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HARD BLOW !

エゴの荒波

先日、海外から配信された有名選手のインタビューにおいて、思わぬ形で日本人選手が言及されました。

時事通信が1月7日に配信した

メイウェザー氏、ボクシング界には「人種主義がある」(←記事へのリンク)

という記事。fighthype.comというアメリカのボクシングポータルサイトに載ったメィウエザーのインタビューを引用する形で彼の発言がまとめられています。

元記事はこちらです
   ↓
 FLOYD MAYWEATHER SOUNDS OFF ON THE STATE OF BOXING: "I TRULY BELIEVE THAT RACISM STILL EXISTS IN THE SPORT"

時事通信がつけた見出しは『人種主義』となってますが、訳が間違ってるのでこれじゃなんのことやら分かりません。racismの訳語は普通『人種差別』です。メイウェザーは「スポーツ業界には未だに人種差別が横行してるで」と色んな黒人選手の実例を挙げながら怒ってるわけです。
「白人選手がトラッシュトークすると歓迎されるのに、黒人の私がやると批判される」
「バーナード・ホプキンスは相手を選んでると散々批判されたけど、GGGが似たようなことしても誰も批判しない」
「ロンダ・ラウジー(白人女性MMAファイター)はちょっと活躍したら芸能の仕事が沢山来たけど、彼女より美人なレイラ・アリが同じくらい活躍しても全然そういう仕事が来なかった」

などなど黒人同胞の不遇を嘆いた彼は、その一連の流れで

「アンドレ・ウオードは無敗で、勝ち方も凄いのになんでリングマガジンのPFPランキング一位じゃないの?悪いけど9位の日本人は私は名前すら知らないよ」

この9位の選手と言うのが山中慎介選手。リングマガジンのせいで迷惑なトバッチリ!まあ山中選手を批判してるわけじゃあありませんが…。

でこの発言それなりに重要な指摘を含んでるとは思うのですが、彼が過去トラッシュトークでアジア人をステロタイプ化する蔑視発言をしてたことも相俟ってイマイチ議論にはなっていないようでございます。

しかし彼が言ってるのは『人種差別』というタームは刺激的なものの、要は「感情バイアスで選手の評価を曲げてるんじゃないの?」ということで、「亀田が~」「井岡が~」式の日本のアホなファンの頑迷さに対する批判にもなっていると思った次第。

それ以上に公共の場所でトップ選手(というか世界一稼いだアスリート)がこういう意見発信が出来る土壌があることが大変すばらしいことだと思いました。日本のファンはボクサーに社会的な発言なんかハナから望んでいないでありましょうが。ボクサーが「次も頑張ります」「ファンの皆様のおかげです」「本田会長ありがとうございます」以外の本音をしゃべれる日本になって欲しいもんであります。なんかいうとすぐ規制するんじゃなくてね。

しかし山中選手はメィウエザーの強烈なエゴのとばっちりで本当にお気の毒でした。メィウエザーに「あん時は私が無知でした」と言わせるような今後の活躍を期待いたします。

もう一つ、WBAが普段は滅多に出さない対戦命令を出したという話題。

WBAが来月イギリスで行われるクイッグ×フランプトンのWBA・IBF統一戦の勝者に対して休養王者リゴンドーとの対戦を義務付けました。

クイッグvsフランプトン、WBAが勝者にリゴ戦指令

リゴンドーは休養王者ちゅうことになってますが、これは明らかにビジネス上の都合で実質はスーパー王者に据え置かれている状態。でクイッグは正規王者ですが統一戦をするそうです。

亀田和毅の時は「スーパー王者がいる階級で統一戦をするのはルール違反で許しがたいぞウガー」と吹き上がっていた低脳ボクシングマニアも海の向こうのイギリス人がやる分にには随分寛容なようでなんとも微笑ましい。メイウエザーが差別と呼んでいたのもこういう感情バイアスに支配された不公正であろうと思われます。

イギリスは今ボクシングバブルで、世界戦ともなればサッカー場で試合やって万単位の動員があるのだとか。映画の『クリード』もクライマックスはリバプールのサッカースタジアムでしたね。

リゴンドーのマネジメントがロックネイションスポーツに移っていきなり政治力(というか資金力)を使ってWBAに対戦命令を出させることに成功とは余りに分かりやすい顛末。まあ傭兵のローマン使って帝拳がやった井岡潰しと同じ構図ですな。

今後はイギリスのファイターの戦いに食い込んで稼ぐか!と言う算段のようですが、勝者との交渉がまとまらなければ入札と言うことになるそうで、イギリス人ファイターとすればどっちが勝っても悩ましい対応を迫られそうです。ロックネイションが幾ら出すか次第でしょうが。

更に悩ましいのがIBFタイトルの扱いで、IBFは勝者に対して90日以内に指名戦をするように義務つけています。この指名挑戦者が日本の和気真吾選手。統一戦の勝者は

WBAタイトルを保持すればリゴンドーとの対戦義務が生じ、IBFの指名期限は守れないのでIBFタイトルをリリース。

IBFタイトルを保持すればリゴンドーとの対戦義務が消化出来ずWBAタイトルをリリース。

という選択を迫られることになんのでしょうか?WBAの方は「ちょっとIBFの指名試合終わるまで待ってくれ」と言ったら金次第で待ってくれそうですが…。

とうのとっくに指名挑戦権を得ていながらお預けを食わされている和気選手が不憫です。マネージャーに交渉力がないとこのまま人気選手のエゴに振り回され続けることになるような気がしますな。

やっぱりスーパーバンタムあたりになると海外の事情に翻弄されるねと感じる(旧徳山と長谷川が好きです)