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HARD BLOW !

JBCだけがボクシングにあらず 11/5 WBFアジアタイトルマッチ

 11月5日に行われた、JBC傘下でないプロボクシング興行のレポートです。5月の興行の様子はこちらのリンクから→JBCだけがプロボクシングにあらず 5.3観戦記


 大阪ですっかり定着してきたこの興行を手がけているのは、日本ボクシング界の異端児にして革命児、山口賢一氏。

 山口賢一についての過去記事はこちらから→山口賢一

 世界戦をするためにJBCライセンスを返納して日本を飛び出して、オーストラリア、メキシコ、フィリピン、と転戦。世界戦を含む様々なタイトルマッチを戦いながら、ジムを経営し、興行をプロモートし、選手のマネージャーも勤めるなど、日本では前例の無い活動をしてきました。これらは全てJBC傘下の選手では決して出来ないことです。

 長らく国内の市場を独占してきたJBCとJPBAにすれば、徒手空拳で活動する山口氏などは、当初歯牙にもかけぬ存在であったことでしょう。しかし山口氏は持ち前のバイタリティで次々と業界の商慣行に風穴をあけ、気がつけばボクシング興行もシリーズ化しすっかり定着。ライセンスがなくてもプロボクシングが出来るという山口氏の活動方式は、ジワジワと浸透し山口氏の通った道を辿って、JBCに所属せずアジアに遠征して戦う選手も確実に増えて来ました。


 興行前日、計量がある大阪天神ジムには様々な選手が大勢集まっており、活気溢れるムードが漂っております。
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メインはWBFの地域タイトルマッチということでゴールドバーグ会長も南アフリカから来日。

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山口賢一氏と天神ジムの石角悠起選手。

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ゴールドバーグ会長もウエイトをチェック。

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メインを戦う赤堀亮選手とルシミン・アユブ選手(レコードはこちら→Rusmin Kie Raha)

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 今回の興行は7試合。様々なバックグラウンドをもったファイターが集まっていますが、天神ジム生え抜きで、山口賢一の一番弟子として行動をともにしてきた石角悠起選手に少しお話を伺いました。ラジャダムナンスタジアムの国際式ボクシングタイトルや、WBFの地域王座などのタイトルを獲得してきた石角選手は、海外経験も豊富。タフなキャリアを歩んできています。

HB「海外はどこで試合をしてますか?」
石角「中国とタイとフィリピンですね」
HB「海外での試合は日本とはどう違いますか?」
石角「やっぱり行くと『アウェイやな』と。中国は特に凄いです。まあ、もう馴れましたけど最初は驚きましたね。」
HB「そもそもフリーで活動するようになったきっかけはなんですか?」
石角「大阪帝拳を辞めたあと、一年くらいブラブラしてるときに、ボクシングの記事見てたら山口さんがオーストラリアでビリー・ディブとやるというのを見て、山口さんに『頑張ってください』って電話して、それがきっかけですね。」
HB「なぜ一度ボクシングを辞めてたんですか?」
石角「それは、負けてたからで(笑)。ただ山口さんに連絡取ったことで、もう一回ボクシングやりたくなって。」

HB「それまで山口さんとは交流はあったんですか?」
石角「山口さんが大阪帝拳にいた時はメインイベンターで、今と違ってもっとピリピリしてて話しかけれるような雰囲気じゃなかったんですけど、ロッカーとかで一言二言『がんばっとんのか?』とか『どうや?』とかそういう声かけられるだけで、こっちは嬉しかった。」
HB「山口さんがオーストラリアで試合すると知って、自分ももう一回やりたくなった、と。」
石角「そういう感じですね。」
HB「その頃はまだジムもなかった」
石角「無かったですね。」
HB「山口さんとずっと行動を共にしてるのはどうしてですか?」
石角「チャンスも作ってもらってるし、なんていうか...人間味があるじゃないですか(笑)」
HB「JBCのジムでは担当トレーナーが居ますが、天神ジムは練習は自分で考えてするんですか?」
石角「そうですね。基本的には自分で考えて。山口さんからも『アドバイスはするけどやるやらんはオマエの自由やからな』と言われてます。」
HB「海外でのマッチメイクとか過酷に感じることはないですか?」
石角「なかなか出来ない経験をさせてもらってると思ってます。」
HB「強くなっているという実感はありますか?」
石角「それは、あります。」

石角選手は言葉を選びながら、訥々と話してくれました。バイタリティ溢れる山口会長とは対照的なキャラクターですが、だからこそ一緒にいられるのかな?と感じました。

 試合当日は三田市で大沢宏晋選手の試合の観戦後、三田市から大急ぎで移動してなんとか試合開始に滑り込みで間に合いました。
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 会場では高山勝成選手がアマ選手登録の嘆願署名集めをしており、リング上で挨拶もされました。

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 石角選手はセミセミの大阪天神タイトルマッチ7回戦に登場。ドローが出にくいように奇数ラウンドが導入されています。対戦相手は5月の興行にも出場した猪窪利光選手。

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 序盤は石角が回転の良い手数で先制しペースを掌握。猪窪は単発気味ながら強打で対抗。序盤ポイントは石角か?3ラウンドに入ると猪窪は左フックで反撃。ガードが低い石角の顔面を何度も左フックが捕らえると、大きなアッパーや右ストレートも当たり出す。

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 終盤は石角がポジショニングを修正し、左右の動きを織り交ぜて左フックを外して手数も復活。逆に猪窪は疲れが出たか、手数が落ちる。7Rは打ち合いになりましたが、有効打は石角優勢で結局2~5ポイント差で3-0で石角勝利。ペースの取り合いが見応えのある試合でした。

 セミはこのシリーズの興行ではお馴染みの、アジアで何度も地域タイトルマッチ戦ってきた中村優也選手と、2008年度新人王トーナメントの西軍代表だった越智大輔選手の対戦。

 この試合は開始早々、越智選手が全開でスパートしたことで、いきなりノーガードの打ち合いに

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序盤からバチバチの展開に、会場はやんやの大歓声。ところが、もみ合った時に越智選手がバッテイングでカットし、ドクターチェック。再開後はクールダウンするかと思いきや、またもノーガードの打ち合い。

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 このあと二回チェックが入り、結局続行不可能でドロー。

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 越智選手の仕掛けで盛り上がった試合でしたが、消化不良な結果になりました。残念。

 メインの赤堀亮選手対ルシミン・アユブ選手はWBFアジアタイトルマッチで10回戦。赤堀も韓国やタイで戦績を重ねて来ています。対するアユブはインドネシアの元国内王者。

 ゴングが鳴ると、赤堀は細かい連打で積極的に攻勢に出るも、アユブはガードが固くクリーンヒットをなかなか許さない。長い手から投げるように放たれる強打も、単発でスピードはないが重くて強い。ガードの上からでもダメージがありそう。
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 赤堀はコツコツとパンチを当ててアユブを削っていくが、パンチを当てる為にくっつくとアユブは手が長くボディ打ちが低いので、ローブローになって何度も試合が中断してしまう。

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 赤堀は我慢強く連打で対抗。アユブはしぶとくガードを保って、なかなか戦意が衰えない。

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 試合は泥臭い我慢比べになりましたが、有効打は明らかに赤堀。さらに9Rに、アユブがついにローブローで減点されてポイント的には完全に赤堀優勢。最終ラウンドは、バテたアユブを赤堀が攻め立てて終了。判定は大差で3-0赤堀勝利で新チャンピオンとなりました。

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 会場は暖かい祝福のムードとなりました。

 フルラウンドの動画
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 昼間から延べ10試合以上を見て大変疲れましたが。二つの興行をハシゴして様々な発見がありました。

 やれマイナータイトルだ草試合だと薄暗い批判をする人もいますが、私からすればどっちもプロボクシング。今の時代状況に全くあっていないクラブ制度と地上波テレビ中継中心のビジネスモデルでは、プロボクシングが持つはずがありません。そして、業界のトップは高齢者ばかりです。時代は近い将来必ず変わります。そのとき順応して生き残れるのは一体誰なのでしょうか?

 今週は久田選手の日本タイトルマッチに行こうと思っている(旧徳山と長谷川が好きです)

井岡ファミリーの確執を見て、映画の「ザ・ファイター」を思い出した件

 いやー井岡一翔選手のタイトル返上を巡る報道はほんと酷いっすねえ~。なぜか一翔選手の美人妻、谷村奈南さんがベルト返上の原因であるかのように、スポーツ紙から寄ってたかって印象操作され、アホなネット民が公共空間で谷村さんにセクハラしまくるという地獄絵図。あんまりこういう言い方はしたくないですが、民度が低すぎますね。そこに便乗してる、アンチ井岡のゴミボクシングマニアがこれまた酷い。ボクシングという素晴らしいスポーツから何も学んでいない連中ですね。

逆ギレ?_R

100%セクハラのゴミ発言にも誠実に答える谷村さんだが...


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デイリースポーツはなぜか『けんか腰反論』の見出し!セクハラキチガイツイートを全肯定するデイリーさん!



 そもそも「運動選手が結婚したら成績が下がる」っていう信仰はなんなのでしょうか?むしろ結婚せずに夜遊びしてるほうが、よっぽど成績に響くと思いますけどね。高校生の時から常に日本のトップクラスを走り続けて、三階級を制覇するまで休みなくボクシングに打ち込んできた井岡一翔君が、人気歌手として活動する、自立した美しい女性と出会って結婚することの、何が一体問題だというのでしょうか?反対してる奴バカ?

 まあ、こういうバッシングの根底には「いい女と結婚しやがって!」という嫉妬があるわけですが、有名税というにはちと理不尽が過ぎる気がしますね。

 井岡選手のベルト返上はどう考えても井岡一法会長の巨額脱税疑惑(←クリックすると記事に飛びます)が原因であり、一法氏の記者会見での一連の発言は『本当の原因から目を逸らしたい&嫁を排除して以前のように一翔君をコントロールしたい』という本音がバレバレ。はっきり言ってボクシング関係者の間じゃ、一法会長と一翔君の確執はすでに公然の秘密で、原因だってみんな察しがついてるのです。スポーツ紙や専門誌の記者だって本当は分かっているはずです。

 脱税事件が週刊誌報道の通りなら、莫大な重加算税,が課されているはずです。今まで自分が命を削って稼いで来た金が、肉親の脱税のせいで融けて無くなってしまった上に、自由意志で出来るはずの結婚にまであれこれと口出しをしてくるとあっては、確執が生まれて当然でありましょう。

 私はこの一連の井岡ファミリーの揉め事を眺めていて、デビッド・O・ラッセル監督の傑作ボクシング映画『ザ・ファイター』を思い出したのでありました。この映画、現在の井岡ファミリーの状況となかなか似ているのです。



 この映画は、90年代にアルツロ・ガッティとの三度の死闘で有名になったミッキー・ウォードの半生を描いた実録映画で、ミッキーを演じるのはマーク・ウォルバーグ。母親アリス役を演じたメリッサ・レオと、トレーナーで種違いの兄のデイッキー・エイクランドを演じたクリスチャン・ベールはアカデミー賞の助演賞をダブル受賞しております。

 ミッキーの一家はヤンキー丸出しの女系大家族で、全員が勤労意欲に乏しく、ミッキーの稼ぐファイトマネーにタカって暮らしてる。母親のアリスはマネージャー役だがアル中気味で、目先の金に釣られて無謀なマッチメイクばかりしてはミッキーの命を危険に晒している。トレーナーの兄デイッキーは当時大流行していたクラック中毒で、一日中クラックハウスに入り浸りで、まともにボクシング指導も出来ない。このデイッキーはかつては才能溢れるスター候補で、レナードと対戦したこともあり『レナードからダウンを奪った』ということを唯一の心のよりどころにしているのだが、VTR映像ではスリップにしか見えない。

実際の試合映像
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 肝心のマネージャーとトレーナーがアル中とヤク中では、勝てる試合も負けようってものだが、心優しいミッキーは家族をクビにすることが出来ない。というか、しがらみで雁字がらめなのか。
 そんなうだつの上がらない生活の中で、ミッキーはバーテンのシャーリーン(エイミー・アダムス)と恋に落ちる。彼女と出会ったことで、家族に言いたいことも言えなかったミッキーが変わり始めると、ミッキーのファイトマネーにたかって生活している家族からすりゃ彼女の存在が邪魔になる。『女と家族のどっちが大事なんじゃい!』と詰められて、板ばさみになるミッキーだが、シャーリーンの方もやたらと気が強く、ヤンキー一家のバカ女兄弟相手にたった一人で一歩も引かぬバトルを展開!体を張ってミッキーを守る。

 ところがデイッキーがついに御用となってしまい、逮捕される時にパンチをふるって警察に抵抗したもんだから、ミッキーが慌てて仲裁に入るとミッキーは警官に警棒でナックルを潰されてしまう。商売道具の両の拳を潰されて、やっとミッキーは気付く。「家族と一緒にやってたら俺がダメになる」と。

 そこからの展開は是非映画本編を見ていただきたいのですが、井岡ファミリー問題との類似点はお分かりいただけたでしょうか?整理すると...

・もともとボクシング一家で、家族がマネジメントをしている
・元選手の近親者がトレーナーもしている
・家族が選手のファイトマネーに依存している
・恋人が出来たことで、選手が家族との関係を一歩引いて見るようになる
・選手が家族の違法行為(麻薬・脱税など)により活動に支障をきたす
・恋人の存在が原因で家族と確執が起きる
・恋人は家族の理不尽な要求から選手を守る
・恋人はインテリで家族は不良性感度抜群


 どうです、似てるでしょ?

 ついでにデイッキーとミッキーの「ボクシングをあきらめた兄が弟に夢を託す」という関係は、一法氏と弘樹氏の井岡兄弟の関係にも似ています。

 劇中描かれるミッキーのアイルランド系大家族のコテコテ家族愛も、亀田ファミリーや井岡ファミリーを想起させます。

 というわけで井岡問題を早分かりするには「ザ・ファイター」を見るのが一番!NETFLIXでも見れますよ。

 スポーツ紙や実話誌のセクハラ上等姿勢に驚いている(旧徳山と長谷川が好きです)



11.5三田 大沢宏晋選手がインドネシアチャンピオンに大差判定勝ちも内容は低調

 11月5日は、珍しく興行をハシゴして参りました。まずは昼の部、兵庫県三田市の三田ホテルで行われた大成ジムの興行にて、WBA11位の大沢宏晋選手の試合を観戦。  

大沢宏晋←大沢選手についての過去記事はこちらから)

 会場はニュータウンの中にある瀟洒な雰囲気の三田ホテルさん。シャンデリアもまぶしい素晴らしい雰囲気でしたが、こんなゴージャスな会場なのになんと中学生以下は立ち見無料!ヤングボクサーが多い大成ジムらしい、粋な施策でございました。以前、某業界関係者にボクシング人気復活に必要な施策を伺ったところ「少なくとも中学生以下は無料にしなきゃダメだよ」とおっしゃってましたが、なかなか出来そうでできないことですね。

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 アンダーカードで目を引いたのは、まずは4回戦に出場していた真正ジムの大橋哲朗選手。スタイリッシュなサウスポーで、スピードもテクニックも素晴らしかったです。4Rのボディ打ちは凄かったなあ~。対戦相手の新井一颯選手も海外デビュー済みで、U15日本チャンピオンと言う有望選手でしたが、この相手に4回戦で全てのラウンドを支配した判定勝ちは凄いですよ。

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 もう一試合注目だった無敗の東洋ランカー秋月楓大選手でしたが、大鵬ジムの木久健次選手に3RTKO負け。木久選手は初の8回戦で、見事東洋ランキングを手に入れました。

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セミで登場した大沢宏晋選手は、インドネシアチャンピオンのエリック・デストロイヤー選手と対戦。大沢選手は序盤からなぜか手数が出ず、もどかしい展開。

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持ち味のハードジャブは鳴りを潜めて、ボディ打ちに終始し、4Rになんとか顔面に右の強打をヒットしてマウスピースを飛ばし、その後連打でダウンを奪い奪いますが、見せ場はそこだけ。展開の無い試合に、会場の観客からは「大沢ってこんなもんかい」という不満の声も聞かれました。正直、私の目から見ても、かみ合わない変な試合でした。
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 デストロイヤーというには余りに消極的な対戦相手の姿勢にも原因はあったかと思いますが、世界ランカーなら自分から展開を作って、倒しきって欲しかったところ。試合後のインタビューでも、大沢選手からは「折角来て頂いたのにすみません」と反省の弁だけが...。

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 消化不良の内容でしたが、年末には世界ランカーとの試合が控えているとのこと。もともとは10月の試合が11月になったことで、試合間隔は縮まりましたが、ダメージのあるような試合ではなかったので12月の試合で挽回していただきたいと思います。

 このあと大阪市内の天神ジム+ABC(アジアボクシングコミッション)の興行を見るためにメインは見ずに中座させて頂きました。大変失礼いたしました。

 同じ日に行われた大沢選手の僚友、金井隆明選手の試合は金井選手が1RTKO勝ちし、連敗を脱出しました。おめでとうございます!

 年末はメキシカンの世界ランカーと対戦ということで楽しみな(旧徳山と長谷川が好きです)

ネリ×山中再戦決定?!も議論なきボクシング界にゲンナリ


 分かっちゃいたけど決まってしまったドーピング野郎ルイス・ネリと山中慎介選手の再戦。

 山中選手のマネージャーにしてプロモーターの帝拳ジム本田明彦会長は、TKO負けの直後はタオルを投入したセコンドを罵倒し、試合後はなぜか「ネリとの再戦でなければ引退させる」というトンチンカンな方針を表明し、ドーピングが発覚したあとは「負けは負けだから、タイトルが剥奪になっても返還は拒否する」と、あらゆる局面でビタ一文理解できない主張を展開してファンを唖然とさせてきました。

 で結局、長年の癒着信頼関係の賜物か、この度めでたくWBCから本田会長の希望通りの再戦命令が下り、山中選手はまたしてもドーピング野郎とリングで対峙することとなりました。

 マッチメイカーとジャーナリストと言う二つの顔を自己都合で使い分ける、コウモリ人間ジョー小泉さんもボクシングビート誌に連載中のコラムで、フニャフニャの対応してるスライマンjrの『大岡裁き』を「スライマン・ジュニアは統率力があり、なおかつ柔軟性があるリーダーに育っている。それは世界一の大所帯であるWBCにとり好ましいことだ。」絶賛!なんと分かりやすい茶番でありましょう。

 ジョーさんの言う「統率力があり、なおかつ柔軟性がある」というのは、要は「長い付き合いのあるプロモーターの意向を尊重して、適当にルール運用してくれるから、おれたち儲かるよね」と言ってるのと同じであります。ジョーさんももう70歳を超えるご高齢であり、お金も残されたでしょうから、あまりビジネスの匂いが漂う生臭い発言ばかりせず、たまには業界の未来につながるような見識を見せていただけないでしょうかね?薬物で汚染されたボクサーに日本ボクシング界の宝を潰されたらあなたの責任ですよ!

 ジョーさんだけでなくスポーツ紙や専門誌もことごとく問題意識ゼロ。帝拳大本営発表の情報を垂れ流すとともに、ネリのインタビューで言いたい放題言わせてファンのヒートを煽ると言う稚拙な戦略。

 こうすればファンは熱くなって「ネリをぶっとばせ!」とばかり山中を応援するだろうとでも思っているんでしょうなあ。 

 再起に際して山中選手がネリとの再戦を希望している旨のコメントが出ましたが、そもそもそれは敗戦直後から本田会長が広言していた既定路線であり、山中選手の自由意志が反映されているとは、私には微塵も思えません。

 さらに、ネリ陣営にすれば、ジルパテロール服用が不問になったことで、薬物の使用を止める動機付けもなくなります。

 帝拳の言うまま再戦を煽ってるジョーさん!スポーツ紙!専門誌!あんたらもうかりゃいいのか?面白けりゃいいのか?事故があったら責任取れるのか?

 タオル投入批判→再戦という流れ見れば、本田会長の人権感覚やボクシングマスコミの問題意識の無さは明らか。ボクシングにおけるドーピング行為の危険性は一切理解せぬまま、昭和のままの根性論と精神主義で再戦に突き進めば、命の危険を冒すのはリングに上がる山中選手だけです。ファンはこれを許容するのでしょうか?

 ドーピングと言うゲームの根幹をゆるがす不正の問題が、いとも間単に再戦ビジネスに転換し、内部からの憂慮の声は村田諒太選手のFACEBOOK投稿のみ。「こういうの、なんか一回あったな」と思ったら、亀田大毅×リボリオ・ソリス戦の体重超過問題の時でした。

 ルールに拘らないならスポーツなんか見てもしゃあないでしょうに。

 議論の無さに呆れる(旧徳山と長谷川が好きです)