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安河内判決を読む 司法判断で何が語られたのか?PART3 新コミッション画策編

 さて怪文書を利用して、試合役員や一部プロモーターを焚きつけて組織を揺さぶった反安河内派の皆様でありますが、JBCの理事連中が「ちゃんと調査をして真偽を確かめてから」みたいな眠たい対応をしたものでしたものですから、それじゃイカンとばかりにぶち上げたのが『新コミッション』でありました。以下引用します。引用文中の原告とは安河内剛氏、被告とはJBCのことです。

以下判決文80ページより地裁判決_11_R


平成23年6月23日には,森田及び浦谷らがマスコミ向けの記者会見を開き,被告に代わって国内試合を統括する新団体の設立等の意向を表明した結果,分裂の危機との報道がされるに至っている(前記1(3)ケ(エ))。なお,上記の新団体設立について,浦谷は,あくまで試合運営のための暫定的なものであるなどと縷々述べる(証人浦谷・10,12,57,- 80 -58頁)が,試合役員各位にあてた浦谷名義の平成23年6月23日付の文書(乙23の1)に「斉藤及び原告の排除を条件に被告体制堅持の要請があれば,現行の被告体制を維持することについて検討をする。」旨明記されている以上,斉藤及び原告が被告から排除されない限り,被告とは別の新組織体制を維持していく意向であったことは明らかであるから,浦谷の上記証言は採用できない。

安河内と斉藤(当時のJBC理事)を排除することがJBCに戻る条件だ、と言ってるわけですからこりゃどう見ても分裂行為です。『(新団体は)あくまで試合運営のための暫定的なものである』という現事務局長の浦谷氏の証言は、裁判長によって『採用できない』と当然のように一刀両断...。なんだか羽生氏といい現JBCの皆さんについての判決文中の描写を読んでいると切ない気分になってきます。

裁判長はこの新団体のぶち上げこそが安河内氏の降格の引き金となったと分析し、違法であると断じます。以下判決文の82ページ『小括』より。

地裁判決_13_R

本件降格処分は,浦谷らによる新団体の設立を盾にした要求に対し,被告が分裂を回避するために,浦谷らの要求を受け入れ,原告を被告から実質的に排除することを主たる目的として行ったものと認めるのが相当であり,人事権の適切な行使によるものとは認められないというべきである。よって,本件降格処分は,被告の人事権の濫用に当たると認めるのが相当であり,違法,無効である。

 裁判長は安河内氏の降格は怪文書に書かれたような氏による組織の私物化や不正経理が原因ではなく、浦谷氏ら反安河内派の『安河内を排除しないとJBCを分裂するぞ』という脅しに屈した形で行われたものであり、適正な人事権の行使ではなく違法だ、と結論づけます。

 私個人的にはゴッシプライターや怪文書を利用し、さらに試合を人質にとるような方法で強引に組織を掌握するような人に、果たしてボクシングに対する愛情があると言えるのかしら?と大変疑問であります。

 とここで賢明な読者はお気付きでありましょう。他ならぬ「新コミッションの設立構想」こそ安河内氏の解雇理由であったことを、であります。浦谷氏や森田氏が記者会見まで開いてぶち上げた新コミッション構想は不問で、安河内氏の新コミッション構想(この真実性についても後々検証します)はなぜ解雇理由になるのか?当然裁判長もそこの所に言及しております。

少し飛びますが判決文90~91ページにかけての小括部分を以下に引用します。
安河内さん判決文 90
安河内さん判決文 91



 ところで,前記1(3)ケ(エ)において認定したとおり,森田,浦谷及び羽生らは,平成23年6月23日,マスコミ向けの記者会見を開き,被告に代わって国内試合を統括する新団体設立の意向を表明するとともに,原告を被告から排除する内容の処分が被告の理事会で出れば被告に再合流することを示唆し,その結果,被告の分裂の危機との報道がされるに至っているところ,上記森田,浦谷及び羽生らによる行動は,まさに被告とは別のコミッションの設立を企図したものと評価し得るにもかかわらず,被告は,森田らの上記行動に対して何らの処分もしていないのであるから,原告についてのみ,記(ア)ないし(ウ)において検討したような断片的な事象を根拠に別組織の設立を企図したものとして原告につき懲戒解雇事由に当たるとするのは,明らかに均衡を欠き,平等原則にも反するというべきである。なお,森田,浦谷らによる上記新団体の設立に関し,あくまで暫定的なものである旨浦谷が述べていること(証人浦谷・10,12,57,58頁)に理由がないのは,前記2(4)ウ(ア)において述べたとおりである。

浦谷氏や羽入氏は記者会見までして「新団体設立」をぶち上げて公然と分裂を画策したのにお咎めなしで、一方の安河内氏は真偽不明の断片的な情報だけで「JBCを分裂させようとしたからクビ」というのは『明らかに均衡を欠き,平等原則にも反する』と結論しています。まあ実際そうですよね...。さらに浦谷氏の『あくまで暫定的なもの』と言う主張に改めてダメ押し...。

 こうやって実社会の物差しで村社会の論理を否定されることでボクシング界は変わることは出来るのでしょうか?

 判決確定後の業界関係者やメデイアの方の反応に期待するばかりです。(この項続く)

 前川龍斗選手と協栄ジムのトラブルについての週刊誌報道にゲンナリした(旧徳山と長谷川が好きです)

安河内判決を読む 司法判断で何が語られたのか?PART2

 引き続き判決文の検証を続けていきます。

 獨協大学ボクシング部の先輩である森田健氏の後釜としてJBC事務局長に上り詰めるというサクセスストーリーを体現する浦谷信彰氏は、安河内氏の退職を求めていた当時は試合役員のトップという立場でした。彼が、誰が書いたとも知れない怪しからん怪文書を試合役員に回覧し「安河内は(事務局長を)辞めるべきだ」と扇動するかのようなやり方をとったことについて、裁判長がその手法を批判したというところまでは前項でふれました。

 さらに試合役員有志が提出したという通告書についての判決文での説明がちょっと驚くようなものでありました。以下に引用します。判決文78ページより

『その作成名義である「JBC東京試合役員・事務局員合同調査委員会」が架空のものであること(原告本人・4頁),通告書の作成経緯について,浦谷が「中身に異論を挟むことはないので了承した。」旨述べ(証人浦谷・7頁),羽生が「林コミッショナーに会わせてもらえなかったので,文書にしてわかってもらおうと思い,本部事務局職員5名で作成した。」旨述べていること(証人羽生・10頁)からすれば,その作成名義にかかわらず,主として羽生ら本部事務局職員5名で作成し,浦谷が上記名称の使用を認めたに過ぎないものであり,必ずしも東京試合役員会の大半の認識を反映したものとは認められないというべきである。』
地裁判決_09_R

 なんと通告書の主体となる組織が「架空」で、のみならず試合役員が作成した文書ですらないと言うじゃないですか。怪文書を利用する手法といい、なんという謀略体質でありましょう。安河内氏を排斥出来るなら手段は選ばないと言うところでしょうか?

 さらに試合役員が提出した連判状について

この連判状は,「告発文で指摘された疑惑について徹底した真相究明を行うこと」,「全ての疑いが晴らされない限り,安河内事務局長を解任すること」として,真相の究明と疑いが晴れない場合の原告の解任を求める内容であるから,この連判状に署名したことをもって,直ちに,従前の原告の行状から原告が本部事務局長としてふさわしくないと署名の時点で判断していたと認めることはできない。


と総括しています。「疑惑が事実であった場合には解任」と言う表現になってるだけで、解任を求める署名ではないですよと、これも極めて論理的で冷静な結論です。

 さらに一部プロモーターから安河内氏の試合会場への立ち入りを禁止するという書面が提出されたことについても

原告の試合会場への立入りを禁ずる旨の書面を提出しているものの,同書面に「協会より要望書に返答あるまで」と手書きで追記していることから,原告を拒否する態度が確定的なものであったとは必ずしもいえないというべきである。

ここでも、あくまで出入り禁止は怪文書で指摘された疑惑についての事実関係の調査が前提となるという結論です。

「安河内解任はJBC職員、試合役員、ボクシング協会の総意である」というJBCサイドの主張・立証の根拠は裁判長によって悉く否定されていきます。

 出所不明の怪文書が根拠なのですから調査をして事実関係を確かめるのはむしろ当然の話であります。ところがあくまで安河内排斥を目指す勢力はその調査の結果などどうでもいいというような態度をとります

 判決文79ページ後半より80ページにかけて引用します
地裁判決_10_R
地裁判決_11_R

このように通告書や連判状でも求められていた「真相究明」のための調査が被告において実施されることになったにもかかわらず,浦谷や羽生らは,被告による調査を踏まえた判断には必ずしも従わない態度を示し,試合役員のライセンス返上の可能性を示唆しつつ原告に対して辞任を自ら決めるよう迫り(前記1(3)オ),続いて,被告の対応が中立性を欠くとする書面や原告の従来の言動を批判する書面等を各方面に提出するなどし(前記1(3)キ(ア),(イ),(オ)ないし(ク))さらに,平成23年5月31日には,本件調査委員会による調査や原告の不正経理問題についての意見表明をマスコミ等に対して行い(前記1(3)キ(ウ)(エ)),加えて,平成23年6月10日には,休職期間が明けた原告に対して事務局長代行補佐を命ずる旨の示達が林代表から出されたにもかかわらず,これに羽生らが強く反発し,結局,休職期間が明けても原告が出勤できない状態を継続させている(前記1(3)ク)。以上の事実経過によれば,当時の被告においては,通告書や連判状の要望を受けて手続を踏んで問題の解決を図ろうとしたものの,手続を無視した,浦谷や羽生らの原告排除へ向けた強硬な態度を適切に制することが全くできていない状況に陥っていたものと認められる。

真相究明をするべきという名目で試合役員名義の通告書や連判状を作成しておきながら、いざ調査による事実解明が始まるとライセンス返上をにおわせながらあくまで安河内氏の解任を求める彼ら...。

『本件調査委員会による調査や原告の不正経理問題についての意見表明をマスコミ等に対して行い』というのはあの「フグの領収書」についての記者会見のことであります。あれだけ大騒ぎしたのに結局あれはなんのことはない適正な支出でした。あの時「自分が追っているのはたかだか一万幾らのレシートじゃない」とばかり大見得切ってたあの人は一体何をしているのでしょうか?まあぶち上げるだけなのはいつものことで特段驚きも無いわけですが...。

 結局、調査を経ても安河内氏による不正経理や組織の私物化の証拠は何も見つからず、退職の根拠は何ら無くなってしまいます。そこで反安河内派の考えた手法が「新コミッション」の設立でありました。この話は次項で詳しく分析していきます。(この項続く)

 週末の雨で花見が出来そうも無い(旧徳山と長谷川が好きです)