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HARD BLOW !

JBCがまたも地位確認裁判で一審敗訴 懲戒解雇は全て認められず 

 今日は、今年から公開で行われると言う年間表彰の表彰式だそうですね。よりによってそんな日にとも思うのですが、JBCの一連の地位確認裁判の最後の判決が本日下されました。

 結果は原告の元職員の勝訴。懲戒解雇は無効となりJBCはまたも厳しい司法判断を受けました。

 これで、一連の裁判を闘った全ての元職員の懲戒解雇が無効または撤回となりました。

 なぜ、JBCはこのような無理筋の勝ち目が無い裁判に組織を挙げて邁進したのでしょうか?

 裁判を通して消尽された膨大な経費、違法な手段で組織を乗っ取った職員に支払われた給与、裁判を通して失墜したJBCのイメージ、公益法人格や健保金制度といった先人の遺産。安河内氏解雇以降のデタラメな組織運営で失われたものは余りに大きいです。

 司法の判断は解雇された元職員側でなくJBCに問題があるという結論になりました。彼らを問題人物であるかのように書きたてた、記者とメデイアの責任がますます厳しく問われることになります。判決が確定すれば当然法的な責任も生じます。

 この判決によってJBCや御用記者・御用メディアの側が間違っていたということがハッキリしました。一刻も早く判決を重く受け止めて社会常識に適った当たり前の対応をするべきです。

 違法状態を放置するなら、JBCが反社会的な存在と目されてしまいますよ。

 早く判決が確定して欲しい(旧徳山と長谷川が好きです)

基準は一体どこにある?地域タイトルホルダーが海外で防衛戦

ボクシングビートのWEB、ボクシングニュースより

渡邉と江藤伸IBFアジア戦、山本浩は元世界王者と

未公認の地域タイトルマッチをやってライセンスもベルトも世界ランキングも失う選手・トレーナー・クラブオーナーがいる一方で、全くお咎め無しの者もいる。一体このルール運営の不公正、不公平はなんなのでしょうか?

JBCは一刻も早く見せしめ的に処分した関係者に謝罪しライセンスを返すべきです。卑怯なことをしてはいけない。
裁判の判決が確定したあと、この事案についても誠実な対応をされることを望みます。

JBCは現実についていけていないと考える(旧徳山と長谷川が好きです)

JBCの『暴力団等反社会勢力ではないこと等に関する表明・確約書』にゲンナリ

 まずは小ネタから。

 年頭、ある観戦仲間から「面白いので読んで見てください」と、ボクシングライターで慶応大学教授でもある粂川麻里生さんのツイッターを教えて頂きました。で早速アクセスして読んでみると、ゴッシプライターと二人三脚で裁判を頑張ってるナルシストリングアナウンサーについて触れた面白いツイートがありました。以下にちょっと引用いたします。(→元ツイート

 『富樫リングアナは、大きな業績のある方ですが、ますます英語直訳の変な日本語で、あえて正直申し上げますが、もう聴くに堪えません。ちっとも興奮を盛り上げないどころか、観客も、選手も、迷惑がっている人は少なくないのではないでしょうか。考え直していただきたいと思います。』(引用以上)

 このツイートを読んで、「ああこの人は信用できるなあ」と思ったのでありましたが、今日書店で素晴らしいボクシング専門誌『ボクシングマガジン』を開くと「今年のボクシング界に何を求めるか?」というテーマの特集に粂川氏も参加されておりました。「粂川氏は2015年のボクシング界に一体何を求めているんだろう?」と読んで見ると...。さっきのツイートと同じ内容の要望が書いてありました(笑)。

 あの冗長&自己陶酔の語尾延ばしアナウンススタイルはまあ問題だとは思ってましたが、まさか2015年のボクシング界の懸案として専門誌で問題提起されるまでとは...。ちなみにボクマガ編集陣の『提言』は年末の連続興行がもたらすバブル状況や敗訴によって更に厳しくなったJBCの財政状態などへの危機感が一切無い、お屠蘇気分満開な呑気な原稿ばかりで、読んだら損した気分になりました。まあ立ち読みですけど。

 でここから本題であります。

 そのJBCがかねてより言及していた『暴力団等反社会勢力ではないこと等に関する表明・確約書』というやつが、ついにJBCのウェブに登場しました。選手やクラブオーナー、トレーナーなど全てのライセンス保持者に提出を義務付けるというこの書類、ホーム画面の左上のバナーをクリックして早速中身を見てみると、まさにJBCの現状を反映したようなとんでもないシロモノでありました。

 書類は六つの誓訳で構成されており、なんとイエス・ノーで答えると言う驚くべき体裁となっています。普通こういう誓約書って定型の文面に対して署名するもんなんじゃないでしょうか?大体「私は暴力組員です」と進んで書く人がいるとも思えず、質問形式になっている意味がありません。
 
 まあ根本的な問題は一旦置いて内容を吟味してみると、まず一項目は本人について「私は暴力団・反社会的組織の成員じゃないよ」という誓訳ですが、『社会運動等標ぼうゴロ』と言う表現にちょっと眩暈が...。さらに反社の定義の部分で色々と分類を上げておいて最後に『その他前各号に準ずる者』という極めてファジーな定義が登場!まさに胸先三寸どうとでもなる表現であります。

 それより問題と思われるのは三項目の『不当要求』についての部分であります。

 「④ 風説を流布し、偽計または威力を用いて貴法人の信用を毀損し、又は貴法人の業務を妨害する行為

 という定義があるのですが、これって胡散臭いゴッシプライター使って嘘八百で安河内氏や谷川氏を陥れJBCを混乱状態に陥れた上に、地位確認訴訟での敗訴で深刻な経済的打撃を与えた皆さんにぴったりな表現だと思うのですが...。汚い違法な手段でJBCを乗っ取った人がなんで他人の作法をあれこれといえるのでありましょうか?

 五項目も問題。なんと反社から不当要求を受けた場合はまずJBCに報告し、JBCが警察に通報するのに協力せよと書いてあるのです。なんでそんな迂遠な方法を取ることを誓約せねばならんのでありましょうか?さっさと自分で警察に行けば良いと思うのですが?

 一番問題なのは最後の六項目。少し長いですが全文引用いたします。

 「6 私は、これらの各項のいずれかに反したと認められることが判明した場合及び、この表明・確約が虚偽の申告であることが判明した場合は、催告なしでJBCライセンスの取り消し、催告なしで取引が停止され又は解約されても一切異議を申し立てず、また賠償ないし補償を求めないとともに、これにより損害が生じた場合は、一切私(当ジム)の責任とすることを表明、確約<致します・致しません>。」

 ライセンスを取り上げたり、興行を中止させるに当たって事前に通告もしないし、トラブルに対する異議申し立ても、まして補償や賠償を求めることも出来なくなると言うのです。そして誰が反社なのか?交遊関係はどこからアウトなのか?取引関係とは何を指すのか?これらは全てJBCのサジ加減ひとつにかかっています。

 例えばある選手が飲食店や試合会場でファンを自称する人に頼まれて一緒に写真を撮ったとしましょう。その人物が選手本人の知らぬところで、SNSやブログに「友人の○○選手と」などという説明を加えて写真をアップします。その後その人物が犯罪で逮捕され、ネット上に「ボクサーと友人」という書き込みがあることが判明します。この時点でJBCが「この選手は反社と密接に交際している」と判断すれば、事情聴取などなしに選手のライセンスを取り上ることが出来るし、選手側は抗議すら出来ないという仕組みになっているのです。

 これはちょっと考えられないようなずさんな制度設計であります。そもそも損害に対して賠償や補償を求めるのは個人の当然の権利であり、その権利を放棄するような契約を結ばせるのは人権侵害です。元より法に触れるような契約は無効であることは言うまでもありません。

 誰が反社かと言う定義も、どうなったらアウトかという定義も明確にせずに、ライセンスを取られても一切抗議も要求もいたしませんというような奴隷的な誓約を強制するのは明らかに非常識だし、正義にも反するとしか思えません。

 こんなポンコツな誓約でも、結ばない選手や関係者は「ヤクザ認定」されちゃうんでしょうかね?

 安河内氏を放逐した後のJBCはとにかく、ライセンスを発給を盾に自分達への恭順を迫るような体質が露骨になっています。なんだか全体主義の警察国家みたいですね。

 大体暴対法以降ますます地下化・潜伏化している暴力団に対して、紙切れ一枚で排除できると言う感覚自体が現実離れしています。彼らは巧妙に身分を隠して近づいて来るのです。選手個々人に責任を押し付けて、「何かあったらライセンス取り上げて放り出すよ」と言わんばかり誓約書をとって、暴排いっちょあがりというのは無責任極まりない態度です。本来は実態に即した研修などを義務付けるのが責任ある暴排対策ではないでしょうか?

 根本的な疑問として、違法な懲戒解雇を連発した結果敗訴し、莫大な経済的損失とイメージダウンをJBCにもたらした連中が、どの口で「法律を守れ」「JBCのイメージを損なうな」と言うてるのでありましょうか?というのもあります。

 というわけでこの誓約書は明らかに問題だらけである、と私は思います。

 最後にもう一つ、JBCのウェブに『健康管理見舞金制度改正の件』というリリースがアップされています。

 JBCが健保金制度に変わる医療費給付制度として始めた健康管理見舞金の徴収を辞めるというのです。徴収はしないが支払いはすると言うナゾの制度運用がアナウンスされてますが、早晩積み立てのプールは底を尽き、制度自体が終わってしまうと予想します。

 年間表彰のセレモニーを今年は公開で後楽園ホールでやるということを宣伝してますが、JBCの仕事は安全管理と公正の担保であります。亀田をいびったり、セレモニーを公開したり迎合的なことやってれば、近視眼的なファンは嬉しいかもしれませんが、それはJBCの本来の仕事ではないのよと言ってあげたい気分であります。

 捺印やサインは文書の内容をよく読んでしましょうと言いたい(旧徳山と長谷川が好きです)

 

地域密着・底辺拡大 プロスポーツを根付かせる為には?

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 さてさて昨年末の興行ラッシュでも「絶対なんかやらかしますよ」と言う某関係者の予想通り、中間採点を読み間違えるという情けないケアレスミスを犯したポンコツ一般財団法人JBC。昨年は裁判で敗訴したり、亀田兄弟に訴訟を起こされたり散々でありました。今年もトラブルが続くことが予見されます。

 ですがスポーツの統括団体を舞台にした揉め事と言いますと、何もJBC様だけではございません。

 社会的な議論を巻き起こした「Japanese Only横断幕事件」やJリーグの2シーズン制移行を巡る迷走、アギーレ監督の八百長関与疑惑など事件続きだったのは日本サッカー協会。代表監督が刑事告訴されるとなればまさに前代未聞。難しい対応を迫られることになります。

 もう一つ大きな問題を巻き起こしたのは日本バスケットボール協会でした。かねてからトップリーグの分裂状態が国際組織から問題視されていた日本協会は、再三の警告を受けながらついに事態を収拾できず国際資格を停止されてしまいました。事態収拾のために国際組織から職員が派遣されるとともに、文部科学省も仲裁に乗り出し、トップリーグの統一に向けての話し合いが進められています。バスケット界といえば桜ノ宮高校の体罰事件でも体質に批判が起こったばかり。幹部のガバナンスが問われたのは当然でありましょう。

 私の職場にはインカレ優勝メンバーだったと言うバスケ部出身者がいまして、色々と背景を聞いてみると、バスケット界は昔から人脈支配の構造が強く、派閥抗争が絶えないのだとか。そういった素地がある状況で2006年に自国開催した世界選手権が全く話題にならぬまま大赤字で終了したことでさらに派閥抗争が激化したのだとか。

 で、結局国際組織が何を問題にしているかと言うとそれはトップリーグが二つに分裂していること。従来の日本リーグの流れを汲み、企業チーム中心のJBLと、プロ化を目指して日本リーグを飛び出した新興プロクラブチームだけで構成されたBJリーグが、2005年以降対立しながら並存してきたことが、競技の振興やレベルアップを阻害しているという理由であります。

 なぜにバスケットボールのトップリーグは分裂してしまったのか?それはプロ化を巡る路線対立が原因でした。

 リーマンショック以降、様々な競技で企業チームの廃部が続いたことはスポーツファンの皆様の記憶には新しいところでありましょう。長期不況の中で、企業が実業団チームを保持することが難しくなっている現状を打開するべく、独立採算のクラブチームによるプロ化こそが生き残りの方法であるという方針のもと、BJリーグは生まれました。

 「日本でプロバスケを根付かせることは出来るのか?」「2リーグ並立では少ない観客を取り合うことになるのではないか?」「そもそも採算が合うのか?」という様々な心配の声を尻目に今年で十周年、しぶとく存続しております。

 自分は昨年出張で何度も沖縄に行ったのですが、当地ではBJリーグの琉球キングスがなかなか人気があるようで、選手が大手航空会社のキャンペーンキャラクターを勤めていました。

 ここ数年は急激にチーム数を増やし、岩手、秋田、群馬、と言ったプロスポーツ未踏地へ積極的に進出するという戦略をとるとともに、今年からリーグの冠スポンサーにトルコ航空を迎えるという渋いチョイスも見せています。

 BJリーグのチーム運営予算は平均で2~3億円程度で、Jリーグのチームに比べると手を出しやすいというのが急激なチーム増加の理由になっているようです。サラリーキャップ制度によって(チーム全体で7600万円)選手の年俸を抑制するとともに、チーム力の拮抗もはかっています。

 安倍内閣が成長戦略として『プロ野球球団のエクスパンション』にも言及したように、成熟段階に入った資本主義社会ではプロスポーツ興行は有効なフロンティアとなり得るものだと思います。BJリーグはJリーグの成功過程を参考にしつつも独自の工夫で新たな地域密着のスポーツ興行のモデルを着々と形作りつつあります。

 と言うわけで見物がてら年末に行われた試合の方を見に行って参りました。

 自分が見た試合は大阪エヴェッサ対富山グラウジーズ。会場は堺市の金岡公園にある体育館でした。ホームチームであるエヴェッサの試合興行は大阪府内の体育施設を巡回しながら行われているようで、固定したホームアリーナは無いようです。この辺は評価が分かれるところなのでしょうが、「まずは話の種に一回見てもらう」という方針をとっているのではないかと思われます。

 入場料は地下鉄来場者に適応される割引のおかげで一人1900円。観衆は千人程度ですが、バスケ部軍団と思しき中高生の姿が目立ちます。ホームのエヴェッサの固定ファン(『ブースター』というらしい)も暖かい声援を送っています。勿論アウェイの富山から来た熱心なファンもスタンドの一角に陣取っています。

 試合前にはチアダンスのショウや堺市長によるテイップオフなどもあり、なかなかに華やかな雰囲気で持込で設置されている音響設備やビジョンなども、少ない予算で運営されているであろうにしてはなかなかのもの。アナウンスや進行の段取りもスピーディー。

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スポンサー企業には上場企業も名を連ねる

 ハーフタイムには観客参加のフリースローコンテストがあり、チアガールがここでも大活躍。一丸となって興行を盛り上げます。会場内で販売されているフード類や物販なども充実しており、値段も手ごろ。接客態度もこなれていて好印象。思ったよりいいじゃん、と思ったのであります。

 で問題は試合であります。肝心の競技のレベルが...これが素人目にも明らかにイマイチ!なのであります。フリースローが入るのが二分の一くらいと言えば分かっていただけるでしょうか?選手の動きは外国人も日本人もモッサリしていてゴール下に入るのも一苦労で、パス回しはミスが多くお世辞にもスリリングとは言いがたい。その上試合展開も前半に大差がついて退屈そのものと来ては...。まあ勿論NBAなんかと比較するのは酷な話でありまして、サッカーやボクシングと同じく、海外のトップ選手の試合との距離感なき比較は意味がございません。「おらが街の代表が一所懸命やってるんだ」と言う目線で暖かく見て楽しむべきもんだと言うことは私も分かっています。ただ「このままチームが増え続ければますます競技レベルが下がるんじゃないの?」と言う危惧を感じてしまいました。競技力をどう向上させるかが課題でありましょう。

 そもそも日本のバスケット界の特殊事情として、トップ選手がNBLの企業チームに集まると言う現実があります。日立や東芝や三菱電機、トヨタと言ったグローバル企業の社員選手になる方がクラブチームのプロよりもステイタスが高いとのです。年俸の最低補償が300万円、チームの総年俸が7600万円で首になれば何の保証もないBJリーグは日本国内のトップ選手の選択肢とはなり得ていないのです。そしてNBLのトップチームを抱える企業とて、宣伝の媒体としてチームを保有しているだけで、収益性が高いとはいえないプロ化には何らメリットを感じていないと言うのが現状です。結果BJリーグにはNBLに入れなかった選手が集まると言うのが現実となっているのです。

 BJリーグよりも選手にとってはステイタスが高いNBLですが、企業チームとクラブチームの戦力格差がひどくリーグとしての盛り上がりには疑問符がつきます。新年早々パナソニックの実業団を引き継いだ和歌山トライアンズが経営破綻し、NBLチームの経営状態も決して楽ではないことが伝わって来ます。

 両リーグとも一長一短があるわけですが、いかにして統合を行うかは結局企業チームの腹一つと言えると思えます。企業チームの親会社は超優良企業ばかり。日本国内のバスケットボール市場というような小さな利権に拘泥せず、大きな目でプロスポーツとしての育成を担って欲しいと思えてなりません。

 試合は展開自体は大差のまま終始しましたが第4クオーターは負けていたエヴェッサがそこそこ奮起し一定の盛り上がりを見せ、一応豪快なダンクや見事な3ポイントも少ないながらもありましてまあ満足。
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ダンク!
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3ポイント!

 また機会があったら足を運びたいと思ったのでありました。というか出張に行った旅先で見てみたいなあ。

 ボクシングの興行にも様々なヒントを与えてくれるのではないか?と感じる観戦体験でありました。

 休憩ばっかりのダラダラ興行やってる某プロモーターはbjリーグの仕切りを参考にして欲しいと感じる(旧徳山と長谷川が好きです)
 
 

 
 

大晦日 監禁?観戦記 

 2014大晦日

 もはやいささか遅いとは思いますが、年末の興行の感想などを…

 井上尚哉選手の試合は海外のファンや専門家にも衝撃を与えたようですが、本当にインパクトの大きな勝利でした。個人的には岩佐選手や山中選手との試合を見たいなと思いました。

 八重樫選手はことのほか動きが悪かったですが、歴戦の蓄積ダメージが心配であります。ポーンサワン戦以来ずっと激闘続きで被弾が多かったですからね。

 この八重樫選手の試合で、JBCが中間採点の読み間違いをやらかし、それに対して大橋会長が怒ったという報道がありましたが、大橋会長はJBCの理事です。違法な解雇を乱発して地位を握った連中と二人三脚でやってきた大橋氏が、いざ自分に害が及んだら、第三者の如き言辞を弄してJBCを批判するというのは虫のいい都合主義としか思えません。早く裁判所の判決どおり、仕事の出来ない連中を排除してJBCを正常化して頂きたいものです。

 リナレス選手はすばらしいテクニックで快勝。三階級制覇おめでとうございます。相手はちょっと微妙でしたが…。

 観戦に行かれた方のレポートを読むと、この興行では国歌の吹奏も無かったのだとか。普段から国旗や国歌の大切さを説いてる産経新聞のグループ企業であるフジテレビのビジネス保守振りはまあそんなもんだろとは思いますが、あのおしゃべりリングアナウンサーが毎度毎度繰り広げる一切需要の無い、冗長なリングコールはいったい何なんでありましょう?あんなもんを垂れ流すなら厳かにセレモニーをするべきだと思うのですが。ゴッシプライターに情報提供している縁で亀田兄弟との裁判にも関与しているという彼氏は、あれでも一応JBC職員です。自己満足アナウンスのしょうもない文案を練っている暇があるなら、本業の試合管理をちゃんとせいよと。あの人相当なナルシストですね。自分に酔ってるのが伝わってくるもんな~。裁判も負けたんだしどっか行ってくれないかな~。

 さて続いて大晦日、ワタナベジムのトリプル世界戦。内山選手の試合は相変わらず磐石でしたが、驚いたのは田口選手。小気味良い積極的なボクシングで完勝。素晴らしいスピードでした。河野選手はムラが激しいですが試合振りはまだまだ若い。しっかり『次戦は亀田か?』という字幕も出てましたね(笑)。テレビ東京やる気であります。しかし井上選手がドエライ試合をしてしまったもんで、同階級のチャンピオンは否応無く比較されて大変ですね。

 自分は大阪ですので、もうひとつの大晦日興行であるリゴンドー×天笠がメインのボディメイカーコロシアムを生観戦してきたのでありますが…。

 石田匠選手が快勝した日本タイトルマッチは、森崎選手が序盤善戦し盛り上がりましたが、、最後は格の違いを見せました。狙い済ました右ストレートからのフィニッシュはまさに圧巻。日本チャンピオンとしてはかなり強い選手ではないでしょうか?この人もまた井上選手と同階級ということで比較される運命にありますが、大事に大きく育てて欲しいと思います。

 紆余曲折があってノンタイトル戦となった井岡選手ですが、やっぱり彼の試合は面白いと感じました。絶妙な距離勘や多彩なパンチ、駆け引きの巧さ。自分は彼は完全に努力型の選手だと思いますが、この試合でも絶妙なヘッドワークで理詰めとも言うべき崩しを見せてくれました。なんちゅうか味わいがあるんですよね。アムナットとやる前に、こういう調整試合をフライ級ではさんでればなあとは思いましたが、それは言っても詮無いことであります。「ローマンから逃げた」的な論調でゴチャゴチャと批判する偏狭なマニア連中は相手にせず、今後も技術研鑽を積んで職人・技術者として渋いボクシングを磨いて欲しいと思います。

 そして個人的なメインイベントだった高山勝成×大平剛戦。序盤大平選手が高山選手によく対策し、互角以上の展開に持ち込み4Rにビッグパンチも当てますが、そこから高山選手がギアをあげて対抗。高山選手がフィジカルのアドバンテージを生かしてプレッシャーを強めペースを奪還すると、5R以降常にコーナーやロープを背負わされフットワークでサイドも塞がれた大平選手はみるみる失速。7Rに圧巻のラッシュで高山選手のTKO勝利となりました。あんな連打はちょっとなかなか見れないですねえ。無尽蔵のスタミナと戦況を読み切って冷静に作戦を実行するメンタルが印象的でした。メキシコでのロドリゲス戦が海外でも高く評価され、軽量級ボクシングの伝道者ともいうべき存在になった高山選手。個人的にはミニマムでもう何試合か防衛戦が見たいと思います。

 そしてボクシングファンが注目の大物ギレルモ・リゴンドーが登場したメイン。中盤まで安全運転で圧倒していたリゴンドーですが、ダッキング一辺倒だったデイフェンスの隙をつかれてよもやのダウン。天笠はパンチャーの面目躍如でした。ダウンを受けてリゴンドーも反転攻勢に出たことで試合は大いに盛り上がり、天笠になじみの無い大阪のファンからも自然に天笠コールが起きました。実力差のあるミスマッチだという意地悪な見方もされた試合でしたが、天笠はストロングポイントを生かして見事に爪あとを残したと思います。試合後すぐに敵コーナーに挨拶に行き、インタビューでも真っ先に天笠を称えたリゴンドーのリングマナーはさすがという感じ。闘病中の服部海斗選手を応援するメッセージボードを掲示し、インタビューでも本人に呼びかけたところも感動的でした。強い男は優しいのであります。山口賢一選手もリゴンドーサイドの関係者としてリングに上がり、喜びを分かち合っていました。

 高山選手もご自身の試合後のインタビューでスパーリングパートナーだった服部海斗選手に呼びかけ、募金への協力を訴えており、会場の外では街頭募金も行われていました。ボクサーの同士愛というのはかように強いものであります。

 試合は素晴らしかったし、感動的だったのですが…。問題は興行の進行とテレビ放送であります。

 この日の興行の予定ラウンド数は実に80ラウンド以上。50ラウンドというルール上の上限を遥かに上回っていてまずそのことが疑問なのですが、実際3時半に始まってメインが終わったのは10時過ぎという長丁場。で実はその七時間弱のうち三時間くらいが『井岡ジム興行名物ナゾの休憩』だったのです!前半のカードはタイ人祭りで序盤KOが連発し、石田匠の日本タイトルマッチの前に時間調整で休憩、そこから高山選手の世界戦の前にまた休憩、井岡選手の試合の前にまた休憩、メインの前にまたまた休憩。この日は再入場禁止でしたが、食べ物(夜店で売ってるようなフランクフルト600円也…)は7時前にはとっくに売り切れ、空腹状態で硬い椅子でじっと待つ苦痛と言ったら…。これだけ娯楽が多様化してる世の中で恐るべき殿様商売であります。入り口に外車をずらっと並べるような意味不明のサーヴィスはいいのでもうちょっと観客のこと考えてくれよと。で会場にいるときは「テレビ中継の都合もあるのかなあ」なんて考えていたのですが、家に帰って録画を見たらリゴンドー以外全部リアルタイムじゃないじゃん!7時には終わっていた高山選手の試合が放送されたのは日付が変わる直前の真夜中!こんなへんな体裁でやるなら何であんなテレビ中継を理由にした休憩がいるわけよ?井岡選手の試合はノンタイトル戦ですが国歌が流れましたがノンタイトル戦に国歌いる?とかいう細かい疑問もありました。フジの中継は世界戦なのに国歌が無くて歌謡ショーがあって、TBSの方はノンタイトルで国歌が流れて仕切りや中継のスタイルはグダグダ。世界戦の連戦で一見活況を呈しているかに見えるボクシング界ですが、試合以外の面がちょっとお粗末なんじゃないの?と感じた次第であります。試合が良かっただけに余計残念でありました。

 休憩することで逆につかれるという不条理を味わった(旧徳山と長谷川が好きです)

 
 

 
 
 

新春動画福袋 リゴンドーのジムワークat大阪天神ジム

 あけましておめでとうございます。今年はほどほど頑張ります。

 ということでお年玉企画、リゴンドー選手のジムワークの動画をアップします。試合の余韻を味わいつつ見ていただければ幸いです。




井上尚弥―アスリートの時代― 20150101


20141230 WBO世界Sフライ級タイトルマッチ
<井上尚弥 2回3分1秒KO オマール・ナルバエス>

最初の2度のダウンはテンプルへの右が効いていた。3度目のダウンは、ナルバエスの攻撃パターンを完全に読み切って放った左ショートカウンター。いや、読み切ったというより、瞬時に相手の攻撃パターンを察知し、かわしながら叩き込んだパンチだった。井上選手にはナルバエスの動きがスローモーションのように見えただろう。両者のスピード差が明確に出た一撃だった。このパンチでナルバエスの目から一気に力が失われたように見えた。左ボディで喫した4度目のダウン。ナルバエスはキャリアの終わりを苦悶とともに受け入れた。(試合後のナルバエスのさっぱりした表情が印象的だった。)

ナルバエスの2013年以降の戦いを見るとFオルクタとの2戦が目を引く。一戦目ではオルクタの突進を止められず、内容的に負けと言えるスプリット判定防衛。

2度目は前回の反省からか前に出るも、中盤再び相手の前進を許し、終盤3ラウンドのスパートで判定をものにした。

ボクサーのキャリア終盤はコンディションに左右されるところが大きい。実際、井上との試合前にも自身の試合についてコンディションが鍵であるとコメントしていた。

そして井上との一戦。コンディションなど問題にならないほど、スピードとパワーに差があった。かといって井上がワイルドであったかと言えばそうではなく、テクニックの点でもナルバエスと遜色なかった。1ラウンドに2度のダウンを奪っても、慌てて攻めず落ち着いて戦ったあたり、精神面の強さも感じさせた。

ナルバエスへの挑戦の話を聞いた時、思い切った選択をしたものだと思う一方、ナルバエスの衰えを見切った上での選択かとも思った。(ジムとの契約書に「強い選手と戦う。弱い選手とは戦わない」の条項を本人の希望で入れたことを思い出す。)井上選手自身プレッシャーに押しつぶされそうになったこともあると言う。しかし、試合では圧倒的な差を見せつけて勝利することができた。

コンパヤックと2度にわたる壮絶な打撃戦を演じたアドリアン・エルナンデスを粉砕した時点で、井上選手の実力は疑いないものだったが、この試合で稀代のテクニシャン(ドネアとの試合で世界トップレベルにあることを証明したと思う)を破壊したことで、その強さは改めて証明されたと言える。

井上選手は成し遂げた仕事に相応の評価を受けているだろうか。世間的な人気の点ではまだまだではないかと思う。それは人目を引くようなサイドストーリーに恵まれていないことが一因かもしれない。アマチュア〇冠、ボクシング一家、兄弟ボクサー、父子鷹。どれも目新しいものではない。大橋会長がつけた「怪物」なるニックネームも彼の風貌あるいはボクシングとマッチしていないように思える。

しかし一番の理由は井上選手のボクシングにあるのではなかろうか。

彼はアマチュアで多くの実績を残している。その指導はトレーナーである父親に負うところが大きいであろう。井上選手の父親は元アマチュア選手だそうである。プロを経験していないトレーナーの指導で世界チャンピオンまで昇り詰めた例は他にもある。情報技術が発達した現代においては、ボクシングの技術的な情報はプロでなくても求めれば容易に手に入れられる。指導者もプロである程度の型ができてしまうと柔軟性を失ったり時代遅れになってしまったりすることもあるだろう。そう考えると井上選手のボクシングはプロを経験していない父親の独自の指導によって、独特の発達・発展を遂げたのではないかと考えられる。もっと言えば、アマチュア時代に培ったものをそのまま発展させたようなところがあるのではないか。プロの枠に嵌め直すことなく、これまで通り選手個人の成長段階や身体的特性に合わせて技術を習得させていったというような、そのような自然さを感じさせる。

例えば井上選手のボクシングを真似ることができるだろうか。辰吉選手のボクシングなら格好だけでも真似ることができるように思える。しかし、井上選手のそれは、スピードがあり、パワーがあり、足が使えて、距離感が良い、そうして当たり前に強い。しかし、彼のボクシングを真似ることはできないように思われる。(彼のボクシングの一種の「クセの無さ」は戦う相手に予測を困難にさせているところがあるのかもしれない。)

私は井上選手のボクシングに「プロ臭さ」を感じないが、それは上記のようなことが影響しているのかもしれない。

かつて1980年代に「素人の時代」ということが言われた。専門家、職業人でなくとも、その道の達人になることができる。それができないと思われたのは先入観に過ぎない。ボクシングの技術もそうなのかもしれない。一部の専門家によって秘されるべきものではなく、お互いに共有できる、伝え合うべきものなのかもしれない。

もう一つ感じるのはアマチュアの技術力の高さである。アマチュアだからといってプロと技術の点で大きな差があるとはもはや言えなくなっているのではないか。競技として十年もやっていれば、プロで即通用する選手が出ることは、他のスポーツ競技では普通にあることである。ボクシングにもそういう時代が来たのではないか。

特段のバックグラウンドを持たずとも、スポーツとしてボクシングに入り込み、プロになり、そうして世界チャンピオンになる。日本のプロボクシングはハングリースポーツの時代から、アスリートの時代になったのではないか。アスリートとしての能力で評価される時代になったのではないか。

井上選手を見ていると、そんなことを感じるのである。

ps 井上選手の評価については、ボクシング・シーンのファイター・オブ・ジ・イヤーを受賞、リングマガジン誌でも同最有力候補に挙がっているようです。すでに海外では評価は高まっている。