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HARD BLOW !

お隣韓国に学ぶ、決して他人事ではないコミッション分裂の話

 はじめに

 被告JBCによるデタラメな上告で、最高裁まで進んでいる安河内剛氏の地位確認裁判ですが、実はお隣韓国でも似たような法廷闘争があったことを、読者の皆様はご存知でしょうか?

 韓国では内部対立と裁判闘争を経て、2014年にコミッションがKBCとKBFという二つの組織に分裂し、それぞれの組織が正統性を主張して譲らず並立状態にあります。

 多少事情が違うとはいえ、内部抗争を抱えたコミッションの迷走がボクシングの国内市場にどのような悪影響を与えたのか?韓国の事例を参考に、JBCの今後を考えてみたいと思います。これは決して対岸の火事ではありません。そして実はこの分裂騒動と双方の抗争にJBC・JPBA関係者も関与しています。

 というわけで当地のボクシング事情に詳しい某関係者(当ブログでお馴染みのローレン・グッドマン氏でも、取材でお会いしたソン・ジョンオ陣営の方でもありません。念の為)から韓国コミッションの分裂騒動について詳細なお話を伺いましたので、そのことについてレポートします。そして日本のボクシング関係者のこの件に対する関与の仕方について、その問題点を指摘したいと思います。

 分裂の発端

 そもそも騒動の発端は、ユ・ミョンウ(柳明祐)氏が、韓国の国内コミッションKBCの事務局長に就任したことに端を発します。ソナギ(夕立)と異名を取った嵐のような連打がトレードマークで、世界タイトル17連続防衛の名チャンピオン、日本では井岡弘樹との二度の激闘でお馴染みのユ・ミョンウ氏(以下ユ氏)がKBCの事務局長となったのは2009年7月。その当時は、英雄であるユ氏の登場でボクシング界にも明るい兆しがあったのだといいます。

 ところが程なくしてユ氏は出席したWBC総会で同席したKBC幹部とトラブルになり、わずか五ヶ月で事務局長を辞任してしまいます。

 ユ氏はKBCの事務局長という政治力を私的に利用しようとし、そのことで反発を受けたというのがことの経緯のようです。著名人であり強い影響力を持つユ氏は、この事件後、以前からKBCに対して不満を持っていた層と派閥を形成し、KBCと対立状態となります。その際にユ氏が結びついたのは韓国ボクシング界のトラブルメイカー的存在であるジム会長のK氏でした。このK氏はライセンスの発給を巡って60件以上の訴訟を起こしてきた反KBCの代表格といえる人物だとのこと。『敵の敵は味方』ではありませんが、利害が一致した両者は共闘関係となり、KBC総会の無効を訴える訴訟を起こして来ます。


 実力行使でコミッションを乗っ取る

 ここで日韓のコミッションの組織的な相違点について簡単に説明しておきます。日本のローカルコミッションであるJBCは財団法人ですが、韓国のKBCは社団法人です。社団法人は会員(つまりジムオーナー)の集合体であり、JBCとJPBAの機能を兼ねる存在と言えるでしょう。日本ではアマチュアボクシングの日連がKBCと同じ社団法人です。協会とコミッションが一体だと会員同士の利害の調整、試合での判定やレフェリングの中立性の確保が難しいとも言えますが、KBCでは四年に一回、会員による会長選挙が行われます。コミッショナーや評議員が決まる経緯がはっきりとしないJBCと、どちらが民主的な組織なのか?というのは難しいところで、どちらの組織構造にも一長一短があると思われます。

 対立を維持したままにらみ合って来たKBCとユ・ミョンウ派(以下ユ派)ですが、2011年の12月、突然ユ派がKBCの事務所を実力行使で占拠し、対立する職員を追い出すことで物理的に支配してしまいます。事務所を暴力的に乗っ取るというのは、かなり荒っぽい話でありますが、確か日本でも西日本協会で人事抗争があった際、対立している人間を締め出す目的で事務所の鍵を交換しようとして警察沙汰になった事件があったと記憶しております。

 暴力的に権力移譲が行われたKBCは、2012年1月の総会における選挙で、韓国初の二階級王者として国民的英雄であり、日本では金子ジムの特別トレーナーとしてもお馴染みのホン・スーファン(洪秀煥)氏をKBC会長に選出し、ユ氏は自らは表に立たず、事務局長として実権を握る形を取って組織を支配します。ホン氏は当初、KBC内のトラブルについては良く知らぬまま、ユ氏に乗せられる形で会長職についたようで、その後袂を分かつことになります。

 裁判闘争へ

 このときの実力行使と会長選挙は組織の混乱に乗じて行われたものでした。ユ氏の事務局長辞任後の内部抗争によって、KBCの会長は短期政権が続き、実力行使があった時点の会長も『代行』扱いで法的な登録も済んでいない状態でした。ユ派はその間隙をついたのです。

 この強引なやり方に対抗して、実権を奪われたメンバーはKBC総会の無効を求める民事訴訟を提起します。ホン会長が選出された選挙は会員以外も投票しており、明らかに会則に違反したものだったからです。

 それとは別に会長資格取り消しを求める民事訴訟も行い、ホン氏の会長資格は2012年5月に法的に停止されます。この一連の騒動を受けて、公的な仲裁を目的としてボクシング界とは利害関係が無い弁護士がKBCの新会長に選ばれます。

 しかし本来公平であるべきこの仲裁人が、世論の反発を恐れてか、ホン氏やユ氏に配慮した仲裁を行ったことで、このクーデターの首謀者であるはずのユ氏はそのまま事務局長に据え置かれることとなります。

 この時の会長職を巡る騒動を韓国のメデイアがどう伝えたのか?と聞いてみましたが

「ホン氏やユ氏は有名人でイメージが良いので彼らには批判は向かわず、『揉め事ばかり起こしているKBCが良くない』と言うイメージだけが広まってしまった」

という皮肉な結果を生んだようです。

 2012年になるとユ氏は、かつてKBCで健康管理基金を横領して執行猶予付き有罪判決を受けて追放され不満を持っていたという問題人物までKBCに呼び戻すなど、なんでもありの手法で自派閥を強化。その後、子飼いの職員をKBC内に残すことで隠然たる影響力を残した上で、2013年に事務局長職を辞してプロモーターとなります。
 
 筆者の個人的な推測ですが、ユ氏は裁判の情勢が思わしくないので、敗訴したとしても外部からKBCを支配出来るような体制を作りたかったのでは?と思えます。

 判決から分裂へ

 2012年1月のKBC総会の無効を求めた裁判は、一審から上告審(日本と同じ三審制です)まで全てユ氏側の敗訴で、暴力的占拠で生まれたKBCは2014年の1月に法的な正当性を失います。

 その後ユ派の職員は判決に従わずに6月までKBC名で興行を強行するなど抵抗しますが、結局判決を受け入れ、ユ氏に担がれたホン氏も自分が騙されていたことに気付きKBCサイドと和解します。ユ派の職員達もユ氏のプロモート会社に入ることとなり、業界から追放ということにはなりませんでした。

この裁定は

「対立はしたけれどもう水に流して、もう一度一致団結して韓国のボクシングを一緒にやっていこうよ」

という意識の現われだったということです。

 そして2014年の7月に新生なったKBCの総会が行われ、選挙でホン氏が会長に選任され、ユ氏も総会に出席してホン氏と握手して和解をアピール。騒動は収束したかに見えました。

 しかしその二週間後ユ氏はホン会長のところを訪ね、

「自分としてはKBCと和解したいが、自分の部下達が納得しない。だから新団体を作る」

と宣言し、和解はわずか二週間しか続きませんでした。

 こうしてユ氏は有力スポンサーをかついで新団体を設立しました。これがKBFです。ユ氏は実務担当副会長という肩書きになっています。

 KBFはその名前の通りIBFとの関係が濃く、IBFアジアのタイトルマッチなどを行っています。

 現在四大タイトルの統括団体は、WBCとWBOはKBCのみ、WBAはWBAタイトルのみを統括するKBAという団体とKBC,そしてIBFは両団体とも認可するという状態だということです。

日本側対応の問題点

 ここで日本側、JBCやJPBAの態度が問題となります。KBC側はJBCに、法的に正統性が無いKBFの興行に選手を派遣しないように求めていますが、JBCはKBF興行への選手の派遣を容認しているのです。

 ファンの皆様の中で、『韓国でタイ人と日本人の間で行われる予定であったIBFアジアタイトルマッチが中止になった』というニュースをご記憶の方がおられかと思います。あれがKBFの主催興行だったのです。それ以前に韓国であった同じく日・タイのタイトルマッチでは、ファイトマネーの支払いを巡ってトラブルも起きているのだとか。

 「韓国でタイ人と日本人が戦ってチケットが売れるのかしら?」という素朴な疑問そのままのトラブル続きとなっている、この一連のIBFアジアタイトルマッチ。勿論日本の関係者や選手は当地の事情を良く知らずにオファーがあったから受けているのでしょうが、少なくともJBCはことの経緯を知っていたはずです。KBCサイドはJBCにKBFの問題点を指摘し、法的な問題点はすでに告知しているといいます。

 大沢宏晋選手がライセンスを停止された理由は、海外でタイトルマッチを行ったと言う理由でしたが、法的に問題があるコミッションの試合に選手を出すのはなぜに黙認されているのでしょうか?WBAに亀田の世界戦を認めるな!とクレームしたり、あるいは某OPBFランカーについてOPBFに色々余計な働きかけもしてるというJBC様は、一方で法的正当性の無いコミッションをなぜに援護射撃されるのでしょうか?こういうことをしていると、もし日本国内で分裂騒ぎがあった場合、韓国のコミッションは協力してくれなくなる思うのですが。

 またJPBAの大橋秀行会長はユ・ミョンウ氏が主催する日韓戦興行に選手を出し、ご自身も出席されています。これって向こうからすればJPBAがKBFにお墨付きを与えたことになるのではないでしょうか?立場上問題があるのではないでしょうか?

 メデイア側の感度は言わずもがな。「コミッションの分裂を画策することは犯罪だ!」くらいの勢いで飛ばしてたボクシングマガジンは、この問題についてどのように考えられるのでありましょうか?

  韓国ボクシング界の現状
 
 最後に韓国ボクシング界の現状を少しお伝えします。

 長らく男子の世界王者が生まれていない理由を尋ねてみると、トレーナーの高齢化が原因にあるとのこと。かつて名選手を鍛え上げた名伯楽達は高齢化し後継者が育っていない。またボクシング業界内の政治闘争が激しく、会長達が選手の育成に集中していないとの苦言も聞かれました。それはこの分裂抗争の原因にもなった根深い問題だと思えます。

 また入場無料の興行が常態化しており、スポンサーに依存しすぎてなかなかビジネスとして回っていかないという経済的側面も大きいようです。プロモーターは客離れが怖くて入場料を上げられず、結果選手も充分な報酬がもらえず有望な選手がなかなか集まらないとのこと。

 逆にアマチュアボクシングは国家代表レベルになれば1000万円ほど年収があるらしく、アマの選手強化は巧く行っており有望アマは滅多にプロへは転向してこないとのこと。プロは競技力の向上・選手確保のためにも報酬の引き上げが必要だと言う見解でした。

 まとめ

 この度聞いた韓国ボクシングの内情は、まさに他人事という感じが無く、とくに裁判を巡る話は日本のケースと相似形と思われる話が幾つもありました。

 日本は今、歴代最高数の世界チャンピオンを抱えて一見活況に見えますが、同質のトラブルの種を抱えていると思えます。いつまでも地上波テレビとスター待望に依存するのでなく、衰退に抗するような新しいビジネスのビジョンと場当たり的でない継続的なアジア諸国との連携が必要だと感じました。

 また韓国ボクシング界についても、かつてのように日本のライバルとして再興して欲しいと願わずにいられません。人的な交流を通じて高めあうような関係を作って欲しいと思います。

 今や国内旅行と同じような値段と時間で移動できるようになってますので、お互いの市場拡大を目指して巧く連携して欲しいと願わずにはいられません。(了)

 また韓国に行きたくなった(旧徳山と長谷川が好きです)

ツイッターをはじめて見ました

昨日通勤中のこと。最近日課になってる某人のツイッターをチェックしてたら、スマホが文字通りブラックアウト!(実話)

これはもしかして、あの秘密結社の仕業か!と思いきや、強制終了したらすぐ復旧しました。

そんなこんなで?ツイッターをはじめてみました。

これであの人やこの人と連携できたりするんですか?!使い方がさっぱり分からん。

とりあえず記事など更新したらお知らせしていきます。でもやってみたら放置状態かもです。
      ↓
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