今年のボクシングも年末二興行を残して、もうおしまいですね。
今年ボクシング界は、プロ・アマともに旧来的な人脈支配や不合理な慣行による悪弊があらわになった年であったと思います。今年は当HARD BLOW!において、澤谷 廣典氏のインタビューを掲載するとともに、日本ボクシング連盟=オリンピックボクシングの問題点を指摘する記事を沢山掲載してきました。そこで感じたことはプロアマの抱えている問題は地続きで問題の根は同じだということです。
不透明な人脈支配や不合理な商慣行、競争条件の不公平さ、選手の地位の低さ、などなど「これじゃ競技人口は増えないわ」と思うことばかり。そんなボクシング業界に僥倖となるような一つのニュースが報じられました。
この記事の重大さが分かっているボクシング関係者、ファンははたしてどれくらいいるでしょうか?
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公取委、契約慣行の違法性を指摘
年の瀬も押し迫った12月27日、公正取引委員会が芸能人やプロスポーツ選手の契約制度について、画期的な見解を表明しました。いわゆる契約していたタレントや選手に対して、移籍後に活動を制限・妨害する行為は違法だとはっきり表明したのです。
これにより選手の移籍を制限する法的な正当性は一切なくなりました。移籍が自由化されたということです。
井岡選手も井岡ジムを離れてどこにでも移籍できる法的な自由が担保されたのです。
これはプロボクシング界を支えたきた、クラブ制度や従来の商習慣についても重大な影響を及ぼすことになります。
今年はボクシング界で選手契約を巡って様々な問題が起きました。日本を代表する現役チャンピオンである井岡一翔選手が、肉親の脱税事件に巻き込まれて試合枯れした挙句「引退するのでは?」というような話がまことしやかに流れております。これは、選手の望む移籍が出来ないゆえのトラブルであります。
駿河ジム所属だった日本ランカー青木クリスチャーノ選手が、不可解なギブアップ負けをしたあと、近親者の方が「骨折しているのに所属ジムから『キャンセルすると高額の違約金がかかる』と言われて試合を強行された」とSNS上で暴露し(現在書き込みは削除済み)これも大問題になりました。青木選手は現在角海老宝石ジムに移籍していますが、このトラブルも周辺取材してみるとかなり信憑性が高いです。
薬師寺ジム所属のマンモス和則選手が支払い額が二万円と書かれたファイトマネーの明細書を画像つきで公開し、その金額がルールに抵触するものだったことも大きな問題になりました。更にリング上で読みえ上げられた激励賞も受け取っていないということで、新人ボクサーにたいする厳しい搾取構造が浮き彫りになりました。→マンモス和則選手のツイート
私は今までも
・激励賞を会長にとられた
・33%以上のコミッションをとられたので抗議したら試合を組んで貰えなくなった
・会場で「○○の月間賞の賞金が入ったらからこれから飲みに行こう」と某有名ジムの会長が大声で電話してた
・チケット売ったらタイトルマッチさせてやると言われたけどウソだった
・怪我でタイトルマッチをキャンセルしたら会長に「迷惑料50万よこせ」と言われた
などなど様々なボクサーのエピソードを聞いてきましたが、こんだけデタラメしててもダメなジムの会長の権益は強く守られて来ました。ですが、これからはデタラメな経営をしているジムから選手が移籍しても、法的には何の問題もないことを、国がお墨付きを与えたということです。
井岡一翔選手!自由に移籍していいんですよ!引退なんかしなくていいんですよ!
公取委の見解表明によって、ちゃんと規定のファイトマネーを現金で渡しているまともなジムに選手が集まり、選手を搾取しているブラックジムからは選手が流出してまもとな業界になる契機となることを、念じて止みません。
当HARD BLOW!でもおなじみの元日本ランカーの斉藤司選手も、所属ジムの三谷大和ジムと待遇や報酬を巡って現在裁判となっていますが、今回の公取の見解を見れば訴訟の行方は火を見るより明らかでありましょう。ただ訴訟と言う手段をとれば、選手は貴重な現役時代に空白をつくることになります。
そのためにはJBCや協会が、違法とならないような実効性のあるルール変更をする必要があります。
JBC・JPBAのボクシング興行に改善が見られず不合理性や違法性が浮き彫りになれば、大阪天神ジムの山口賢一会長が現在JBCの枠外でやっているプロボクシング興行の優位性がより明確になります。実際彼の興行に参加する選手は増える一方なのです。草試合とバカにしてすむ段階ではもはやありません。
この公取の違法認定と併せて、タイ人選手の招請禁止や練習生・4回戦選手の激減、ランカー・チャンピオンの高齢化などで来年はプロボクシング興行の根幹が揺らぐ年になると思います。
今月号のボクシングビート誌に、今年引退した内山高志氏、三浦隆司氏、金子大樹氏三者の座談会の記事が掲載されていますが、近々ジムを開業する予定の内山氏はプロ加盟しない方針をその中で語っています。同じく名王者だった西岡利晃氏もプロ加盟はしていません。知名度があり加盟条件が優遇されている元スター選手がプロ加盟を避けているのいうのは、プロボクシング業界が稼げない世界になっているということの証左であり、名門ヨネクラジムの廃業などと並んで業界の沈滞の象徴であると思います。
まともなビジネスに刷新する為には制度の変更は不可欠であります。
一方アマ側に目を転じてみれば、更なる大ネタが発生しました。オリンピックの元締めであるIOCがオリンピックボクシングの統括機関であるAIBAへの分配金の拠出を停止したというのです。
ロイターが配信した記事「IOCがAIBAへの資金拠出を停止」→IOC stops payments to boxing federation AIBA
AIBAの財政はIOCからの分配金に依存しており、支払いのストップは大問題。そもそもこのIOCの声明はボクシングがオリンピックの正式競技から外される可能性を示唆しており、問題を放置すればAIBAの存亡に関わってきます。もはや、日本国内の国体の隔年開催なんかとは次元が違う大問題です。IOCのバッハ会長は、AIBAの財務や、競技におけるレフェリング・判定、アンチドーピングの姿勢に対して疑問があることを表明し、対策についてのレポートの提出を求めています。ここでIOCを満足させるような回答が出来なければ、最悪正式競技からの転落が待っています。AIBAの対応によっては「オリンピックボクシングは東京が最後」となりかねない状況であり、そうなればさらなる競技人口の流出は避けられません。アマチュアボクシングから人材の供給を受けてきたプロボクシングにとっても、重大な懸念材料となります。
果たしてAIBAはIOCを納得させる方針を示せるのか?注視したいと思います。
ボクシング界は相撲協会以下の人権状態だと考える(旧徳山と長谷川が好きです)
大沢宏晋選手についての過去記事はこちらから→大沢宏晋

さる12月24日クリスマスイブに、東和薬品RACTABドームというやたら長い名前に変わった、大阪府立門真スポーツセンターで行われた大沢宏晋選手対アレクサンドル・メヒア選手の試合レポートをお送りします。大沢宏晋選手は現在WBAフェザー級11位で、一方はるばるニカラグアからやってきたアレクサンドル・メヒア選手は、WBAスーパーバンタム級12位。最近は国内じゃめっきりなくなった世界ランカー同士のノンタイトル戦であります。
不景気風が吹き荒れる関西のボクシング興行事情を考えれば、中南米の世界ランカーを一年に二人呼んで試合した大沢陣営の路線は、極めて異彩を放っています。ファイトマネーはもとより渡航費だけでも相当な出費だと思われますが、金銭面以外でも選手の情報も乏しく、対戦そのものがかなりリスキーであります。
中南米の世界ランカーとのノンタイトル戦といえば、当HARD BLOW!的に忘れられないのは、2010年に行われた、大沢選手と同じフェザー級の榎洋之選手とアルベルト・ガルサ選手の試合。榎選手はガルサの巧妙な反則ヒジうちの餌食となりTKO負けし、結局これが最後の試合になりました。当ブログは榎さんから提供していただいた映像素材を使って反則検証も行いました。以下はそのときの記事です。
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HARD BLOW!の原点
ガルサ選手の反則ヒジ打ちを使ったダーティーなスタイルは、アウェイで勝つ為には手段を選ばない中南米選手の気質の一面を表していると思います。実際今回の大沢選手の試合も、メヒア選手の手段を選ばぬ勝利への執念に大いに霍乱される内容となりました。

メヒア陣営はよく声が出てました。

大沢陣営はロマンサの田中会長、金井選手、中島トレーナーのいつもの布陣。
メヒア選手はYOUTUBEの試合映像では前後の出入りが速く、テンポのいいボクシングをするな、という印象。スピードはありますが、スタイル自体は正攻法かなというイメージでした。
1Rは大沢得意のハードジャブが何発か当たり、距離が詰まればボディと言う定石どおりの攻めでよい滑り出し。メヒアの入り方はビデオ映像のとおり直線的でしたが、ただ上体の動きは良く、避ける技術は独特なものがあります。2Rには戦意旺盛なメヒアに強い左ボディが当たって効いたように見えました。




この時点では「このままボディ削っていけば、じきにメヒアの足が止まるかな」と楽観していましたが、メヒアは頭を低くしてもぐりこみ、ジャブとボディを避けながらの乱戦に作戦変更。ひたすら密着しての押し合いに持ち込んで、体力勝負の展開になります。大沢もフィジカルは強い選手なので、一階級下のメヒアのこの戦略は自殺行為ではないか?と思いきや、メヒアが押し勝つ場面が多く、大沢はロープを背負う場面が増える。ロープ際での左ボディでメヒアが失速する場面もあるのですが、すぐに回復し低い姿勢で接近してはしつこく連打を出してきます。

メヒアの頭の低さをレフェリーにアピールする場面も



大沢がロープに詰まると、セコンドからは「押し返せ!」「回って広いところに出ろ!」と言う指示が出るのですが、メヒアのしつこい連打と旺盛なスタミナでなかなか思うような場面が作れず我慢の展開。大沢がいいレバーブローを当てても、メヒアは返しの頭へのパンチを上体の動きで交わして密着をキープし距離を潰す執念を見せる。この泥臭いファイトスタイルはビデオ映像とは全く違うもので、メヒアの試合を投げない勝利への執念と、近距離のデイフェンス技術、戦術の引き出しも見事。試合としては膠着していますが、両者の勝利への執念がぶつかり合う激しい展開となります。


12Rの最後大沢がラッシュを見せて見せ場を作って終了。判定は僅差2-0(96-96、97-96、96-95)で辛くも大沢の勝利となりました。メヒアの手数が評価された厳しい判定となりましたが、私の目にはメヒアの作戦は序盤のジャブとボディを受けての、苦し紛れのスタイル変更に見えました。あの作戦を、再三ボディを打たれながら10R完遂した執念と体力は凄いですが、勝ちはないと思います。
メヒア陣営はセコンドもやる気充分で、「どんな手段を使っても勝つ」という勝利への執念を存分に見せてくれました。やはり勝負はこうでないといけません。大沢選手にとっては、意欲のある世界ランカーとの試合を辛くも勝ち残ったことで得たものは、かなりあったと思います。
この勝利でランキング上昇は確実で、来年は勝負の年になります。ランカーと試合してなくてもランキングが上がっていく選手や、試合してなくてランキングが落ちない選手とは違う路線で再起ロードを駆け上がる大沢選手に、当方は来年も注目して行きます。ご期待ください。
あメインの辰吉寿以輝選手は勝ちました!詳細についてはスポーツ紙や専門誌をごらんください。
今年の生観戦は12回だった(旧徳山と長谷川が好きです)

12月24日に一階級下の無敗の世界ランカー、ニカラグアのアレクサンドル・メヒア選手(戦績はこちらから→Alexander Mejia)と対戦する大沢宏晋選手の試合前打ち上げのスパーリングを見学させて頂きました。
大沢選手についての過去記事はこちらから→大沢宏晋
スパーがあったのは先週の木曜12月14日。前回の試合(11月5日)、から短いスパンで世界ランカー同士のリスキーな試合に挑む大沢選手。再起後三試合のうちの2試合が世界ランカー相手と言うハイペースぶり。
今年はフェザー級近辺で、竹中良選手や天笠尚選手、林翔太選手、細野悟選手といった大沢選手と同世代のベテラン日本人選手たちが、次々と世代交代を象徴するような手痛い敗戦を喫して、キャリア上の後退を強いられています。
日本では、フェザー級ともなると世界戦のチャンスすら稀。よしんば挑戦できても、敗戦すれば試合枯れしていくのが普通ですが、大沢選手はラスベガスでの敗戦後、再起戦で世界ランカーに完勝(試合記事はこちら)し、調整試合をはさんでまたも世界ランカーとの対戦を選択。もう一度のチャンスを掴もうと、高いモチベーションで邁進しています。
はっきり言って日本国内に何度も世界ランカーを呼んで、勝ってランキングを上げていくような手法は金もリスクもかかるやり方です。ですが小さなジムで腕一本が頼りの大沢選手には、この道しかない。理不尽なライセンスの停止後も黙々と連勝してランキングを上げて来た実績のある大沢選手。彼はまたも愚直な、たたき上げのスタイルで世界への階段を登ろうとしています。
今回の試合はもともと既定路線であり、調整試合を挟んだ世界ランカーとの連戦で年内に一桁ランカーに復帰して、来年もう一度世界戦を目指すと言うのが陣営の狙い。ですが、前回の調整試合は一旦試合が延期されると言うアクシデントはありましたが、正直消化不良で不安の残る内容でした(→記事はこちらから)。調整にぬかりはないのか?その辺も含めてスパー前にお話を伺って来ました。
HB「前回の試合は動きが悪く、少し変な試合になってしまいましたが...」
大沢「試合前のフィジカルのトレーニングが足りなかったのが原因ですね」
HB「急に試合が延期になったりしましたからね...」
大沢「それは関係ないです。自分が怠けたというだけで」
HB「原因は分かっている、と」
大沢「そうですね。今回はフィジカルもきっちりやってコルテス戦のときと同じくらいの仕上げになってます」
ということで、ベテランであっても調整は常に試行錯誤、調整試合で問題点が出て良かったとも言えるでしょう。しかしベテラン選手ということで、年齢との戦いも既に始まっています。今回の相手はアマ実績(250戦)も充分な無敗選手で、調整ミスは即命取りとなります。ということで7Rの最終スパーをじっくりと見せて頂きました。



いつもどおりバチバチのスパー。




折り返しの4R辺りで動きが落ちて、ロープに詰まる場面が増えると、中島トレーナーから容赦ない檄が...。



後半はもう一度動きを上げて、苦しい中でも7R打ち合い続けて終了。今回も負荷の高いスパーでした。



最後はドラムミット打ちをみっちりやって、バッグうちで終了。ウエイトは試合10日前で4キロを切り、あとは前回失敗した試合前の調整をいかにまとめるか?が焦点となります。
辰吉Jrがメインと言うことで、G+の中継も入るというこの試合、全国のファンにも『大沢強し』を印象付けるような試合をして欲しいと思います。
追記
最後にyoutubeにあったメヒア選手の試合映像を貼っておきます。
Ramiro Blanco VS Alexander Mejia
Abelino Caceres VS Alexander Mejia
Manuel Gonzalez VS Alexander Mejia
大晦日も忙しい(旧徳山と長谷川が好きです)
※ミリオン出版様からの抗議を受けましたので、内容を変更して再アップいたします。
衝撃の事実です!
元オウム真理教の菊池直子氏がカンボジアに逃亡・潜伏していた!こんな大スクープが埋もれていたなんて!

1995年の地下鉄サリン事件で世間を震撼させたオウム真理教。その構成メンバーにして、指名手配犯として20年近く潜伏生活をしていた菊池直子氏が、潜伏先の神奈川県相模原市で逮捕されたのは2012年。指名手配中でありながら市民社会に溶け込んで生業まで持っていたという報道に、世間は衝撃を受けました。
その後菊池氏は、裁判で逮捕容疑となったサリン事件やVXガス事件、小包爆弾事件などの凶悪事件への関与は全て認められず無罪判決を受け、現在は一市民として暮らしています。
検察が起訴した事件が有罪にならないことは、異例中の異例。ましてオウム事件となると、国を挙げた捜査であります。それが蓋をあけてみれば、凶悪事件には連座しておらず、結局逮捕容疑は無罪。あの「爆弾娘」「愛の逃避行」といった扇情的な報道は一体なんだったのか?という話であります。さらに、菊池氏は捜査・公判の事実調べによって、逃亡中は国内にずっと潜伏していたことが分かっています。一部で言われていた、海外逃亡説は一体なんだったのか...。
ところがなんと!あの亀田への名誉毀損記事で違法行為を認めた片岡亮氏が、菊池直子氏がカンボジアで逃亡生活を送っていたという記事を書いているというじゃないですか!日本中の警察が鵜の目鷹の目でオウムの手配犯を探していたであろう日本から脱出し、言葉も全く通じない、日本人がいたら目立ってしょうがないカンボジアの奥地で潜伏し、もう一度捜査線を突破して日本国内に帰って相模原に潜伏していたとは!もし事実なら密出国、密入国で有罪になってるはずです。こりゃいかん!すぐ警察に報告せな!
はやる気持ちをおさえて、意外と簡単にネット上で見つかる記事を読んでみると、期待に違わぬ(笑)驚くべき独創的内容でありました。片岡さん天才かも...。
掲載誌はAmazonで現在も購入可能です!
購入はこちらから。あー欲しい。買おうかな。
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ノンフィクスナックルズ v.1 (ミリオンムック)

いきなり警視庁の捜査陣がさしたる根拠も無く、オウムの指名手配犯を「既に殺されているかも」と推測する書き出しから、読者をグイグイと引き込んで行きます。いや刑事さん生きてますから!と言ってあげたい。

キスや乳揉みに驚く片岡さん!
ここからどう展開するのか?とハラハラしながら読み進むと、片岡氏の記事によくある話が深まっていかないジラシ展開に(笑)。興味津々の読者を菊池氏の周辺情報で引っ張る片岡氏の筆致はまさに名人芸。読ませる展開であります。さすが一流ジャーナリスト。

ここで片岡氏の筆が一気にヒートアップ。菊池氏が『サリンの製造工場で原料の調達や製造過程の記録などを行うようになる』と公判で否定された事実を元気一杯に記述。ちょっとワンパクが過ぎるような気もするのですが、これが片岡氏の持ち味。つい書きすぎて亀田に敗訴しちゃったりするところがファンには堪らない魅力なんだろうなぁ。知らんけど。

ICPOからの、タイの国境地帯で菊池氏が目撃されたという驚くべき情報をもとに、片岡氏はカンボジアに飛びます。なぜにタイの国境地帯にいる人が、菊池氏の顔を知っていたかは謎ですが、そんなことは所詮小さなことです。片岡氏は『警察を先回りする形』(笑)でタイに飛びます。こんな確度の薄い情報で広大なタイの国境地帯を捜索できるのか?一流ジャーナリストと言うのはすごいですね。片岡氏の描写する国境地帯の取材過程は、まるで木曜スペシャルの『川口浩探検隊』のような臨場感で、説得力充分。命がけの取材に向かう一流捏造ジャーナリストの気概が伝わって来ます。

ミャンマーの画像がないのはカメラを没収されたからです!なんですかあなた!疑うんですか?!

えっ!麻原がミャンマーに!私も信じられません!
国境地帯でカメラも没収さたものの、ミャンマーで現地の方から「麻原彰晃が麻薬の製造施設を視察した」という爆弾情報を得た片岡氏。ああカメラさえあったら、ミャンマーの写真が撮れたのに。ああカメラさえあれば、ミャンマーに行った証拠があるのに。ああカメラさえあれば...。カメラ!カメラ!カメラ!はっ!つい脱線してしまいました。弱視の麻原がなぜ危険なミャンマーに『視察』に来たのかは謎ですが、片岡さんがそう言ってるならそうなんでしょう。ああカメラさえあったらなあ(しつこい)。

それでも、広大な国境地帯での聞き込みという非効率な方法で、なんとかカンボジアの菊池氏の潜伏先を見つけた片岡さん。菊池氏は『現地語は出来ず、高熱にかかって治ったらどっかに行った』と言う目立って仕方がない足跡を残したそうですが、カンボジアの国境地帯で言葉も出来ないのに単身放浪してるというこの謎行動、一体何のつもりなのでしょうか?


この家に居たんだってさ!(笑)
家の写真や部屋の様子までありますが、証言者のスチルはなし。ストイックな取材姿勢が光ります。さらに偽造パスポート業者のコメントなどで逃亡の手法が生々しく語られ臨場感を盛り上げます。まあ、あくまで想像なんですけどね。

一流ジャーナリストならではの鋭い分析。鋭すぎて逆に心配です。
そして最後は「警察は逃亡犯の行方を掴んでいるが、政治的なカードとして温存している」という片岡氏のような一流ジャーナリストだけが知っている、仰天情報が!日本政府は菊池をカンボジアで泳がせている!そうだったのか!知らなかった!がびーん!
最終的に相模原で見つかったことをかんがえると、単なる陰謀論にしか見えませんが、片岡さんが言うならきっとそうなんですよ!
しかし無罪になった人を題材に、ここまで踏み込んでしまう片岡さんの無謀さには驚きを禁じ得ません。また敗訴しないか本当に心配です...。
ところで片岡氏、同僚のライターと言うことになってる藤堂氏がカンボジア出身だとか、やたらとカンボジアに縁があるのであります。不思議ですねえ。偶然かなあ。
なんかの用事でカンボジアにいったついでに、チョイチョイと書いた記事なんじゃ...。あ!イカン!イカン!心の声が漏れてしまいました...。
福原や林の海外試合にグッと来た(旧徳山と長谷川が好きです)