HARD BLOW !

最近のバナルとバウティスタ

10月20日、今回はセブではなくマニラの巨大ショッピングモールで行われたというALA定期興行の観戦記です。

AJバナル 28(20KO)-1(1KO)-0 (フィリピン)
P.S.シンギュ 42(27KO)-1-0 (タイ)

WBO世界バンタム級王座決定戦


サウスポーのバナルは半身で重心低く構え、パンチもフットワークも足腰のバネがよく利いている。

シンギュは右構えだが、ガードを顔半分まで上げ、相手にほぼ正対するように前傾。これで頬からボディまでがガードで隠れ、相手としては非常にパンチを当てにくそうだ。その体勢から伸び上がるようにして左ジャブや右ストレートを打つ。これが結構伸びてしかも力がある。タイよりも日本人によくいそうなタイプに見えるが、ちがうのはインファイトでも速い回転でパンチが打てるところ。

実際バナルも研究済みなのか、シンギュのガード下からもぐりこませるようにアッパーやフックをボディに打っていた。ただそれが行き過ぎてローブローが多くなり、6Rには減点も取られた。

序盤の3Rはバナルが速いコンビネーションとサイドステップでラウンドをとったが、前に出るシンギュの圧力は弱まらず、中盤シンギュのパンチの威力が勝り始める。バナルはよく動いて持ちこたえているようだったが、9R乱戦からシンギュの右ストレートを顎に受け、これが効いてダウン。立ちあがったもののダメージが深いと見たレフェリー(トニー・ウィークス)はストップを宣し、WBOバンタム級新王者はタイのシンギュに。

シンギュはこれで44戦43勝だが、そのうち17人がフィリピン人ボクサーとのこと。なお、1敗の相手は2009年WBCユースタイトル防衛戦のStephane Jamoyeである(SD)。

バナルはこれまで敗れたのがRコンセプシオン(WBA暫定スーパーフライ決定戦)だけだが、コンセプもこの日のシンギュも泥臭いファイター。バナルは切れの良い動きを見せる選手で好きなタイプの選手なのだが、どうも力押しには弱いようだ。

シンギュはそのタフネスから見てムエタイ経験者に思えるが、あの姿勢はムエタイからはかけ離れていて、どうやってああなったのか少し興味がある。タイのタフネスでは、先日コンパヤックがアドリアン・エルナンデスとの敵地リマッチで敗れたが、あれは打たれ過ぎ。シンギュは結構デフェンスが固い。ただバナルはもっと右フックをテンプルに、左アッパーを顎に打てなかったかと思う。

♦  ♦  ♦  ♦

セミはレイ・ブンブン・バウティスタ(フィリピン 33(25KO)-2(1KO)-0) vs ルイス(メキシコ 27(19KO)-4(2KO)-1)のWBOフェザー級インター王座決定戦。2007年ポンセ・デ・レオンに1RKO負け(WBO世界スーパーフライ級戦)を喫してから5年、26歳のバウスティタが初回から強打を揮い、タフで大柄なルイスのカウンターに遭いながらも押しきり、2-1判定勝利。しかし、フェザー級の世界トップ戦線で戦うにはパワーの面でも技術の面でも厳しいものを感じた。

♦  ♦  ♦  ♦

それにしてもフィリピナは好戦的だ。とりわけこの日のバウティスタはそうだ。しかし世界のトップ戦線でもこの戦い方で行くのだろうか。それならこの日の相手は圧倒しなければならないだろう。ともかく前へ出て正面からの攻めは、ともすると単調に見え、危い被弾もしばしば。このレベルでこの戦い方を貫けないようでは…という考え方もあるが、別の戦い方もできないと、とも思う。それができた上での今日の戦い方ならというところであろうか。といっても、私は彼の試合はこの試合とポンセ・デ・レオン戦しか見ていないのであるが。とにかくデフェンスがもうちと何とかならんかと。今日の相手を圧倒できるパンチ力がない以上は。

西岡戦を終えたばかりのドネアが解説というのが贅沢だった。

by いやまじで

Comment

B.B says... "AJバナルの次は誰だ?"
バナルは身体能力と強打で比国期待のホープでしたが、とうとう底を見せてしまいましたね。
一昨年の木村隼人戦では5RKO勝ちしたものの、プレッシャーをかけられると途端に足踏みや頭突きなどを繰り返すダーティーファイトで精神的に弱い面が見られました。
あれから少しは成長したかと思いましたが、強気な攻めとは裏腹でやはり圧力を掛けられるとメンタルの脆さが出てしまったようですね。再浮上は難しいか?

比国のバンタム級レーティングを覗いて見ると
http://boxrec.com/ratings.php?sex=M&division=Bantamweight&country=PH&pageID=1

トップと2位が日本で活躍するロリー松下とマルコム・ツニャカオのベテラン勢。
そしてバナルを抜いて浮上して来たのが、個人的に注目しているマーロン・タパレスです。
比国からの情報ですと、サウスポーながら右に一発を秘め、試合運びにも巧さが光るという20歳の新鋭。
なるほど、これまでに元PABA王者レイ・メグリニョやリチャード・オリサらベテラン勢に競り勝ち、ウォズ・カツマタにはTKO勝利を収めていますね。
http://boxrec.com/list_bouts.php?human_id=482863&cat=boxer

盛んに彼の試合や練習を見た関係者は早くも「パッキャオ二世」と。
キャリア序盤で格下に痛い星を落とすところなどもパッキャオに似ている?

この日バナルの前座で岩佐やローリーに連敗したインドネシアのラスマヌディンを圧倒したようですが、別の試合映像を貼っておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=7ZieVaFOSW0

2012.12.12 17:46 | URL | #65fpICiI [edit]
B.B says... "このベテランも面白い!"
この日の前座には日本でもおなじみのベテラン、マイケル・ドミンゴも出場していますね。
2004年にはホルヘ・リナレスのアンダードッグとしても来日した事がありました。
ドリアン・フランシスコに判定負けした後、話しを聞きました。
本人は「バンタムからSフェザーまでだったらどこでも戦える」と豪語していますが、33歳の今がボクサーとして旬なんだとも。
なるほど今年の3月には河野公平らと拳を交えたマルビン・タンポスと戦い、初回KO勝ちと乗っています。
http://www.youtube.com/watch?v=rUx_ZqMfX28 タンポス戦
http://boxrec.com/list_bouts.php?human_id=68098&cat=boxer

確かに長いキャリアを振り返ると有名な選手と何人もやってますし、番狂わせも演じているとても面白い選手です。
これまで後輩にチャンスを譲る事も度々と気の優しいのが試合でも災いしてましたが、やっとボクサーとして欲が出て来たか。
これはパッキャオ効果ですね。

ps、タンポス戦の映像、是非ご覧ください。ドミンゴの人柄が良く表れています(笑
2012.12.12 18:28 | URL | #65fpICiI [edit]

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