HARD BLOW !

レベコvs黒田 at 川崎

20130227 レベコvs黒田

 小田急線向ヶ丘遊園前駅の登りホーム新宿よりに降りると「川崎新田ボクシングジム」の看板が見える。今日はその新田ジムから初の世界挑戦をする黒田雅之選手の試合を観戦してきました。

 といっても、私、黒田選手の試合を見るのは初めてです。正直「レベコを見てみたい」が8割がたであって、しかもいつもはそれなりに予習していくのですが、今回はほとんど予習無しで両者の試合を見ることに。

 とはいえ、黒田選手についてはこの映像を見て、こんなおっとりした朴訥な青年が日本タイトル曲がりなりにも4度防衛しているのだから、リングでの野獣への豹変ぶりは半端ないのではないかというギャップの期待も少しはありました。

 レベコ選手については長らくWBAライトフライ級暫定王座に鎮座後、フライ級暫定を制し、このほどBビロリアのスーパー王者昇格にともない繰り上がったおなじみのWBAマジックによる正規王者ですが、そんな事情は二の次で、Aアスロウム戦以外負け無しのアルゼンチン人がどんなボクシングをするのか見てみようではないかと思ったのです。

 黒田はライトフライ級の日本王者ですが、身長167cm(推定:報道で157cmのレベコより10cm高いとあり)の長躯、パンチも強いということで、ライトフライ上がりのレベコにパワーで十分伍することができるのではないか、なんて期待も。

 さて試合ですが、立ち上がりパンチを強振するレベコに黒田は足を使い左のリードで冷静に対応。1Rはややレベコのヒットに分があるラウンド。2Rになると黒田のパンチにレベコが効いたかバランスを崩したか後退、黒田がつめる場面があり、このラウンドは黒田。

 レベコは左が多彩でスピードがある。それを研究済みであろう黒田は、右のガードをしっかり保ち距離をとって左のリードを突く。右は相手と距離がある場合か、相手の左の打ち終わりに繰り出すかのどちらかに限られる。この作戦はかなり機能したと思う。レベコは左を出してもなかなかヒットせず、当たってもガードの上からでクリーンヒットは少ない。その中で黒田が左のリードを当てる場面があればポイントはとれる。

 その構図で一進一退の攻防が続いたが、6Rにレベコが手数でラウンドを制すると流れは一気にレベコへ。7R以降、左ボディも増やしながら、細かいヒットで各ラウンドほんのわずかずつだがレベコが勝る。

 結果、117-111が2者、116-112が1者のユナニマス・ディシジョンで「スティル」のコールを黒田は聞いた。

 2階席から見た私の採点は116-114で黒田。私はレベコの細かいパンチとボディをあまり評価しなかったので、黒田が相手の有効打を許さず左のリードで主導権をとったと見た。帰宅して録画で確認すると、やはり黒田は大きなダメージを負っていない。ただヒット数では少しずつレベコに上回られていた。レベコが黒田にダメージング・ブローを決められたなかったことも確かだが、挑戦者がチャンピオンをぐらつかせなかったことも確かだ。

 決して惨敗ではない、採点ほどの開きはない。が、レベコが余力を残して勝ったという意味では完敗だったと言える。

 黒田選手、悪い戦いではなかった。ただ今回の戦法では、相手の左を殺すために自分の右も殺してしまった感があります。相手を倒しにかかるときのコンビネーションブローもあれでは難しい。テクニシャンのレベコを脅かすことのできる武器を黒田は磨く必要があると感じました。守るだけでは勝つのは難しい。

 レベコはウマかったです。ナルバエス・タイプですね。五十嵐とやったらどうでしょう。現時点ではいい勝負ですかね。

 今回の観戦のもう一つの理由は、新聞折り込みにまぎれてくるタウン誌にしばしば黒田選手情報が載っていたことです。それを読んでいる私も結構ヒマ人ですが、川崎新田ジムは地域とのつながりを重視した活動を行っており、地元川崎市の商工会やJリーグの川崎フロンターレとの交流も盛んです。新田会長は地域の社会インフラとしてボクシングジムが定着することを目指しているようで、そういうボクシングジムの有りかたは有りだなという思いや、川崎市民としてちょっと貢献しようかという思いもあっての観戦でした。
20130227 黒田雅之激励会
 ちなみに会場の「とどろきアリーナ」は、ボクシング会場としてどうかと思っていましたが(6500人収容で広すぎないかと)、実際には2階席でもリングが近く感じられて見やすかったです。(横浜文化体育館よりもっとよかった。)

川崎フロンターレの友情応援もあり、7-8割の入りの会場は黒田選手が敗れたものの大いに盛り上がりました。世界戦がなくても地域に不可欠なスポーツクラブとしてのボクシング・ジムの存在、これも一つの有りかたですね。

by 旧徳さん記事かぶせてごめんなさいのいやまじで

Comment

オルフェーヴル says... ""
いやまじでさん、観戦記おつかれさまです。

レベコは、柔軟なボディーワークで体勢を変化させながら打っていて、パンチは多彩、小気味良いリズムで、中間的なパンチも多かったです。物凄く優れているわけではないけど、体にはバネがあって、やりたいことをできたせいか、スタミナありました。これに照らし合わせると、黒田の攻撃パターンは、ジャブ・左フック・左ボディーの3種類で、パンチ出す体勢が固定されていたと思います。

王者は、空いているところを打っては、打ち終わりを狙い。ガードの上から叩いては、ポジション変えて真ん中を割り。リーチに関わらずジャブで体勢を崩し、フェイントを交えてボディーを打つなど。基本なのだろうけど、バラエティー豊富に感じました。前手だけではなく、後手もうまく使っていたし、総合的な技量に差があったと思います。

パンチのスピードだけだと同じぐらいかもしれませんが、タイミングを読むセンスだとか、初手を外しても続いてくるコンビネーションの質、手数も多くて、レベコのパンチの方が良く当たりましたね。黒田がオンガードポジションをとっていても、いつの間にか攻め込まれていたり、止まっている状態になったりして、早いラウンドから間(ま)を掴まれている印象受けました。

黒田陣営が、KOか判定のどっちを思い描いていたかは、わからずじまいでした。戦術的には、何か布石を打ったり、採点で負けていたら、何か仕掛けたかったのでしょうけど、相手のうまさで、淡々と終わってしまいましたね。『左を制するものは世界を制す』という言葉ありますが、ジャブが生きている・生かされているようには見えませんでした。

最終ラウンドの初めの方で、レベコが流したり、ラウンド途中でリズムを整えたりするシーンあったと思いますが、こういったところに、レベコの基本性能が良くあらわれていたと思います。そこから重ねるようにして、攻撃パターンがあるんだな(つくっているんだな)と思いました。

見ている一ファンとして気になったのは、「間(ま)をつかむ」基本性能に差があったこと。空いているところをタイミング良く打つということですが、黒田陣営は、そういったものを基本として、スタイルを作ってきていないように感じました。新田会長は、ネットで物書きしていたのを知っていって、著作買ったことあります。黒田も載っていました。初めての世界戦とのことで、今後にも期待したいです。フロンターレの応援良かったですね。
2013.03.03 02:49 | URL | #f5hmnWBA [edit]
いやまじで says... ""
オルフェーヴルさん、コメントありがとうございます。

レベコはパンチの角度とタイミングは多彩でしたね。おっしゃる通り空いているところを臨機応変に打つことができる。

ただダメージ与えるパンチがなく、ディフェンスもそれほど良いとは見えなかったので、強さは感じなかったですね。ウマさもかつての中南米の小憎らしいほどではなかったです。

黒田は試合後に「まったく手の届かないところにあるとも感じなかった」とコメントしてましたが、これは紙一重に見えて非常に厚い壁である場合があって、この試合は後者だったと思いますね。届きそうで届かない。そのあたりを黒田は厳しく見た方がよいと思いますね。

>「間(ま)をつかむ」基本性能に差があった

 渡辺二郎がバラス戦で「いろいろ試してみたが何やってもだめだった。ただ最後はどつきあいというのはあった」、村田諒太がロンドンで「ボクシングしたらどうしたってヨーロッパにはかなわないからパワーでいかないといけなかった」とコメントしていたのを思い出しました。欧州・中南米の選手のテクニックや間合いのレベルは全般的に日本より高い印象があります。で、日本のジムのその辺の指導力はどうなのかな、と疑問を持ったりします。

黒田は作戦的にはリーチを生かして左リードで距離をとってポイントアウトではなかったかと。今回は相手の攻撃を封じるために右のガードを上げることにプラオリティを置いたために、そこで動きが止まっちゃって自縄自縛の感じがありますね。ただ、それ以前に、あれだけセコンドに気合い入れられなきゃならんというのは、自律的に(自分で判断して)戦うことができていないということであって、その状態のままでは永遠に世界に手は届かないと思いますね。

応援ですが、川崎フロンターレで盛り上がったのはいいんですが、試合中も鐘や太鼓を鳴らしっ放しはルール違反(ゴングや拍子木が聞こえなくなる)で再三の注意も無視してましたから、これは止めんとまずいでしょと思いました(苦笑。でも雰囲気は良かったです。
2013.03.04 05:53 | URL | #Twj7/TDM [edit]
B .B says... ""
>紙一重に見えて非常に厚い壁

この言葉から真っ先に思い出されるのは・・
ルペ・ピントール、ジェフ・チャンドラー相手の世界戦でニ連続ドローを演じた村田英次郎さん。
黒田の所属する新田会長の兄弟子ですね。

当時東洋無敵で、A、C両団体で世界1位。左右の強打を武器に活躍された名選手でした。
しかし接戦を制する、あとたった一つのクリーンヒットさえあれば世界王者だったと今でも語られる事の多い選手でもありました。
今回の世界戦で引き合いに出される選手ではありませんが、いやまじでさんの言葉で思い出したもので。

ボクシングはポイントの取り合いですが、しかしワンパンチで展開が変わる。
さて、その意味ではレべコに挑んだ黒田選手は練習のほとんどを出せたのではないかと感じました。
パンチのキレでは王者を上回ったように見えましたし、多彩な左からの攻撃にも耐え終盤に大崩れも無かった事で試合としては緊張感のある面白い試合だったと思います。
数年前に技巧のリチャード・ガルシアに判定で敗れた試合を観て伸び悩んでるなと感じました。本来の強打はすっかりなりを潜めボクシングに対しての迷いがあったのか。
そんな感想をずっと持っていたので、レべコ挑戦はどうなのかと考えてました。

しかし、全力を尽くしたこの世界戦は初挑戦と言う事もありますが、黒田選手にとっても大きな財産になったのではないでしょうか?
一皮むけて、まだまだ強くなる選手と思いました。

王者レべコは正直、今回は期待を下回りましたね。
左からの攻撃は多彩に見えますが、強弱緩急が少ない為に怖さを感じませんでした。
2013.03.05 09:11 | URL | #65fpICiI [edit]

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