HARD BLOW !

日本人はタイでダンスできるか? 佐藤vsシーサケット Preview

佐藤洋太の三度目の防衛戦はタイのシーサケット県で行われる。挑戦者シーサケットの地元故郷である。

日本人のタイでの初の防衛という記録より、タイで佐藤がどのように戦うかが見ものだ。

これまでタイの世界戦を見る限り、試合前のセレモニーが異様に長いという印象がある。30分はあるのかと思われる間、30℃を超すリング上でゴングを待つというのはアウェーの選手にはメンタル面での負担が大きいはずだ。もっとも、それ以外にも諸々の障害があるだろうが。

挑戦者のシーサケット(18勝(KO 17) 3敗(KO 2) 1分)はオーソドクスのボクサーファイター。

2012年1月のDondon Jimenea戦はこの選手の特徴が出ているように思われる。

ベタ足で前進、左リードを軸に、左右のコンビネーションを3発4発と連ねる。左はジャブ、ダブル、上下のフック、ワンツーの返し、アッパーと変化がある。右も上下に打ち分ける。軽いパンチ重いパンチの使い分けもする。軽く速いパンチで相手を崩し、機を見て強いパンチを織り交ぜる。スイッチする器用さも見せている。

同年7月のDuran戦


同年12月の Alvin Bais 戦では上にパンチを見せてボディ・ショットでKO。


踏込のスピードは速くないが、自分の距離になった時のパンチの回転と正確さはある。前進するファイターだが、相手を見ながら押し引きもできる。打ち終わりも狙ってくる。けっこうボディを打つ。あとは頭。佐藤相手であればこれまで以上に距離をつめる必要があるからバッティングには注意が必要である。

この選手の問題は全体のレベルで、佐藤とボクシングできるレベルにあるのかどうかということ。「当たれば」というパンチの強さもこのレベルでは未知数である。(だから逆に怖さもあるが。)近い距離でのコンビネーションには要注意である。

試合内容や戦績を見る限り佐藤の優位は動かないが(私の予想は佐藤の判定勝利)、試合がタイで行われるということで、佐藤がこれまで通りに戦うことができるかどうか。敵地ということが実力差を縮めることはある。とりわけ当地の空気は日本の会場のそれとは異なる。その中で挑発的なポーズやステップを見せるのか(別に見せなくてもいいが)。日本では「魅せる」ことも多分に意識するところがあろうが、敵地でもそれをやるのか。何かどうでもいいことのようで、彼の場合どうでもよくないような気がして、技術・戦術的なことを含めてなかなかに興味深いのである。

佐藤自身は「タイで遊んでくる」とコメントしていて、これは平常心で臨むための彼なりのメンタルトレーニンングであろうが、いずれにしてもタイで試合をやるには気を遣うということである。やはりリングでどこまで相手に集中できるか。それが双方にとって鍵である。

byいやまじで

Comment

B .B says... ""
佐藤選手のおそらく独自ではないかと思われるメンタルコントロールについて「スイッチ」という言葉を使ってましたね。
なんでも自在にそれのオンオフが出来て恐怖心や痛さを克服できるのだそうです。
ボクシングを始める前に巻き添えで集団リンチに遭う事があって、その時に自然に体得したらしいですが、「命の危険」とか「もう終わる」という崖っぷちに追いやられた時に不思議な作用が働くと。
「ボクシングの試合ではそれを使ったか?」の問いにロペス戦と世界戦のリングに上がる前には「スイッチをオンにしました」と答えてました。
面白い表現だなぁと。

さて、そのスイッチがオンされるかどうか微妙な相手とは思いますが、完全アウェイでの防衛戦というのは佐藤選手にとっても刺激的でしょうね。
世界王座乱立でタイトルの価値が下がっている現在、彼もまたそれを認識していて「自分の持つタイトルの価値を守りたい」とも言ってましたので、リスクあるタイでの防衛戦を「遊んで来る」と表現したのも彼のプライドだと思いますね。

>何かどうでもいいことのようで、彼の場合どうでもよくないような気がして、技術・戦術的なことを含めてなかなかに興味深いのである。

僕は不必要なパフォーマンス(グローブを胸の前でくるくる回す、右手を高く上げやはりくるくる回すなど)はいらない派でしたが佐藤選手にとってはリズムをつかむ為の重要な予備動作らしいです。
運動会の徒競争でもコーナーで腕を大きく回してトップでゴール。
「相手を挑発してる訳でも無く自然に出てしまう。アマでは随分怒られましたけど」

佐藤選手の心と体のリズム。面白いですね(笑
2013.05.03 16:55 | URL | #bH1htKmU [edit]
いやまじで says... ""
>佐藤選手にとってはリズムをつかむ為の重要な予備動作らしいです。

なるほど。観客向けのパフォーマンスとしては外し気味で微妙だなと思っていたんですが、あれがないと彼らしくないなというのもありました。今回はそれをどんなふうに出すのかも注目して見たいと思います。
2013.05.03 18:00 | URL | #Twj7/TDM [edit]

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