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K3 BOX&FIT GYM 訪問記 亀田興毅選手インタビュー PART2

※お願い もし今回の亀田興毅選手インタビュー記事を引用されるマスメデイア、ネットメデイアの方やブロガーの方などいらっしゃいましたら、当ブログのメールアドレスまでご一報いただければ嬉しいです。もちろん強制ではありません。よろしくお願い致します。

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 亀田ジムにお邪魔して、嶋聡マネージャーにお話を聞いていたHARD BLOW!一行。そこに遅れて、亀田興毅選手兼亀田プロモーション代表も現れ、ご本人も交えてのインタビューとなりました。

 奇しくも我々の訪問は、興毅選手がブログの記事でアメリカでの試合のファイトマネーや自身の辞め時などについて触れた直後。デイリースポーツがそのブログについて記事にしたことでネットでも話題になりましたが、記事化に当たっては電話取材すらなく、ただブログの記事を切り貼りしただけだったとのこと。プロの記者もその辺のブロガーとドッコイの記事の作り方してるんだなあと、HARD BLOW!一行は大変驚いたのでした。
 我々みたいなどシロウトでも取材できるんだから、記者さんもちゃんと取材に来てコメントを取るべきだと思います。頑張って下さい。

 現れた興毅選手に挨拶をすると、目を覗き込んで「読んでますよ~」と言われて恐縮。いやほんと散々悪口(?)書いてきた人と対面すると言うのは、なんとも決まりが悪いもんであります。

 というわけでオープニングヒットを取られた形でインタビューはスタートしました。

HARD BLOW!(以下HB)-バッシングの契機になったランダエタとの試合から今年で十年ですね。

亀田興毅選手(以下亀田)-そうか~そうですねもう10 年なるんですね。

HB-親子ほど年が違うオジさんが総出で少年を批判してたというのも冷静に考えたら結構ひどい話なんですけど。

亀田-ははは。でも何の世界でも応援してた人間が変な試合したら文句の一つも出るし、それはしゃあないです。昔やったら喫茶店とかで『あれ昨日の試合おかしかったやんけ、コイツなあ』言うて。ただ今は、インターネットがあるから。残るし、横にバーっと広がっていくし。まあ仕方ないですよ。

HB-もう今は悪い情報とかは進んで見ないですか?

亀田-いや勝手に耳に入ってきますよ(笑)。でもそんなん全部イチイチ気にしてたら神経持ちませんよ。

HBー僕らの時代は江川卓がまあ~凄い嫌われようで、亀田三兄弟はあの時以来のバッシングされぶりだったと思いますけど。

亀田-その当時インターネットがあったらどうなってるか?と言うことですよね。

HBー善悪で言えば、例えばエドウイン・バレロとか、麻薬中毒で奥さんを殺してとか道義的にはもうメチャクチャなことしてるわけで。

亀田-日本と海外は違いますけどね。メイウエザーなんかも刑務所から出てきてすぐにペイパービューで何億も稼いで。日本でやったら試合自体出来へんでしょうね。今の俺らなんかね、なんかわからんけど『なんで試合出来へんの?』と言う状態じゃないですか。まあ日本と海外との差っていうか...。

HB-悪いことして容認されるのが良いとは思わないですけど、でもなんか硬すぎるというか。

亀田「それが、いいとこでもあり悪いとこでもあるんですけどね」

HB「監視がきつくなってると言うか、ちょっと変なことしたら総バッシングになってね」

亀田-だから言うたら枠に収まったスポーツ選手しか出てこないんですよ。枠を飛び出して違うことしようとしたら潰される。だから騒ぎにならんように振舞うから、スケールが小さいですよね。

HB-新聞記事になったブログに『ボクシングは生活の為にやってる』と書いてたじゃないですか。

亀田-はいはい。

HB-それ言うか言わないかだけでそう思ってる選手は一杯いると思うんですよ。でも日本では結構、選手が『もっと金が欲しい』『稼ぎたい』ということが悪いことやみたいに言われるじゃないですか。和気選手の試合が変な理由で止められたのも『しがらみがあるからしょうがないね』みたいになって、なんか選手が本音を言ったり希望を通したりするのを規制してるように感じるのですが。

亀田-規制って言うか、そういう風にしにくい空気はありますよね。

HB-例えば選手がプライベートなジムを持って、トレーナーもマネージャーも好きな人を自分で雇っていうのは海外では普通じゃないですか。でも日本だと、通学路にあるから、通勤途中にあるからって言うくらいの理由でジムに入ったら、おいそれと出られないようなシステムで。

亀田-がんじがらめですからね。

HB-それがおかしいって言う感覚があんまりないんですよね。自分がその時望む環境に変わっていくということがなかなか出来にくいですよね。

亀田-移籍する時も難儀ですよ~。大変ですよ。

 興毅選手の移籍後にグリーンツダジムは多額の移籍金を得たにもかかわらず経営難が露呈し、世界戦でのファイトマネーの未払いなどのトラブルに見舞われました。移籍先の協栄ジムも、佐藤洋太選手が世界王座獲得後もアルバイトをしていることが話題になったり、胡散臭いネットビジネスのバブル紳士(その後破産)がスポンサーに名乗りを上げたと思ったらすぐにいなくなったりと迷走気味。佐藤洋太選手はその後、選択防衛戦をタイ開催に持っていかれて陥落後引退してしまいました。自国開催にするほどの経済的余裕も無かったのでしょうか?虎の子の世界のベルトなのに...。
 
 世界王者になってもアルバイトをしている選手があたりまえになりつつある時代。ジムサイドとて、世界王者になるまでにかかった投資を、思ったように回収できない段階に入っていると言えると思います。
 旧来型の地上波テレビ中継を中心にしたスタイルとは、また違った形の収益モデルの模索が急務となっていますが、そ
の中の一つが海外市場への進出であります。その胎動は山口賢一選手や高山勝成選手、石田順裕選手などのケースから始まっていますが、亀田兄弟もキャリアの初期から積極的に海外を志向してきていました。

HB-今日本で試合が出来ないと言う状態になった時に、アル・ヘイモンとサインして海外で試合が出来る。それは元はといえば、三男の和毅選手がメキシコに行っていたことが凄く大きかったと思います。それはつまり父親の史郎さんに先見の明があったということですよね。

亀田-でもその時は和毅は凄く辛かったんですよ。15歳から一人で向こう行かされてね。治安もムチャクチャ悪いしね。和毅が住んでた家も、玄関は鉄格子入ってるし、となりの家との間は窓がないんですよ。窓があったら泥棒入ってくるから。家と家の間も(通れないように)ぴったりくっついてるんですよ。結局ボクシングする所、ボクサーがおる所っていうのは治安が悪いんですよ。ボクサーは悪い奴らの集まりから出てくるんですよ。

HB-日本だと西成(笑)。

亀田-アメリカでもそうじゃないですか。

HB-デトロイトとか。タイソンも...。

亀田-そういうところに和毅は15 歳から行って、なれへん環境でずっとやってきて、それがあって今があるわけやから。頑張って苦労した分、今ちょっとづつ芽が開いてきて...。こっから先は、アメリカと言う場所で自分で実力で切り開いていかなあかんし。

HB-今ライセンスを取られて、日本で試合は出来ない。その処分の理不尽さとかおかしな部分はおいといて、逆に考えると自由になって何でも出来るとも言えるわけで、海外で日本の業界では考えられない額のお金を稼げる成功例になれば、後に続いてくる選手は出てくると思いますよ。

亀田-だから野球で言えば野茂選手が行って、野茂さんがパイオニアで、ボクシングにはその道を切り開いた人がまだおれへんから。ジムに入って、新人王とって、日本チャンピオンなってって言う道が一つあるけど、それとはまた違う道を作ってみたいなと。

話は海外戦略へと広がっていきます。

亀田-もう日本国内では知らん人がおらんくらい名前も売った。三兄弟世界王者っていう始めてのこともやったと。そしたら次は海外でどれだけ名前を広げることができるか。それが最後の夢やから。おれら小さい体、軽い階級やけど1 パーセントでも望みがあるなら賭けたいなと。
 今やったら和毅が勝って来て、ファイトマネーも上がって来て。負けたらアカンけどこのまま勝って行けば『あ軽量級でもこんだけ稼げるんや。おれもやってみたい』って若い子が思えるような存在になれたらええなと。そういう道を作って行きたいなと、思いますよね。

 今アンダー15で強い子一杯います。大手の有力ジムに強い子いたら、それは延びていきますよ。でも地方のジムやったらどうしますか?そういう子を見つけてきて、どれだけ延ばしてやれるかに日本のボクシングの将来がかかってるんですよ。でもボクシング界が今の小さな村社会のままやったらどないも無理なんですよ。

 俺ら三兄弟が世界チャンピオンになった時に、『次はアジア進出しよう』って言ってたんですよ。フィリピンでやったし、韓国でもやったし。インドネシアとかベトナムとかも話あったんですよ。でも今回ちょっとこんななってしまってストップしてるけど、チャリティイベントを無料でアジアを回ってやろうって。亀田三兄弟の誰かが行って試合して、『あ、ボクシングの世界戦ってこんなんなんや』って興味をもつっていうのを、広げて行きたかった。でそれから世界行こう、アメリカ行こうと。でもたまたま和毅がラスベガスで試合して、ヘイモンとこうなったからね、まあ結果的には良かったんやけど本当はそういうこともやりたかったんですよ。

 考えは一杯あるから。ボクシングは可能性一杯あるんですよ。俺と内藤選手が試合すれば40%の視聴率取る、そういう爆発力のあるコンテンツやから。やっぱりシンプルやから、一対一で拳だけで戦うって言うのは。今世間の人は、ボクシングに対して注目が無い。世界チャンピオンがこんだけ一杯おって、色んな局でゴールデンタイムで中継しても視聴率二桁いかへんっていうのはよっぽどのことですよ。そこをもうちょっと真剣に考えて。

 今は一部のボクシングジムと一部のボクシングマニアとの間で、ボクシングと言うメジャースポーツが私物化みたいな形になってしもうてる。それが俺は気に入らんのです。メイウエザーなんか100億稼いでる、あらゆるスポーツの中で一番に稼げる、ナンバーワンなのがボクシング。それが日本やとなんでこんなちっさいのと。最低限世界チャンピオンになったらそれでメシ食える。こんだけの生活が出来るんやでっていう業界にしたいですよね。


 こういった話を滔々と述べている時の興毅選手は、プロモーター目線といいますか俯瞰的で、一選手と言う存在を超えたビジョンを感じました。

 ボクシングファンの中には「亀田兄弟にもボクシングのイメージを悪くした責任の一端はあるんじゃないの?」という感想をお持ちの向きも多いかと思います。ですが実際に、トラブル後に大竹トレーナーやワタナベジムと言った業界の重鎮と言っていい人たちや、TBS やテレビ東京と言った大手メディアが兄弟に対して積極的に関与して来たのもまた事実。つまりこれは外部から見ているファンと、実際に彼らに接している人との間に評価の開きがあるということです。それはアル・ヘイモンにしても同じこと。アメリカを代表するエージェントである彼が、食指を伸ばしてくるような商品価値が彼らにはあるということです。
 亀田兄弟がJBCからサスペンドを受けている状態であることは知った上で、活動の場が与えられていることも重要です。
実際JBC はWBA にヘタクソな英語のレターを送って、亀田兄弟が日本ではライセンスが無いことなどを周知していますが、アメリカの各州のアスレチックコミッションは「アメリカで試合することは何の問題もない」と言う見解です。
 「日本で試合が出来ない」ということを犯罪者であるかのように強調するゴシップライターや一部偏狭な自称マニアは、海外の業界人や統括団体に対して批判を加えたりはなぜかしません。結局根拠も不確かなローカルルールに安住して思考停止しているだけではないのか?と思います。

 亀田サイドは柔軟に移籍の道も探してきたし、働きかけもして来ました。しかしJBC は頑としてライセンスの復帰も、移籍も認めない。その頑迷さが結局訴訟と言う結果を生みました。そして恐らくこの裁判も、一連の解雇職員との裁判と同じく敗訴することになると思います。その時が来たら、何の展望も無く「亀田追い出せ!」「亀田を懲らしめろ!」と煽った自称マニアの皆さんはその結果に責任を持つのでしょうか?

 それはいわゆる「スラップ訴訟」だと自己宣伝されているただの名誉毀損裁判とて同じことです。風評だけで亀田兄弟が監禁や暴行といった重大な違法行為に関与したかのように騒ぎ立てる人たちは、判決が出たときに果たしてどのように振舞うのでしょうか?

 続いてアンチファンとの関係について質問してみました。

HB-いわゆる注目集めるための作戦としてテレビ局と組んでヒールを演じていたと言う側面はあるのですか?

亀田-いや別に、勝手にそうなっただけで...。

HB-それだと素が悪いってことになっちゃうじゃないですか!?(笑)

亀田-俺らはいつもなんも考えんと素のままで行ってるから。器用じゃない、不器用でしたからね。

嶋-大体のボクサーは取材の時と普段と違いますからね。彼らは常に一緒なだけで。

HB-視聴率40%とろうと思ったらボクシングファン相手だけじゃ無理ですよね。

亀田-そうですね

HB-亀田が負けるところを見たいという需要を当て込んでやっていたということはないんですか?

亀田-いやそれで視聴率40%はいかないですよ。そんなんで行けるんやったら誰でもやってますよ。そんな甘い世界じゃない。俺らはもうとにかく世界チャンピオンなるていうて大阪から出てきて、テレビの世界もわからへんし、ボクシングの世界のことも知らんし、親父もほとんどなんも知らんかった。だから俺らはとにかく自分らのスタイルで行こうって言うシンプルなスタイルで来ただけやから。ほんで叩かれたりしたりしたらその時に初めて『あああれは悪かったんやな』『じゃあれは辞めとこう』って経験していって勉強になっていった。もっと早く知ってたら要領よく出来てたんやろうけど...。でも戻ることは出来へんから。

HB-戦略的にやってたことでは全然ないと。

亀田-だから面白かったんじゃないですか?テレビ局の人もプロデューサーの人でも俺らが次に何するか、何を言い出すかって全然知らんかったからね。だからヒヤヒヤしてたと思いますよ。計量のときのパフォーマンスでも親父と相談してただけで、TBS の人は何も分かってなかったから。パフォーマンスは名前を知ってもらわなアカンから、最初はジャンプ(雑誌)破ったり。

HB-フライパン曲げたり。

亀田-そうやって毎試合毎試合パフォーマンスして行こうって、俺らが考えてたのそれくらいで、あとは勝手に撮ってるだけで。映像作るのも俺らじゃないし。

HB-小さい時、密着番組とかで自分が写ってるのとかはどういう気持ちで見ていたんですか?

亀田-う~んあんまり当時は見てなかったけど...。

HB-見てなかったんですか?

亀田-俺あんまり自分が映ってるのを見るの嫌なんですよ。

HB-あそうなんですか?

亀田-自分のしゃべってるの見るの嫌いなんですよ。自分の声聞くのってなんかへんな感じがして。

HB-あーそういう感覚はありますね。じゃ自分からすすんで見たりはしていなかったと。

亀田-まあ家族が見てたらいっしょにちょろっと見たりとかそういう程度で。

 素のままの振る舞いをテレビがそのまま伝えたという説明は個人的には、納得のいくものでした。
 
 興毅×ランダエタ一戦目の判定が読み上げられた瞬間の史郎氏の「えーっ!」と言う心底驚いたような表情や、内藤×大毅戦のセコンドでの反則指示等はいわゆるテレビ局と予定調和の関係では起こりえないことで、それだけをとっても現場のコントロールされていないことの証明になるであろうと思います。

 そしてテレビに出るために、いい子になったりもしないし、かといって露悪的になったりもしない。それで起きたことは、全て自分達のやっとことの結果だという態度も潔いものだと思います。そして彼らはとにかく経験主義者で、いいことも悪いことも、行動して実感したことを根拠に手探りで生きているんだなあと感じました。

 というわけで今回はここまで。

 次回は内藤×大毅戦時の『俺らはいじめっ子』と言う発言や、試合後の興毅選手の謝罪会見。そして高松や大阪のバックステージでのトラブルに対する亀田ジムサイドの見解などをについてです。ご期待下さい。

 スラップ訴訟ってまだ言ってるの?と感じる(旧徳山と長谷川が好きです)

 

K3 BOX&FIT GYM 訪問記 亀田興毅選手インタビュー PART1


※お願い もし今回から始まる亀田興毅選手インタビュー記事を引用されるマスメデイア、ネットメデイアの方やブロガーの方などいらっしゃいましたら、当ブログのメールアドレスまでご一報いただければ嬉しいです。もちろん強制ではありません。よろしくお願い致します。



 来るべき時が来たという感じでしょうか?

 『出来るだけ当事者にあって、直接聞いたことを記事に書こう』という方針でHARD BLOW!を始めて早三年。

 この三年間で様々な選手・元選手・関係者の皆様からお話を伺って記事にして来ました。
 当ブログの原点となった元東洋チャンピオンの榎洋之さん。(記事はこちら→悪童・・榎 洋之さんのこと・・

 坂田×内藤戦の試合後、判定を巡るトラブルでサスペンドされた大串尋人さん。(記事はこちら→ナイフと言われた男

 JBC との長く苦しい裁判を戦った安河内剛さんや谷川俊規さんやその他のJBC の元職員の皆さん。(記事はこちらから→新機軸だよ映像企画!安河内剛氏インタヴューPART1  もう一つのJBC裁判 谷川俊規氏の場合

 JBC を離脱して海外を主戦場に戦う山口賢一選手。(インタビューはこちら→イズム全開 山口賢一インタビュー&スパーリングレポート

 日本での承認直前に敵地メキシコでIBF タイトルを掴んだ高山勝成選手と中出博啓トレーナー。(インタビューはこちらから→高山勝成選手インタビュー&スパーリングレポート  インターバル40秒で12R!

 韓国で亀田興毅選手と戦い、不遇な判定で敗れたソン・ジョンオ選手とキムマネージャー。(記事はこちらから→HARD BLOW !年末年始スペシャル第一弾 ソン・ジョンオ(孫正五)インタビューinソウル 

 こうして列挙すると業界内のアウトサイダー的な人にばっかり会ってる気もしますが、同時に主流のメディアには載らない、発言の機会の無い人々に焦点を当ててきたと言う自負もあります。

 そんな我々が、ついに亀田三兄弟に直接面会してインタビューできることになりました。2006 年の亀田興毅×ファン・ランダエタ戦からのこの十年間、日本のボクシング界は良くも悪くも亀田三兄弟の強い影響下にあったと言えるでしょう。ブームの絶頂からランダエタ戦で急転直下総バッシング状態となり、その後の反則騒動で完全に世間を敵に回した亀田一家。かくいう自分もネット上では『病的なアンチ』なんて言われるくらいの激しい批判を浴びせたものでありました。

 ですが彼らはアンチの批判にもめげずしぶとく生き残り、日本での承認直後にWBO とIBF の王座を獲得するという絶妙のフットワークの軽さで世界初の三兄弟世界王者となり、アンチファンの鼻をあかしました。三兄弟の父親である亀田史郎氏が、大阪の片隅でぶち上げた「三兄弟世界王者」という稀有壮大な構想が、様々な障害を経て本当に実現したのです。

 もちろん安全第一と見えるスリルに欠けるマッチメイクや、おかしな判定、特異な言動などなど、手放しで乗れない要素に対して評価が分かれるのは致し方ないことであります。自分だって好きか嫌いかと言われたら、未だに好きなタイプのスポーツ選手ではないです。

 ですがしかし!しかし!正直認めざるを得ない要素があるのもまた事実なのであります。
 なんであれ世界初の三兄弟世界王者になったのです!
 2000 年代の国内フライ級トップ、内藤大助にも坂田健史にも勝っているのです!
 海外でWBO タイトルを取っているのです!ラスベガス、MGM グランドのメインアリーナで指名試合をしてKO 勝ちをしているのです!
 アメリカの大物エージェントとサインして、ラスベガスの世界戦で50万ドルのファイトマネーをとっているのです!

 ポンコツJBC の責任逃れのスタンドプレイのせいで国内での試合が出来なくなり、マスコミからも掌返しの冷遇状態という逆境にありながら、それでもJBC 相手に裁判も辞さずという対決姿勢を取れるのは海外のプロモーターとパイプがあるからで、これは日本のボクシングの歴史から見ても極めて特異なポジションです。

 それもこれも、史郎氏が三男和毅選手を単身メキシコに送り込んで鍛えた結果で、その慧眼にも今更ながら驚くばかり。さんざっぱらバッシングして来た自分が言うのもなんでありますが、もはや彼らは批判していれば済むという存在ではありません。現実に世界のボクシング界に一角を形成し、日本の業界に構造変化をもたらす存在になりつつあるのです。

 今回HARD BLOW!は、亀田兄弟の長兄にして亀田プロモーションの代表である亀田興毅選手と、亀田プロモーションのチーフマネージャーである嶋聡さんのお話を伺い、併せて大毅選手と和毅選手のジムワークも少しですが、見学させて頂きました。以下はそのレポートです。

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 亀田一家の拠点『K3 BOX&FIT GYM』があるのは世田谷区の若林。三軒茶屋駅から徒歩十分程度で、東急世田谷線の沿線と言う渋い立地であります。亀田兄弟が育った大阪の西成も世田谷線のような路面電車が走っていますが、正直街の雰囲気は相当違います(笑)。
 ジムは幹線道路に面しており窓も大きく明るい雰囲気で、2 フロアに渡る広々としたもの。以前の葛飾のジムはプライベートジムで閉ざされた雰囲気でしたが、こちらは一般のフィットネス会員さんも集めると言う開かれたジムなので雰囲気の違いは歴然。リングも相当大きく、照明・音響用のトラスなども備えております。

 ジムの二階に通された我々は挨拶もそこそこに、まずは嶋マネージャーにお話を伺いました。嶋マネージャーはテレビマン上がりと言うことで弁舌の巧みな方かと思いきや、どちらかというと訥弁で、ゆっくりと言葉を選びながら話されるタイプの方でした。

 まずは妄想ゴッシプライターが「監禁・暴行」と書きたてた高松のバックステージでの事件について。

 その様子は一部始終がビデオカメラで撮影・記録されております。というわけでどちらの言い分が正しいのか?我々も映像を見せて頂きました。この映像は当初マスコミ向けに上映される予定でしたが、JBC 職員側からクレームがつきモザイク処理と音声加工が加えられた上でマスコミに公開されました。暴行の事実があるなら満天下に見てもらいたい映像でしょうになぜに正体を隠す必要があるのでしょうか?普段はデタガリの彼がこういうときだけ引っ込み思案になるのも大層不可解であります。

 で肝心のビデオの内容でありますが...。

 全然監禁でも暴行でもありません!抗議の様子は言葉使いも終始穏当で、論理的なものです。暴行と言われるような行為はかけらも記録されておらず、監禁されたと主張しているJBC 職員は普通に歩いて部屋の外に出ています。なぜ監禁を主張しているのでしょうか?

 以下に亀田ジムサイドが制作し、マスコミに配布した、JBC職員側の主張とビデオ映像を比較した表を掲載致します。
原告主張とビデオ映像の対比_01_R

 亀田サイドがマスコミに配ったJBC職員の主張とビデオ映像を比較した図表。我々が見た限り、ビデオ映像は実際この表の通りでした。

 そもそもコミッションの職員にとって、プロモーターやジムのマネージャーに対応することは職業上の義務です。仕事でちょっと抗議されたら監禁だ恫喝だと騒ぎ立てるような人は根本的に職能がないのではないでしょうか?抗議されている内容に対する返答も、長谷川×モンテイエル戦のグローブについて事実誤認しているように専門知識に乏しく、返答も言い逃ればかり。最後には「自分達は下っ端なので決定権がない」と思考停止して逃げるという対応は、はっきり言って職場放棄でプロとしても失格です。大毅×ソリスの体重超過の事案と同じく、根本的にトラブルを解決する能力が無いのではと感じられます。

 ビデオ映像という明白な証拠が残っているにも関わらず、裁判で訴えているJBC 職員の自信の根拠がどこにあるのか当方にはさっぱり分かりません。そしてJBC の職員がいかがわしいゴシップライターと癒着し、職務中にメールや電話でタレコミにいそしむと言う職業倫理にも疑問を感じざるを得ません。仕事に集中していないのではないでしょうか?件の記事の内容もどう見ても事実とかけ離れています。一体誰が事実を捻じ曲げているのでしょうか?安河内氏や谷川氏の裁判でもゴッシプライターの記事の虚偽性は完膚なきまでに暴かれました。彼の言論はお友達のJBC 職員を守るためにあらかじめねじ曲げられているのではないでしょうか?

 さて続いては、嶋氏とクラブオーナーの吉井氏のライセンス停止の原因となった、大阪の大毅×ソリス戦のバックステージと、その後の移籍をめぐる騒動について、嶋マネージャーに詳しく伺いました。以下インタビュー形式で...。

ハードブロー(以下HB)-JBC には英語が出来る人がいないので、ルールミーテイングで交わされてる会話の内容が分かっていなかったのではと言う人がいるんですが...。

嶋マネージャー(以下嶋)-分かっていなかったと思います。だから試合の後、森田健さんに『JBC に英語が出来る人がいないのはいくらなんでもまずいんじゃないですか?』って言ったら『おおそうだなあ。誰かにやってもらわないと。』と言ってたんです。試合直後は、JBC の人も『今後はこういうことが無いように、ちゃんとルールを確認して』と言う感じだったんですよ。それが森田さんたちが東京に戻ったら急に『亀田が全面的に悪い』みたいになっててどうして?と。

 ここでもJBC は高松のケースと同じくイレギュラーな事態に何ら積極的に対応せず、『当事者同士で解決してください作戦』の一点張り。しかもルールミーテイングで交わされてる英語の会話も何ら理解していなかったのではという懸念すらあります。
 自分達の失態を糊塗して責任逃れするために、亀田ジムに全責任を押し付けたJBC は、嶋氏と吉井氏のライセンスを停止。ジム開き直前でクラブオーナーライセンスを止められた亀田三兄弟は、所属先がなくなったことで実質的に試合が出来なくなってしまいます。しかし興毅選手にはWBA チャンピオンの河野公平選手との指名試合があり、スケジュールの遅滞は許されません。そこで新しく会長を立てる道を模索します。

HB-元協栄ジムの大竹重幸さんが会長となるプランは、協会からも概ね賛同が得られてるという話だったとか?

嶋-こちらもそう思ってたんですけど...。

HB-協会の理事会で、あるクラブオーナーから強硬な反対があったということですが。

嶋-そう聞いてます。

大竹さんと亀田が組むとなる面白くない人は誰か…。それは読者各位が想像して頂きたい。そうあの人です(笑)。

HB-それで大竹さんは撤退となったと。でも『亀田君も頑張って』みたいなコメント出されてましたね。(正確には「興毅君には『お世話になりました』と言ってもらった。ぜひ4階級王者を目指してほしい」です)

嶋-そうですね。スタンスの違いで別れただけなので。

HB-次に話が上がった、ユナイテッドジムと言うのは?

嶋-あれはユナイテッドのオーナーにスポンサーとしてお世話になっていた縁で。

HB-ああリムジンのリースの。

嶋-そうです。

 ユナイテッドジムへの移籍は「世界戦をするような一流ジム」という移籍要件を満たしていないとしてJBCから却下されます。しかし協会の成員を一流とか二流とかコミッションが選別するのもおかしな話だと自分は思います。

HBー角海老ジムも名前が上がってましたが、ジム内部から反発があったとか?

嶋-そうみたいですね。

HB-もう一つ噂のあった、新日本木村ジムは実際に移籍話はあったのですか?

嶋-ありました。お話しをさせて頂いていたのは事実です。

 こうしてみるとかなり柔軟に移籍への道を探っていたのが想像できます。ですが、結局移籍も巧くいかず、国内活動は八方塞となり、最終的に移籍を断念して、亀田ジムの吉井氏と嶋氏がJBC に対してクラブオーナー、マネージャーとしての地位確認を求める裁判を起こすことで、事態の解決は法廷に持ち込まれました。

 ボクサーもジムも試合が出来なければ生活手段が断たれる訳で、ライセンスを止めると言うのは大変に重い行為です。いわば生活権を巡る戦いであり、ご存知の通り他人の収入の道を断つには相当合理的な根拠がいります。過去の事例とも照らしての整合性も問われます。
 根本的な原因が対戦相手の体重超過にあること、リンゼイ・タッカーが自ら失言を認めていること、過去の事例に対して明らかに厳しすぎること、JBC 側にもルール確認を怠ったという瑕疵があること、生活権を侵害するに足る合理的な根拠が無いことなどを考えるとJBC が敗訴する可能性が濃厚であると自分は思います。

 というわけで第一回はここまで。次回亀田興毅選手ご本人も交えてのインタビューをお送りします。ご期待下さい。

 どのような反響があるか楽しみな(旧徳山と長谷川が好きです)