HARD BLOW !

フィリピノ イン マカオ

WBOフライ級タイトルマッチ
王 者 ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)
     VS 同級1位 ミラン・メリンド(フィリピン)



7月27日にマカオで行われた世界戦。
比国のスタッフに依頼しておいた映像がやっと届いた。
僕はいまだに「ネット便」でなく飛行機便を開封する時のドキドキ感がたまらないアナログ派なのだ。だから気になっていた結果も今この時点では知らない。
これから色々とチェックしながら紹介したいと思う。

昨年11月、怪物ローマン・ゴンザレスの持つWBAライトフライ級王座に挑み敗れたものの“あわや!”のシーンを演出したメキシコの新星ファン・フランシスコ・エストラーダのその後が実に気になっていた。
怪物に勝っても負けても、適正階級に転級するはずと思われたエストラーダは予想通り戦場をフライ級に移した。しかしそれがいきなりの、復活して来たハワイアンパンチ、ブライアン・ビロリアの持つWBOタイトル挑戦とは驚いたものだった。しかも文句ない判定でWBAのスーパー王座まで奪ってしまったのだ。この試合前ビロリアの母国である比国でも若きメキシカンはアンダードッグとして紹介されたが、王者のキャリアの前に苦しめられたものの明確に新旧交代をアピールしたのだった。
強打、タフネスとスタミナ、スピードと手数、なによりあくなき闘志が魅力の23歳。技術が更に進化すれば、いつかゴンザレスへの雪辱も可能な逸材だ。

今回の相手は堅実なマッチメークで同級1位まで上がって来た無敗のミラン・メリンド。
これまでフィリピン国内でWBOアジアタイトル、インター王座、WBCユースタイトル獲得など大事に大事に育てられて来た。
一発は無いが固い防御とスピードが持ち味の25歳。すでに8年のキャリアがある。
しかし、勢いのあるエストラーダの前では敵ではないと予想する。
それではプレイボタンを押してみよう。

第一ラウンド開始。
互いにスピード感溢れる軽快な動きで、素早いジャブの交換から挨拶代わりのボディ打ち、左フックを上に返すなどいきなり白熱戦が予想される。メリンドの出足がすこぶる良い。初挑戦にも相手の強打を恐れず、逆にやや様子見のエストラーダを下がらせる。
この回終了間際、右ガードの僅かに下がった隙を逃さず左フックを痛打!タフな王者がロープ際よろめいた所でゴング。もちろん挑戦者のラウンド。
波乱の予感だ。
第二ラウンド開始ゴングを待つエストラーダは立って右足首を回しながら自分のダメージをチェックしていたが、ゴングが鳴っても初回の躍動感が無い。やはりまだ効いてるのだ。
ジャブの差し合いでも負ける。
自信を持ったメリンドはスピードを更に上げ、高速ジャブを上下に打ち分けてガードの隙を伺う。
しかし、ラウンド半ばに差し掛かると王者の体に再び力が甦って来た。
応戦して左フックをボディにめり込ませるとこの一発で今度は挑戦者の動きが落ちる。
メキシカンが完全に復調した。王者のラウンド。
第三ラウンド。
さすがにビラモア率いるメリンドのセコンドは歴戦の強者だ、ゲームの流れを良く知っている。
この回の王者の反撃を予想して機先を制する作戦だ。
強打で前に出ようとする王者を高速ジャブで突き放しインファイトを許さない。
軽いながらも素早いコンビネーションでこのラウンドは挑戦者。

緊張の序盤を過ぎるとポイントの振り分けが難しいラウンドが続く。
第四、五ラウンドはほぼイーブン、六ラウンドは中間距離からの攻撃が有効と見て挑戦者。七、八ラウンドは逆にインファイトで打ち勝った王者か。
しかし、明確にはどちらもペースを握ってはいない。
比国サイドの解説を聞いているせいか、ここまで自分の採点はやや挑戦者に流れているかも知れない。
音声を消すべきだったが、パンチの衝撃音も会場の歓声もボクシングの醍醐味の一つだから仕方が無い。アマチュアボクシングを観ている訳ではないのだ。
九ラウンドやや挑戦者で、いよいよ終盤を制した者がこの試合の勝者となるだろう。

おそらく挑戦者陣営もそれを察したか、十ラウンドにわかに試合が動く。
距離を詰め速く力強いコンビネーションで王者を攻める。
しかし、打ち合いなら馬力に勝るエストラーダに分がある。
左右フックから右のショートでメリンドを痛めつけた。
ここまで予想外なタフネスを見せ踏ん張って来た挑戦者。王者をここまで苦しめたハンドスピードもがっくりと落ち、絶妙なポジショニングを生んでいたフットワークも既に止まっていた。
十一ラウンド、残り僅かの所でまたもや王者の右ショートが顎をカウンターで捕えると、挑戦者はたまらずリングに落ちた。カウントアウトされてもおかしくない強打だったが、それでも良く立ってゴングに救われた。
最終回、コーナーを出た挑戦者の下半身はまだ揺れている。完全に足は止まったが、上体だけで必死に応戦。
残り三十秒ほど、王者の右ショートで腰が落ちたたらを踏む。
後は一方的に連打にさらされるが、最後までストップ負けを拒否した。
判定はジャッジ3名のうち118-109が二人、117-109が一人と大差で王者の初防衛成功。
終盤は一方的だったがここまで開いたとは思えなかった。
メリンドはこれまでのマッチメークから温室育ちの印象を持っていたが、それを確実に糧にして成長していた事が解った。登り竜の勢いのエストラーダ相手に大善戦。トップランカーとしての意地を見せた試合でもあった。
最後まで冷静だった王者は改めて底力を証明したが、最強王者への雪辱にはまだまだ課題が残った試合だった。


長くなったのでここまでと思ったが、セミファイナルに思いがけない選手の名前があったのでもう少し・・

WBOアジアパシフィックSバンタム級戦 
ジェネシス・セルバニア(フィリピン)vsKONOSUKE TOMIYAMA


比国のALAプロモーションがミラン・メリンドに続く只今売り出し中の選手がこのセルバニアだ。ニックネームはアスゥカル(シュガー)に掛けてアズゥカル(サッカー)。まだまだ名前負けだが、スピードとカウンターが持ち味の好戦的なボクサーファイター。
これまで、ヘナロ・ガルシア(西岡が保持していた同級王座に挑むも12RTKO負け)やホルヘ・アルセに12R判定まで粘ったアンキー・アンコッタなどの世界ランカーに快勝。
国内で大事に育てられて来たが、この日はいよいよ世界に向けてのアピールの舞台。同じアジアとはいえ初の海外進出だ。
いや、思いがけなかったのは TOMIYAMAの名前を見つけたからだ。
映像を見ると間違いない、名城信男を苦しめたあの富山浩之介だった。
引退と復帰を繰り返し若手相手に勝ったり負けたりしていたので、終わってしまったかと勝手に思い込んでいたが、どっこいリングに生きていた。
しまったと思った。

試合開始30秒、セルバニア飛び込みざまの左フックで富山後方に吹っ飛ぶダウン!
2分過ぎ富山の左ジャブがタイミング良く、これで今度は比国人ホープがダウン!
残り10秒富山の右フックカウンター一閃、今度は正真正銘のダウンだ。
第2ラウンド富山の右鋭い、ストレートでセルバニアの眉間を切り裂く。
第3ラウンド2分30秒過ぎ今度は強烈なセルバニアの右ショートで富山がダウン!
何というめまぐるしい展開だろう。
追撃の左でふらつく富山だがこの回はゴングに救われた。
4回ジャブから立て直しを図る富山。
しかし、スピードに勝る比国人は富山の右ストレートに左アッパー、左には右アッパーを合わせるなど引き出しの多さを見せる。

この回終盤には右から左を二つ合わせると富山のダメージが更に明らかとなった。
中盤の4つのラウンド、ダメージを引きずる富山だが粘りを見せる。セルバニアのカウンター攻撃に怯まず良く打ち返し比国人をけしてリラックスさせない。
9回突如のエンディング。2分過ぎ偶然のバッティングでセルバニアは左まぶたから出血。
序盤には富山が得意の右で比国人の顔面を切り裂いていたが、この回この一度のチェックでリングドクターは熱戦の続行を許さなかった。
「パンチだ」とアピールする富山の映像が映ったが無念の負傷判定に。
1~最大5ポイント差、2-1の判定でセルバニアが無敗をキープした。

B.B

追記:ネット版 WBOアジアパシフィックSバンタム級タイトルマッチ

http://www.youtube.com/embed/MwxNvXKMxZcジェネシス・セルバニア(フィリピン)vsKONOSUKE TOMIYAMA

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