HARD BLOW !

え?今年ももう終わりなの?大晦日興行と来年のこと

というわけで皆様お疲れ様でした。

ボクシング界は恒例の大晦日興行が乱立し今年は国内三箇所。それプラス、総合格闘技のイベントも地上波で中継されるようです。いくらなんでもこういう狂騒は長続きしようがなく、どこかの時点で収束していくとは思いますが、すこし色々と立ち止まって考える時期に来ているのではないかと思えてなりません。

先日12月27日には関西で4興行が同日に開催されるという『事件』があったりして、なんちゅうかこうもうちょっと色々うまくやるやり方があるんじゃないかと思えた次第。私は結局仕事が終わらずどの興行にも行けませんでしたが、応援している選手の興行が重なって行けなかったという人も結構いたんじゃなかろうかと推測されます。そこらへんをもうちょっと考慮していただければなと。

本日は未だに『ボディメーカーコロシアム』と呼んでる人も多いエデイオンアリーナ・大阪府立体育館にて観戦納めしてこようと思います。

そして年が明ければ一月にも安河内剛氏の地位確認裁判で最高裁判決が出て、JBCが敗訴。その後1月27日にゴシップライターがJBC職員ともども亀田兄弟に敗訴して、バカバカしい中傷にも法的な裁きが下ることになると思います。

読者の皆様におかれましては、年頭からの動きで『現代ビジネス』の記事に書かれたようなJBCの瓦解が始まるのか?を注視して頂きたいと思います。

というわけでよいお年を



スリランカから

12月19日、南アジアに位置するスリランカ共和国において初めてのプロボクシングの試合が行われた。
これはプロボクシング界にとって歴史的な一歩であり、そして記念すべき日である。
出場する選手も実現に向けて尽力した関係者もやがてその名をとどめることになると思われる。
これが日本人の手によって、しかも発案から僅か一年余りで実現されることを記しておきたい。
そして功労者の中の一人のことを。

貢献してきたボクシング界に理不尽な仕打ちを受けた挙句、これまでの生活も仕事も奪われながら艱難辛苦の中で彼はこう言ったのだった。
「けじめだけはきっちり付けなければなりませんが、誰かを恨むとかは全くありません。それよりもやらなければならない事が」
「ボクシングには力があると信じています。そのボクシングで何が出来るのか?」
「私にはこれしかありませんから、残りの人生をすべてこのボクシングの為に捧げたい」

僕はこの彼の3年間を、彼のほとばしる事をやめない情熱を、ただ、ただ、見守っていた。
熱は老いと共にやがて枯れてゆく。
そんなものを感じ始めていたが、彼の言葉ひとつひとつに老いぼれ始めた自分が衝き動かされる思いだった。

今年の春、東京駅近くの料亭でささやかな壮行会が行われた。
壮行会と言っても特攻に送り出すような悲壮感を僕は心の底に感じていた。
プロボクシングについて言えばスリランカは未開の地でもあり、世界戦開催を認定するために必要なローカルコミッションもない。
何より彼はいわゆるビジネスマンでもなく、総じて実直な日本人が直ちに溶け込み、交渉ができるほどアジアは甘くない。
(実際にこの後、彼もまたアジア文化の洗礼を浴びることになるのだが)
これは僕自身も痛烈に経験したことだったので、彼の言う手応えという言葉にもどこか絵空事のようにも感じたことを今告白しておく。


男が三年間も浪人したらその刀も錆び付いてしまう。
僕は彼の可能性を信じただけに、ただただ、それが怖かっただけだった。
彼がやらなければならない事は山積していて、しかもどれもこれもが日本のボクシング界において最大急務と思われたからだ。
一年二年と無為な時間だけが過ぎて行く。
しかしこの時、彼の何が出来るか?は今!に集約されて一つの道筋を示していた。
彼は立ち止まってなどいなかったのだ。
「混とんとするアジアボクシングの中で日本のボクシングが何を示しどう歩むべきか」
「日本でなければ出来ないことがあると思っています。だから道を拓きます」
「直ぐに実を結ぶとは考えていません。捨て石になろうとも構わない。30年50年、いや百年の計になるのかも知れない。だからこそ、今やっておかなければならないんです」
長く掛かった裁判にも勝ち、自らの手で名誉も回復しつつある今、安寧な日々を今後選んだとしても世の中の人々は彼を責めることはないだろう。
しかし、彼は責任としてそれを拒んだ。
しかも日本のボクシングの未来をアジアの中に見ていたのである。

東京駅での壮行会で、再び数年前と同じ言葉を彼は言ったのだった。
「失うものは何も無いと思ってます。残りの人生を・・」
そう言った彼の表情は、僕が心に感じた悲壮な覚悟では無く、実に爽やかな、希望に溢れるものだった。
そしてその通り希望のある処に光りが訪れることを彼に教えられた。


数ヶ月後、彼の元に一通のメールが届く。
それはボクシングの、ある世界統括機関からの招待状だった。
彼が日本においてその職責を追われていた事も、その経緯を知っているにも関わらずだ。
大袈裟ではなく世界が彼のこれまでの仕事を認め、復帰を願っている事を、彼は招待された場に行ってみて初めて知るのだ。
彼ら招待者はすでに日本における報道や偏向されたアナウンスが真実でないことを知っていたのだった。

彼が拓こうとした、そしてこの日の一歩が偉業であるかはまだ解らない。
しかし、道なき道を切り開いたことには大いなる意義がある。
誰かが辿った道はいつか後に歩む人々の標(しるべ)となる。
ファンはマッチメークにしか興味がないようだが、こうした舞台の裏には様々な人々の未来への思いと熱と人知れぬ行動があったことも知っておくべきだろう。
後に続く人々の今後の仕事が、陰ながらの功労者への花束となる。

スリランカでの仕事を終えて帰国した彼に会った。
「反省ばかりです。詰めの甘さがあった。思い描く社会貢献は何一つ出来なかったかも知れません。しかし、ダイナミックに動けたことが良かった。失敗も成功も含めてこれを一歩として、今後も未開の地を切り開いて行きます」
国営放送で国内全土に中継され、スリランカ政府からはスポーツ省大臣や要人が見守る中、
イベントは一応の成功裡を収めたにも関わらず、彼は反省を先ず口にした。
「すべては私自身の力不足です。この何年かで鈍ったのかもしれない」とも言った。
僕がずっと感じていた怖れは的中した。
彼の仕事はこれまでも裏方であったが、常に完璧を求められるその仕事の結果はひのき舞台でこそ現れる。
一瞬の油断や鈍りは致命傷ともなる厳しい現場だ。
それはリングの中のボクサーだけではないのだ。
彼の感じた刀の錆びつきは彼の責任ではないが、彼自身がそれを許せなくて自身に憤っていた。
もう大丈夫だ。完全に復帰した・・と僕は感じた。

スリランカでの今回のイベントの意義はプロボクシングという概念を知らしめるだけでなく、未だ差別意識のある南アジア社会での女性の社会進出や地位向上をシンボリックにするための女子プロボクシング世界戦にあった。
これは発展途上から脱皮しゆくスリランカの国策とも合致したのだ。

かつて戦後日本も国際化の道を辿る過程でプロボクシングは大きなの貢献をして来た。
それは世界の、いや時代の要請ともいえ、やがて国民の血や肉になった時期があった。
アジアには同じように、また本当の意味でのグローバリズムを目指す国がまだまだある。
やがてプロボクシングを通してと、スリランカに続く国も出てくるだろう。
彼はボクシングで何が出来るか?の答えの一つをここに見て、そして答えたのである。
これが「何一つ社会貢献出来なかった」と言えるだろうか。
社会貢献は永続してゆくもので、その一歩を新たに、そして確実に記したではないか。
彼の仕事はマッチメークでもプロモートでもない。
ボクシングを公益性のあるスポーツとして世界に発信することである。
「私の仕事はオーガナイズすることです。今回もそれを目指しました」とも言った。
オーガナイズとは組織の編成や計画その準備とあるがしかし単純ではない。
そこには常に多種多様な人間が介在するからだ。
彼は一度人心の掌握に失敗した。
何故か?自らのボクシング哲学に一徹過ぎる面があったからだ。
大袈裟ではなく人命を預かる彼の立場にあれば彼の哲学は当然であり、そこから発露する主張には大きく共鳴する。

哲学と言っても難しいことではない。
彼の立場で何を基本とし何を当然として、そして弛むことなくやって行くことだけだ。
彼の場合の基本はボクサーでありボクシングである。
何を当然とするか?それらを守りその為の環境を整えることだ。
弛むことなくとは常に細心の注意を払って理想を追い求めることだ。
それを妨げ障害になるものは排除すればよい。

この数年間、彼の才能のほとんどが裁判に没頭しなければならない時間の中で発揮されることが無かった。
「あの人が戻ってくれたら」
それは現状を真摯に見た人たちが口を揃えていう言葉だ。
そして、刀を研ぎなおした彼が静かな凄みを湛えてもうすぐ帰って来る。
もうすぐだ。

だが、山積された問題はそのままばかりか、彼がやろうとしてきた組織の健全化や環境整備は哲学無き私欲の輩に尽く破壊された。
それだけでなく先人の知恵と多大な労苦によって築き上げられた組織は、未来を見ようともしない輩によって僅か三年余りで資金破綻をきたし崩壊寸前となった。
戦犯は明白である。
もはや潔く去れとは言わない。
立派な船を自ら泥舟にしてしまったその手でいかにしがみ付こうとも、「助けてくれー!」と叫んでも、もう無駄だ。
司法の裁きによってその手を振りほどかれる日が近いからだ。
浅はかにも邪悪に手を差し伸べた人間も共に沈んでゆく。

しかし、形を失い沈みゆく船を再び航行させゆく事は不可能だ。
皆が明らかに見える陸に揚げ、皆の知恵を振り絞って再建設しなければならないかも知れない。
今度は一人でやろうとせず、人間力を信じて、皆の力を最大限に借りて、そして日本からアジアへ、日本から世界へ、日本のボクシングの正統性を知らしむべく、大海原に再び出帆して欲しい。

文責 BB

貧しさに負けた?財政危機報道のJBC様がナゾのグッズショップで内職の巻

本日は小ネタです。

先日JBCよりプロテスト受験年齢の引き下げや高齢選手の引退条件緩和がアナウンスされましたが、昨日の現代ビジネスの記事を受けて「これもなんのことはないライセンスの更新料目当てなんでしょうか?」と白けた気分になられた向きもあろうかと思います。

そもそも財団法人の収支なんて乱高下するようなもんでもなく、いきなり収支が悪化したらそりゃ運営してるやつの責任がデカイでしょと、普通はなります。まして資産の大半を3年かそこらで吐き出すなんて相当な放漫経営であります。

一万幾らのフグの領収書で大騒ぎしていた浦谷統括本部長(しかし大仰な役職名ですね)が、億単位の損失が出てるのに「急激な財務状況の悪化は認められません」と言ってる図は、もはやブラックコメディの域といえましょう。

しかし日本には古来から、「ボロは着てても心は錦」と言う言葉もございます。JBC様には金が無くても、せめて統括団体に相応しい権威をたたえつつ、気高くあってほしいわけですが、どうも日銭稼ぎでおかしなグッズショップを開店されているようなのでございます。

JBC様のトップページに「プロテスト合格証書を発行します」というリンクバナーがございまして、それをクリックするとあるサイトにジャンプします。こちらのURLをご参照下さい→http://www.ciaoshopping.jp/bigdear/service_issue.php?kind=jbc_protest_certificate

なんとびっくり、プロテストの合格証書を額縁に入れたものを7560円で販売しているのであります。結構強気な価格設定もさることながら、販売を担当しているのがどう見ても外部のネットショップで『丸投げ』感がビンビン。JBCは軒を貸してるだけという風情であります。

このビッグディアさんというネットショップは『JBC公認グッズ販売店』を名乗ってちょっと悪趣味なデザインのJBCチャンピオンTシャツなども販売しておられるのですが、どのような議論を経てこちらのお店が公認グッズショップとなりライセンスの通販を担当されるに至ったのでありましょうか?

まあ「少しでも赤字を挽回したい」という意欲の現われだとは思うのですが、他のメジャースポーツでの『公認グッズ』の商標の扱いや販路のグレードと比べると失礼ながらなんかこう格落ち感が否めないのであります。

もっともこのような特殊な商品にさほど需要があるとも思えず、収支の改善にいささかでも寄与するような気もいたしません。

僭越ながら、「こんな内職に知恵を絞っているヒマがあったら、無益な裁判でジャブジャブ使ってる訴訟費用をなんとかするべきなんじゃないの?」と提言させて頂き本稿を締めたいと思います。まあもう手遅れですけどね。

27日はどの興行に行こうか悩んでる(旧徳山と長谷川が好きです)


ついに一般メディアでJBCの財政危機が記事化!いよいよ破綻へのカウントダウンか?

講談社の運営するニュースサイト『現代ビジネス』(現代ビジネスのURL→http://gendai.ismedia.jp/)にJBCについての告発記事が掲載されました。

一ファンブログである当方が徒手空拳、蛇のような執念(笑)で警鐘を鳴らしてまいりましたJBCの危機的財政状況が、いよいよ一般メデイアの俎上に上がった格好であります。

以下が記事へのリンクです
     ↓                              
日本ボクシング界にいま、「重大な危機」が迫っている! ~統轄団体・JBCのずさんな運営・資金管理を告発する

まあ内容は個々の皆様が読んだ上で判断していただければ良いかと思いますが、当方が従前より指摘していた、「選手の医療費目的の積み立て金が、ボロ負けの続く裁判の費用に流用されているのではないか?」と言う危惧が、裏付けられたような感じですね。

「ボクサーが納めた金は一円たりとも無駄にしてはいけない!」と大見得を切り、一万幾らのフグの領収書で大騒ぎしてた浦谷統括本部長の有難い返答も、記事中読むことができますが、見事に返答になっておらず嘆息するのみ。

「亀田を追い出せ!JBC頑張れ!」で脳死状態のタコ踊りした結果がこれであります。関係者やファンの皆様には猛省を促したいところであります。

個人的にはこの記事、ちょっと気になる問題点がございます。それはJPBAの大橋会長があたかもJBCの問題点を追及してきたかのようの読めるところであります。ちょっとまて、大橋会長がいつJBCの暴走を止めたと言うのでありましょうか?いやむしろ二人三脚で現体制とやってきた当事者ではありますまいか?

JBCの現体制の仲良しグループは、裁判においても大橋会長の側面支援を受けていますし、実際には後見人かと見まがうような関係性であります。

そして当ブログが過去指摘したとおり(過去記事→お隣韓国に学ぶ、決して他人事ではないコミッション分裂の話)、法的正当性が無いという判決を受けた韓国の第二コミッションの興行に協力したりもしています。

私としては大橋氏もこの財政問題については一蓮托生の責任があるのでは?と思えてなりません。

年頭出るという安河内剛氏の地位確認裁判の最高裁判決と、妄想ゴシップライターの捏造記事についての地裁判決が出た時点で、すでに敗訴している自己陶酔リングアナウンサーも含めてまとめて責任追及へと推移するのかしらねえ。知らんけど。

そして検証能力ゼロのお手盛り提灯記事を書いたボクシングマガジンと、関西在住のポンコツライターのお二方にもそれなりの見解を伺いたいもんであります。

全ては来年ですね。

現代ビジネスを初めて細かく読んだ(旧徳山と長谷川が好きです)

京都から世界へのはずが…WBOバンタム級挑戦者決定戦レポート 

久々の更新であります。もう辞めたんじゃないの?と期待されていた向きにはお気の毒でした。これからガンガン更新しますよ。いや出来る範囲でね、やらせて頂きます。

まあ色々書きたいことはあったんですけね。長谷川選手の試合のあの判定ありなんですか?とか、「まだまだ出来るよ」みたいに無責任に煽ってる人なんなの?とか、「ダウン以外は完璧」って、それ野球で「ホームラン以外は完璧」とかサッカーで「ゴールシーン以外完璧」とかいうみたいなもんだよね?とかまあ色々とね。批評空間の歪みといいますか、語られ方のおかしさといいますかね。

というわけで本題です。

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WOZジムの日本タイトルマッチ+WBOバンタム級挑戦者決定戦興行に行ってまいりました。今関西で最注目のホープ大森将平選手がいよいよ世界へと踏み出すか?という注目の一戦がメインでありますが、なんと試合があるのは年末のド平日。しかも会場は、どのターミナル駅からも微妙に遠いというアクセスが激悪の島津アリーナであります。私は私鉄駅からバスに乗って向かいましたが「ほんとにここで合ってるのかよ…」と不安になるような住宅街の中。アンダーカードはたった二試合で、こりゃーハナから客集める気ないんじゃないの?と言う気になってくる。で会場に入ると案の定ガラガラであります。

私6年間ほど京都に住んでたことがあるので体感として分かるわけですが、そもそも京都人はクールで個人主義なので、あんまりスポーツを熱くなって応援したりする風土がそもそもないわけです。サッカーのサンガだってその辺を苦労してるわけです。だからこそ会場選定や期日についてはもうちょっと配慮があっていいんじゃないの?と思いました。

会場についたのは7時頃で、ちょうど徳永幸大×西谷和宏の日本ライト級タイトルマッチが始まるところ。徳永はスタイリッシュなパンチャーですが、ご自身がプロフィールにわざわざ書いてるように打たれ脆さがある選手。とはいえ積んできてキャリアは明らかに徳永が上であります。というわけで徳永選手の優位は動かないであろうと言う気持ちで観戦していたのですが、なんと西谷が変則的なリズムで撹乱しつつ巧みな密着戦法で距離をつぶして大善戦。頭の低さも、クリンチワークも減点を取られない絶妙な按配で、変則的なリズムから時折強打を叩き込み見事にペースを掌握。徳永は自慢の強打を封じられてズルズルと前半のラウンドを消費。5R終了時点の中間採点ではドローが二者、1ポイント西谷が一者と番狂わせのにおいが…。

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しかし5Rの後半に潜り込む西谷に徳永が合わせたアッパーがなかなか効果的に見えて、ペースが変わってくるんじゃないの?と言う予感もしたのですが、ポイントに感応したか6Rに入って西谷は更にギアを上げて食い下がりなかなかペースを渡さない。ここまで来ると後が無い徳永は開き直ったか、7Rから果敢に打ち合いに出てあえて近距離でパンチの交換をすることでジリジリとペースを奪還。徳永のパンチ力が徐々に西谷を削っていくが、西谷も時折ビッグパンチを返して応戦。徳永の打たれ弱さも相俟って後半戦はスリル充分のすばらしい展開でした。最終ラウンドは特に中身濃く、いいラウンドでありました。

採点は後半3Rの徳永の頑張りが効いたか、3-0でチャンピオンの防衛。しかし前半の拮抗した展開から、後半もスリル充分で番狂わせもありえる好試合でした。徳永選手の地力と後半の勇気は勿論のこと、チャレンジャー西谷選手の攻撃的変則ボクシングも大変印象的でした。

そしていよいよこの日のメイン。日本中のボクシングファンが注目するホープ大森将平選手が、WBOの挑戦者決定戦に挑む大一番。実はこの日の対戦相手マーロン・タパレス選手は、私の知人のフィリピンボクシング事情に詳しい何名かの方が揃って『あれは強いよ』と太鼓判を押す選手であります。実際この日会場でお会いしたフィリピン通は「タパレスが本調子なら大森は遊ばれちゃいますよ」という見立てでございました。

大森のWBOランキングは試合時点で一位。なんでこんな危険な挑戦者決定戦をはさむ必要があるのかイマイチ分かりません。この日はジャッジもレフェリーもアメリカ人で、スーパーバイザーも来日。その経費だけでも馬鹿にならん金額でありましょう。それに承認料も必要です。失礼ながら、前述したように集客も好調とは見えずかなりの負担をして組んだ試合と思えます。「同じ金や労力を使うなら挑戦者決定戦よりも指名挑戦を優先すればよいのに…」と言う根本的な疑問が湧きます。

競技的にも経済的にもハイリスクな試合ではありますが、とはいえ陣営からすればタパレスの評価は強いとは言えテクニシャンと言うイメージで、大森の今の勢いを持ってすればクリアしてくれるという計算はあったのでしょう。かくいう私もそう思っておりました。

しかし…

リングで対峙した両者には相当な体格差があり、大森が頭一つ大きく見える。タパレスは体つきもマッチョには程遠く、なんだったら二階級くらい下に見えるくらいです。「何ぼテクニックがあっても、これだけ体が違ったら厳しいよな~」と思いつつ開始のゴングを聞くと、大森は動きも軽快に接近してジャブをヒット。前戦の向井戦はパワー差を生かしてかなり強引に攻めましたが、今回はフットワークを使ってスピードを生かして戦うつもりだなと感じたその矢先、大森のジャブに合わせたタパレスのオーバーハンドの左フックがヒット。大森はバランスを崩して思わずリングに手をつき、ダウン。この瞬間会場全体が「あれっ?」という空気に変わり、大森にも動揺が見える。ダメージも少しあるよう。チャンスと見たかタパレスは一気に圧力を強め、左の強打で大森を下がらせ体勢の悪い大森に右のストレートを当てて二度目のダウンを奪取。このパンチは、当て方は巧いものの、スイング自体は強いとは言えずやはり最初のダウンが尾を引いているのかな?と感じられる。守勢一方となった大森はさらに、ダッキングしたところに右アッパー合わされて三度目のダウン。もはや展開は一方的で、会場は水を打ったような静けさに…。なりふり構わぬクリンチを駆使してなんとか1ラウンドを終えたものの、いきなり4ポイントのビハインドを背負った大森。タパレスは防御型のテクニシャンのはずが、パンチ力もあり、調子もよさそうで打開策があるようには見えない状況のまま2ラウンド開始。

大森は失われたポイントを取り返そうとしてか、果敢にタパレスの距離に入って打ち合いますが、大きな右フックを合わされバッタリとダウン。これは今までのダウンと違ってダメージは明らかでした。これも何とか立ち上がったものの、再開後パンチを食ったところでレフェリーがストップ。妥当なタイミングでのストップでありました。

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サウスポー同士の対戦でしたが、タパレス選手は最初のダウン以外は全て右のパンチで、巧さとバランスの良さが際立つ内容でありました。こういう選手がまだいるか!と言うあたりフィリピンボクサーの層の厚さを感じます。

一方の大森選手は経験不足が出たと言いましょうか、ゲームプランが狂ってパニックになっているうちに終わったと言う印象であります。「この経験を生かしてもう一度頑張って」と言うのは簡単ですが、この敗戦は重いよな~と感じた次第。しかしここまでハッキリと負ければ逆に踏ん切りも付きやすいとも言えるでしょう。ポンサクレック戦の惨敗を糧にスターへと昇り詰めた内藤大助選手のように、逞しき再起を期待したいところであります。

そしてタパレス選手にはトレーナーのペニャロサさんとともに更なる高みを目指して欲しいと思います。体格的にはフライ級も行けそうなので、ローマン戦とかね。ドネア以降のフィリピンのスターを目指してほしいと思います。

というわけで良いもん見せて頂きました。ありがとうございました。


長谷川は引退するべきとしか思えない(旧徳山と長谷川が好きです)