HARD BLOW !

もう一つのJBC裁判 谷川俊規氏の場合7

 高山勝成選手が言われ無き報道被害を被っていたことはこの連載のパート6に書いたとおりであります。しかしそれにしてもJBCと一部ライターの皆様の連携の緻密さは驚くばかりです。内紛や事件が起こるとなぜか絶妙のタイミングでJBCを援護射撃するかのような記事が夕刊紙や専門誌に出るというこの不思議。卵が先か、ニワトリが先か、はたまた卵がニワトリなのか?この不可思議な『偶然』が典型的なもう一つの事例についても筆を進めようかと思います。

 谷川氏の解雇理由である「新コミッションの画策」には高山選手とIBFという事例以外に、もう一つの事例が挙げられています。それは昨年末にライセンス停止処分を受けた大星ジムの大沢宏晋選手とWBOのケースです。大沢選手の処分のおかしさについては私も一度記事化しましたが、それにしても奇奇怪怪なこの事件。未承認・未公認タイトルを戦った選手は過去にも沢山いるにもかかわらず何故か一人だけ非常に重い処分受けた大沢選手。承認前にWBOの地域タイトルマッチをしたのが問題ならば、同じく承認前にWBOの世界戦をした西岡利晃選手はどうなるねんと思いますが、JBCはそういった整合性はハナから気にもしていないのでありましょう。谷川氏の語るその処分に至る経緯も不可解この上ないものです。

 問題とされる試合は2012年4月30日に大阪の堺で行われた大沢宏晋×ロバート・コパ・パルエ戦。OPBF王者であった大沢選手にとっては防衛戦ですが、チャレンジャーのコパ・パルエ選手にとっても彼が保持するWBOのアジア・パシフィックタイトル防衛戦でもありました。白熱の打撃戦となったこの試合は大沢選手が9回にコパ・パルエ選手をTKOで下しOPBFタイトルの防衛成功、WBOアジアパシフィック王座も移動ということになりました。この未承認タイトル移動に「新コミッション」を画策する谷川氏が関与していたというのがJBCサイドの主張なのですが、果たして実態はどうだったのでしょうか?

 谷川氏によるとこの試合WBOのスーパーバイザーが出席することはこの興行の関係者には周知の事実だったのだと言います。ただ当時のJBCがWBO及び下部タイトルを承認していないために彼をリングに上げることは出来ない旨を告げ、スーパーバイザー氏は観客席での観戦となり、試合後もリングでベルトを受け渡す事は出来ませんでした。谷川氏はJBC職員として会場にいたのですが、この興行でたまたま起こった一部観客のヤジを原因とするイザコザに対処していて試合観戦どころではありませんでした。序盤1Rからダウンの応酬となった肝心の試合序盤を観戦できていなかった谷川氏は、広報に載せる観戦記の取材の目的で大沢選手の控え室へと向かいます。するとそこではWBOのスーパーバイザーが新王者となった大沢選手にベルトを授与している最中でした。谷川氏はそのやりとりを傍らで見ながら取材が出来る状態になるのを待ちました。

 これが全てです。

 えっ?と思われるやも知れませんが、JBCが新コミッションの画策の根拠としているのは「ベルト授与の現場に谷川氏がいた」ということだけなのです。ですがJBCの職員が勝った選手の控え室にいるなんてことは特段不思議でもないですし、まして広報に観戦記を書く必要がある谷川氏となれば事後のコメント取材に控え室に入るのはごく自然なことです。得にこの日は肝心要の試合序盤を見れなかったので尚のこと「選手の肉声を聞く必要があった」(谷川氏談)のだと言います。

 ここで問題となるのは、谷川氏の解雇理由の論拠が薄弱なことと同時に、一年間のライセンス停止となった大沢選手の不当に重すぎる処分の背景です。人間が出来ていない私はついつい邪推してしまうのです。過去の事例と比べて明らかにバランスを欠いた彼のサスペンドは、谷川氏の解雇を正当化せんがために過剰に悪質さが強調された結果ではないか?と。 JBCの内紛に一選手を巻き込んで未来を閉ざすようなことがもしあったとすれば、それはJBCの存在意義すら否定する事態です。しかし高山選手が巻き込まれた不可解な報道被害を見れば、この事例の背景にもキナ臭いものがあるのではと思えてならないのです。それはこの後起こる谷川氏や大沢選手が被る報道被害におけるメディアとJBCの出来すぎた連係プレーを見ても感じることなのです。(この項続く)

 中島岳志先生の秋葉原事件ルポが大変面白かった(旧徳山と長谷川が好きです)

Comment

オルフェーブル says... ""
以前の記事にコメントしましたが、途中で送信してしまったかもしれないので、こちらに。西岡についてです↓詳しいことは、以前の記事でお願いします。

王座を保持して(今さら感のある)ベチェカと指名戦やっても良かったのに、実績ある王者(名誉王者)としてドネア戦を選択(対戦機会を待っていたわけですが)し、ルールに則って戦った西岡と、ルール違反だと知りながら逸脱行為をした(と報道されている)大沢陣営を比べることはできません。

長年ファンをやっている旧徳さんや、ボクシングを本当に愛しているB.B.さんよりも、日本のシステム内にいながらにして、ボクシングの本懐を忘れなかった西岡の方がずっと好きですし、これこそがファンの導き手となるものです。

リアルに取材をして、近しい人や知り合いの事情は知っているんでしょうけど、それを盾にして、後からやってくる人たちのお手本となるような、新たな道筋をつくったボクサーの足を引っ張らないで欲しい。(たとえ、お二人がそれに気づかないのだとしても)西岡チャンピオンは、あなた達と比べ物にならないほど、ボクシング界に(ボクシング人気向上にも)貢献していると思います。
2013.04.16 03:38 | URL | #cC1WGdRU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>オルフェーブル様

>西岡チャンピオンは、あなた達と比べ物にならないほど、ボクシング界に(ボクシング人気向上にも)貢献していると思います。

これは批評とか評論と言うものを根本的に理解していない人の意見です
2013.04.16 19:47 | URL | #- [edit]
オルフェーヴル says... ""
日本の著名な批評家や評論家でも、ロジックができてないと思うことは、これまでも多かったです。下記の話は、ロジック云々とは別カテゴリーですが↓

概して、西欧の文筆家が、お互い(自分と批評対象)独立したものであるという前提で書いているのに対し、日本の文筆家は自分との関わりを書いていると思います。日本の批評は結局、自分を語っているように思えます。批評とか評論とか、かっこつけた言葉で装飾しようとせずに『私の気持ちです』の方が潔いのになあと。まあでも、それだと売れないでしょうね。

自分のコメントの引用です↓

長年ファンをやっている旧徳さんや、ボクシングを本当に愛しているB.B.さんよりも(中略)これこそがファンの導き手となるものです。 (中略)たとえ、お二人がそれに気づかないのだとしても、西岡チャンピオンは、あなた達と比べ物にならないほど、ボクシング界に(ボクシング人気向上にも)貢献していると思います。

これは、以前、旧徳さんが”ファン代表である自覚を持つ"ということを書いていたから。B.B.さんが”やるのはファンしかいないじゃないですか"だとか、"業界は人気を上げる努力をしていない"と書いていたから。そういった言葉を受けての応えです。

ファンを導いてくれるのは、挑戦し続ける気持ちを忘れずにいる優れたボクサーであって、無知で良しとして安住するファンの集いではないということ。ファン代表の自覚や自負は、結局のところ、その人たちの周りしか照らしておらず、リング上のように、リアルな他者を知ろうとする切迫したもの(経験だとかこれまで積み重ねたもの)がないんだなということ。

(もちろんリング上で西岡と戦ってみろとか言っているわけではありません)

「誰と戦うのか?」という、ボクサーの本懐を忘れずにいる西岡のような優れた選手がいるのに対し。そういった道筋を裏打ちしている理念およびルールを理解しようともせず、いい加減な話を無自覚に広めている、ファン代表とは比べ物にならないということです。ただ、B.B.さんが以前書いておられた"自分が言ったことには責任を持つ"というのは、凄い覚悟だと思います。本当にやろうとするならば、生半可なことじゃできないですよね。

話戻すと、たとえば俺のコメント読んだら『半可通がわけのわからんこと言いやがって』と思う人いるでしょう。リング上の情報量とは比べ物にならないし、上っ面をなでているかどうかさえあやしい。これは本当にそうだろうと思っています。同じように自分も、あなたに対して思います。「半可通が評論を装ってわかってるつもりになりやがって、ほんまどうしようもない奴やな」

でも、それはそれでいい。ボクサーがリング上で語ることが(そのボクサーの言葉よりも)優れたものだということを最確認する、良いきっかけになりました。西岡がやってきたことって、大変な道のりだったろうなと、今にして思います。
2013.04.22 04:32 | URL | #cC1WGdRU [edit]
シジミを品種改良して大きくしたい(旧徳山と長谷川が好きです) says... ""
>オルフェーブルさま

「スピルバーグの新作がイマイチだなあ」という感想に対して、「お前よりスピルバーグの方が映画界によっぽど貢献してるよ」と反論されたらかなりキョトンとするし「この人は批評って何か分かってないな」と感じます。あなたがやってるのはそういうことです。

「西岡はすごい、大沢とは格が違うから同列に語るな」という意見こそ自分の感想を書いてるだけで、基準に依拠した批評ではないと私には思えますが。

ある基準が一方には適用されて一方には適用されないというのは論理ではありません。大沢選手のやったことの何が罪なのか?何が悪質なのか?どこに被害者がいるのか?私には分かりません。彼は何も罪などなしていないのです
2013.04.22 22:19 | URL | #- [edit]

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