当ブログの日本ボクシング連盟についての過去記事を時系列順に並べてときます。全部読めば飲み屋で事情通ぽくふるまえます(笑)。内容や画像をパクるときは引用元を明記してください。
2017年8月26日 日本ボクシング連盟激震の内幕 澤谷廣典氏インタビュー
2017年8月29日 日本ボクシング連盟激震の内幕 澤谷廣典氏インタビューPART2
2017年9月3日 なぜ隔年開催?「国体第三期実施競技選定 評価結果」に見るアマチュアボクシングをとりまく危機的状況
2017年9月12日 AIBA世界選手権 日本代表チーム瀬部勉監督の謎
2017年10月1日 AIBA公認グローブの怪 杉スポーツの謎
2018年4月26日 相撲、レスリングだけじゃない!『日本ボクシング連盟問題』再び 澤谷廣典インタビュー
2018年5月17日 トップ主導の不当判定は存在するのか?!『日本ボクシング連盟問題』再び 澤谷廣典インタビュー
2018年6月12日 山根明会長に退任要求!どうなる日本ボクシング連盟
炎上ネタ、ワイドショーネタとして消費せず末永いお付き合いをよろしくお願いします。
村木田一歩先生から『業界の淀み』というありがたい異名を頂いた(旧徳山と長谷川が好きです)
はじめに
今回は読者からの投稿記事を掲載します。
本ブログとも関係の深い斉藤司選手。2008年度全日本フェザー級新人王にしてMVPとなり華々しいスタートを切った斉藤選手ですが、2015年末以来二年半以上試合から遠ざかっています。彼が試合が出来なかったのは、所属していた三谷大和ジムとのトラブルが原因でした。斉藤選手は他ジムへの移籍を容認することや、自身があると主張する未払いのファイトマネーを求めて三谷大和ジムを提訴し民事裁判を闘って来ました。
その裁判の判決が、先週千葉地方裁判所で下され、判決で斉藤選手の請求は全て棄却され敗訴となりました。多大な労力と長い時間をかけた裁判闘争は一見すると苦い結末を迎えたように見えます。ですが『原告の請求を全面棄却する』という主文から続く判決文の本文には、日本のボクシング界の商習慣の根幹を揺るがすような重大な法解釈が記されていました。
今回の読者投稿は、斉藤司選手の裁判によって露になったボクシング選手の契約に対する重大な問題提起を含んでいます。難解な法律用語が多いですがどうか最後まで読んでみて下さい。
試合に負けて、勝負に勝つ。 斉藤司選手裁判、千葉地裁判決の真相
Ⅰ.訴訟概要
主文、原告の請求を全面棄却する。その言葉を法廷で聞けば、誰もが負けを確信するであろう。
原告、プロボクサー斉藤司選手が前所属ジムである三谷大和氏を訴えた訴訟の地裁判決が7月11日千葉地裁でおこなわれました。
原告斉藤司氏の請求は 3 点、でした。
1.ファイトマネーを未払い賃金として278万500円の請求
2.優越的地位を濫用して、チケットを売りつけ売れ残りの赤字を請求した事に関する精神的苦痛として、100万円の請求
3.被告は原告に対し、一般財団法人日本ボクシングコミッションが指定する移籍届に署名捺印せよ
これに対し千葉地裁、小濱浩庸裁判長は判決主文で原告斉藤司選手側の請求を全面棄却しまし
た。しかし判決文の内容を紐解けば、敗訴とはとうてい言えないくらい被告側に、そして業界に厳し
い内容であることが浮かび上がります。その中でも今回は特に、3の移籍に関する判決文を中心に
判決内容を解析してみます。
Ⅱ.プロボクサーとマネージャ―の契約の法的性質
原告斉藤司選手側(寺島英輔弁護士)は、ファイトマネーの未払いを、プロボクサーは労働基準法上の労働者と規定し、本件契約は労働契約に当たると主張します。そして仮にこれに当たらない場合は、本件契約は有償準委任契約であると主張します。一方被告三谷大和氏側(石田拡時弁護士)は、プロボクサーは試合に出場する対価としてプロモーターからファイトマネーを得るので
あって、労働基本法上の労働者にはあたらないし、賃金請求権を有していないと主張します。また有償準委任契約にも当たらず、無名契約であると主張します。その理由として「他のプロスポーツに比べて移籍する例が少ないこと、本件契約では期間の定めがあり、契約期間中の解除が予定されていない」ので「無理由解除を認める有償準委任契約とは性格が異なる」と主張します。石田拡時弁護士は早稲田大学出身の元プロボクサーであり、業界の事情は熟知しています。
これに対し判決文ではまず斉藤選手が1年のブランクを空けた等の事実を指摘し、「原告は試合に出ることやトレーニングを
おこなうことについて諾否の自由を有していたということができる」と認め、「原告が労働法上の労働者に当たるということはできず、本件契約が労働契約であるということはできない」と原告の主張を退けます。
そして判決文では
「被告は JBC ルール 33 条 2 項の義務を負い、同義務の履行は被告との間の信頼関係を基礎とするものであるから、本件契約は有償準委任契約の性質を有するものと評価することができる」
とし、本件契約を有償準委任契約であると定義し、さらに踏み込んで、
「本件契約が、原告と被告との間の信頼関係を基礎として成立しているとの本件契約の有償準委任契約としての性質を左右するものではないから、被告の主張する非典型契約(被告側は無名契約と記載)を採用することはできない」(P.14)と被告三谷大和氏側の主張も退けています。ここで鍵となるのが、2度文面に掲載されている、「原告と被告との間の信頼関係を基礎として成立しているとの本件契約の有償準委任契約」という文言です。
つまり、プロボクサーとマネージャ―の契約は信頼関係を基礎としている、というのが千葉地裁の判断です。
Ⅲ.被告三谷大和氏の、 JBC 移籍届への署名捺印棄却の真相
さて肝心の原告斉藤司選手の被告三谷大和氏への JBC 移籍届の署名捺印に対する請求棄却に関してですが、原告斉藤選手側は本訴訟において、
「移籍届を JBC に対して提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージメント契約を締結することができないという優越的な地位を濫用して」(P.17)
とジムが選手に対して保持する優越的な地位を濫用することが公序良俗に反していることを盛んに主張します。ジムの権限が選手より圧倒的に強いことは、これまでのボクシング業界では当然のことであるのは読者の皆様も当然の常識としてご存知かと思います。判決文ではこの優越的地位に関して判断を下しています。少し長いですが以下判決文を引用します。
「優越的な地位を有しているかを検討する。確かに、前提事実のとおり、本件契約書には、原告が本件契約満了などを除き、他のマネージャーと第二契約に署名しないことに同意するとの記載があり、JBC ルールは、ボクサーが、契約した 1 人のマネージャー以外の他のマネージャーといかなる契約もしてはならないと規定していることからすると、原告がプロボクサーとして活動を続けるために被告と本件契約を継続する必要性が一定程度認められる。しかし後記 4 説示のとおり、原告は民法 651 条に基づき本件契約を解除することができ、前提事実のとおり、JBC ルールは、ボクサーが契約した 1 人のマネージャー以外の他の
マネージャーといかなる契約をしてもならないと規定しているものの、旧ジムのマネージャーとのマネージメント契約が解消された後にも同規定が適用されるとの規定は存在せず、本件契約書 2 項では、他のマネージャーと契約をしないことの例外として、本件契約満了を挙げており、本件契約書及び JBC ルールには、旧ジムのとの間でマネージメント契約を解除した後に新しいボクシングジムとの間でマネージメント契約の締結をすることを制限する規定があるとは認められない。そうすると、プロボクシング界に、プロボクサーが他のボクシングジムに移籍する際、JBC に対し、旧ジムのマネージャーが新しいボクシングジムへ移籍を承諾するという内容の移籍届を提出し、移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても、原告と被告との間において、被告が移籍届に署名捺印し移籍金を受領しない限り原告が他のボクシングジムへ移籍することができないとの合意をしたと認めることができなければ、原告が新しいボクシングジムのマネージャーとマネジメント契約を締結することは可能というべきである。しかるに、原告と被告が、上記合意をしたとの事実を認めるに足りる証拠はない。そうすると、被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージャ―とマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」(P.17)
ポイントを整理します。
(1)契約の有効性、契約解除の可否に関して。
現在のボクシング界では、選手とマネージャ―の契約は3年契約自動更新とされています。移籍には JBC への前所属ジムの署名押印が入った移籍届の提出が必要ですが、 「原告は民法 651 条に基づき本件契約を解除することができ、」 原告斉藤選手は三谷大和氏との契約を解除することができる、と明記しています。また別の部分で、「原告と被告の信頼関係を基礎として成立する有償準委任契約に当たる。民法 651 条は、委任における信頼関係の重要性を基礎として、委任は当事者がいつでもその解除をすることができると定めているから、本件解除は同上に基づく解除として有効というべきである」と記してあります。
民法第651条には
1.委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2.当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
とあります。要するに斉藤選手と三谷大和氏のマネジメント契約は、解除されており現在は存在しない。ということです。
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。とは双方の合意は必要なく、片側の意思で解除できるのであれば、それが何を意味するのかは明確だと考えられます。もちろん合理的な理由が必要となるでしょうが。
(2)移籍届署名捺印の請求棄却に関して
肝心の移籍届署名捺印に関しては、 「そうすると、プロボクシング界に、プロボクサーが他のボクシングジムに移籍する際、JBC に対し、旧ジムのマネージャーが新しいボクシングジムへ移籍を承諾するという内容
の移籍届を提出し、移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても、原告と被告との間において、被告が移籍届に署名捺印し移籍金を受領しない限り原告が他のボクシングジムへ移籍することができないとの合意をしたと認めることができなければ、原告が新しいボクシングジムのマネージャーとマネジメント契約を締結することは可能というべきである。しかるに、原告と被告が、上記合意をしたとの事実を認めるに足りる証拠はない。」(P,17) 要約すれば、斉藤選手と三谷大和氏の間で、「移籍届に署名捺印し移籍金を払わないと移籍してはならない」という合意がないのだから、斉藤選手は新しいマネージャーと契約できる、ということです。
ゆえに、「原告が本件解除後に他のボクシングジムのマネージャーとマネージメント契約を締結することは可能である。」
「原告が主張する移籍届に署名捺印する義務を負うものではないというべきである」「したがって、原告の被告に対する移籍届への署名捺印は理由がない」
と、原告斉藤選手側の請求は棄却されます。要するに、移籍届への署名捺印は必要がない、ということです。
(3)判決の業界への判断
ここをもう一歩踏み込んで解釈すると、判決文の業界に対する姿勢が見えます。
「被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネージャ―とマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」
JBC への移籍届の提出ですが、マネジメント契約が存在しないのであるから提出の必要がない。ということです。現在 JBC は原則移籍届の提出を移籍の条件にライセンスを発行していますが、この移籍届への署名押印自体がナンセンスだということです。また契約がすでに存在しない選手に関しては、当然移籍金の発生もするはずがありません。JBC が移籍届がないことを理由に移籍を拒否することになれば、今度は JBC が法的責任を問われる可能性があるのではないでしょうか。
また「 移籍するプロボクサー又は移籍先のジムが旧マネージャーに対し移籍金を支払うという慣習があったとしても」と移籍金等の旧来の慣習も否定しています。JBC と協会はこの斉藤選手の地裁判決を受け止め、判決に基づいたシステムの改定を早急に検討すべきだと考えます。
(4)優越的な地位に関する判断
原告が主張するジムの選手に対する優越的地位の濫用ですが、引用部分は重なりますが、
「被告が原告に対し被告の署名捺印を得た移籍届を JBC に対し提出しなければ原告が被告以外のマネージャーとマネジメント契約を締結することができないという優越的地位を有しているとはいえない」とあります。判決文の判断は、 「優越的な地位を有していない」つまり選手とジム、マネージャ―は対等の関係である、ということです。
判決文では、立場が弱い選手が立場の強いジム、マネージャーに搾取されているとの原告の主張を退けています。ボクサーが弱い立場である、ということも否定されています。業界の常識が司法の場で強く否定されたのではないでしょうか。
Ⅳ.斉藤司選手は、何故敗訴したのか
斉藤司選手は何故敗訴したのか、に関して検証すべきでしょう。判決文の内容は選手の権利を強く保障しているにもかかわらず、斉藤司選手はなぜ敗訴したのでしょうか。
そこには訴訟の論理があります。
原告斉藤司選手の請求内容は、「被告は JBC の移籍届に署名捺印せよ」というものでした。判決は契約の存続を認めない内容でしたから、「原告が主張する移籍届に署名捺印する義務を負うものではないというべきである。」「したがって、原告の被告に対する移籍届への署名捺印は理由がない」と請求が棄却されました。
仮に、請求内容が[三谷大和ジムとの契約無効を確認する]としていればどのようになっていたでしょうか。判決文を読めばどうなるかは明らかでしょう。斉藤司選手は敗訴したことによって訴訟費用の全額を負担しなければなりません。いくら内容が良いとは言え、訴訟に敗訴したというのは明確な事実です。個人的には原告側の訴訟戦術に疑念を抱かざるをえません。
Ⅴ.判決の意義
訴訟の判決は、斉藤司選手の敗訴に終わりましたが、判決内容を精査すると、三谷大和ジムならず、ジム関係者、協会、JBC ら業界にとって非常に厳しい結果だということに気づかされます。ここも裁判の論理なのですが、三谷大和氏全面勝訴ですので、被告三谷大和側は高裁に控訴することができない、と聞いております。つまり斉藤選手側が控訴しない限りは判決が確定します。判決の内容は相当踏み込んで画期的ではないでしょうか。斉藤選手と三谷大和氏のマネージャー契約が JBC フォーマットの契約書を使用していることも興味深いです。本判決の影響が、移籍問題で悩む多くの選手の一助になれば幸いです。
また日本特有のジム制度の今後にも影響を与える判決であったと理解します。
(文責:U)
※読者の皆様へ、本文中の内容、解釈はあくまで個人的見解ですので、これを引用して発生したいかなる事態にも執筆者は責任は負いません。
亀田興毅氏の尋問の様子はこちらから
↓
いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART1
いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART2
浦谷信彰氏(JBC事務局長)の尋問の様子はこちらから
↓
いよいよ最後の戦いか? 亀田とJBCが法廷で直接対決した当事者尋問傍聴記 PART3
裁判傍聴記録も今回が最終回。いよいよラスボスともいうべきJBC理事長、秋山弘志氏の登場です。
JBCのトップは本来、コミッショナーの久代信次氏であり組織の意思決定については久代氏が説明するべきだと思うのですが、JBCにトラブルがあるとなぜかいつも秋山氏が前面に出て来ます。これは先代コミッショナーの林有厚氏の時代からそうです。トップが出てくると困ることでもあるんでしょうかね?
秋山氏はもともと東京ドームの子会社である松戸公産の出身。松戸公産の主業務は公営ギャンブル松戸競輪の運営で、なんでまた畑違いのボクシングに関わることになったのか根拠が分からない人選でございます。
そんな秋山氏には「エンタテイメント・ビジネス」という著書があるようで...
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秋山氏がマイク・タイソンやマイケル・ジャクソン、ローリング・ストーンズの招請に関わってきたと言う触込みの内容のようですが、非常に興味深そうな本なのでアマゾンで注文しときました(笑)。
脱線しましたが、本題の尋問の様子をお届けします。
テレビ中継でもリング上で良くお見受けする秋山氏は、法廷でも矍鑠とした印象で、受け答えも語気が強く大変明瞭でありました。
まずはJBC側の弁護士による主尋問から。
旧亀田ジムの吉井氏と嶋氏のライセンス停止について、亀田兄弟の活動を妨害する意図があったのか?と尋ねられた秋山氏は
「そんな意図は無かった。亀田兄弟が試合できなくるとは認識していなかった。吉井氏と嶋氏のライセンスの問題は亀田兄弟の問題とは関係が遠い」
と答えます。ですが、吉井氏と嶋氏のライセンスが止まれば実質的に亀田兄弟は選手活動ができないわけで、関係は「遠い」どころか、むしろ密接であります。秋山氏はJBCの理事長でありながら制度面を良く理解せずに法廷で発言していることが分かります。
さらにTBS関係者の仲介で亀田興毅氏と面談したことを認めつつその際に、弁護士を介した異議申し立てを辞めるように要求した発言については
「選手生命が短いのだから早く手を打ったほうがいいよという意味で言った」
と他人事のような反応。
亀田サイドにライセンス停止の処分を受け入れよと要求した理由についても
「お宅のほうから(ライセンス停止に対する異議申し立てを)引っ込めた方が心象が良いだろう」
「日本の(ボクシングの)世界で生きて行きたいなら、早く手を打った方が良いという意味」
という次元で合理性は特になく、単に「JBCに楯突くのをやめろ」「協会に反省をアピールしろ」と言ってただけのようで、ライセンスの発給の責任者がそういう発言をすることの重さも良く分かっていないご様子。そもそもJBCはこのあと裁判で和解して、吉井氏と嶋氏のライセンスを戻してるわけで、何のためにあんな必死でライセンス止めたのか全く謎であります。
どうも秋山氏は、ライセンスをとめて生活権を侵害した当事者でありながら、損害賠償を請求されること自体が不本意らしく
「原告とJBCが円満に話し合えば結果は違ったのではないか?」
と問われて
「そう思います」
さらに
「協会が(吉井氏に代わる)会長を推薦して来たら亀田ジムを加盟させたか?」
と問われて
「させました。訴訟は心外です」
と憤懣をアピール。ですが強権的にライセンスを取り上げて取り付く島もない対応をしてきたのは秋山氏自身なわけで、話し合う姿勢が無かったのはどっちやねんという話であります。
大竹重幸氏の新会長就任については
「新しいジムは協会に加盟申請するわけだから、JBCは関係ない」
加盟申請をJBCが妨害したか?という質問に対しては
「JBCと協会は別組織だから、妨害なんか出来ない」
と関与を真っ向否定。
「試合の公正を保つ為にも、協会とは適正な距離が必要と」
JBCの独立性をアピール。この裁判でJBCの理事が損害賠償を求められていることについても
「JBCの理事は複雑な問題には対応できない」
と理事長でありながら理事会の能力に疑問を呈し、さらに
「理事は委員会の判断を追認する存在」
と理事会機能の形骸化を法廷の場で堂々主張!大丈夫かJBC?!嘘でも理事会は意思決定の最高機関だと言わなきゃまずくない?さらに
「(ライセンス停止、移籍拒否などの)判断を下すにあたって、理事に対する情報提供は充分だったと思うか?」
と問われると
「たくさん報道があったから大丈夫です」
と情報提供はマスコミ頼りだったことを告白。JBCから独自に情報提供をしていないと法廷で認めてしまいました。あーあ。
資格審査委員会や倫理委員会が機能していないのではないか?という指摘については
「そんなことはない。JBCにはリーガルアドバイザーがいるから法的な問題もない」
と力強く断言。ここ数年訴訟に連戦連敗のJBCのリーガルアドバイザーに全幅の信頼を寄せて大丈夫でしょうか?
続いて反対尋問。
秋山氏が「JBCのルールを守らない選手のライセンスを交付するはずがない」という発言をしていることについて
「JBC相手に法的に争ってはいけないのか?」
と質されると、秋山氏は一転気色ばみ
「発言を一部だけ取り出している!」
と猛反論!では、という感じで亀田側の弁護人が前後の発言もつなげて秋山氏の発言をもう一度読み上げると、逆に「JBCに従わないやつのライセンスは出せん!」という秋山氏の意図がまうます明瞭になってしまい、途端に秋山氏はしどろもどろに。要領を得ないやりとりが続きますが、結局
「『(JBCと)係争をしているのにライセンスを出すはずがない』というのは私個人の考え」
と、なんのことはないさっきの発言をアッサリ認めてしまいました。ついさっき「言動の一部分をとりあげて」云々と怒っていたのはなんだったのでしょうか?業務中に組織のトップとしてした発言を「個人の考え」と言っちゃう感覚も、公人としての自覚が感じられません。
UNITEDジムへの移籍については、浦谷氏と同じく
「書類の書式に不明な点があったから認めなかった」
という見解で、三好会長の意思確認については
「(浦谷氏などの)部下に任せた」
と丸投げだったことを告白。「選手生命は短いから早く手を打った方が良い」というさっきの発言との整合性がないような…。
ここでファンの皆様には思い出して頂きたいのですが、当時JBCは亀田兄弟の移籍について「世界戦の開催経験があるような一流ジムでなければならない」というような、条件付きガイドラインを作っていると言う報道が盛んにされていました。UNITEDジムはそのガイドラインの条件を満たすことができずJBCから移籍先として認められなかった、ということが当時さかんに報道されていたのです。
当時のスポーツニッポンの記事→興毅UNITEDジム移籍断念 ボクシング人生の窮地に
スポニチさんの記事では『JBCはこれまでの亀田家のトラブルを踏まえ、移籍の目安として適切なマネジメントができるか、また、世界戦開催などの実績があるかなどを挙げてきた』と、JBCが移籍に条件をつけていたことを断言しています。
当時のサンケイスポーツの記事→興毅また暗礁…UNITEDジム、移籍申請取り下げへ
サンスポの記事は『JBCは亀田3兄弟については特別な条件を課している。「世界戦開催の実績があり、信頼、信用のあるジム」などというもので、UNITEDジムがこの条件を満たさないと判断される可能性が高い』とこちらもJBCが移籍に条件をつけていることを銘記。
そうした報道記事を根拠に
「JBCが(制約条件をつけて)亀田兄弟のUNITEDジムへの移籍を拒否したのではないか?」
と問われた秋山氏は
「(条件をつけたという)報道は記者が勝手に書いただけ」
と当時の記事を誤報扱い!今更大手スポーツ紙の記事を捏造記事扱いして保身を図りますが、これはいかにも説得力がない。スポーツ紙が横並びでこのような捏造をする理由がそもそもありません。
騒動当時、秋山大本営の発表を垂れ流していたTHE PAGEの本郷陽一記者の記事では、秋山氏本人の『移籍に際して条件をつけた』と断言するコメントが掲載されています。
JBCのタイコモチ本郷陽一記者によるTHE PAGEの記事→亀田興毅、電撃移籍も日本で試合のできない公算大
記事より引用します。
『この日は、慎重な発言に終始した秋山理事長に「以前に定めた亀田3兄弟の移籍先のジムに関する、実績と信用のあるジムという条件は変わっていないのか?」と質問すると、「それは資格委員会で出た結論で何も変わっていない」と断言した』
(引用以上)
これは本郷記者が言ってもいない秋山氏のコメントを捏造したのでしょうか?
秋山氏は「理事は報道を根拠に判断する」と言っていましたが、その報道が捏造だと言ったら判断が間違ってることになると思うのですが…。
当時の記者会見で『三好会長の年齢や体調面も拒否の理由』としたJBCの見解について、未だに高齢の三好会長がライセンスを認めていることと矛盾しないのか?と問われた秋山氏は
「それは協会が決めることでJBCのやることではない」
と断言し、さらに
「JBCは協会の為にある組織!設立の経緯にもちゃんと銘記してある!」
とJBCの責任を協会に丸上げ!ついさっき協会とJBCは別組織で適正な距離を保たねばならないと言ったばかりなのに、直後に「JBCは協会の下請けだ」見たいな主張をするので大変面食らってしまいました。
一時間ほどの尋問でしたが秋山氏の発言は矛盾だらけです。
最後にJBC側の弁護人がもう一度出てきて、UNITEDジムへの移籍願いの書類の筆跡の違いを秋山氏に見せてわざわざ確認を取っていましたが、さきほど浦谷氏の尋問で裁判長が「三好会長の意思を直接確認したら、書類の署名なんかどうでも良いんじゃないの?」と言う主旨の質問をしたのを聞いていなかったのでありましょうか?このような効果のないパフォーマンスに殊更に拘る理由がサッパリ理解できず困惑するのみでありました。
尋問を通してJBC側はしきりに「亀田兄弟の活動を妨害する意図はなかった」と言い募るのですが、私からすりゃアホなボクシングファンや能無し記者を焚きつけて「亀田を追い出せ」とやっていたのは明らかで、実際メディアやファンもそれに乗ってはしゃいでたわけです。
「ライセンスを盾に締め上げて御用記者使って攻撃して、アホなファンにバッシングさせたら亀田は音を上げて謝ってくるやろ」
というJBC側の目論見が外れて、巨額賠償を請求されるという窮地に陥ってるだけで、完全に自業自得です。
JBCは安河内剛氏ら職員の大量不当解雇や、自己陶酔リングアナと捏造ライター片岡亮氏の共同不法行為などの裁判で負け続け、賠償と訴訟費用で財政は火の車、社会的な信用も地に落ちています。この上超高額な賠償を命じられれば組織の存続すら危うくなります。
無責任で無定見なマスコミや、頭の悪いファンに迎合して傲慢に振舞った結果、日本のプロボクシングは重大な危機を迎えています。
もうJBC破綻以後を考える時期に来ているのかも知れません。
というわけで心静かに判決を待ちたいと思います。
夏が嫌いな(旧徳山と長谷川が好きです)