HARD BLOW !

WBFタイトルマッチの余波色々 西日本協会は緊急理事会を召集し引き締め&組織防衛!

さてさて試合後一ヶ月が経過しましたが、採点を巡るゴタゴタも含めて紛糾が止まない、山口賢一VS小林健太郎のWBFスーパーバンタム級タイトルマッチ。

当方も記事でお伝えしたとおり、一旦は小林選手の負傷判定勝ちが宣されたものの、本来採点に含まれるはずのストップされた9ラウンドの採点が含まれていないことが発覚し、結果はドローであるという訂正がWBFより出されました。

このことは試合レポートの記事で触れましたが(記事へのリンク→本邦初!WBFタイトルマッチリポート 山口賢一VS小林健太郎)、会場でも試合直後から「9Rでストップなのになぜに80点満点なの?」と言う疑問は出ており、私を含めてリングサイドの役員席でジャッジペーパーを見ながらそのことを質問している方が何人かいました。

IMG_7049_R.jpg


ですがその場でWBFの立会人ゴールドバーグ会長が「WBFルールではストップのラウンドは含めない」と明言したため、それが正しいかと思っていたのですが、なんとその後山口選手陣営がWBFルールを参照すると「ストップのラウンドを含める」と銘記してあることが発覚。

当ブログでも、WBFのHPに掲載されているルールブックを調べた読者の方から、「ルールと裁定に齟齬がある旨」ご指摘を頂いておりました。

問題の9Rはそこまで一点差だった川端ジャッジが山口選手優勢につけていたため、同点となり結果三者三様のドローとなるのがルール上正しいわけですが、この試合は実質的には山口選手サイドが仕切っている興行ではあるわけで、裁定がくつがえった経緯について小林選手サイドが不信感をもつのも、まあ止む無いところかな?とは感じます。とはいえルールブックどおりではあるわけで、一番の責任があるのはルールを把握していなかった立会人であろうと思います。

このことを受けて感じたのは「やはり競技を統括・運営するプロフェッショナルなコミッションが必要だな」ということでした。トラブルの原因自体は亀田大毅×リボリオ・ソリス戦後のゴタゴタと同じ、立会人がルールを把握せず間違った発表をしたことです。ルールブックをしっかり読み込んで、理解している人間がその場で訂正できていれば起こり得ないトラブルであり、JBCが関与してる興行でも同趣旨のトラブルが発生してることを見れば、JBCの関与自体の有無は本質でないと思います。

はたして再戦は組まれるのか?ですが、個人的には試合はアクションに満ち、噛み合った好試合でしたし、内容自体も拮抗していたのでもう一回見てみたいなと思っています。小林選手陣営からすれば裁定が覆ったことに不信感はあるかと思いますが、山口選手にしたところで引退をかけた試合でこのようなトラブルが起きたことは意図せざるものであり、彼自身もまた被害者です。双方のファンにとっても再戦は望むところだと思うのですが…。なりゆきを見守りたいと思います。

試合後の反響のほうでありますが、専門誌は黙殺かと思いきや、ボクシングビート誌が短信欄とコラム(執筆は編集者か?)で試合に触れており大変驚きました。文中では日本IBFにも触れられており、「JBCが統括していようがいまいがボクシングはボクシングである」というビート誌の専門誌としての矜持は感じられるものでした。ただ試合内容について論評していないのは「逃げているな」とも感じました。ビート誌は果たしてあの試合のクオリティや会場の盛り上がりをいかに評価されたのでありましょうか?日々の興行を「勝った負けた」と報じてるだけでは広報誌となんら変わりません。試合に関する批評があってこその専門誌ではないでしょうか?

ついでにジャッジ・レフェリーは元JBC所属のランカーやチャンピオンであるのに「経歴不肖な人」みたいな感じで書いてるのもミスリードなんじゃないの?と感じました。ジャッジやレフェリーについて疑問に感じたことがあれば、それぞれのジムや個人の携帯に電話すれば済む話で、専門誌のコネクションや実績があれば簡単なはずです。

立会人の誤発表によるトラブルも、先述のとおり亀田大毅VSリボリオ・ソリスで発生しており、JBCの不在やマイナー団体であるが故の問題点でもありません。

せっかく取り上げているのに残念だなと感じました。

もうひとつ、意外なところでは人気バラエティ番組でこの興行の様子が伝えられました。

関西発の人気番組として有名な「探偵ナイトスクープ」の撮影チームがアンダーカードに出場した磯道鉄平選手に密着しており(『磯道選手の8歳のご子息が試合でセコンドに付く』という内容)、興行の様子がかなり時間を割いて伝えられました。タイトルマッチすら深夜にローカルでと言うご時勢ですから、全国放送の高視聴率番組で取り上げられることは、大きな波及効果があるかと思います。番組の作り自体も、バラエティ特有の演出はあるものの、JBC非公認の興行であるがプロボクシングであるということをきちんと伝えており、シリアスなボクシングとしての迫力は充分伝わるものでした。対戦相手の小沢大将選手やクレイジーキム会長、山口選手も登場するのでボクシングファンの皆様は是非ごらんになって頂きたいと思います。ネット局では、これから放送と言うところもあるようです。(各局放送時間へのリンク

大きな声じゃ言えないですが、あの有名動画サイトで見れるような話もチラホラと…。私も久々にあの番組見てみたら新鮮でした。越前屋俵太はもう出てないの?北野誠は?

IMG_7255_R.jpg
IMG_7263_R.jpg


磯道選手が普段練習してるジムが、メチャクチャ広くてきれいで設備も立派で印象的でした。JPBA加盟か非加盟かなんてことは練習環境には何の関係もないんですよね~。実際普段はJPBA非加盟ジムで練習してるプロ選手は沢山います。

試合前には全国紙の朝日新聞や大阪の地方紙大阪日日新聞が、写真入りで大きな記事も掲載しており、関西の標準的な興行やタイトルマッチよりよっぽど注目度やメデイアの露出も多かったと思います。ただ試合結果だけがスポーツ面で報じられない。BOXRECにレコードも反映されない。ここが問題になっていると思います。

この他、試合後の余波としては、何をおいても一番大きなリアクションがあったのは、JPBAの西日本協会からのものでした。試合後になんと臨時理事会を召集し「今後非加盟ジムによる興行に参加したものは厳しく処分する」「引退選手であれば復帰は認めない」という議決をし、併せてこの日の興行に観客として来ていた選手やトレーナーと言ったライセンス保持者の極く一部を槍玉に上げてジムの会長を通じて「厳重な注意」をしたと言うことをわざわざ議事録に記載したというじゃありませんか。

さらに、この興行に選手を出場させたり、オフィシャルを派遣したりといった協力をした元プロ・OBの皆さんに対しても「今後は協力するな」という抗議があったのだとか。

この話を聞いたときに私には意味が良く分かりませんでした。というのは試合会場には多くのライセンス保持者が観戦に来ていましたし、試合前に同じリングで行われていたスパーリング大会には山口選手の古巣の大阪帝拳をはじめ多くのJPBA加盟ジムの練習生が参加していたからです。会場に来ていたライセンス保持者の中から一部の人間だけをクローズアップして、理事会の場で所属先の会長を吊るし上げると言うのも不公平ですし、「あんな興行にかかわるなよ!」と言ってる理事のやってるジムが、同じ会場の同じリングで同じ主催者がやってるスパーリング大会に練習生を参加させているというのは悪い冗談であります。

この試合を巡っては試合前から、JPBA西日本協会が事情聴取を名目に山口選手を呼び出すなど興行への妨害ともとれることが行われました。そもそもJBCやJPBAがボクシング興行を独占する法的な根拠はないですし、個人的な交友の中で観戦に行くことすら制限するというのは個人の日常生活や内心の自由への干渉であり、大きなお世話としか言いようのないものです。むしろJPBAのボクシング興行と競合するものを見ることは勉強や研究として有意義だと思うのですが。

そもそもこのゴタゴタにはもともとの原因があります。

昨年山口選手はフィリピンで試合に勝ってOPBFランキングに復帰した上で、フィリピンの国営コミッションであるGABAのライセンスを取得し、輸入ボクサーと言う形で、日本国内でOPBFタイトルマッチに出場できないか?ということをJBCに打診しています。しかしJBCとしてはそれを認めず、かつての所属先である大阪帝拳ジムに許可を求めた上で移籍して他のジムに所属せよという指示を出しましたが、移籍交渉は決裂し試合自体が幻に終わりました。

その帰結として山口選手が選択したのが今回のWBFタイトルマッチだったということです。

JBC統括下の試合は移籍しないと認めない。でも移籍はさせん。でも未公認タイトルも許さん。でも選手契約が永遠に続くことにも興行の独占にも法的な根拠はないよ。JPBAの制度が嫌で一度足抜けしたら政治力使って孤立させて、プロボクシングと名のつくことはさせへんで。タクシー強盗して6年半刑務所に入っていた選手のライセンスはすぐ出るけれど、JPBA以外でプロ興行やったら永久追放やと。なんですか、これ?どこの未開社会?と言う話であります。


そもそも現在のクラブ制度の下では、選手は会長と対立したりトレーナーと合わなかったりしても移籍すらままならず、飼い殺しになるといのはJPBA側の制度の問題であります。そうした選手に対して「マネージャーも練習環境も自分で選んでプロとして試合が出来るよ」という『道』が提示されれば、JBC・JPBAから抜け出してやろうという選手が出てくるのも当然です。

JBC・JPBAが現行の不合理な制度を改革しない限り、このような動きは決して止まないと思います。JPBAに加盟せねばプロボクシングは出来ぬと言う時代ではもはやないのです。

なにより一部のクラブオーナーの権益だけが過剰に保護された今の制度では、大半の選手もトレーナーも使い捨ててで終わってしまうことになると思います。

そんなプロボクシング界でいいんでしょうかね?

というわけでこの試合ますます余波を生みそうであります。再戦があるのか?も含め今後も動きがあり次第レポートしていきます。

IBF総会に行った人から話を色々聞いて面白かった(旧徳山と長谷川が好きです)

なんじゃこれと感じたこと二題

ちょっと気になることを手短に…。

モデルボクサーとして週刊誌などにも良く登場する、協栄ジムの高野人母美選手が、突然引退を宣言しました。知名度の高い選手と言うことで、YAHOOなどでもトップニュースとして報じられています。

BOXING NEWS様の記事へのリンク
      ↓
 高野人母美が引退宣言、6.6防衛戦の黒木優子と会見

スポニチ様の記事へのリンク
      ↓
モデルボクサー高野人母美が電撃引退宣言「指図されるの嫌」

記事中の
「生まれてから死ぬまでの自分のプリペイドカードがあったとして、それが人に使われていると思うと、やっぱり違うな思った。最近はそういうことが多く、やめようと思った」

と言うコメントや
「昨夜に会長がいないと聞いて、(引退を)言おうと思った」
というコメントを見ると、不協和音がグワングワンと響いておる感じですね。

まあ命がけでリングに上がるのは選手本人でありまして、意欲が低い状態で試合に臨めば生命にもかかわります。辞めたいというものはしょうがないわなあと思っていたら、協栄ジムの金平桂一郎会長は報道を受けてツイッターで

金平会長 ツイッター

と早速ズルムケなリアクション。と、ここで素朴な疑問なのですが、金平会長って去年「実質的にジム運営から引退する」って言ってなかったですか?一存で所属選手をすぐカットしたりして、普通にいままで通り会長職やってるみたいですね。坂田健史さんはお飾りと言うか名目上の代表なんでしょうかね?

しかし昨年の前川龍斗選手の強制宗教入信・引退騒動といい、こういうネガティブな話題が尽きないですね~。大竹マネージャーや金元トレーナーといった功労者の引退も、私には不可解であります。サーシャやジミントレーナーにしても然り。普通こんな短期間で、ジムの中核を担っていた人が次々離れていくもんでしょうかね?まあ大きなお世話ですが。

このトラブルも、でかい目で見れば旧態依然の契約システムが生む必然的なトラブルであると思います。ボクシング界も早く世間並みの人権状況になって欲しいですね~。

もうひとつの話題は健文トーレス選手の復帰についてであります。タクシー強盗などで服役し、出所後プロとしてリングに戻ってきた健文選手。服役によって法的な責任は果たしたことになり、被害者の方への被害回復といった民事上の責任は当方の関知するところではございません。

ただ復帰・ライセンス再交付に当たって、余罪も含めて懲役6年半と言う犯情をどのように評価したのか?というのが、はっきり言って大いに疑問なのであります。まあ普通の会社なら当然クビです。他のプロスポーツでも何らかのアナウンスメントが、統括団体から必ずあるはずです。脱税や性犯罪ではなく、「ボクサーが強盗」と言う要素も鑑みる必要があると思います。

亀田ジムや大沢宏晋選手は言いがかりに近い形でライセンスが停止されたのに、刑務所に6年半入るような事件を起こした選手のライセンスは、すぐに発給されると言うのはいったいどのような価値基準でありましょうか?

もちろん更正のためにも生活の糧がいるというのは分かりますし、「こんな粗暴な奴は排除しろ」と言ってるわけでもありません。そうではなく、これでライセンスがでるのに、なんでこっちは業界から追放されるの?というバランスの悪さと、いったいどのような議論を経てライセンスが降りたのか?が不思議なのであります。

引退したボクサーが酔いつぶれて救急搬送されたというようなヒマダネで大騒ぎする人が、強盗で6年半服役した選手が出所後すぐリングに上がることを問題視しないって偏ってるよな~と思います。はっきり言ってメデイアの側も検証力がなさ過ぎです。

結局知名度の問題?話題として消費してるだけ?

ボクシング映画ブームに注目している(旧徳山と長谷川が好きです)