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HARD BLOW !

京都から世界へのはずが…WBOバンタム級挑戦者決定戦レポート 

久々の更新であります。もう辞めたんじゃないの?と期待されていた向きにはお気の毒でした。これからガンガン更新しますよ。いや出来る範囲でね、やらせて頂きます。

まあ色々書きたいことはあったんですけね。長谷川選手の試合のあの判定ありなんですか?とか、「まだまだ出来るよ」みたいに無責任に煽ってる人なんなの?とか、「ダウン以外は完璧」って、それ野球で「ホームラン以外は完璧」とかサッカーで「ゴールシーン以外完璧」とかいうみたいなもんだよね?とかまあ色々とね。批評空間の歪みといいますか、語られ方のおかしさといいますかね。

というわけで本題です。

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WOZジムの日本タイトルマッチ+WBOバンタム級挑戦者決定戦興行に行ってまいりました。今関西で最注目のホープ大森将平選手がいよいよ世界へと踏み出すか?という注目の一戦がメインでありますが、なんと試合があるのは年末のド平日。しかも会場は、どのターミナル駅からも微妙に遠いというアクセスが激悪の島津アリーナであります。私は私鉄駅からバスに乗って向かいましたが「ほんとにここで合ってるのかよ…」と不安になるような住宅街の中。アンダーカードはたった二試合で、こりゃーハナから客集める気ないんじゃないの?と言う気になってくる。で会場に入ると案の定ガラガラであります。

私6年間ほど京都に住んでたことがあるので体感として分かるわけですが、そもそも京都人はクールで個人主義なので、あんまりスポーツを熱くなって応援したりする風土がそもそもないわけです。サッカーのサンガだってその辺を苦労してるわけです。だからこそ会場選定や期日についてはもうちょっと配慮があっていいんじゃないの?と思いました。

会場についたのは7時頃で、ちょうど徳永幸大×西谷和宏の日本ライト級タイトルマッチが始まるところ。徳永はスタイリッシュなパンチャーですが、ご自身がプロフィールにわざわざ書いてるように打たれ脆さがある選手。とはいえ積んできてキャリアは明らかに徳永が上であります。というわけで徳永選手の優位は動かないであろうと言う気持ちで観戦していたのですが、なんと西谷が変則的なリズムで撹乱しつつ巧みな密着戦法で距離をつぶして大善戦。頭の低さも、クリンチワークも減点を取られない絶妙な按配で、変則的なリズムから時折強打を叩き込み見事にペースを掌握。徳永は自慢の強打を封じられてズルズルと前半のラウンドを消費。5R終了時点の中間採点ではドローが二者、1ポイント西谷が一者と番狂わせのにおいが…。

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しかし5Rの後半に潜り込む西谷に徳永が合わせたアッパーがなかなか効果的に見えて、ペースが変わってくるんじゃないの?と言う予感もしたのですが、ポイントに感応したか6Rに入って西谷は更にギアを上げて食い下がりなかなかペースを渡さない。ここまで来ると後が無い徳永は開き直ったか、7Rから果敢に打ち合いに出てあえて近距離でパンチの交換をすることでジリジリとペースを奪還。徳永のパンチ力が徐々に西谷を削っていくが、西谷も時折ビッグパンチを返して応戦。徳永の打たれ弱さも相俟って後半戦はスリル充分のすばらしい展開でした。最終ラウンドは特に中身濃く、いいラウンドでありました。

採点は後半3Rの徳永の頑張りが効いたか、3-0でチャンピオンの防衛。しかし前半の拮抗した展開から、後半もスリル充分で番狂わせもありえる好試合でした。徳永選手の地力と後半の勇気は勿論のこと、チャレンジャー西谷選手の攻撃的変則ボクシングも大変印象的でした。

そしていよいよこの日のメイン。日本中のボクシングファンが注目するホープ大森将平選手が、WBOの挑戦者決定戦に挑む大一番。実はこの日の対戦相手マーロン・タパレス選手は、私の知人のフィリピンボクシング事情に詳しい何名かの方が揃って『あれは強いよ』と太鼓判を押す選手であります。実際この日会場でお会いしたフィリピン通は「タパレスが本調子なら大森は遊ばれちゃいますよ」という見立てでございました。

大森のWBOランキングは試合時点で一位。なんでこんな危険な挑戦者決定戦をはさむ必要があるのかイマイチ分かりません。この日はジャッジもレフェリーもアメリカ人で、スーパーバイザーも来日。その経費だけでも馬鹿にならん金額でありましょう。それに承認料も必要です。失礼ながら、前述したように集客も好調とは見えずかなりの負担をして組んだ試合と思えます。「同じ金や労力を使うなら挑戦者決定戦よりも指名挑戦を優先すればよいのに…」と言う根本的な疑問が湧きます。

競技的にも経済的にもハイリスクな試合ではありますが、とはいえ陣営からすればタパレスの評価は強いとは言えテクニシャンと言うイメージで、大森の今の勢いを持ってすればクリアしてくれるという計算はあったのでしょう。かくいう私もそう思っておりました。

しかし…

リングで対峙した両者には相当な体格差があり、大森が頭一つ大きく見える。タパレスは体つきもマッチョには程遠く、なんだったら二階級くらい下に見えるくらいです。「何ぼテクニックがあっても、これだけ体が違ったら厳しいよな~」と思いつつ開始のゴングを聞くと、大森は動きも軽快に接近してジャブをヒット。前戦の向井戦はパワー差を生かしてかなり強引に攻めましたが、今回はフットワークを使ってスピードを生かして戦うつもりだなと感じたその矢先、大森のジャブに合わせたタパレスのオーバーハンドの左フックがヒット。大森はバランスを崩して思わずリングに手をつき、ダウン。この瞬間会場全体が「あれっ?」という空気に変わり、大森にも動揺が見える。ダメージも少しあるよう。チャンスと見たかタパレスは一気に圧力を強め、左の強打で大森を下がらせ体勢の悪い大森に右のストレートを当てて二度目のダウンを奪取。このパンチは、当て方は巧いものの、スイング自体は強いとは言えずやはり最初のダウンが尾を引いているのかな?と感じられる。守勢一方となった大森はさらに、ダッキングしたところに右アッパー合わされて三度目のダウン。もはや展開は一方的で、会場は水を打ったような静けさに…。なりふり構わぬクリンチを駆使してなんとか1ラウンドを終えたものの、いきなり4ポイントのビハインドを背負った大森。タパレスは防御型のテクニシャンのはずが、パンチ力もあり、調子もよさそうで打開策があるようには見えない状況のまま2ラウンド開始。

大森は失われたポイントを取り返そうとしてか、果敢にタパレスの距離に入って打ち合いますが、大きな右フックを合わされバッタリとダウン。これは今までのダウンと違ってダメージは明らかでした。これも何とか立ち上がったものの、再開後パンチを食ったところでレフェリーがストップ。妥当なタイミングでのストップでありました。

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サウスポー同士の対戦でしたが、タパレス選手は最初のダウン以外は全て右のパンチで、巧さとバランスの良さが際立つ内容でありました。こういう選手がまだいるか!と言うあたりフィリピンボクサーの層の厚さを感じます。

一方の大森選手は経験不足が出たと言いましょうか、ゲームプランが狂ってパニックになっているうちに終わったと言う印象であります。「この経験を生かしてもう一度頑張って」と言うのは簡単ですが、この敗戦は重いよな~と感じた次第。しかしここまでハッキリと負ければ逆に踏ん切りも付きやすいとも言えるでしょう。ポンサクレック戦の惨敗を糧にスターへと昇り詰めた内藤大助選手のように、逞しき再起を期待したいところであります。

そしてタパレス選手にはトレーナーのペニャロサさんとともに更なる高みを目指して欲しいと思います。体格的にはフライ級も行けそうなので、ローマン戦とかね。ドネア以降のフィリピンのスターを目指してほしいと思います。

というわけで良いもん見せて頂きました。ありがとうございました。


長谷川は引退するべきとしか思えない(旧徳山と長谷川が好きです)