FC2ブログ

HARD BLOW !

 『スラップ裁判はありま~す』 普通の名誉毀損裁判傍聴記in東京地裁 PART2 取材メモ断舎利編


 前回の続きです。
 前回は被告人に対する弁護人の尋問で、まあ言うたら予定調和のお芝居のようなようなものであります。陳述書の内容に沿って、被告人の言い分を質問形式で展開する場で、言わばアピールタイム。その中でもチョイチョイ「?」という部分はありましたが、片岡亮氏サイドの言い分は大過なく言えたのではないかしらと感じました。ただその主張に説得力があるかどうかというのは全く別の話ですが...。

 『信者』の方にとっては「声を聞けば正しさが分かる」と言うような神々しいものであったようですが、正直記事の真実性よりも「初期段階から断定的だった見出しは管理人のせいです」とか「取材は尽くしました」「JBCの内部文書があります」という主張が主で、隔靴掻痒の感がございました。

 特に現場取材していた時事通信、東京スポーツ、サンケイスポーツの記者に電話取材したと言う部分はとても不思議でした。前回指摘した通り、取材源を秘匿するなら媒体名から秘匿しないと意味がないと感じられたからです。亀田サイドにとっては媒体名を言えば当日の取材者はすぐ分かるわけで、個人名を伏せても取材拒否を避ける効果があるとは思えません。もとより取材拒否をする気があるなら、媒体名を知った時点で「じゃその媒体は出禁ね」となるのではないでしょうか?新しい担当が来たら「ようこそ!何が聞きたいの?」となるなら、根本的に取材拒否の意味もありません。

 『個人名隠して、媒体名隠さず』という方針に一体何の効果があるのか?と言えば若干信憑性が増すのかな~と言う程度で、失礼ながら私には意図が良く分かりませんでした。

 というわけでここからは、反対尋問の模様をお送りします。この部分こそ、予定調和では終わらない争点を巡る尋問の部分であります。

 亀田サイドの弁護人はテレビでお馴染みの北村晴男弁護士。
 ですが尋問の大半はもう一人の代理人である片岡麻衣弁護士によって行われました。
 片岡弁護士は矢継ぎ早に被告人の陳述内容(取材時の状況や時系列)について質問していくのですが、その中で何度も
 「会話を録音していますか?」
 「メモを取っていますか?」
 と聞いていきます。恐らくこの一連の質問は被告人の証言の信用性が低いということを証明することを目的としていると思われます。ある意味充分予想された質問ですが、被告人の答えは全て「録音はない」「メモはない」または「メモはとったがどこにあるか分からない」と言うものでした。要するに記事の信用性を担保する取材の具体的痕跡が本人の証言以外何もないのです。

 イジワルな弁護士から「このときの状況はどうだったんですか?」と聞かれたとき、取材メモをもとに「この日は何時何分にこういう内容の話をしました」と言えば証言の信用性もグッと増そうというものですが、被告人はどうやら裸一貫、記憶一つが財産だと言う勝負を挑んでいるようです。なんと男らしい。

 このやりとりを受けて片岡弁護士が
「(取材時に)メモは取らないのですか?」
と尋ねると、被告人は
「メモはとるが破棄する。私は字が汚いので一ヶ月くらい経つと読めなくなる。」(筆者注:「一ヶ月間経つと読めなくなる」という表現の真意は不明)
 と答え、更に
「毎日取材するのでメモはドンドンたまるから、一ヶ月か二ヶ月で捨てる」
と驚くべき証言をします。
 
 なんと被告人片岡亮氏は、断舎利OLよろしく取材後一ヶ月か二ヶ月でメモを捨てているというのです。物凄い量のメモをとってすぐ捨てる!なんだかあんまり合理的な方法には思えませんが、まあそれは個人の好き好きです。

 ですが記者と言うのは、そんな簡単に取材の結晶であるメモを捨ててしまうもんなんでしょうか?この裁判における、陳述書の作成や尋問も、かつてのメモを参照せず記憶だけで行っているのでしょうか?というかこの記事については、ブログに掲載したことで亀田サイドから内容証明が届いています。そんな事案に関する取材メモも捨ててしまったのでありましょうか?

 取材メモというのは、いつ誰と会って何を話したかと言う記録であり、正確な記事を書くには欠かせないものだと思いますが、驚くほどあっけらかんと「取材メモを捨てる」と法廷で言い切れる被告人は恐ろしく記憶力が良い方なのだろうと感心しました。一連の安河内剛氏に関する記事やオウム真理教の逃亡犯についての記事も、きっとその超人的な記憶力を駆使して書かれたものなのだろうなあと大いに得心致しました。

 続いて記事の根拠となったもう一つの要素となるJBCの内部文書について、亀田サイドに密室で恫喝されたことについて処分を求める報告書の他に、JBCがこの事案について『事情聴取をする』旨記者発表するプレスリリースの予定稿についての質問がありました。

 報告書については前述の通り、あくまでJBC職員側の言い分であり、JBCの文書であるからと言って信用性がアップしたり客観性が高まったりするもんではありません。あくまで『一方の言い分』であります。私が見た現場のビデオ映像とも矛盾しています。

 もう一つのプレスリリースについても『JBCが今後事実関係を調査する』ということを宣言する内容で、監禁や暴行や恫喝を証明するものではありません。そもそもこのプレスリリースは実際には発表されていません。なんでこういうオクラになった文書の内容まで一介のフリーライターが把握してるかというと、それはJBCの職員がそれを教えているからです。

 友人であると言うだけで、内部情報を外部のライターに流すことは情報漏えいではないのでしょうか?ましてこの文書は発表すらされていないものです。何でそんな特殊な文書まで外部の人間にホイホイ渡してしまうのでしょうか?普段から亀田バッシングの燃料を提供するような関係だったのではなかったのか?とついつい邪推してしまいます。

 もし対立関係にある選手を叩かせる目的でコミッションの職員がフリーライターにせっせと材料を渡しているとしたら、それは明らかに逸脱行為であると思います。

 さらに記事の文中『刑事事件にするべきといった業界関係者もいる』と言った表現があることについて
「誰がこう言ったのか?」
という片岡弁護士の質問に対して、片岡亮氏が
「又聞きですが大橋秀行会長がこういったと聞いています」
と答えた時は、思わず
「そこは秘匿せんのかい!」
と思いました。又聞きの情報で個人名を出しちゃう度胸のよさは大変印象的でした。

 更に進んで、被告サイドがこの何の変哲もない名誉毀損事件を『スラップ訴訟である』とする主張する根拠となる、東スポの記事についてのやりとりに。

 被告サイドはこの東スポの記事が『監禁・恫喝・暴行が事実だという根拠である』と信じて疑わない風でありまして、再三言及しています。
また『東スポも同じ内容の報道をしてるのに、フリーライターだけを提訴するのはスラップ訴訟だ!』と言う論理の根拠でもあります。

というわけもう一度この記事を読んでみました。
      記事へのリンク
         ↓
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/othersports/180212/
 
 改めてこの記事読んでも、監禁・暴行・恫喝があったとはどこにも書いてないですし、あくまで『ネット上で「とんでもない暴挙があった」という記事があったために、憶測を生んだ』という程度です。亀田サイドが事件自体を全面否定するコメントも掲載されています。
 
 なんでこの記事とライター氏の記事が同じだと思えるのか不思議、としか思えない良くある東スポ風の記事です。

 そもそも『とんでもない暴挙があった』という記事は片岡氏ご本人が書いたものです。自分が書いた記事が原因で憶測を生んでる、と言う内容を受けて『これは事実の裏づけだ!』と思える強い精神力は敬服に値します。取材メモがなくとも確信があればよい記事が書けるということでありましょうか?

『東スポも書いてるのに俺だけ訴えるなんてずるい』という論理も、いたずらをとがめられた子供が『○○くんもやってるのに』と言ってる図を思わせます。名誉毀損というのは『大メデイアもやってるからこっちもやって良いだろ』と言うようなもんじゃないと思うのですが...。

 東スポの憶測記事で亀田サイドが全面否定するコメントを出しているにも関わらず、監禁・恫喝・暴行は事実だと確信するに至ったという片岡氏は、しかし双方取材として亀田に接触することはありませんでした。亀田サイドに恐怖心を抱いていたため、直接会うのは憚られたというのです。

 かつて取材を拒否されたという片岡氏、そのときの経緯として片岡弁護士から平成21年11月29日に試合(内藤大助×亀田興毅)への入場を断られた事件について「誰と誰の試合ですか?」と尋ねられて、「えーと誰だったかなあ~」と答えて「あなたが陳述書に書いてるんですよ」と言われてしまいます。取材メモいらずの自慢の記憶力にも時々ほころびが出るようですが、こういう人間味が『信者』にとっては、またたまらないものなんだろうなあと感嘆した次第。

 このときの取材拒否や過去に試合会場で亀田ジャンパーの男にからまれた事件、またフライデーなどに掲載された亀田一家が広域暴力団の幹部と同席している写真などを根拠として、面と向かって話すのは危ないと感じたという片岡氏。

 じゃ電話すればいいのではないか?と思いました。

 スラップ訴訟支援サイトには関わっているのか?と問われて関わっていません、と答えたものの裁判について情報提供はしているとのことでした。

 というわけで今回はここまで。次回は北村弁護士による質問部分でこのシリーズは終わろうと思います。

 やはり傍聴は行っとくもんだなと感じる(旧徳山と長谷川が好きです)