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HARD BLOW !

『スラップ訴訟』が聞いて呆れる。単なる『捏造中傷記事裁判』分析 PART2 証言内容すれ違い編

 フリーライター片岡亮氏が敗訴した、捏造中傷記事裁判の判決文検証の続きです。

 検証に入る前に、ついつい忘れがちになっている大前提を、今一度確認しておきたいと思います。

 ジャーナリストの書いた記事が名誉毀損事件として提訴された場合、訴訟を受けて立つに当たって、記事を書いたジャーナリストや記事を掲載したメディア側は、大体の場合「記事は充分な取材に基づいて書かれており、内容には自信を持っている」という感じのコメントを出します。これは真実性を争う人にとっては、挨拶代わりとも言うべき基本姿勢です。「俺の記事のどの辺がウソなんか言ってみろ!」というのが、ちゃんとしたジャーナリスト・メデイアの、あるべき姿だということです。

 細木数子氏の暴力団との密接な交際を暴露して訴えられた溝口敦さん、ブラック経営批判でユニクロと裁判になった横田増生さん、八百長告発記事で相撲協会に訴えられた武田頼政さん、などなど本物の「スラップ訴訟」を戦って来た人たちは皆、自分が執筆した記事の真実性を証明するべく戦いました。

 溝口さんは細木氏が記事の真実性を切り崩すことを断念して訴訟を取り下げることで不戦勝となり(溝口さんは暴力団幹部から細木氏との和解を依頼されはねつけている)、細木氏はテレビ番組から消えました。増田さんは最高裁まで戦って全てユニクロに完全勝訴しました。武田さんは裁判では敗訴しましたが、その後相撲界は八百長問題で激震となり、彼の記事の真実性は皮肉な形で証明されました。

 記事の真実性に自信を持っているジャーナリストやメデイアは「色んな人から話を聞いたから名誉毀損ではない」「見出しをつけたのは編集だから俺の責任じゃない」「ブログだから事実調べは甘くても仕方が無い」「主観だから名誉毀損じゃない」などというみっともない言い訳は、恥ずかしくてしない、できないものです。まして裁判資金を読者から募金するような人は前代未聞であります。自分が書いた・掲載した記事の責任は自分に属する、自分でケツをふく、というのがジャーナリストとメディアの矜持であるはずです。

 と言う大前提を踏まえた上で、以下の検証記事をお読みください。

 片岡氏は裏づけ取材は充分である旨を主張していましたが、それも判決で明確に否定されています。

判決文32ページより引用いたします。引用部分は赤字、筆者による注は青字にて表記いたします。

 被告は、本件記事等の掲載に当たり、本件紛争の当事者であ るA(亀田兄弟に敗訴したJBC職員)及びB(JBC関西事務局所属の職員)から 直接事情を 聴取し 、 Aら が本件紛争について作成したJ B C に対する 報告書の概要を 聞き 、J B C が本件紛争に関して発表する 予定であっ た文書ファイ ルを 入手し 、 第三者である記者3 名を 取材し たこと は認めら れる 。
 しかし、上記の取材の過程で、被告が、A及びBから、原告らがAらに対する監禁及び恫喝行為をしたことを具体的に聴取したと認めるに足りる証拠はない。また、被告は、3名の記者から、本件会場内から原告輿毅の大声が聞こえたこと、和毅が立ちはだかつて押し返したと見えたことなどを聴取し たほか、閲覧した本件東スポ記事には、原告らを含む亀田ジム関係者が、密室状態の本件会場において JBC職員に強い口調で、迫ったこと、JBC職員を本件会場内にとどめさせようとじたこと、本件会場の外まで聞こえるような大声で会話していたことなどの記載があるが、これらの聴取内容及び記載内容等から直ちに原告らによる監禁又は情喝行為があったことに結びつくものでもない。そして、本件紛争の反対当事者である原告らを含む亀田ジム等に対する取材も行っていない。そうすると、既に説示したとお り、被告が摘示した事実が真実であると証明されていないのみならず、被告において真実と信じるについて相当と評価し得るだけの裏付け取材をしたということもできない。
(引用以上)

 情報源となったJBC職員A氏はご存知の通り、虚偽事実を流布する記者会見や片岡氏の捏造記事への情報提供で、すでに亀田兄弟に敗訴しており、彼の証言自体に証拠能力が乏しいことは法廷で認定済みです。現場に居合わせた記者にも取材はしてるようですが、彼らは部屋の外に居たのだから正確な情報は分からないことは明らか。JBCが出す予定で出さなかったリリースに関しては、結局出なかった内部文書に過ぎず、しかも「これから調査します」と言う内容でまともな証拠能力があるとは思えません。裁判長の判断は至極妥当と言えると思います。

 片岡氏は、物凄く明確な証拠であるビデオ映像には難癖に等しい批判を加えていたわりには、ご自分の証拠の薄弱さについては、批判的な検証はされなかったようであります。これでは敗訴も無理もないと思えます。

 更に裁判長からの厳しいダメ出しが、追い討ちをかけます。33ページより引用いたします。

 これに対し、被告は、本件記事等は、被告が個人的に公開している主観的な日記であるから、報道のような厳格な裏付けを要求することは一般社会通念に照らし妥当ではないとして、被告の取材活動は、 個人の日記を作成することを前提とした取材活動としては十分である旨を主張する。しかし、たとえ個人が日記などの主観を公表するものであるとしても、本件記事等は、インタ-ネット上で一般に公開され た本件ブログに掲載されたものであり、不特定多数の者に閲覧されて特定人の名誉を毀損する可能性が十分にある以上、被告の上記主張は、採用することができない。(引用以上)

 被害体験をでっち上げて広めても、他人を犯罪者呼ばわりしても、ブログなら「個人の主観なので仕方ない」で済むわけないことは子供でも分かります。断り書きとして「判断するのはあなたです」みたいな一文を挿入すれば責任回避できるわけもありません。そもそも「亀田がJBC職員を監禁・恫喝・暴行した」と書くのは主観的な感想や批評ではなく、客観的な事実の描写です。

 このような姑息なレトリックをもって責任回避しようとする姿勢が、高額賠償の理由になったのではないではないか?、と私には感じられます。

 続いて更に驚愕するべき文章が出てきます。なんと同じ事実関係を争って、一足お先に敗訴したJBC職員A氏が自身の裁判で、片岡氏の主張と相違する内容の供述をしていると言うのです。以下に引用します。
 
 また、被告は、Aとの電話で、原告らから監禁されたこと、原告らの発言は敬語を使っていても恫喝であること、本件会場を退室しようとした際に原告和毅が立ちはだかり、同人に喉輸をされたことを開いた旨を主張するとともに、Aの声が興奮した様子で震えていた旨も主張し、その本人尋問において、これに沿う供述をするとともに、これと同趣旨の陳述書を提出する。しかし、Aは、別件訴訟において、上記のいずれについても話したことを記憶しておらず、また、被告との電話時には恐怖心がなかったとして自身の声が震えていたことを否定する供述しているほか、他に被告の供述を裏付ける証拠が存在しないから、この点に関する被告の供述を直ちに信用することができず、これに依拠する被告の上記主張は、採用することができない。
 また、被告は、Bとの電話で、Aが本件会場から退室する際に本件出入口の前に原告和毅が立ちはだかっていたため、Bは恐怖でその場を立ち去ることができなかった旨を聞いたことを主張し、その本人尋問において、これに沿う供述するが、上記電話の際にBと共にいたAは、別件訴訟において、Bが被告に話した内容を何ら記憶していない旨を供述しており、他に被告の供述を裏付ける証拠は何ら存在しないから、この点に関する被告の供述を直ちに信用することができず、これに依拠する被告の上記主張は、採用することができない。
(引用以上)

 このJBC職員A氏は、記者会見では片岡氏と並んで亀田の監禁・恫喝・暴行の悪質性を訴え、片岡氏の被告人尋問の際には、片岡氏の支援活動をやっている山田厚俊氏とともに、傍聴席に座っておられました。そんな彼のことですから、てっきり綿密な連携の上に訴訟を戦っているのかと思いきや、証言のすりあわせすらしていなかったようです。こんな重要な証言内容の矛盾を放置したまま、法廷で戦い判決を迎えた片岡氏と弁護団の勇気ある態度には感嘆を禁じえません。

 マジメな話、「本当に勝つ気があったのかしら?」と思えます。

 このような態度にしてからが、真実性の立証に賭ける真摯なジャーナリストの姿勢には、とても見えないと私は感じます。

 次回は『スラップ訴訟』云々と言う戯言について検証いたします。(この項続く)

 本当のスラップ訴訟について知ってほしい(旧徳山と長谷川が好きです)