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『スラップ訴訟』が聞いて呆れる。単なる『捏造中傷記事裁判』分析 PART3 「スラップ訴訟だ」ということ自体が名誉毀損だよ 編

 引き続き判決文を検証していきます。 

 片岡氏がなぜに亀田サイドに取材をしなかったのか?という理由についても、厳しい批判が寄せられています。判決文の34ページより引用します。文中の『被告』とは、今回敗訴したフリーライターの片岡亮氏のことです。(引用部分は赤字、筆者による注は青字にて表記します)

 さらに、被告は、本件紛争の反対当事者である原告らを含む亀田ジム等に取材を行っていないことを もって、被告が摘示事実を真実と信じるについて相当性が否定されるものではない旨を主張する 。 しかし、被告の主張によ っても、被告が亀田ジムにより取材の拒否又は試合会場への入場の拒否を 最後に受けたのは、平成 2 2 年9月2 5日のことであり、本件紛争が生じた平成2 5年9月3日までに約3年が経過していることからすれば、被告が本件紛争に関する取材を申し込んだ場合に亀田ジム等から拒否されることが確実であったと認めるに足りるものではなく、また、被告が取材を申し込んだ場合に、亀田ジム等が本件東スポ記事と同様の回答をすることが明白であったと認めることもできない。被告は、亀田ジム等に対して批判的な立場を貫いてきたことにより、情喝めいたことを受けた経験があり、本件紛争に関するー取材を申し込めば自らの身体の安全を確保し得ないと考えたとも主張するが、本件記事等を被告の実名で掲載していることなどからすると、被告が身の危険を感じていたとは認め難く、仮に直接の接触が困難であるとしても、書面による取材方法等を選択することも可能で、あったといえる 。 これらの事情に照らせば、被告の上記主張は、採用することができない。(引用以上)

 「会ったら何されるか分からないので取材しませんでした!」
 「じゃ書面でやればいいじゃん」
 こうした漫画以下の指摘を裁判官と言う多忙な方にさせるのは、本当に困ったもんだと思います。
 
 立証も主張も裁判長からことごとく「被告の上記主張は、採用することができない。」と言う結論で、にべもなく突き返された片岡氏。悪意の捏造だけでも大概だと思うのですが、更に酷いのが、彼と彼の支援者が主張していた「この裁判はスラップ訴訟だ」というスットコドッコイな暴論であります。
 
 スラップ訴訟の語源は、strategic lawsuit against public participationの頭文字から来ており、翻訳すれば「社会参加に抗する戦略的訴訟」とでもなりましょうか?要は社会的弱者の意見表明を妨害するために行われる、社会的強者による戦略的訴訟の事であります。不当労働行為を告発した従業員を大企業が主旨と違う案件で告発したり、公害を告発された企業が住民や市民団体を提訴したり、スキャンダルを報道された企業や公人がジャーナリストやメデイアを高額な名誉毀損で訴えたりといった裁判を指す用語であります。

 今回の片岡氏が依って立つ根拠は「亀田兄弟の提訴は、監禁や恫喝や暴行といった問題行動を伝える自分の報道活動を妨害するものだからスラップ訴訟だ」と言うものでありましょう。まはっきり言って「はあ?」としか言いようが無いものであります。なぜなら、訴えられた彼の記事が事実でないからです。

 やってもいない犯罪行為を流布することは普通に名誉毀損であり、裁判を起こされて当然です。
 
 そもそも彼は、亀田サイドから記事に抗議する内容証明が来た後、当該の記事を非公開にしています。募金を募るサイトでも記事の内容を見ることは出来ません。記事の事実関係に自信を持っている人がこういう対応をするでしょうか?むしろ記事が真実なら、スラップ訴訟だというなら「この記事の何が問題なのですか?どこが名誉毀損なのですか?」と記事の内容を広げるべく努力するはずです。

 募金を募るサイトにしてからが同じこと、問題になった記事が一体どのような内容だったのか?ということを公開せずに、読者から浄財を募るということの異常性を自覚しているように見えません。

 片岡氏が「スラップ訴訟だ」と主張したことも、判決文で厳しく批判されています。判決文の35ページより引用します。文中の『本件発言』とはJBC職員が亀田兄弟に敗訴した裁判で、賠償の理由となった記者会見での発言のことです。

 2 争点2 (本件発言による不法行為の成否)について
(1)争点2の1(本件発言によって原告らの社会的評価が低下したか)について前記前提事実(4)、証拠(甲23,26,27)及び弁論の全趣旨を総合すれば、A
(亀田兄弟に敗訴したJBC職員の氏名)は、本件記者会見において、原告ら、嶋及びD(現場でビデオ撮影をした亀田サイドのスタッフ)がAに対し監禁、恫喝及び暴行を行ったことがAの身体の自由・ 安全、精神の平穏等を侵害する不法行為を構成するとして、1 0 0 0 万円の損害賠償を求める別件訴訟を提起したこと、原告らなどによって監禁等を受けた当時、恐怖を感じたこと、被告が原告らから本件訴訟を提起されたことを受けて、自らも別件訴訟を提起する決意を固めたことなどを発表したこと、当時の被告代理人弁護士は、原告ら が本件東スポ記事については東京スポーツ新聞社に対して訴訟提起等の対処をしていないにもかかわらず、個人である被告を相手とする本件訴訟を提起したことをもって、本件訴訟がアメリカ合衆国などでは明確に禁止されている、公的意見表明の妨害を目的として提起される民事訴訟に該当する旨を説明したこと、それと共に、被告は、本件発言に及んだことが認められる。
 本件発言は、これを一連のものとして、本件記事等の適法性を巡る本件訴訟に関する被告の立場及び意見等を示したものであると解されるが、上記のような本件記者会見の経過に照らせば、本件発言の内容は、その視聴者に対し、Aの発表によって、原告らがAに対し監禁及び情喝を行ったことが真実であることを示し、その事実を前提として、これを内容とする本件記事等の掲載が原告らの名誉段損に該当するという本件訴訟の請求は理由がないものであるとの印象を与えた上で、当時の被告代理人及び被告の発言により、原告らが本件訴訟を提起した目的は、原告らが経済的な優位性を利用して被告を狙い撃ちにし、被告に多大な裁判費用等の負担をかけることによって被告の言論を封じることにあり、本件訴訟が公的意見表明の妨害を目的として提起される不当な民事訴訟に当たることを印象付けるものであるといえるから、被告の本件発言は、A及び当時の被告代理人の発言と相まって、原告らの社会的評価を低下させるものということができる。
(引用以上)

 「スラップ訴訟だ」と言う主張は、捏造の「監禁・恫喝・暴行」を事実だと誤認させるとともに、充分な原因がある訴訟をあたかも不当なものであるかのような印象付けるから、名誉毀損で違法だと言う判断です。普通の裁判を『スラップ訴訟だ』と主張したことも、不法行為を構成する要件と認定されたということです。

 片岡氏の支援をしている山田厚俊氏(判決に対して何もコメントしない厚顔無恥ぶりが凄い)や黒藪哲哉氏などが、このスラップ訴訟論に丸乗りして、亀田兄弟の代理人弁護士や判決を批判していますが、そもそも記事が事実ではないと言う大前提を彼らは理解していないのでしょうか?

 それともジャーナリストの記事というのは神聖不可侵なもので、何を書いても認められるべきというお立場なのでありましょうか?

 私が思うに、今回の片岡氏の法廷戦術に一番怒らなければならないのは同業のジャーナリストの皆さんであると思います。今回の裁判で一番の被害を受けるのは、きちんと事実を調べて、公益性のある形で影響力のある公人や国家権力、大企業に批判を加えているジャーナリストです。

 「取材メモは二ヶ月で捨てます」と法廷で証言してしまうような、ビデオ映像と言う明確な証拠と明らかに矛盾するようなデマを広めるような、捏造記事に対して訴訟を起こされると読者に募金を募るような、そういう質の低いフリーライターの自己弁護に過ぎぬ「スラップ訴訟」という方便を、字面どおりに解釈して社会問題のように取り上げれば、本当のスラップ訴訟を戦うマジメなジャーナリストにとってはマイナスの影響しかありません。

 むしろ同業者にとって、この騒動は「あんないい加減な記事を書いて、起こされて当然の裁判起こされた奴が何がスラップ訴訟だよ!お前みたいな意識の低い奴がジャーナリストを名乗るんじゃないよ」と一喝するべき事案に過ぎないのです。

 根本的に記事が捏造である時点で、「スラップ訴訟」だという論理は成り立たないのです。

 10年近く続いたネット上での亀田バッシングの行き着いた果てが、この虚しい虚しい裁判でした。私には勝者は誰も居ないと思えます。

 ただ亀田批判によって世に出た片岡亮氏が、亀田に敗れることで実態を暴露されたことは、納得のいく顛末であったと思えます。

 捏造をするようなフリーライターにかき回されたボクシング界や、ボクシングを巡る言論空間が、一刻も早く正常化されることを望みます。

 検証はとりあえず今回で終了とします。

支援してた連中もちゃんと総括せんかいと思う(旧徳山と長谷川が好きです)