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HARD BLOW !

大沢宏晋選手 スパーリング短信

 遅くなりましたが先週の練習の様子を。試合まで二週間と迫った10月19日の木曜日、6Rのマススパーが行われました。

 最初の4Rはフットワークを使って手数も旺盛でしたが、後半2Rは疲れもあって失速。かなり苦しそうでありました。とはいえ、大沢選手の調整では、中間のスパーで打ち込まれるのはいつものこと。疲れのピークの中で、実戦練習で負荷をかけるというお馴染みのスタイルであります。

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ボディフック
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パートナーが変わった後半2Rはかなりバテた様子。

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動きが止まった大沢選手に中島トレーナーから「ロープに座っとったらアカンぞ!」の声が飛ぶ。

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 押されて終了。

 スパー終了後、大沢選手に少しお話を伺いました。

HB「前半はフットワーク使ってジャブも良く出てましたが、後半は押し込まれましたね」
大沢「うしろ2Rはちょっとバテましたね。プレスかけられて押し返そう思ったんですが、疲れて押し返せなかった」
HB「疲れてる中で、負荷をかけてどこまで動けるかですね。」
大沢「そうです。大事なのは試合なので。」
HB「スパーは今日で上がりですか?」
大沢「もう一回火曜(24日)にロングスパーやって上がりです。」
HB「今回は勝ち方が問われる試合になると思いますが」
大沢「圧倒的に勝たなアカン相手やと思います。」



 対戦相手のインドネシア国内チャンピオン、エリック・デストロイヤー選手は現地のテレビ番組でも特集組まれてるようで、バイトタイ人とは一味違います。映像の最後、基地の入り口で激励を受けてますが軍人さんなのかな?

 今回の試合の位置づけはもともと調整試合。短いスパンで次戦が組まれるとの話もあります。世界戦への期待を高める為にも圧勝が要求される相手です。文句のない形で買って欲しいと思います。

 デストロイヤーというリングネームが懐かしい(旧徳山と長谷川が好きです)

良くぞ言ってくれましたの土屋修平インタビュー+ ネリドーピング問題

 若い皆さんは御存知ないかも分かりませんが、サッカーが企業スポーツの日本リーグから、プロのJリーグになる時は「日本では野球があるから、プロサッカーは定着しない」「人口の少ない地方都市にスタジアムやプロチームを作っても財政的に破綻する」てな否定的意見が散々言われておりました。Jリーグが地域社会に定着した今では、考えられないような『妄言』であります。そうした否定的意見に対してJリーグの初代チェアマン川淵三郎氏は「時期尚早と言う人間は、 100年経っても時期尚早と言う。前例がないと言う人間は、 200年経っても前例がないと言う」と反論したそうです。

 そもそも企業名を冠しないプロスポーツチームというのが想像の埒外と言う時代。日本テレビ系のニュース番組はJリーグ発足後も「今日はトヨタがパナソニックに2-1で勝ちました」なんてやってて、企業名の表記を巡ってJリーグとモメまくり。東京ドームに無理やりコマ切れの天然芝を敷き詰めて試合して、芝がボコボコでわやくちゃになったと言う珍事件もありました。結局読売のドン・ナベツネは、プロ野球のように私物化できないサッカーに興味を失って、ヴェルディに金をかけるのをやめてしまいました。

 Jリーグは、今年から10年間の試合放映権を、ネット配信のDAZNに2100億円で売却して、巨額の手元資金を得ました。これは放映権をリーグが一括管理するという優れた制度設計があってこそ可能になったことです。さらにTOTOの売り上げから、様々な競技団体に分配される強化目的の助成金も莫大な金額にのぼります。Jリーグが他の競技団体も支えているわけです。NHKでやってただけだったワールドカップは、オリンピックのような巨大コンテンツになり、日本社会に莫大な経済効果をもたらしています。サッカーの競技人口はプロ化で劇的に増加しました。
 
 もし 「プロサッカーは日本に定着しない!」と言う人が議論の主導権を握って、Jリーグ構想を潰していたらこのような世界は存在していませんでした。

 Jリーグ発足から10年チョイ経過した2004年に、今度はプロ野球の一リーグ化騒動と言うのが起こります。近鉄バファローズの球団売却に絡んで、球団を10チームに再編し一リーグにするという構想を、一部球団オーナーが画策していることが突如発覚。選手会やファンの反発を受けた黒幕ナベツネは交渉を求める選手会に対して「たかが選手が」と放言して総スカンになります。

 当時はまだ「強い巨人を、その他のチームが倒そうと努力するのがプロ野球の醍醐味で...」的なオヤジ目線の人がマスコミやファンにも多くいて、オーナー連中とて「巨人と試合が出来れば儲かる」と信じていた時代。地上波での巨人戦中継がなくなった現在では想像すら出来ないですな。

 しかし選手会とファンの反対で2リーグ制は堅持され、その後パ・リーグの動員は営業努力で飛躍的に伸び、セリーグと伍するまでになりました。ソフトバンクや楽天やDeNAと言ったIT系の新興企業の参入によって、球団経営やファンサーヴィスとマネタイズの手法も洗練され、さらに地方都市への進出によって重厚な観戦文化が育っています。巨人中心のイビツな運営モデルも改善され、チームの実力も伯仲し、ファンも応援しがいがあろうというものです。これもまた、選手会とファンの運動の成果であり、一リーグ化が無理押しされていれば存在してない世界のお話であります。

 バスケットボールは協会の内紛でガタガタになったことを奇貨として、逆に思い切ったプロ化に成功し、着々と人気を積み上げています。バスケットボールは実は競技人口が多く、潜在需要は計り知れません。野球とサッカーがオフの冬季に、暖かい環境で観戦できるインドアスポーツの強みを生かせばまだまだ集客は伸びると思われます。

 ラグビーは2018年のワールドカップ自国開催を睨んでスーパーラグビーに参入し、さらに選手会を発足させました。その背景には、東芝の巨額赤字問題などの影響で企業スポーツからの脱却を志向せざるを得ないという、強い危機感があります。

 どの競技も生き残りをかけて組織や運営手法を刷新し、外部の人材を求め、ファンの嗜好を掴もうと躍起になっています。また選手が業界の将来を考えて、意見発信をしたり選手会を作ったしています。
 
 一方ボクシングはどうでしょうか?ビジネスモデルは昭和のまま停滞し、ファンサーヴィスの観念は微塵も無く、女性や若年層を新規獲得しようというようなキャンペーンも無い。

 そもそもプロもアマもおかしな人脈支配と運営組織の腐敗が明らかでありながら、内部からの自浄作用がまるで働いていません。メデイアは大手ジムの提灯記事と「麗しい師弟愛」や「勝った・負けた」の情報だけ。現状打開策も「人気選手が出てきたら変わる」というスター待望論のみ。サッカーや野球で見られるような業界に対する厳しい批判や提言もありません。大手ジムの縦割りになっている地上波テレビ中継が『上がり』でそこから先の、ビジネスが全く構想されておらず、日本チャンピオンや世界チャンピオンでもチケットは手売りだったりバイトしてたり。少子化とスポーツの多様化で、競技人口は頭打ちになり、どう見ても将来は暗い。にもかかわらず何の対策も論じられていなかったボクシング界。

 そこに突然現れたのが元日本ライト級チャンピオンの土屋修平氏のアジテーションでありました。土屋氏は以前からツイッター上で、積極的に業界への提言を行っていました。その発信力に注目した格闘技ポータルサイトのQueelさんがインタビューを慣行し、ロッキング・オンのようなド長尺インタビューが掲載されました。こういう自由度はネットメデイアならではのフットワークですねえ。プラスボクシング情報だけやってるサイトでは出来ない感覚です。

インタビューは以下のリンクからお読みください。

 ボクシングはなぜ稼げないのか?"ボクシング界の異端者"土屋修平が語るその真意とは。【土屋修平ロングインタビュー前編】

練習で強くなるより営業の方が稼げる?ボクサーの手売りの実態とは。 "ボクシング界の異端者"土屋修平インタビュー後編

 ここで土屋氏の言われてることは至極まっとうな事ばかり。娯楽が多様化した中で、いかに観戦の動機付けをしていくか?というのは、ボクシング以外のあらゆるプロスポーツがやっていることです。チケット価格で比較した時に、プロ野球やJリーグ、はたまた映画やコンサート、演劇なんかと同等の満足が得られているか?ということは送り手なら真剣に考慮するのが当たり前のことです。

 私も、井岡ジムの食い物も飲み物も無い環境なのに出入り禁止という監禁興行スタイルを過去批判して来ましたが、なんだかんだ言って試合が良ければ、なんか有耶無耶にしちゃうんですよね。だからボクシングを偏愛してる人の意見は参考にならんわけです。興味がない人、見たことがない人をいかに動員するか?話のタネに来た人、つれてこられた人をいかにリピーターにするか?を、業界の人は真剣に考えないといかんわけです。

 あとは選手が客席をウロウロしてる、逆に客が控え室に入れるというゾーニングの適当さや、「指定席にヤカラが座ってる問題」「試合中に挨拶に来た選手が邪魔で試合が見えない問題」などは、まさに『生観戦あるある』。IMPホールなどは客の振る舞いが問題で借りられなくなったと聞いておりますし、観戦マナーや会場の仕切りの正常化は、一見さんや女性客が安心して観戦する為には不可欠な要素であります。

 選手の待遇、チケットの手売りについても体験をもとに言及されており非常に具体的。選手のSNSなどを見れば分かりますが、こまめに後援者の元に顔を出し、ポスターを持参し、一緒に写真をとってSNSで感謝の意を表明してはじめて、チケットが売れて、ガウンやトランクスに広告のロゴが入る。その現実を公にしたことは大変大きいと思います。

 日本ではよく「初防衛が難しい」と言われますが、実はチャンピオンになったら挨拶回りが大変で、色んなところに顔出してたら練習時間が無くなった、又は疲れて練習できなかったというのが原因と思えるケースが結構あるんですよね。後援者にすれば激励のつもりで、選手だって応援されて食事も食べさせてもらえば嬉しい。でもそれがファイターの仕事なのでしょうか?

 ポスターを貼ったり、チケットを売ったりというのは本来プロモーターの職分です。ある選手はツイッターで「チケットの精算でミスをして自腹になるとことだった」というような体験談を書いていましたが、なんで命がけで戦った選手が会計まで責任追わなきゃいけないの?ちゅう話であります。そもそもこういう形式はアマチュアバンドや小劇場の演劇と同じで、これでプロスポーツと言えるんでしょうかね?「チケット渡しの方が結果的に選手の身入りも増える」と言う向きもありますが、額面以下で流通することを前提でシステムを組んでるならチケット価格を下げるべきです。そしてプロモーターが自分で宣伝してチケットを売って選手に現金で渡すべきです。

 土屋氏がこのように俯瞰的な視野を持てるのは、もともとキックボクシングの選手だったからでありましょう。そしてボクシング業界で生きる必要がないから自由に発言できる。OBでも業界にしがらみがある人や、業界にとどまろうと言う人はなかなか批判的なことは言えないものであります。

 インタビューで一つ気になったのは、Knockoutとボクシングの興行を比較しているところ。Knockoutはキックの中では特別な興行であり、ジムがやってる普通の興行と単純比較するのはちょっとかわいそうじゃない?とは思いました。とはいえチケットの価格水準は一緒なんだから観客目線で見れば仕方の無いことではありますが。

 私が思うのは「ラウンド制限を撤廃して、やる気の無いタイ人が出ないいい試合を三試合くらいやって二時間以内に終わる興行を夜からやってくれたらいいのに」ということ。逆に4回戦の選手はお客がいるところに出かけていく。4回戦の試合を地方都市のお祭りやイベントに組み込んでもらったりしてやるとか。そこにはチャンピオンクラスの選手や元チャンピオンを帯同させて、サイン会やミット打ちをやったり。あとは福祉大相撲みたいなイベントを地方でやったり。色々と工夫の余地はあると思うな~。

 土屋氏のインタビューは、ボクシング関連記事では異例の注目を集めたようです。村田選手の世界戦や亀田興毅氏の一千万企画でも分かったことですが、一般層にもボクシングへの関心はあるわけです。だからこそ偏屈なマニアの意見ばかり聞かずに、一般の人を動員できるような柔軟な施策をとって、生き残りをはかって欲しいと思います。いやほんま。

 もう一つはルイス・ネリのドーピング問題。

 ネリのドーピングが発覚したしことで、大和心トレーナーの冷静な判断の正しさと、本田会長の大人気ないキレっぷりの理不尽さが、より一段と鮮明になった格好です。不正をしたインチキ野郎から山中選手の命を守った大和トレーナーを叱り飛ばし、エンダム×村田の一戦目でジャッジの判定に怒り狂って抗議しまくるなど、最近怒りの沸点が低くなっている本田会長ですから、この試合に関してもプンプンかと思いきや、スポニチの記事によりますと

「山中にタイトルが戻るということはない。WBOのルールだと(薬物疑惑の対戦相手が) クロならタイトルは戻るけど、WBCがそういう判定をしてもウチ(帝拳ジム)は拒否する。 負けたんだから」
 
となぜかドーピング違反に怒るどころか、全力でスルー。「負けたんだから」ってアンタ...。さらに返す刀で
 
ネリとの再戦でなければやらない。(ネリが)3カ月や6カ月なら まだいいが、1年のサスペンド(出場停止処分)なら終わり」との方針を示した。

と、ドーピングの前科モノであるネリとの早期再戦をアピール!なんでだよ!

 インチキ野郎に自分の選手を潰されかけたのに、怒ったのは立場の弱いトレーナーだけ。インチキの当事者には「では再戦しましょう」とすりよる卑屈ぶり。一体どうしたのセニョール?!

 どーもこの煮え切らない&筋も通らない対応の裏には、政治的な駆け引きの匂いがプンプンしているのであります。

 性格の悪い私が邪推するに...

・ネリ陣営の政治力が強すぎて勝負にならない。
・山中は全国中継でノックアウトされた印象が残ってるので、商品価値を見限った。
・山中はあと何年も稼げないので次世代の選手で政治的な配慮をしてもらった方が得だと考えている。
・村田の試合でWBAの試合を国内でやったのでWBCとの関係がギクシャクしている
・「大和がタオル投げなきゃ勝てたのに!」と未だに思っている。

 などの理由が浮かびますが、所詮シロウトの戯言であります。とはいえ山中選手のキャリアがこんな妙な形で終わるのは余りに勿体無い。納得の行く裁定を望みます。

 それとWBCのフニャフニャ姿勢は確かに大いに問題なのですが、逆に言うと

「ドーピング検査をやってるだけマシ」


 とも言えるわけです。他の団体は検査自体ないわけですから。オープンスコアリングの導入や、ビッグマッチがあれば勝手にベルトを作って人気選手に贈呈しようとしたりするなど、WBCは結構ボクシングが世間からどう見られてるか?に敏感なところがあり目端が利く。ドーピング検査自体はいいことすから、芽を摘まずむしろ奨励するべきであり、本田会長みたいに「半年以内にネリと再戦を」とか言っちゃうのはまずいんだけどな~。

 とはいえこの度のトラブルは、磐石と思えた帝拳とWBCの関係に綻びが生じてるとも取れるわけで、4団体時代がもたらした変化なのかも知れません。

 しかし再戦はいかんよな~。

 土屋さんには今後も発信を続けて欲しいなと感じる(旧徳山と長谷川が好きです)

世界ランカー大沢宏晋が復帰第二戦へ スパーリングレポート

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 今年6月、再起戦でいきなり世界ランカーのフリオ・コルテス(エクアドル)相手に判定で完勝した大沢宏晋選手(←名前をクリックすると大沢選手についての過去記事が読めます)。昨年11月ラスベガスで、次世代スター候補のオスカル・バルデスに挑んで痛烈な苦杯を喫した試合から、たった一試合で再び世界ランカーへと復帰しました。

 10月には再起第二戦がアナウンスされましたが、なんと興行側の事情で中止。その後11月5日の日曜日に日程が変更となりました。試合会場は兵庫県三田市の三田ホテルで、13時開始の昼興行となります。
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 突然の興行中止にもかかわらず、近い日程での試合開催が可能になったことは大変な幸運でありました。

 試合まで一ヶ月をきった先週、ジムにお邪魔して追い込みのスパーリングを見学するとともに、スパー前後に色々とお話も伺ってきました。まずは復帰戦となった、フリオ・コルテス戦の感想を尋ねてみました(大沢選手の発言は赤文字

HB「コルテス選手かなりパンチがあったように見えましたが...」

大沢「ホンマにやばかったですよ!(笑)ガードの上からでも脳揺れましたからね」


HB「いきなりレコードの良い世界ランカーとやるというのはリスクが高いし、実際最後までパンチは威力ありましたね。」

大沢「復帰戦やからって、訳分からんタイ人とかじゃ応援してくれてる人に申し訳ないんでね。世界ランカーとやって、2、3ポイント差で勝つんじゃなく、誰が見ても文句なしの大差で勝てたので良かったです。」

HB「一ヶ月試合が延びるというアクシデントがありましたが、影響はありますか?」

大沢「もともと、いつ話があってもいいように体重も変動させてないですし、去年から減量やリカバリーも方法も分かってきてるので問題ないです。」

HB「ウエイトは?」

大沢「練習後で3.5キロプラスくらいですね。順調です。」

 この日のパートナーは、ジムメイトで、2015年度の新人王戦西軍代表、一階級下スーパーバンタム級の金井隆明選手。金井選手も11月5日に兵庫県市川町で芹澤天明選手との試合があるということで、お互いが最終調整であります。

 スパーは6R。お互い手の内は分かっている同士ですが、激しい打ち合いとなりました。

 金のグローブが大沢選手、白いグローブが金井選手です。

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 二人の選手に同時に指示を送る中島トレーナー

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 金井選手の好打

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 終盤はロープ際で激しい攻防

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 スパー後はロマンサジム名物、グローブを打ち合う攻防練習。

 今回は両選手とも近い距離での打ち合いを重視したスタイルで、手の内が分かっている相手にいかにパンチを当てるかという駆け引きが大変に面白かったです。大沢選手はスパーでは打ち込まれる場面が結構あるのですが、それはいつものこと。疲れている中での打ち合いで調子を上げていくのが調整スタイルになっています。大沢選手は単発のパンチでも相手を止めることが出来るのが強み。試合で強打をいかに当てるか?を想定した調整であることが伝わって来ます。一方の金井選手は現在連敗中ですが、一階級上の世界ランカーの大沢選手と互角の打ち合いを展開しており、こちらも好調そう。連敗を脱出して欲しいです。

 スパー後にもう一度お話を伺いました

HB「今日は3週前にしては動きも良かったし、手も良く出てましたね。」

大沢「そうですね。疲れてる中でも、動けてるし、ジャブからの組み立ても上手く行きました。」

HB「竹中選手や細野選手や天笠選手など、階級も年齢も近い世界ランカーが負けて進退に注目が集まってますが、大沢さんは『負けたら終わり』と言ってましたね?」

大沢「そうですよ。負けたら辞めます。」

HB「こちらとしてはどうしても、勝ち残ってもう一回世界戦に行って欲しい。」

大沢「自分としてもバルデスとの試合が、試合前飯が食えなくなったり、何かいつもどおりじゃなかった...。記者会見とかでも『絶対に勝ったる』という気持ちも弱かったんちゃうかと...。ラスベガスに行ったということで、どこか満足してたのかも分からん...。バルデスに負けて、そういういろんなことが分かって...。次は同じ失敗はしないです。」

HB「でもあの舞台で試合するというのは、誰でも出来る体験じゃないですからね。大沢さんは以前『自分はなんでも時間がかかる人間なんです』と仰ってましたけど。」

大沢「そうなんですよ。経験しないと分からないんですよ。」

HB「(世界戦は)スーパーバンタムでもいいと言ってましたが。」

大沢「はい。チャンスがあれば全然、なんの問題もないです。」

 今回も、バルデス戦での敗戦のインパクトの大きさを改めて感じました。

 『時間がかかる人間』と自分を分析する大沢選手ですが、だからこそ30代を過ぎた今も少しづつ強くなっていると思います。下半身の強化でパンチ力やフットワークは向上し、40戦のキャリアと日々の地道な練習でテクニックも戦術眼もジリジリと向上しているのが伝わって来ます。『時間がかかる人間』だからこそ、成長が止まっていないと思えるのです。

 選手のタイプも色々。叩き上げで成長を止めない大沢選手が、もう一度大きなチャンスを掴めるよう、微力ながらこれからも応援して行きます。


 色々書きたい小ネタがある(旧徳山と長谷川が好きです)

AIBA公認グローブの怪 杉スポーツの謎

グローブ


単刀直入に参りましょう。

この請求書は、アマチュアボクシングの公式試合で使用するグローブの代金の請求書です。商品名のG1というのは、2012年以降国内でも公式グローブになっているAIBA公認のアディダス製グローブの型番です。Rは赤、Bは青です。グローブの単価は左右のペアで21240円となっています。日本ボクシング連盟(以下日連)が管理する公式試合に出場する選手は、必ずこのグローブを装着する必要があります。

請求元はグローブの販売店である、兵庫県加古川市の『杉スポーツ』というスポーツ店?販売代理店?です。請求されているのは某都道府県の体育連盟の支部です。情報提供者が分からないように墨を入れておりますが、原本には全ての情報が記載されています。

代金の振り込み口座に注目してください。山根明会長の親族の個人口座が振込先になっています。なぜに試合用のグローブの代金をこのような個人口座に振り込ませるのでしょうか?

なんとこのアデイダスの試合用グローブは、杉スポーツさんがが実質独占販売しているというのです。販路を限定して強制的に購入させ、山根会長の親族の個人口座に代金を振り込ませるというこのやり方は、一体どのような意図に基いているのでしょうか?

ついでに、この杉スポーツさんの販売価格が妙に高いのであります。

このグローブはネット販売で購入することが出来るのですが、国内で二万円を切っています。
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ちゃんとAIBAの承認シールが入っている正規品です。杉スポーツさんの販売価格とは2~3千円の差があります。海外サイトで探すと更に安い値段のものが沢山見つかります。

イギリスのサイトでは15000円ほど。

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アディダスの本社があるドイツでは16000円くらい。

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ポーランドでは13000円くらい。
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デンマークのサイトでは日本までの送料込みで18000円ほど...
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このグローブはパキスタン製で、ヨーロッパの国にとっても輸入品なのですが、なぜか日本の杉スポーツの売価は世界最高レベルの高値になっています。何故でありましょうか...。

さらにこの杉スポーツさんの所在地をグーグルマップや、グーグルアースのストリートビューで見てみると...

杉スポーツ

住所地には喫茶店があるだけで、スポーツ用品店と思しき建物はありません。白い看板に『Dragonfly』という文字が読めますが、請求書に記載されている杉スポーツのメールアドレス(EmailがEmaruになってる...)が『dragonflyboxingm@~』となっているので何か関連があるのでしょう。とにかくこの杉スポーツ、ネットで検索してもホームページもない。日連の公式代理店と言って良い店なのに、なんら情報が分からないのです。なぜにこのような実態のハッキリしない店が、オリンピック競技の用具を独占販売をする特権を持っていて、尚且つ取引口座が山根会長の親族の個人口座になっているのでしょうか?分からないことだらけであります...。

果たして自浄作用はあるのでしょうか...。

FIFAの汚職の本を読んでる(旧徳山と長谷川が好きです)