HARD BLOW !

虚脱と麻痺

 つい先日『亀田家の最終兵器』三兄弟の末弟亀田和毅選手がフィリピンセブ島でWBOバンタム級のタイトルを奪取しました。中立地とはいえフィリピンでの一発勝負で形を崩さず勝ちに徹した集中力はなかなかのものであったと思います。この辺はメキシコでの生活が糧になっているのでしょう。それにつけても亀田史郎、何だかんだいって和毅が世界を獲るにはこのタイミングこの試合しかなかった。それを逃さず試合を組んだ嗅覚はまさに彼の面目躍如であったと思います。 

 もっとも試合内容自体は相変わらず。展開に起伏が無く低調で、私が従前から感じている亀田兄弟のボクシングと同根の違和感満載でありました。対戦者同士のダイアローグがない試合は必然観客の感情移入も生まず、会場が不気味な静寂に包まれると言ういつもの奇妙な空気。彼らの試合で観客のヒートを生んだものといえば、興毅×ランダエタ(今何してんのかなあ…)の一戦目と内藤×大毅というスキャンダラスなゲームがまず浮かんでしまうのも、自分が蒔いた種とはいえ大変であります。 

 もはや世間もボクシングファンもどう扱っていいやら分からなくなっている感のある亀田三兄弟ですが、ここにきて亀田史郎氏のライセンス再申請が話題となっています。まあオレンジ事件の金平氏でもライセンスの復活はあったわけですから何があっても不思議じゃないですが、プロボクシング協会長にしてJBC理事を務める大橋氏が前向きな発言をしてるあたりを見れば復帰はもはや既定路線なのかという気も致します。安河内氏を排除して以降むしろ勢いを増したように見える亀田一家ですが、亀田史郎氏に恫喝されたという『因縁』もあるレフェリー氏やリングアナウンスを巡って『遺恨』があるという試合役員氏あたりはこの辺どのように整合性を見出しておられるのでしょうか?業界の大物である大橋氏の意向を前にしては、『動物には優しいけれど人間には意外とひどいことを平気でする』ゴシップライターに泣きついて援護射撃を頼むのが関の山と言ったところでしょうか?

 かように『悪の安河内一派』を追い出して良くなったはずがすっかりガバナンスがポンコツ化し、相撲協会や柔連が何をおいても死守しようとしている公益認定すらもアッサリ捨ててしまったJBC。一般法人移行についていつアナウンスがあるのやら?と思っていたら、なぜか7月26日という全くタイムリーじゃないタイミングにWEB上でひっそりと告知が行われていました。http://www.jbc.or.jp/rls/2013/0726release.pdf

 物凄く重大な制度上の変更を伝える文章なのに異常に簡潔な文書のスタイルにも面食らいますが、

『「一般財団法人 日本ボクシングコミッション」 へと名称変更することとなりました。』

という一文がまた凄い。組織のありようが変わり、健保金などの重要な制度が変ったのに「名前が変っただけなんで今後とも4649!」という感じの軽さがタマランもんあります。

 そんな「もはや公益法人じゃないんだから色々適当でいいジャン」という軽いノリがいけなかったのでしょうか?8月3日の興行での栄えある日本スーパーフェザー級タイトルマッチでチャレンジャーが体重超過をやらかしてしまったのです。前日計量で1.6キロという大幅な超過と言う失態を犯したのは、金メダリスト村田諒太選手に名義を貸している、じゃなかった彼が所属していることで有名な三迫ジムの大村光矢選手。本来ならこれはタイトルマッチの認定は取り消されるべき試合のはずですが、なぜか日本タイトルマッチとして挙行されました。試合自体は金子選手が1RKOで圧勝しましたが、『もし金子選手が負ければタイトルは空位になる』という条件だったようです。そんな条件ではキッチリ体重を作って来た金子選手には余りに不公平ですし、もし事故でもあればまさに踏んだり蹴ったり。怪我したところでもう健保金もありません。もし巷間言われているように「タイトルマッチとしてチケットを売っていた」「テレビ中継があった」というような理由でタイトルマッチが挙行されたならこれぞまさに、経済優先・興行事情優先によるガバナンスの不在であります。

 最近のJBCでは短期間に色々な問題が起こりすぎて、こちらとしてもイチイチ指摘する気力が減退し、感覚が麻痺してきております。そうやってファンの感覚麻痺を呼ぶのがJBCの狙いなのでしょうか?『一国一コミッション』と力みかえるなら、せめて組織のレゾンデートルであるタイトルマッチくらいはキチンとした基準を持って挙行して頂きたいものです。

 「風立ちぬ」を見て宮崎駿の凄みを再確認した(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

B .B says... "タイトルなんかいらない"
大村光矢選手は結構好きな選手でね、時折り見せる流れるようなフットワークから切れ味鋭いカウンターという三迫伝統(死語)の香りがしたもんです。
適正階級でタイトル再挑戦の舞台で一体何があったんだろう?
金子選手にしてみれば防衛戦ではありますが、グリーンボーイ時代の口惜しい思い。唯一の雪辱戦でもあった訳で、最高の仕上がりで戦って欲しかったはず。これも台無しでした。

亀田については今更言っても始まらないですけど、日本がWBO、IBFに加盟した時点でこういう結果はほぼ間違いなく見えていた訳で。
試合は観ていませんが、彼の努力は勿論認めます。

しかし、その前にタイトルの価値権威の議論も充分に成されぬままに、「選手にもっとチャンスを」「世界の趨勢だから」という興行サイドの“言い訳”が先行してしまった。(この他にも理由があるのかな?)
しかし、タイトルの価値を無視してでもボクシング界がファンを拡大して活況を呈するならいいじゃないか!という意見もありますが、それはボクシングの魂を売ったにも等しいというのが僕の感情です。

いつだったか、某サイトで他団体加盟について賛成か否かというファンアンケートがあって僕は勿論反対に投票しましたけど、賛成派が大多数だったのを覚えています。
「時代だなぁ。多くのファンが望むなら仕方が無いなぁ・・」と落ち込んだものです。

確かにWBAの腐り方も酷くて、そうした世論にも拍車をかけた面があります。
意味不明な暫定王座乱立が始まった頃で、しかし当時はJBCとしてもWBAのこれに対し質問状を送った経緯がありましたよね。これ実質的な異議申し立てでしょう。
実際に現在も国内では暫定王座を認めていませんが、まぁこれもどうなるやら・・
いや、むしろ認めるんならぜ~んぶ認めろって話しです、味噌もクソも。
でなければ、筋が通らない。

当時の日本はWBAの過去の歴史と伝統を尊重しながらも、確固たる意思でタイトルの権威を守る努力を少なからずやって来たと思います。
世界の趨勢という立場から見れば、確かにいびつな形ではあったにしろ、本質を見極め、公平公正を目指してボクシングに取り組んで来た誇るべきコミッションが日本にはあった。
勿論、諸外国に対比してですし、発展途上でもあったとは思いますが。

これからはタイトルは興行のお飾りに過ぎず、僕らファンが唯一拠り所とすべきは世界を網羅するレーティングのみでありましょうか。


さて、現在の日本ボクシング界はその歴史と伝統を捨て、コミッションの権威すら捨てて(もう公益法人を再び目指すのは無理らしい)一丸となって興行主導体制に入ったと言って良いでしょう。
ボクシング界の為にファンと共に批判者たるべき某専門誌などは、ここにメスも入れず迎合に終始するあまり、あってはならないお粗末なゴシップ記事を掲載する始末。
昨年暮れ頃から誇るべき日本のボクシングは「最大危機の状況にある」とやっと認識し始めたわけですが、一年も立たないうちに「もはや終局となった」と感じます。

しかし、選手はこれと関係なく、信じた栄光を目指してリングに上がり続けている
ファンが守るべきは協会でもコミッションでも無く、ただひたすら真の栄光を目指す選手だけなのだと思います。
もう一度、高山選手のスライドを紹介しておきましょう。

http://www.l-kid.com/msg.html

2013.08.04 17:29 | URL | #bH1htKmU [edit]
says... ""
あはは…
どうしても大橋会長は甘いね…
1つ納得できないのは、暫定を取った江藤選手を世界王者とJBCが認めてくれない所ですが石田も暫定ですし寛大にしてほしかったです。
2013.08.05 20:51 | URL | #- [edit]
B.B says... "意味不明の暫定王座"
「WBAの暫定王座を世界王者とは認めない」というのは個人的に賛成です。

石田選手も暫定王座を獲得すれば直ぐにでも正規王座に挑戦出来ると考えていたようです。
実際にはそうなりませんでしたけど。
江藤選手もコンパヤック相手にアウェイでの見事な勝利でした。
http://www.allthebestfights.com/koki-eto-vs-kompayak-porpramook-full-fight-video-2013/

しかし正規王者にはレべコがいますし、先日の記事でも紹介させて頂いたエストラーダがスーパー王座に就いています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%B0%E7%8F%BE%E7%8E%8B%E8%80%85%E4%B8%80%E8%A6%A7
スーパーというのも意味不明ですが、江藤選手が王者を名乗るなら先ずはレべコの王座を吸収してからの話しでしょう。
WBAではスーパーが正真正銘の王者という意味なら理解も出来ます。
暫定はあくまでも優先指名挑戦者と位置づけるべきと思います。
2013.08.06 18:16 | URL | #bH1htKmU [edit]

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