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大沢宏晋復帰戦で難敵世界ランカーに完勝!6.4 大沢宏晋VSフリオ・コルテスin堺

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 ラスベガスでのオスカル・バルデス戦の痛烈な敗戦から7ヶ月。WBOのルールで世界ランキングも失った大沢宏晋選手が、再起戦でいきなり世界ランカーと対戦、という危険な選択に打って出ました。6月4日に行われたその試合をレポートいたします。

 この日の興行は50ラウンドということで長丁場かと思いきや、メイン前のA級ボクサーの3試合が全てタイ人ということで、ことのほかサクサクと進行。体格差も明らかなタイ人三連戦は、失礼ながら緊張感ゼロでございました。アンダーカードでは、新人王予選の、小柄で度胸良くインファイトをしかける岸根知也選手と、長身でテクニシャンの原優奈選手という対照的なタイプの対戦が、好試合でした。3R終盤に原選手がダウンをとられて岸根選手の2-0僅差判定勝ちという結果でしたが、パンチがヒットしているとはいえ、スリップでも良いような微妙なダウンで、まさに拮抗した内容。岸根選手の思い切り良い攻撃は見事でしたが、一方の原選手は4回戦より長いラウンドで真価を発揮してくれそうな選手と見えました。新人王のもう一試合は、一方の選手が棄権で不戦勝扱いだったようですが、場内のアナウンスは皆無!パンフレットに名前が載ってるんだから、なんか言わなきゃダメだろと思いました。

 休憩も無くテンポ良くメインとなって、まずはコルテス選手が客席から入場。ブルーと黄色のフード付きガウン。IMGP3860_R.jpg

 大沢選手はなぜかサラ・ブライトマンの『Time to say goodbye』で入場。再起戦なのに引退試合みたいです(笑)。コスチュームは金色。
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 コルテス選手はコールを受けて、観客にアピール。短躯ながら上半身の筋肉はなかなかのもの。特に背中の筋肉が目を引きます。
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 13勝11KOという戦績や、ビデオ映像で見る限りは、ドのつくファイターという印象のコルテス選手がどう出るか?注目しつつ1Rのゴングを聞くと、コルテス選手は躊躇せず接近して、ワイルドにビッグパンチを振るってきます。対する大沢選手は、大振りのパンチをブロックしつつ、お馴染みのソリッドなジャブと左右のボディフックで対抗。ただコルテス選手のプレッシャーは相当なもので、パンチも雑でなく当て勘が備わっています。

 コルテス選手は中間距離では対角線の豪快なコンビが出ますが、接近すると単調になる印象で、大沢選手はひっつけば対格差を生かしてボディうち、中間距離ではジャブと定石どおりの攻め。ただコルテス選手のパンチはかなり強く、ガードの上からでも破壊力が伝わってきます。

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 序盤から大沢選手の左右ボディフックが当たりますが、コルテス選手の前進は止まらず、時折強いパンチが大沢選手の顔面やボディをとらえます。これが芯を食ったらワンパンチKOもあり得るな、というような迫力あるパンチにどよめく場内。やはり無敗の世界ランカーという看板は伊達ではありません。ただ4Rあたりから、ボディ打ちの影響かコルテス選手のプレスがやや弱まってきます。
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ボディが効いたのか、闇雲な前進が止んで、顔面を突き出して挑発をしたりといった動きを見せ始めます。

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 中盤コルテス選手の手数が減ったことで大沢選手は距離を詰めて更に攻勢。いきなりの右やアッパーもヒットし、逆にコルテス選手の攻撃は単発気味。ただ、コルテス選手のパンチは未だにパワー充分で、一撃必倒の威力を感じさせ気が抜けません。

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 終盤大沢選手はスパーでも見せていた、近距離でのフットワークを使ったショートの連打も披露。ボクサーファイターとしての進化を見せつつ、セコンドの指示を聞いて右のビッグパンチを当てたりと冷静さも充分。9R終盤にはロープ際で激しいパンチの交換がありましたが、的確性で大沢選手が上回りコルテス選手をダウン寸前に追い詰めます。

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 最終ラウンドにはロープ際にコルテス選手を呼び込んで、右ストレートをカウンターでヒット。展開が一方的となったところでゴングと成りました。

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 健闘を称えあう二人

 判定は99-90、99-89、99-91というフルマークに近い大差3-0で大沢選手の勝利。負けたコルテス選手も試合後に勝利をアピールするような仕草は一切せず、結果を受け入れている風でした。

 大沢選手の様子は、勝ったとは言えやや不服そうで、リング上のインタビューでも「不細工な試合でした」と厳しい自己評価。
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 確かに、終盤ダウンシーンを呼び込むような集中打が見られなかったことは事実で、「あそこまで追い込んだのだから」という不満も分からないではないですが、この試合は世界ランカーに返り咲くのがテーマ。コルテス選手のパンチも最終ラウンドまで死んではおらず、過剰なリスクをとらなかったのは、戦略上正しいと思います。KO率が高い無敗の世界ランカーに、フルマークに近い判定で勝った、ということをシンプルに評価するべきです。

 リスキーな再起戦でしたが、下半身強化で備わったタイトなフットワークがあらたな強みとして加わり、ベテランながら更なる進化を感じさせました。ロマンサジムのセコンドワークも隙が無く、大沢選手との一体振りが際立っておりました。

 コルテス選手のガッツが最終ラウンドまで持続したことで、大差判定ながら、だれる事もなく緊張感溢れる好試合となりました。アンダーまでのタイ人祭りとの落差が激しい分、よけい染みたな~。

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コルテス選手のセコンドから帽子を送られる大沢選手
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コルテス選手の左目はふさがっておりました

 世界ランカーに明確に打ち勝って生き残った大沢選手。陣営はさらなる上位ランカーとの対戦も示唆していますが、楽しみに次の試合を待ちたいと思います。

 しばらく見たい試合がない(旧徳山と長谷川が好きです)