いますが、こと選手の健康に関することだけは、本当に真剣に考えていただきたい。
こういう競技ですから、怪我や事故を完全に防ぐ方法なんて絶対にありませんが、どういう意識で指導・試合運営にあたるか、また何か事が起きた時にどう対応するかで、結果は大きく変わると思います。
「よそ様の大切なお子さんを預かり、彼らに殴り合いをさせて商売にしている」という感覚は常に持つべきだと思います。
2013.10.04 20:33 | URL | #nZcYMxmY [edit]
B.B says... ""
JBCの代弁者といわれる某専門誌なんか、セーフティネットがあるから選手の自己防衛意識が、なんて論調ですからね。
恐ろしい話しですよ。

エディさんの「この子を預かった時と同じ姿で・・」は自分の身に引きあてて考えて欲しいですね。
2013.10.04 21:04 | URL | #bH1htKmU [edit]
ウチ猫 says... ""
健保金問題とは関係ないですが、こんな記事をみつけました。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/topics/west_affairs-20035-t1.htm

かつてボクサーのセカンドキャリアとして警察官への道が検討されていましたが、この香川県警の加点の要件、プロボクサーの場合はどの程度のレベルならクリアできるか、興味はありますね。

日本のプロボクサーはサイズ的には一般人と変わらない選手が多いですが、練習に加えて減量に耐える精神力、何より命がけで試合に臨む意思の強さは、厳しい警察官の業務でも通用すると思います。

しかし逆に、「警察にお世話になってしまう」選手・元選手がポツポツ出てることも事実。
健康問題は当然に重視すべきこととして、やはりジム制度の最大の長所ともいえる「人間形成」「教育の場」としての役割にも期待したいところです。
2013.10.06 09:49 | URL | #nZcYMxmY [edit]

Post comment

管理者にだけ表示を許可する

Trackback

trackbackURL:http://boxing2012.blog.fc2.com/tb.php/224-39ac2f25