HARD BLOW !

心に残る一戦

セルゲイ・ジンジルク(ウクライナ 37(24KO)-1(1KO)-0)
vs
ジョナサン・ゴンサレス (プエルトリコ 15(13KO)-0-0)

ミドル級ノンタイトル12R(2012/09/01,於 アメリカ、ニュー・ヨーク)


1R立ち上がりゴンサレスのジャブにまじろぎもせず前進を続けるジンジルクに、ああこうやってベテランのテクニックが新鋭を追いつめていくのだろうなと思ったが、そうはならなかった。

1Rこそ後退を強いられたゴンザレスだが、2Rに入ると距離をやや長めにスイッチしながらサークリング、タイミングを測ってショートレンジに入り強い右を打ち込む。ジンジルクの無リズムにも思えるリズムを狂わせにかかる。

3Rはジンジルクがプレッシャーを強めるが、ゴンサレスはジンジルクの右ジャブに小さな右を絡め、追撃の左に右カウンターを合わせる。

4R以降ジンジルクは接近戦にも応じて鋭い右ジャブと左ストーレートを決めるが、ゴンザレスは重い右でジンジルクの体を揺らす。顔面を見る限り紅潮したジンジルクの方がダメージを負っているように見える。

6Rにはゴンサレスがジンジルクの右ジャブの距離とタイミングを見切ったようにかわし、右ダブル・左ダブルを決める。ジンジルク後退。

7Rジンジルクは右ジャブのスピードを取り戻す。左が鳩尾に決まりゴンサレスの動きが止まるが終盤にゴンサレスがパンチをまとめる。

双方相手の出方に応じて微妙に戦法を変化させながら一進一退の攻防が、ノンタイトルながら12Rの試合の最後まで続いた。個人的には新鋭のゴンザレスが押しているように見えたが判定はドロー。

判定発表後、失望と安堵の表情が両者に見られた。

Sマルチネス戦の完敗で自信と誇りを打ち砕かれたジンジルクは、新旧交代の流れの前に踏みとどまり、やや緩いながらも柔軟な体の動きとパワーパンチでジンジルクの教科書のようなボクシングに対抗した23歳の新鋭ゴンサレスは、経験と成長を得たことだろう。

ジンジルクの方が得たものは少ないように見えるが、再起の途上でタフな一戦を生き抜いたことで次につながった。36歳のベテランに残された時間は少ないが、この一戦の意味は今後の戦い方で決まるだろう。

微妙な戦術の変化の応酬と新旧のせめぎ合い、テクニックとパワーのコンバイン、…

様々な感慨を催させるという意味で今年一番の一戦だった。



付記
 メインはゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)vsグレツェゴルツ・プロクサ(ポーランド)。プロクサは若き日のミルコ・クロコップのような腰の入った左右フックをスピーディに打てる選手。ゴロフキンは体とパンチのパワーで物がちがう感じ。結果はダメージを重ねたプロクサが5RTKO敗。プロクサはハートのあるところを見せたが、ゴロフキンが格のちがいを見せつけた。ジョーさんはSマルチネスとやらせたいと言ったが、直線的な動きのゴロフキンが変幻自在のマルチネスを捕えるのは難しいのではないか。

WBA世界ミドル級タイトルマッチ。ゴロフキンは5度目の防衛に成功。アテネ五輪銀メダリストでアマチュア時代にビュテやドリルを破っている30歳ゴロフキン(カザフタン)はこれで24(21KO)-0-0。プロクサ(ポーランド)は28(21KO)-2(1KO)-0。

by いやまじで

Comment

おもしろモンキー says... ""
心に残る一戦かぁ
今年は・・・
やはりウォーズカツマタ選手のあの一戦です。

誰が1ラウンドで敗北すると思いました?

しかもKO 負け。
かなり自分からしたらショッキングな試合でした。
自分ごとですいません。
2012.12.23 22:06 | URL | #/2CD/BNk [edit]
いやまじで says... ""
ウォーズの時は私もショックでしたね。
相手のメキシカンの体が鋼(はがね)というか筋金入りみたいに見えて、しかも一発でしたから、頭が真っ白になりました。何せその先に世界が見えてましたからね。メキシカン恐るべしの印象も強くしました。

試合後、「今日は運が悪かった」みたいなことを言って会長におこられたらしいですが(苦笑)、沖縄での再起戦の勝利で見せた涙は良かったですよ。
2012.12.24 00:32 | URL | #Twj7/TDM [edit]
B.B says... "心に残る一戦"
おもしろモンキーさんが挙げたウォズ対ブランケット戦は衝撃がありましたねぇ。
リングインまでの間に何となく嫌な予感はありましたが。

さて、折角ヒントを頂きましたので僕も今年心に残った一戦を・・

と、頭をよぎる試合は幾つもありました。
中でも日本人絡みの世界戦では、西岡利晃選手の最終戦。比国の閃光ノニト・ドナイレ戦。
ビッグネーム、ダルチニアンを翻弄した山中慎介選手の初防衛戦。
絵に描いたようなコークスクリュー一閃、曲者トマス・ロハスを失神させた山中選手二度目の防衛戦など。
しかし、今年一番に挙げたいのは互いのプライドをぶつけ合った世界ミニマム級統一戦、
WBC王者井岡一翔対WBA王者八重樫東の日本人対決です。

下馬評有利と言われた井岡選手得意のジャブは初回から冴え渡り、繋げる右カウンターそしてえぐるような左ボディブロウはとにかく素晴らしいの一言。

八重樫選手もおそらく見えていなかったであろうほどに両瞼を大きく腫らしダメージを受けながら、後半見事な盛り返しを見せて逆転KOまであるのではないか?と思わせる攻撃。
特にコンビネーションから最後に繰り出す右ストレート、フックは度々井岡選手の顎を捕らえダメージを与えた事でしょう。何より強靭な精神力に驚きました。
やはり日本人対決は意地のぶつかり合いに心を揺さぶられます。

しかし、大晦日には東京、大阪で5大世界戦が控えていますのでこれを越える熱い試合を期待します。
2012.12.26 16:07 | URL | #65fpICiI [edit]
いやまじで says... ""
八重樫選手はイーグル挑戦あたりではフットワークを使ってスピードで勝負するタイプだと思っていたので、ポンサワンに勝った時は自分のボクシングではない形で勝ったように見え、私の評価は辛かったのですが、井岡戦などを見ると打撃戦もレパートリーに入る選手になっていたのだと認識し再評価した次第です。試合は井岡が制しましたが、持ち味を発揮したという意味では八重樫選手の戦いぶりも良かったですね。非常に気力が充実していました。

ちょうど「「黄金のバンタム」を破った男」を読み終わったところですが、白井義男のカーン博士との出会いから話は始まるのですが、矢尾板+フライ級三羽烏の絡みなど臨場感をもって描かれていて、こういう日本人対決はもっと見たいなと思いました。最近のメキシコではミハレスとRマルケスがやったようなサバイバルマッチもいいですね。大晦日の日本人対決(佐藤vs赤穂)も見ごたえある試合を期待したいです。
2012.12.27 01:55 | URL | #Twj7/TDM [edit]
いやまじで says... ""
「「黄金のバンタム」を破った男」に関連して動画を見つけましたので貼っておきます。

矢尾板はキングピッチへの挑戦が決まっていながら突然の引退。その代役で戦ったF原田が白井以来の世界王座に就きますが、矢尾板は引退の一年前のエキジションで原田を圧倒していた。

その矢尾板が白井から王座を奪ったパスカル・ペレスをノンタイトルで破り、その10か月後にタイトルマッチでダウンを奪いながら敗れた試合です。本書で「若かったのです」と矢尾板は述懐しています。動画の聞き手はジョーさんでしょうか。

http://www.youtube.com/watch?v=SvgEbZFiDsQ
2012.12.27 04:25 | URL | #Twj7/TDM [edit]
B.B says... "心に残る・・"
これは貴重な映像ですねぇ。
それにしても矢尾板さん、この時点で50戦以上のキャリアがありながら「若かった」とは・・
現在とは比べ物にならない世界タイトルの価値でしたね。

いやいや、しかし矢尾板さんのレコードめっくっていたら米倉健司さん、野口恭さん、斉藤清作さんなど国内フライ級のリングを飾った錚々たる面子。
そしてロープ際の魔術師、黄金のバンタムから、メキシコの赤い鷹、そしてリングの貴公子と小一時間の世界旅行をして来ました(笑
そして古い映像のいくつか観ていると、リングサイドの熱気に当てられてまるでタイムスリップしてしまったかのようでした。

今でも凄いなと思うのは柴田国明さんの快挙・・ 話しが飛びすぎでスミマセン!
ヴィセンテ・サルディバル戦
 http://www.youtube.com/watch?v=DC_5qCagfRY&gl=JP&hl=ja
サルディバルがどれほど凄いか・・
対シュガー・ラモス戦
http://www.youtube.com/watch?v=K5iBjEAD8aI
2012.12.27 18:53 | URL | #65fpICiI [edit]
いやまじで says... ""
柴田はサルディバル相手に凄い距離で戦ってますね。パンチもらわないし。
それで打ち勝っての勝利ですからメキシコに名前が残るわけですね。
考えてみればこの戴冠戦映像は初めて見ました。これも貴重ですね。
2012.12.28 00:58 | URL | #Twj7/TDM [edit]

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